徴用工訴訟問題に端を発した日韓関係の悪化
2019年7月、日本が韓国を「ホワイト国(貿易優遇国)」から除外しました。
韓国側はそれに対する報復措置として、同様に日本をホワイト国から除外することを発表しました。
米中間の貿易摩擦もありますが、日本に直接的影響がある分、問題は深刻と言えます。
この日韓関係の悪化により、自動車業界へはどのような影響があるでしょうか。
順を追って見ていきましょう。
日本が韓国をホワイト国から除外したことで、韓国側からすれば半導体関連製品の輸入が非常に厳しくなりました。
自動車は走る半導体ともいわれるほど半導体が多く使われているため、韓国の自動車には多大な影響を及ぼします。
事実、2019年8月の韓国自動車の生産台数が24.9万台と、前年同月比で15%以上のマイナスになっています。
(自動車産業ポータルMARKLINESより)
また、半導体を作るために必須となっているフッ化水素は、2019年8月において日本から韓国向けの輸出はゼロになっているとのことです。
このまま日韓関係が修復されなければ、韓国の自動車市場は大きな打撃を受け続けることになるでしょう。
現状の自動車業界への影響は?
日韓関係の悪化による自動車業界への影響は、主に次の2つが挙げられます。
・日本への影響・・・不買運動による日本メーカーへの打撃
・韓国への影響・・・半導体製品の仕入れ困難による生産量の減
既に発生している大きな問題が、韓国市場における日本車の不買運動です。
韓国における2019年9月の日本車の売り上げが激減しており、トヨタは対前年比で-61.9%と激減しています。
ホンダや日産は軒並み-80%を超える減となっており、関係悪化の影響をもろに受けてしまった結果と言えるでしょう。
(参考:自動車産業ポータルMARKLINESより)
逆に韓国側は、上でも紹介した通り半導体製品を日本から輸入することが出来なくなり、材料調達が間に合わず、生産量が減ってきています。
近年の自動車の技術向上は目覚ましく、ブレーキアシストシステムなどをはじめとした先進技術にもどんどん組み込まれています。
日本からの半導体の輸入が難しくなったことで、他方面からの輸入と国内生産でまかなうほかありません。
ですが、現状では需要に供給が追い付いていない状況です。
今後予想される影響は?
今後、予想される影響としては次の2点が考えられます。
・日本メーカーの韓国市場からの撤退
・韓国市場のさらなる低迷
このまま日韓関係が修復されなければ、日本メーカーの韓国市場からの撤退も考えられます。
そもそも韓国の自動車市場は規模が特別大きいわけではなく、さらに国内シェアは韓国メーカーが90%以上を占めている状況です。
ただでさえ厳しい市場で、さらに日韓関係の悪化の影響を受けて車の販売が立ち行かなくなるのであれば、撤退せざるを得ない状況になることが予想されます。
また、このままでは韓国市場がさらに低迷することが予想されます。
すでに多方から報道されているように、韓国メーカーの生産台数が低迷しています。
このままの状況が続けば、韓国の自動車市場は低迷することになるでしょう。
生産が追い付かないとなれば、ドイツやアメリカなどの国外メーカーの車を輸入することになるため、輸出産業の一つとしている自動車で有利に立てなくなってしまいます。
まとめ
こうして見てみると、今回の関係悪化は韓国側への悪影響の方が多いように見受けられます。
とはいえ、日産をはじめとした日本メーカーにも少なくない影響があるのは確かです。
今後の日韓関係に注目していきましょう。