マーケティングはまず顧客を理解することから始まります。
顧客との良好な関係を築いて、事業の方向性を正しく展開するために、顧客、自社、競合それぞれの分析が重要なポイントになります。
企業の規模を問わず幅広く活用されているのが、3C分析というフレームワークの1つです。
この言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、正しく理解している、積極的に取り入れられているという方は、そう多くはないかもしれません。
今後の企業戦略に有効活用するため、この機会にもう一度しっかり内容を把握して、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まず3Cは何を差しているのか、ここでおさらいしましょう。
3つのCは、それぞれ
・Customer(顧客)
・Company(自社)
・Competitor(競合)
の頭文字からなっています。
事業を円滑に成功させるために大前研一氏が考案し、この三者の主たるプレーヤーを軸として経営戦略のために分析する重要性を説いており、多くの企業に取り入れられて今日に至っています。
市場や顧客のニーズの変化、それに対応する競合の動向、その上で自社がどのように対応していくか、もっとも効率的な方法を探し出し最大限の成果を出すのに、正確な分析が不可欠であることは明白です。
まず最初に行うべきは、市場および顧客の分析です。
今顧客は何に興味を示し、求めているのか、また市場の流れがどの方向に向かっているのか把握しておかなければなりません。
常に市場の動向を探り、変化に迅速に対応することが重要なのです。
次に競合がデータに基づき、どのように対応しているのか調査していきます。
その結果を多角的な面から検討する必要があります。
単に売上や利益率だけでは、効率を測ることはことができません。
そしてこれらの貴重な分析データをもとに今後自社がどのような手を打っていくか、資本と人材をいかに効率よく投資していくことができるかに結びつけていきます。
方向性がぶれないよう目的を明確化して共有するために、必須と言えるでしょう。
自動車業界の3C分析例
業界最大手であるトヨタでも例外なく積極的に3C分析を取り入れ、リーディングカンパニーとして牽引し続けています。
大企業ほど、迅速な舵取りは大変な決断と労力を伴いますが、実際どのように対応しているか大変興味深いものがあります。
もともとトヨタにはジャストインタイムの効率化を徹底させたトヨタ生産方式があみだされ、世界中で研究されているほどです。
常に前進を続けるために売れる車作りの仕組みを作る、そのために徹底的に消費者のニーズを探り、社内において共通言語でイメージを共有して、固定観念にとらわれず「なぜ」を繰り返しながら改善に取り組む姿勢が強く根づいています。
トップクラスの高性能、高品質製品やサービスを提供し続けるのは容易なことではありません。
しかし、数ある自動車メーカーの中でユーザーがトヨタを選ぶのは、トヨタがどこまでも消費者の欲しい車を追求してやまないからでしょう。
後に10年ほど一人勝ちしたハイブリッド車の開発を世界に先駆けて進めたのも、消費者のニーズ、他社との競合において詳細な分析を行ったうえで新たなる分野への進出を決めた成功例と言えるでしょう。
正確な分析を行うためには、必要な情報の範囲、量をまず見極め収集して、競合他社の動向を研究することが重要です。
もちろん異業種であっても競合の可能性があれば全て視野に入れます。
そして、自社の進むべき方向を見出すのに熟考を重ねたうえで、実行に移すときはスピーディーにぬかりなく行うという早さにポイントがあります。
また、利害関係にある取引先にも目を向けて安定した供給を確保しているのも大きな要因の1つです。
自動車業界の変化が急速なニーズの見通し
加速する高齢化や若者の車離れなど、自動車業界にとっては厳しい状況となっているかのようにも見えます。
しかし、その一方では納車に何ヶ月も待たなくてはならないほどの人気車や、高級車の順調な売れ行きなど一見相反した事態もあるのです
こういったことが起こるのは、消費者が欲しい車は必然的に売れるという事実があるからこそでしょう。
しかし、いつの時代でも同じものが売れるわけではありません。
むしろニーズはどんどん変化していくととらえるべきです。
高齢者に優しい車作りは、今もっとも検討する価値がある分野です。
事故を未然に防ぐために早急なシステムの構築が業界をあげての課題となっています。
また若者の嗜好もよくリサーチしてみると、一定の車種に関心が集まっていることが多いのに気づかされます。
これらは、近隣店舗等と常に3C分析を行うと顕著に表われる傾向の1つと言えます。
まとめ
これからは日々変化していく顧客のニーズをつかみ、競合の動向に目を光らせながら、迅速な対応することが求められる時代です。
また、常に一歩先をリードした営業戦略を練り上げるために必要不可欠な手段の1つとして、3C分析の導入をおすすめします。