近年、車の買取業者が急増していますが、あまりにも多いために、車の買取市場について不思議に思ったことはありませんか?
「あれだけ買取専門と謳っておいて、利益は出るの?」
「中古車として販売するだけなのかな?」
そこで今回は、少しわかりにくい「自動車買取り」の仕組みや市場について紹介いたします。
まず、車買取りの仕組みがどのようになっているのかを見ていきましょう。
車の買取りと言っても、大きく分けて次の3つに分けられます。
1.下取り
2.買取業者
3.個人オークションやフリマ
◯下取り
車の販売店などで車を新たに購入する際、下取りとしてその販売店に買い取ってもらうものです。
車販売時、見積書の中の「下取り」という項目で、値引きされる形で記載されています。
下取りは、買取業者での買取価格より低く見積もられがちですが、下取りと合わせて車両本体の値引きを上乗せするところも少なくありません。
車の販売店が中古車を扱っている場合、下取りされた車はそのまま店頭で販売されることもありますし、他の中古車販売店に売却されることもあります。
このように、下取り価格と売却価格の差分で、利益を出す仕組みになっているのです。
◯買取業者
テレビCMなどでよく、「買取専門だから高く買取ります!」などといった謳い文句が聞かれますが、それは「下取り価格と比較した場合」というのがほとんどです。
多くの場合、下取りはかなり安めに設定されています。
その分、本体値引きも合わせることで「それほど安くない」と感じさせている場合が多いです。
買い取った車は、系列の中古車販売店はもちろん、オークションなどで売りに出されることが多々あります。
また、車種によっては海外で高く売れる国産車もあり、ハイエースなどのバンや、プレミオをはじめとした大衆向けのセダンなども需要があります。
こうした車は、買い取った後に輸出されることも少なくありません。
こちらも下取りと同様に、買取価格と売却価格の差分で利益を生み出しています。
◯個人オークションやフリマ
番外編ですが、個人オークションやフリマで中古車を買い取る方法もあります。
近年急速にインターネット環境が整ったおかげで、取引できるサイトが増え、個人同士でも取引が簡単になりました。
しかし、こちらはあくまで個人間取引であり、取引相手によっては話がこじれてしまう危険性や、手続きが煩雑になる可能性もあります。
また、各オークションやフリマの利用規約を守らないければ、利用停止になってしまう場合もありますので注意が必要です。
現在の車買取り市場の動向について
それでは、なぜこれだけ車の買取業者が増えているのでしょうか?
一番大きい要因としては、インターネットの普及があります。
インターネットがまだ普及していなかった頃は、「下取り価格が安い」ということに気づく人は少なかったため、下取りに出す人が大勢いました。
しかし、今ではスマートフォンで簡単に調べ物ができるようになったため、「車の下取りよりも買取りの方が高値で売れる」という情報が出回るようになったのです。
そのため、「一回は買取業者に見積もりしてもらおうか」という考えが生まれるようになりました。
また、インターネット上で複数の買取業者から「一括見積」をしてくれるサービスを提供してくれるサイトまであります。
買取業者が多ければ多いほど比較させることができ、競合原理が働くため高値がつきやすい(と思わせられる)仕組みが出来上がっています。
車買取業者の増加による差別化戦略
数ある車買取り業者の中でも、「買取価格」で優位に立ち続けられれば一番ですが、さすがにそれだけでは疲弊してしまいます。
つまり、「買取価格」以外でも他との差別化を図る必要があります。
そのための方法はいくつかありますが、代表的な例として次のようなものがあります。
・無料で出張買取
・車種限定の買取強化
・地域密着型
◯無料で出張買取り
「無料で出張買取」を売りにしている業者が増えています。
出張買取りに行くということは、ナンバーが切れて寝かされている車も買取りができるということです。
「動かない(動かせない)車だって買取ります!」という宣伝が出来るので、買取りの幅が広がります。
本当に動かない車を出された場合であっても、部品取りをすることもできるので、利益をとる手段はあります。
◯車種限定の買取強化
車種限定で買取りを強化するというお店もあります。
「スポーツカー」、「軽自動車」、「SUV」など、特定のニーズにあわせて買取りを強化することで、独自性を出すことが出来ます。
◯地域密着型
全国展開している買取業者の真逆になりますが、「この地域では当店が一番!」という宣伝を出すという、地域に特化した戦略もあります。
実際にやっているお店は多く、「このエリアの車は全部買取ります!」という広告を出すお店も少なくありません。
いずれにしても、あれもこれもと手を出すばかりでは中途半端になってしまい、お店の特色が出ず、ただただ価格競争になってしまいます。
それを乗り切るためにも、差別化戦略は必要です。
まとめ
車買取りの市場がわかれば、中古車販売の動向もわかるものです。
それぞれの特徴を活かして、車屋さんの営業の幅を広げていきましょう。