自動車業界は1年を通じて車の売買が活発になる時期がさまざまです。
しかし、年末が近づいてくるとボーナス時期に合わせて、車の販売計画を立てている自動車販売店様も多いのではないでしょうか?
そんな時、質の良い中古車を仕入れる時に利用されるのが「中古車オークション」です。
そこで今回は、中古車オークションの基本的な仕組みや相場、中古車オークションでの注意点などをまとめてご紹介します。
これから中古車オークションに参加しようかどうか検討されている自動車販売店様は必見です。
ぜひ最後までお読み下さい。
中古車オークションの仕組みについてご紹介する前に、中古車オークションへの参加資格についてご紹介しておきます。
◯古物商取得1年以上や販売実績が必要
中古車オークションに参加するために必要な資格や条件は、大まかに言えば以下の通りです。
・古物商を取得して1年以上経過している。
・中古車の販売実績が1年~2年ある。
・自動車を展示している場所と店舗の写真を添付している。
このように、中古車オークション参加にも様々な条件があります。
この記事を読んで下さっている自動車販売店様は大半がクリアされていると思いますが、念のためご紹介しておきます。
ちなみに、一般ユーザーでも先程ご紹介した条件をクリアすると、中古車オークションに参加可能ですが、保証金や推薦状など多くの条件をクリアする必要があるので、 多くの一般ユーザーは自動車販売店へ代行を依頼します。
◯中古車オークションは業者間オークション
中古車オークションは、先程ご紹介した条件をクリアした自動車販売店のみ参加できるオークションです。
イメージとしては市場の競りが近いのではないでしょうか。
中古車オークションで行われることは、一般ユーザー向けに出品された車を安く買い取り、買い取った自動車をご自身の店で利益が出るように価格設定をして販売します。
一方、一般ユーザーから買い取った中古車を中古車オークションに出品し、高く売れた差額を利益にすることも行なわれています。
ちなみに、中古車オークションは季節ごとによって出品される台数が変わっていますが、年度末に多く売買がされる傾向が見られます。
◯車両のチェック
ここからは、中古車オークションの流れについてご紹介します。
オークションに出品する車をオークション会場へ持っていくと、その際に「出品票」へ記載します。
出品票とは、オークションに出品する車の状態やグレード、年式や走行距離などの情報を記載する用紙でカルテに近い内容です。
出品票の記載が終了したら、オークション会場に常駐している検査員が車両のチェックを始めます。
この時は、中古車オークションにかける車に修復歴の有無やメーターの改ざんなど、自動車の保存状態について厳しくチェックされます。
また、検査員は第3者が務めているので、公平かつ正当な診断を下します。
チェック終了後、記載される項目の中で最も重要な「評価点」を出品票に記載します。
評価点とは、検査員が出した総合的な品質を数値化したもので、評価点が高い車ほど高価で売買される可能性が高くなります。
◯評価点の付け方
ここでは、評価点についても少しご紹介しておきます。
オークション会場によって評価点の付け方は異なりますが、大半のオークション会場では「S点」「5点」 「4.5点」「3.5点」「2点」「R点」「X点」と評価されています。
その中ではS点が最も品質が良い状態の車に付けられる点数で、以下5点⇒4点⇒3点とどんどん下がっていきます。
ちなみに、出品票は一般ユーザーに対しても公開可能で、一般ユーザーから出品票の公開を求められることもあります。
◯入札と引き渡し
出品した車がオークションにかけられると、出品された車を見た各業者が専用端末で入札を行なっていきます。
中古車オークションも一般のオークションと同じく、 多くの資金がある業者が有利にはなっていますが、絶対的な保証はありません。
そのため、タイミングによっては少ない資金の業者が競り落とすこと もあります。
その後、最終入札価格が出品時の希望価格を超えていたら落札になりますが、希望価格を超えていない場合は流札になります。
流札になった場合は、再度オークションに出品することもできますし、そのまま車を持って帰ることもできます。
オークションが無事に終了したら車の引渡しが行われます。
出品者は名義変更用の書類などを提出し、落札者から代金を受け取ります。
その後、落札者は名義変更用の書類を受け取り、諸々の手続きを済ませればユーザーへ渡されます。
オークションの相場はこれで決まる!
続いてはオークションでの相場が決まるポイントについてご紹介いたします。
◯需要の高さ
最初に紹介するのは「需要の高さ」です。
簡単に言うと、人気車種で販売されてからさほど期間が空いていない車や、プリウスやヴォクシー、 アルファードなど根強い人気がある車は需要が多く、出品してもすぐ落札されることが多いです。
以前から海外で人気の高い車は売値が落ちにくく、ハイブリッドカーや電気自動車も需要が高い車で中古車オークションでも高値で売買されています。
◯車種やボディカラー
続いては「車種やボディカラー」です。
先程もご紹介したように需要が高い車種は頻繁に売買されているので、 走行距離が多少多くても比較的高く売買されています。
また、ボディカラーも相場を決めるポイントとなり、白や黒の定番カラーは比較的高値で売買されています。
◯年式や走行距離、修復歴の有無
続いては年式や走行距離などです。
高年式の車は値下がり幅が小さいので人気がありますし、走行距離が少ない車も同じく程度が良い証拠なので、好条件で売買されています。
また、修復歴の有無も相場をつけるポイントです。
ドアが大きくへこんでいたり、大きな修復歴があると相場にも響いてきます。
中古車オークションで抑えておく注意点はココ!
最後に、中古車オークションでの注意点を解説いたします。
事前に押さえておくことでトラブルを回避できますので、確認しておきましょう。
◯クレーム申請期間が短い
最初に紹介するのは、オークションで落札した車についての「クレーム申請期間が短い」ことです。
クレームを受け付ける期間は1週間と決められていて、1週間以内に申請を出さないとクレームを受け付けてくれないので注意が必要です。
落札後は名義変更など手続きが多く、あっという間に1週間が経過してしまうこともあるので、頭に入れておきましょう。
ちなみに、メーターの改ざんについては「クレーム申請期間は6ヶ月」と少し長めに設定されていますので、万が一メーターの改ざんが発覚した場合には速やかにクレームを出しましょう。
◯出品票は100%信頼できない
中古車オークションに欠かせない出品票についても注意が必要です。
先程もご紹介しましたが、出品票には出品する自動車の状態や検査員が出した評価点を書き込みます。
しかし、検査員の基準もオークション会場によって微妙に異なるので、100%信頼できるものではありません。
とある例として、ある会場では事故車と判定されたにもかかわらず、別の会場では事故車と判断されなかったということもありますので、頭の隅に入れておきましょう。
◯検査員の目が行き届かないこともある
出品票にも関係してきますが、出品票の記載にも関わる検査員も連日たくさんの車を検査していますので、細かいチェック箇所を見落としてしまう可能性もあります。
装備の不具合や汚れなどの見落としはあるかもしれませんが、修復歴があるにも関わらずそのままスルーしてしまう場合もあります。
そのため、出品票には100%真実が記載されているとは限りませんし、検査員も人間ですので見落とすことはあります。
まとめ
今回は中古車オークションの仕組みや相場、注意点についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
一般ユーザーも中古車オークションに参加できる時代になりましたが、オークションの知識がない一般ユーザーではトラブルを起こしがちです。
そういった背景もあり、自動車販売店が中古車オークションに参加する意義は大きいものがありますし、安く車を買いたいという一般ユーザーの想いは変わらないので、 一般ユーザーからの信頼を得る方法の一つとして、中古車オークションへの参加を検討されてみてはいかがでしょうか?