「あれっ?よく似ているけどメーカーのエンブレムと車名が違う」

街でこんな経験をしたことありませんか?

それ、実は間違いじゃないんです。

名前は違っても同じ車、OEM車はホンダを除く国産メーカーのほとんどが取り扱っています。

なぜこのようなことが起こっているのか、それには理由があります。

そんな自動車業界の仕組みをご紹介いたします。

OEMとは

OEMとは、Original Equipment Manufacturerの略語です。

他社で開発、製造した商品を自社ブランドとして販売することを意味し、様々な業界で広がりを見せている業務形態です。

自動車、携帯電話、化粧品などがよく知られています。

開発には自信があっても販売網が未発達、ある一定の基準での商品供給を求めているなど、お互いの目的と利益が合致すれば成り立ちます。

自動車業界の場合も別のメーカーが開発、製造した車を自社のエンブレムを付けて販売しており、バッジエンジニアリングとも呼ばれています。

OEMには委託者と受託者があり、それぞれの役割、メリットが違います。

委託者は、自社で企画開発や工場の設備などのコストを削減することができ、過不足なく在庫を管理することにより調整が可能になります。

その分、新製品の開発に専念できる余裕も生まれます。

受託者は生産量の増加による利益を見込めるうえに、技術および販売力の向上につながります。

また自社製品の知名度の向上につながります。

ただし、デメリットになる点も忘れてはなりません。

委託者は製造の依頼により確かに工場設備は不要になりますが、その分生産性の収益は見込めないうえに自社の開発、技術がストップしてしまうことになります。

また将来的に受託者とライバル関係になることも考えられます。

一方、受託者は技術を活用して生産量や技術力の工場を計ることができる反面、価格の支配権を握れないこともあります。

設定価格によっては収益自体の低下を引き起こしかねません。

また生産量を自社でコントロールすることが難しくなります。

なぜOEM車ができるの?

ご存じの通り自動車業界では、企業間の垣根を越えた提携が積極的に行われています。

かつて各社はあらゆる車種を自社で開発し取り揃えて、消費者のニーズに応えていました。

今ではほとんどのメーカーがOEM車を取り入れているのは、自社のラインナップを充実させつつ、コスト削減に努めるのに最適な方法であると考えられているからです。

新車の開発費用は100億以上かかると言われていますが、それだけの資本を投入して売れなかったら大変な損失を計上することになります。

大きなリスクを抱えながら相当数の車の企画を起こすのは難しいでしょう。

すでに他社で開発されている車を自社ブランドとして売り出す方がはるかにリスクを回避できます。

またある程度の売上をあらかじめ予測しやすく、生産数の過不足を自社で補う必要がないのも要因と言えます。

また全く方向性の違う車種をそれぞれ企画するより、得意分野に特化して開発を行うことで、資本と研究人員を効率よく投入できます。

このように、お互いに無いものを補い合う形が自然に業界に浸透していくようになりました。

なぜメーカーはOEM車を販売するの?

OEM導入のメリット、デメリットをふまえたうえで、なぜそれぞれの販売店でOEM車を売るのか、それは多様化している消費者のニーズに対応するためです。

例えば日産のユーザーがセカンドカーとして軽自動車の購入を検討している場合、販売店に取り扱いがなければ、他店に流れていってしまいます。

一度離れてしまった大切な顧客を取り戻すのが容易なことではないことは、おわかりいただけるかと思います。

あらゆるニーズに対して的確に対応することが、今一番販売店に求められている最上のサービスです。

選べる対象の車種が多いほど、消費者にも支持されると言えるでしょう。

特に軽自動車を自社工場で製造していないメーカーは、積極的に導入しています。

また開発に莫大な費用がかかるハイブリッドカーもOEMとして高い価値があります。

まとめ

各業界で導入されているOEMは、自動車業界で特に活用され、効果を上げている例と言えるでしょう。

自社にない分野の車を用意することで顧客の要望に可能な限り応えられる、サービスの一つとして必須の形態となっています。

OEM車の価格は供給元より高めに設定されている場合もあります。

しかし、セカンドカーとして購入を検討してもらいやすいよう、逆に割安に押さえられているケースもあるため、両方比較してみると良いでしょう。

手放す時は下取り価格がどうなるのかも気になるところです。

レア車として付加価値が付く車もありますが、オリジナル車より下がってしまうことも想定されるので、検討の際は、良く確認しましょう。

中には、本家本元より人気が高い車もあるほどです。

供給元と供給先では、若干仕様が異なる車も多々あります。

好みのデザインやカラーを探すのも楽しみのうちです。

購入後のアフターフォローも異なりますので、しっかりと確認しておくと良いでしょう。