減価償却を行う上で覚えておかなければならないのが「耐用年数」です。
似たような言葉に耐久年数というものもあるため、混乱してしまうという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
車屋という事業を行っていくうえで、減価償却の計算は必須です。
それにあわせて耐用年数もついて回るため、覚えておいて損はありません。
そこで今回は、耐用年数について詳しく解説いたします。
耐用年数とはどんな意味でどのように算出するのか、耐久年数との違いは何なのか、きちんと把握しておきましょう。
耐用年数の話をする前に、減価償却資産について説明します。
事業として自動車を取得する場合、取得した自動車は「減価償却資産」という扱いになります。
一般的に、自動車は時間の経過によってどんどん価値が下がっていくものです。
そういった資産のことを減価償却資産と呼びます。
自動車だけでなく、建物や建物附属設備、構築物なども減価償却資産に該当します。
そして、減価償却を行う資産ごとに減価償却する期間を定めたものが「法定耐用年数」となります。
法定耐用年数は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によって定められています。
(国税庁ホームページより)
自動車の場合も、この省令において用途・車両別に耐用年数が定められています。
それぞれの耐用年数に詳細については後述いたします。
また、似たような言葉に「耐久年数」というものがあります。
耐久年数は耐用年数と違い、「このくらいの期間なら使うことができる」というおおよその目安のことです。
もちろん個体差などがありますので、一概には言えない部分が多々あります。
建物などでは耐久年数を算出して提示しているメーカーもあるようですが、自動車メーカーでは耐久年数を出しているところはありません。
自動車はユーザーによって使用頻度の差が激しく、目安としての数字だとしても耐久年数を算出することは難しいという側面があるため、耐久年数を出していないと考えられます。
各車両の耐用年数
ここからは各車両を新車で取得した場合の耐用年数を紹介していきます。
まず覚えておく必要があるのは、普通乗用車と軽自動車の耐用年数です。
・普通乗用車・・・6年
・軽乗用車・・・・4年
その他、一般用・運送用等で下記表の通り定められています。
・一般用のもの(特殊自動車・次の運送事業用等以外のもの)
・自動車(2輪・3輪自動車を除く。)
・小型車(総排気量が0.66リットル以下のもの)・・・4年
・貨物自動車・ダンプ式のもの・・・4年
・貨物自動車・その他のもの・・・5年
・報道通信用のもの・・・5年
・その他のもの・・・6年
・運送事業用・貸自動車業用・自動車教習所用のもの
・自動車(2輪・3輪自動車を含み、乗合自動車を除く。)
・小型車(貨物自動車にあっては積載量が2トン以下、その他のものにあっては総排気量が2リットル以下のもの)・・・3年
・大型乗用車(総排気量が3リットル以上のもの)・・・5年
・その他のもの・・・4年
・乗合自動車・・・5年
・被けん引車その他のもの・・・4年
(国税庁 確定申告書等作成コーナーより抜粋)
普通自動車の耐用年数は「一般用のもの」であり、「自動車」であり、「その他のもの」に該当するため6年となっています。
軽自動車の耐用年数は「一般用のもの」であり、「自動車」であり、「小型車」に該当するため4年です。
このように、該当する区分を調べて耐用年数を算出していきましょう。
どうしてもわからない場合は、税務署などに問い合わせて確認することをおすすめします。
中古車の耐用年数の算出方法
中古車の耐用年数は、簡便法と呼ばれる計算式によって算出することができます。
計算式は次の通りです。
該当する法定耐用年数-経過年数+(経過年数×0.2)
※小数点以下切捨て・最短2年
例えば、3年落ちの普通乗用車を購入した場合の計算式は、
法定耐用年数6年-経過年数3年+(経過年数3年×0.2)=3.6年
となり、小数点以下を切り捨てて、「3年」という結果になりました。
このように、中古車の場合は法定耐用年数を調べたうえで計算を行う必要があります。
まとめ
冒頭でも触れましたが、車屋という事業を営んでいくうえで減価償却の計算は必須です。
それにあわせて耐用年数もついて回りますから、覚えておいて損はありません。
自動車だけでなく、建物や機械設備などにも通じますので、役に立つ場面も多いはずです。
減価償却・耐用年数を理解して、事業に活かしていきましょう。