高齢者の運転による誤操作等による事故の報道が相次いでいます。
そういった報道がなされる度に、高齢者の免許返納がうたわれています。
こうした状況を見ていると、自動車業界では
「免許返納されると、運転人口が減って車が売れないのではないか?」
「いやいや、むしろ程度の良い中古車を買い取れるチャンスだ!」
など、様々な意見が交わされます。
では、高齢者の免許返納は自動車買取のチャンスになりえるのでしょうか?
今回は、高齢者の免許返納のメリットから、本当に車屋さんにとって自動車買取のチャンスになりえるのかをご紹介いたします。
そもそも高齢者にとって、免許返納はどのようなメリットがあるのでしょうか。
免許の自主返納を行うと「運転経歴証明書」の交付を受けることができます。
この運転経歴証明書を提示することで受けられる特典があるんです。
特典内容は各都道府県によって違うのですが、東京都を例に挙げてご紹介いたします。
・タクシー乗車料金の割引
・路線バス1年間乗り放題の定期券
・自転車購入時の値引き
・レンタサイクルの割引
・メガネ、補聴器の割引
など、たくさんの特典があります。
免許を返納すると、これだけの特典があるのです。
それぞれの環境によって違うので一概には言えませんが、これほど多くのメリットがあるなら、車を維持するよりも免許を返納してその他の交通機関を使うという生活も一考の余地があるのではないでしょうか。
その他の都道府県でも特典がありますので、気になった方はお住まいの地域で検索してみてください。
現状の免許返納率はどれくらい?
現状の免許返納件数は次の通りです。
平成28年・・・345,313件
平成29年・・・423,800件
平成30年・・・421,190件
(警察庁ホームページより抜粋)
平成29年まではずっと右肩上がりで推移しており、平成30年にはやや下がったものの、平成29年・平成30年は連続で40万件を超えています。
免許返納率にすると、平成30年においては全国で5.2%という結果です。
都道府県別に見ると、返納率最上位は東京都で8.0%、最下位は茨城県で3.7%となっています。
(東洋経済オンラインより)
最上位の東京都は、交通インフラが整っている上に自動車の保有率が少なく、免許を返納することに抵抗がない人も多いのではないでしょうか。
逆に返納率の低い地方では、自動車が無いと生活に支障が出るエリアに住んでいる方も少なくありません。
そうした環境による影響によって、返納率に差が出ていると考えられます。
各地域での差はあれど、各種メディアで高齢者の踏み間違いなどによる事故が連日のように報道され、不安感や他人に迷惑をかけられない、といった考えを持ったことで返納に踏み切った方が多くいらっしゃるようです。
免許返納によるメリットとして様々な特典が出てきましたが、実際に返納した方の反応を見ても、そうした特典は二の次のように見受けられます。
高齢者の免許返納によって車屋さんは買取のチャンス?
高齢者が免許返納すると、不要になった車を買取に出すのではないか、と考えられるかもしれません。
結論を言えば、チャンスが増えたことには違いありませんが、その件数が爆発的に増えるということはないでしょう。
というのも、そもそも自動車を持っていない方が多く、運転する際は家族の車を借りているという方も少なくないからのようです。
免許返納率が高いのは自動車保有率の低い東京都や大阪であり、地方では依然高いとは言えません。
移動手段として自動車が必須の地域では、免許を持っていないと移動できないということもあります。
そのため免許返納率は低く、なかなか市場に流通する中古車が増えるとは言い難い状況です。
多少の買取機会の増加につながってはいるものの、極端に結果に表れるほどではありません。
少ないチャンスをいかにものにするか、というのはこれまでと変わらない為、普段から情報にアンテナを張っておく必要があるでしょう。
まとめ
高齢者の免許返納により、返納した人にもメリットがあり、高齢者の事故も減るというWin-Winの制度が整ってきています。
それに合わせて中古車の流通も増えてくれるといいのですが、目に見えて効果が出るとはなかなか言い難い状況です。
今後、返納率が上がれば上がるほどチャンスも増えてくることが予想できますので、目先のことだけでなく長い目で見ておくことも必要です。
だからと言ってそれに頼りきりにならず、周囲の変化を敏感に感じ取り、先手を打って動けるようにしておきましょう。