2019年3月、トヨタがeスポーツへの参入を発表しました。
これまでも協賛という形で取り組んでいたことはありましたが、本格参入するのは日本の自動車メーカーとしては初めてです。
そこで今回は、トヨタがeスポーツへ参入した背景や、その狙いについて考察していきます。
2019年3月、トヨタはeスポーツへの本格参入を発表しました。
そして2019年4月には、KONAMIから発売されているモータースポーツゲーム「グランツーリスモSPORT」を使用した世界規模のレースが開催されています。
このレースは「GRスープラ」のみを使用して走るワンメイクレースで、『GR Supra GT Cup』というタイトルでした。
決勝大会は2019年10月26日に「東京モーターショー2019」のイベントの一つとして行われ、大きな話題の一つになりました。
また、ミクシィが開催する「XFLAG PARK 2019」の中のイベントのひとつである「モンストグランプリ」へのスポンサーも行っています。
トヨタがeスポーツに参入した背景
トヨタがeスポーツに参入した背景には、eスポーツを車の魅力を知ってもらう機会にしたい、という背景があるようです。
上記でもご紹介した「モンストグランプリ」は、ミクシィの人気ゲーム「モンスターストライク」の大会です。
一見すると自動車産業とは何の関係もなさそうに見受けられます。
しかし、優勝時の副賞に車を提供したり、ゲームと車のコラボレーションをすることで、車そのものへの興味関心を引くことができるのです。
トヨタはこれまでもモータースポーツに注力しており、WRCやSuper GTなどに参戦しています。
ただ、モータースポーツにはサーキットまで足を運ばなければならないというハードルがあります。
しかし、そこに「モーターeスポーツ」を組み込むことで、よりサーキットを身近に感じてもらうことができるようになるのです。
こうした、最初のハードルを下げる意味でも、eスポーツは有効だと考えられたのではないでしょうか。
トヨタがeスポーツに参入した狙いはなに?
トヨタの名前は広く知れ渡っていますし、単純に企業のネームバリューを上げるためだけとは考えられないでしょう。
eスポーツに本格的に参入した狙いとしては、次の2つが予想されます。
・若年層への車のアピール
・eスポーツにおける自動車レースのマーケット規模の測定
若年層への車のアピールという面では、上記でもご紹介したように「車に興味の無かった人に車に触れてもらう機会を作る」ということが主な狙いになります。
そこで興味を持った人たちに「トヨタ」の印象を与えることで、今後車の購入を考えられた際に名前を挙げてもらう可能性を高めたいという、長期的な狙いがあると考えられます。
また、実際に参入してみれば次のような情報を得られます。
・プレイヤーの総数
・プレイヤーの年齢層
・コアプレイヤー、ライトプレイヤー層の分布
など
こういった情報は貴重で、今後のマーケティング戦略の一環として使われることになるでしょう。
例えば、上記の情報を用いれば、
・「eスポーツ」または「車そのもの」に興味がある年代
・プレイヤーが今後車の運転をする年齢になるときのモータースポーツ市場規模
・eスポーツからリアルモータースポーツに移行したい人へのチャンスの提供
など、少し考えるだけでもこれだけの項目が挙げられます。
このように、目先の利益だけではなく、今後数年、数十年と先を見越すことができる情報が手に入るため、巡り巡って企業の利益につながっていくのです。
これからeスポーツはより盛り上がりを見せていくと考えられるため、eスポーツに対し「たかがゲーム」という考えではいられないのではないでしょうか。
まとめ
世界でもトップを走る自動車メーカーのトヨタがeスポーツに本格参入したことで、今後のマーケティング戦略の優位性がますます高まるかもしれません。
eスポーツが盛り上がりを見せる一方で、大会の裏側には様々な戦略があるようです。