近年若者の車離れが取り上げられており、高齢化も進んで車を持たない人が多くなっています。
車を所持しているだけで税金はかかるし、駐車場代もかかる、点検整備は必要…と、何かとお金や手間がかかることも車離れの要因の一つなのではないでしょうか。
そんな中、注目を集めているのが「カーシェアリング」です。
気軽に、低コストで借りることができるため、
・1時間だけ買い物に行くから使いたい
・受診のために隣の市の病院まで行きたい
という、「車は持ちたくないけど、日々のちょっとしたお出かけに使いたい」人には非常に適している手段の一つになっています。
カーシェアリングの需要がわかり、ビジネスとして行おうとした時に気になるのは「カーシェアリングの市場規模」でしょう。
そこで今回は、今後どの程度の伸び率があって、新規参入するだけの余地はあるのか、今後も継続してカーシェアリング市場は活性化していくのかといった、カーシェアリング事業の市場規模について解説いたします。
車種によっては15分200円程度で、1時間借りても1,000円以内と格安のカーシェアリングもあります。
自動車を借りる方法としては、駐車場(ステーション)にカーシェア用の自動車を置き、スマートフォンやPCから予約し、時間になったら現地まで借りに行くというシンプルな方法です。
しかし気になるのは、どうやって利益を出すのかという点でしょう。
カーシェアリングの利益の仕組みはレンタカーに非常に似ており、「カーシェア使用料収入」と「中古車としての売却価格の合計」の2つの利益が、「車両購入価格・各種諸経費・運営にかかるコスト」を上回らなければなりません。
カーシェアリングもレンタカー同様、車両購入費をいかに抑えるかが重要になってきます。
ただ一点レンタカーと違う点は、月額基本料による固定収入が得られる点です。
大手のオリックスカーシェアの例を見てみましょう。
・月額基本料980円(時間使用料として使用可)
・時間使用料15分200円
・距離料金16円/km
(出典:オリックスカーシェアホームページ個人Aプランより)
例えば、2時間で15km使用した場合、
月額基本料980円+時間使用料200×8+距離料金16円×15km-980円=合計1,840円
「一度の使用でこれだけ?」と思われるかもしれませんが、ユーザーが使っても使わなくても月額980円が入ってくるため、一定の固定収入が得られます。
カーシェアリングがレンタカーに比べて収入が見込めるポイントです。
また、使用頻度の少なくなりがちな夜間・早朝には割安のパックを組むなど、プランにも工夫がされていますので、そちらでも収益が見込めます。
カーシェアリングの国内市場規模はどのくらいなの?
2018年第三四半期の時点で、カーシェアリング主要5社(タイムズカープラス、オリックスカーシェア、カレコ・カーシェアリングクラブ、カリテコ、アース・カー)のステーション数は15,000箇所を突破しており、車両台数はおよそ30,000台となっています。
(出典:カーシェアリング比較360°より)
2018年の市場規模はおよそ36億円です。
2017年に比べて124.1%と、大幅な増となっています。
(出典:富士経済ホームページより)
特に都市部・大都市圏を中心として事業展開されており、これから徐々に地方に展開されつつあります。
カーシェアリング市場の今後の伸び率は?
今後のカーシェアリング市場は、2030年にはおよそ260億円規模までの成長が予測されています。
(出典:富士経済ホームページより)
これは2017年に比べて9倍と、急激な成長予測となっています。
というのも、
・公共交通機関だけでは不便な地域がある
・維持費を削減するために車を手放したい
・レンタカーより手軽
といった理由が顕著に現れてきているのが要因となっており、特に2020年の東京五輪の大型需要に向けて、急速に普及が進んでいます。
また、若者の車離れも相まって、そもそも自動車を購入しない人も増えてきており、カーシェアリングで十分事足りる人たちもいます。
そうした人たちにとっては手軽で便利なサービスとして、カーシェアリングが浸透していくのではないでしょうか。
NTTドコモがカーシェアリング事業に参入していることからも、スマホ利用者向けに「もっと手軽で使いやすいサービスの充実」が図られていきそうです。
まとめ
「ちょっとそこまで」を叶えてくれる、使い勝手の良いカーシェアリングは、レンタカーと違い、ユーザーが増えれば月額固定収入も見込めます。
そのため、損益分岐点を超えれば安定的な運営ができるでしょう。
新規参入するなら、まだ大手が狙っていない地方で、独自のサービス展開を行なっていくのが成功への近道かもしれません。
自動車販売市場が落ち込む予想である半面、カーシェアリング市場は今後伸びていくことが予想されています。
「持たない暮らし」が浸透することで、カーシェアリングといった形態はますます需要が増えていきそうです。
今後のカーシェアリング市場の動向に注目していきましょう。