アメリカと中国間で貿易戦争が勃発していますが、そこで心配になるのは、自動車業界にどのような影響があるのか、ということです。
外国間の貿易摩擦とはいえ、輸出の多い日本でも影響がないとは言い切れません。
そこで今回は、米中貿易戦争が自動車業界にどのような影響をもたらすのか見ていきましょう。
2018年から発生している米中貿易戦争のこれまでの流れについておさらいしておきましょう。
2018年7月|
アメリカが中国に対して340億ドル相当の追加関税を実施。
それに対抗し、中国はアメリカに対して同等額相当の報復措置を実施。
2018年8月|
アメリカはさらに160億ドル相当の追加関税を実施。
中国も同等額相当の報復措置を実施。
2018年9月|
アメリカは中国からの輸入品2,000億ドル相当に対して10%の関税をかけた。
中国は報復措置としてアメリカからの輸入品600億ドル相当に対して10%の関税をかけた。
2018年12月|
米中間での交渉が行われ、追加関税の保留について合意。
2019年5月|
アメリカは中国からの輸入品2,000億ドル相当に対してかけていた10%の関税を25%に引き上げた。
2019年6月|
中国はアメリカからの輸入品600億ドル相当に対してかけていた10%の関税25%に引き上げた。
ここまでの時系列を見ていると、制裁措置をしたら報復措置をするという、いたちごっこの繰り返しになっているように見受けられます。
ことの発端は、中国のビジネスにおけるルールが世界の「グローバルスタンダード」と呼ばれる基準に則っていないことでしょう。
それにトランプ大統領が噛みつき、攻撃を始めたわけです。
では、この貿易摩擦が、自動車業界にどのような影響を及ぼすのか見ていきましょう。
米中貿易摩擦による自動車業界への影響
世界的に見て、自動車業界への影響は主に次の2点が挙げられます。
・アメリカで生産、輸出している自動車メーカーへの打撃
・中国マーケットの獲得競争
まず、アメリカの自動車メーカーに対するダメージの大きさが挙げられます。
自動車の各種パーツを中国から輸入しているものも少なくありませんから、その分コストが上がってしまうことになります。
さらに、アメリカの自動車メーカーで売上高ランキング5位であるゼネラルモータース(GM)にとって、中国はなくてはならないマーケットです。
販売台数の大半を中国が占めているため、大打撃を受けていることは間違いありません。
事実、北米工場を停止する事態にまで陥っています。
また、トランプ大統領の狙い通りに中国がグローバルスタンダードになれば、中国マーケットの獲得競争が始まることが予想されます。
中国において自動車を生産する際、外資の出資比率制限や設立数制限が設けられています。
その制限が撤廃され、中国においての生産活動が他国同様にできるようになれば、自動車業界にとっては大きなプラスです。
巨大な市場である中国で生産ができれば、自動車メーカーにとっては大きなアドバンテージを得ることになるのではないでしょうか。
日本の自動車業界への影響は?
日本の自動車業界への直接的な影響はあまりないと見られています。
アメリカで生産して中国に輸出している車はさほど多くありませんので、大打撃になるとは考えにくいでしょう。
むしろ、現在は日本の自動車メーカーにとってプラスに働いている状況です。
アメリカ・中国間での関税が高くなったことで、中国ではアメリカ車よりも日本車やドイツ車などの売れ行きが良くなっています。
2018年7月に中国で日本車の販売台数が記録的に伸びたことがその現れです。
悪影響ばかりが見えがちな貿易摩擦ですが、意外にもプラス要素があることもわかります。
まとめ
米中間の貿易戦争はいつまで続くかはわかりません。
今のところ日本にとってプラスに働いていることは事実ですが、これからのアメリカ・中国の動き次第ではどうなるかわかりません。
今後の貿易戦争の動向に、引き続き注目していきましょう。