バイクの売却を検討している方、確定申告の必要性について悩んでいませんか?
バイクを売却した場合、確定申告が必要なのか、また所得税について知りたいと思っている方も多いはずです。
本記事では、バイクの売却に伴う確定申告の必要性や、売却利益にかかる税金について詳しく解説していきます。
バイクの売却で確定申告が必要か気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。
確定申告について
バイクの売却で確定申告が必要なのかを説明する前に、確定申告について解説していきます。
確定申告とは?
確定申告とは、毎年1月1日〜12月31日までの所得に対して、納めるべき税金を計算して申告する手続きのことをいいます。
これは、日本国民なら必ず行わなければならない責務です。
怠ると無申告加算税や延滞税などのペナルティが課せられるほか、刑事責任に問われる可能性が出てきます。
対象者は主に個人や法人ですが、会社員など会社に勤めている方は「年末調整」として会社が行ってくれています。
会社員でも確定申告が必要なケース
会社員など会社に勤めている方は、基本的に会社が「年末調整」を行ってくれるので、確定申告は必要ありません。
しかし、会社員でも確定申告が必要なケースもあります。
それが、副業収入が20万円を超える場合です。
たとえば、オークションやメルカリなどで商品を売り、その利益が20万円を超えた場合、確定申告しなければなりません。
バイクの売却は確定申告が必要?所得税の納税は?
会社員の方でも副業収入が20万円を超える場合は確定申告が必要ですが、バイクの売却はしなければならないのでしょうか。
先に結論から伝えると、「売却利益が50万円以上あった場合」は確定申告が必要です。
しかし、バイクの売却利益で50万円以上となることは、あまりありません。
ほとんど場合確定申告の必要なし
先ほど紹介した通り、バイクの売却利益で50万円以上となるケースは少なく、確定申告の必要はあまりありません。
なぜ50万円を超えないのかというと、購入価格が売却額を超えることがほとんどなく、所得が発生しないからです。
確定申告は、基本的に所得が発生したときに申告すべきことです。
バイクを購入した価格より売却額が超えることはほとんどなく、この場合の所得は発生しません。
たとえば、100万円で買ったバイクを売却すると50万円になった場合、利益はマイナス50万円です。
この場合は所得が発生することはありません。
また、この後紹介する「特別控除」も適用されるため、確定申告は必要ないと思っても良いでしょう。
「売却額」ではなく「売却利益(譲渡益)」で計算する
そもそもバイクの所得税にかかる税金というのは、「売却額」ではなく「売却利益(譲渡益)」で計算されます。
バイクが50万円で売れたからといって、その金額に税金がかかるわけではなく、購入価格が売却額を上回ったときに税金がかかります。
また、所得税には売却利益が50万円までは課税対象外となる「特別控除」が適用可能です。
つまり、【売却利益】=「売却額」-(「購入価格+売却時にかかった費用」)-「特別控除50万円」で計算され、売却利益がプラス50万円を超えない限り税金は発生しません。
使用用途によって税金がかからないケースも
ここまで、売却利益によって所得税が決まると紹介しましたが、使用用途によって税金がかからないケースもあります。
課税対象になるケース
課税対象になるケースは、個人事業主などが事業用に購入したバイク、レジャー用のバイクを売却した場合です。
たとえば、配達事業用に使用していたバイク、ツーリングや旅行などレジャーで使用していたバイクなどが当てはまります。
課税対象にならないケース
課税対象とならないケースは、生活のために利用していたバイクです。
たとえば、通学や通勤、買い物用で使用していたバイクは課税対象外となります。
まとめると、50万円以上の売却益と使用用途が課税対象であれば、所得税の納税義務が発生します。
長期譲渡所得と短期譲渡所得に気をつける
バイクを売却するとき、所得税が発生することはほとんどないと紹介しましたが、価値の高いバイクを売却するときに50万円を超えるケースもあります。
そのときは、長期譲渡所得と短期譲渡所得に気をつける必要があります。
長期譲渡所得とは、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものです。
一方、短期譲渡所得とは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のものをいいます。
どちらかによって、所得税の税率が変わってきますので、50万円を超える場合は、必ず確認しましょう。
バイク売却時に関係する税金
バイクを売却する際には、さまざまな税金や保険に関する手続きを理解しておくことが重要です。
売却するバイクの種類や使用目的によって、関係する税金や保険の種類が異なります。
以下に、バイク売却時に関係する代表的な税金や保険について説明します。
軽自動車税
軽自動車税とは、普通自動車などにかかる自動車税と同様に、4月1日に所有している方が支払うべき税金です。
また、納税すべき金額は排気量によって異なります。
排気量(車種区分) | 税金料 | |
原動機付自転車 | 50cc以下 | 2,000円 |
51cc以上90cc以下 | 2,000円 | |
91cc以上125cc以下 | 2,400円 | |
ミニカー | 3,700円 | |
軽二輪 | 3,600円 | |
小型二輪 | 6,000円 |
※参考:総務省「地方税制度」
バイクを売却する場合、軽自動車税の支払いを完了しなければなりません。
普通自動車税とは異なり、1年分をまとめて支払う必要があるため忘れず納税しましょう。
自動車重量税
自動車重量税とは、車やバイクの重量に応じて課される税金です。
この税金は、車検を受ける際や、新車登録時、または車両を輸入する際に支払う必要があります。
バイクの場合は、250cc以下は新車登録するとき、251cc以上は新車登録するときと、2年ごとにある車検時に納める必要があります。
税金料は、排気量に加えて経過年数によっても異なってきます。
排気量(車種区分) | 税金料 |
原動機付自転車(125cc以下) | なし |
軽二輪(126cc以上250cc以下) | 新規登録に限り4,900円 |
小型二輪(251cc以上) | 登録後12年目まで1,900円 |
登録後13~17年目まで2,300円 | |
登録後18年以上は2,500円 |
上記の通り、原動機付自転車(125cc以下)に自動車税はかかりません。
そのほかの軽二輪(126cc以上250cc以下)と小型二輪(251cc以上)に関しては、排気量と経過年数によって税金料が異なります。
消費税
消費税に関しては、売却する側は支払う必要はありません。
しかし、買取側は買い取った金額に消費税を含まなければならず、経費として扱えることとなっています。
車を売った料金の中には消費税も含まれているということです。
たとえば、20万円で売却した場合、消費税を含めて20万円ということになります。
売却側は、消費税を含めた金額をいただくことになりますが、その後に発生する税金はありませんので安心してください。
自賠責保険
自賠責保険は税金ではありませんが、バイクや車に乗る方が必ず加入しなければならない保険です。
そのため、売却時には解約が必要となります。
また、解約すれば残った自賠責の残存期間だけ、還付金を受け取れます。
注意点としては、自賠責を解約するには、自動車検査証返納証明書や抹消手続きをした際に受け取る書類など、廃車や譲渡を証明する書類が必要です。
業者に依頼すれば解約金を含めた買取額となる場合が多いので安心ですが、個人売買の場合は1度抹消してから買取しないと還付金が受けられなくなるため注意が必要です。
所得税
先ほどもお伝えしたとおり、売却利益(譲渡益)が50万を超えた場合にかかる税金です。
個人で売却される方は、よっぽどのことがない限り超えることはありません。
しかし、価値の高いバイクをオークションなどで売却する場合、50万円を超えることが稀にありますので、売却利益を確認しておきましょう。
重ねて説明しますが、売却利益計算の計算方法は以下のように行います。
【売却利益】=「売却額」-「購入価格+売却時にかかった費用」-「特別控除50万円」
たとえば、200万円で購入したバイクが350万円で売却され、売却時にかかった費用が1万円だったとします。
350万円-(200万円+1万円)-50万円=99万円
この場合の売却利益は99万円となり、この金額に所得税が発生します。
なお、こちらの計算はバイクの所有期間が5年以内のケースです。
所有期間が5年を超える場合は、長期所得に当てはまることになるため、上記の売却利益から2分の1の金額に所得税が発生します。
バイク売却時にもらえる還付金
ここまで、バイク売却時に関係する税金について紹介しましたが、税金によっては売却時に還付金を受け取れるものもあります。
バイク売却時にもらえる還付金は以下の通りです。
- ・自動車重量税
・自賠責保険
・リサイクル料金
なお、還付金がもらえるといっても、非常に少額です。
残存期間によっては数百円となるものもあるため、期待しないことをおすすめします。
税金を払っていないバイクを売却することは可能なのか
バイクを売却する際は、さまざまな税金が関わってきますが、税金を払っていないバイクを売却することは可能なのでしょうか。
結論をお伝えすると、未納の税金があるバイクでも売却可能です。
未納の税金とは軽自動車税のことですが、これは未納でも納付済みでも売却に関係ありません。
「では、もう支払いしなくて良いのか?」と考える方もいらっしゃると思いますが、納税義務がなくなることはありません。
そもそも軽自動車税は、毎年4月1日の時点でバイクを所有している方にかかる税金です。
つまり、6月の時点での未納税のバイクを売却しても納税義務者は、前所有者となります。
なお、軽自動車税は1年まとめて支払うことと決まっているため、還付金もありません。
バイク売却時に必要な手続きとその方法
バイク売却時に必要な手続きには、大きく分けて以下の2つがあります。
- ・名義変更
・税止め
名義変更については、排気量によって申請する場所や用意する書類などが異なってくるため、しっかり確認しておきましょう。
名義変更
名義変更の手続きは、3つの排気量別に分けられます。
125cc以下
必要書類 | 前所有者 | ・ナンバープレート
・標識交付証明書 ※手元にないときは、再交付するか自賠責保険証書で代用できます ・前所有者の身分証明書 ・印鑑 ・廃車申告書 |
新所有者 | ・廃車証明書
・譲渡証明書(前所有者の署名・押印が必要) ・新所有者の身分証明書 ・新所有者の印鑑 ・軽自動車税申告(報告)書 兼 標識交付申請書 |
|
申請場所 | 各市町村の役所 | |
費用 | 必要ありません。 |
手続きの流れは以下の通りです。
1.前所有者がバイクを廃車する
役所に必要書類を提出し、「廃車証明書」と「譲渡証明書」をもらってください。
こちら2つは、新所有者に渡してください。
2.新所有者が書類を役所に持っていき申請する
お住まいの地域の市区町村役場にて行ってください。
3.新しいナンバープレートと標識交付証明書を受け取る
不備なく名義変更できれば手続き完了です。
ナンバープレートをバイクに取り付けてください。
補足として説明しますが、前所有者と新所有者が同じ地域に住んでいる場合は、廃車手続きと名義変更手続きを同時に行えます。
その場合の必要書類は以下の通りです。
・ナンバープレート
・標識交付証明書 ・譲渡証明書(前所有者の署名・押印) ・新所有者の身分証明書(運転免許証・マイナンバーカードなど) ・委任状(前所有者が行う場合) |
なお、手続きはどちらか一方だけでも可能ですので、時間がある方が行うのが良いでしょう。
126cc以上250cc以下
必要書類 | 前所有者 | ・譲渡証明書
・廃車を終えているときは軽自動車届出済証返納済確認書 <自賠責保険も引き継ぐ場合> ・自賠責保険シールと自賠責保険証書 ・自賠責保険承認請求書(前所有者の実印の押印) ・印鑑証明書 |
新所有者 | ・譲渡証明書(前所有者の署名・押印)
・軽自動車届出済証(原本) ※手元にないときは、前所有者が住んでいる地域の運輸支局で再交付が必要 ・軽自動車税申告書 ・新所有者の住民票(発行してから3か月以内、コピーでもOK) ・印鑑 ・申請書(軽二輪第1号様式) (※国土交通省HPからダウンロードするか、窓口で取得する) ・手数料納付書(※窓口で取得する) <管轄外からの転入、番号変更の場合は下記も必要> ・新ナンバープレート代 |
|
申請場所 | 新所有者が住所登録をしている地域の運輸支局、もしくは自動車検査登録事務所 | |
費用 | ・軽自動車届出済証記入申請書:100円
・住民票:300円程度(コンビニ交付だと200~250円) ・ナンバープレート代:500~600円程度 |
126cc以上250cc以下のバイクの名義変更に必要な書類と手続き場所は、以下の通りです。
手続きは以下の通りです。
1.書類を集める
前所有者の必要書類は新所有者に渡してください。
2.新所有者が自動車検査登録事務所か運輸支局にて手続きする
お住まいの地域を管轄しているところへ行きましょう。
3.手順に沿って申請する
運輸支局内は、混雑しているときが多いです。
わからないときは、窓口に行って手順を教えてもらってから手続きを進めましょう。
4.不備がなければ手続き完了
新しい軽自動車届出済証と新しいナンバープレートが渡されるので、バイクにナンバープレートをつけることを忘れず行いましょう。
251cc以上
必要書類 | 前所有者 | ・譲渡証明書
・車検証 ・自賠責保険証書 ・ナンバープレート |
新所有者 | ・譲渡証明書(前所有者の署名・捺印)
・自動車検査証(車検証)(※原本が必要) ※紛失等の場合は、前所有者管轄の運輸支局で再交付が必要 ・軽自動車税申告書 ・新所有者の住民票(発行してから3か月以内、コピーでもOK) ・印鑑 ・申請書(第1号様式) (※国土交通省HPからダウンロードするか、窓口で取得する) ・手数料納付書(※窓口で取得する) <管轄外からの転入、番号変更の場合> ・新ナンバープレート代 |
|
申請場所 | 新所有者が住所登録をしている地域の運輸支局、もしくは自動車検査登録事務所 | |
費用 | ・住民票:300円ほど(コンビニ交付だと200円~250円)
・ナンバープレート代:500円~600円ほど |
手続きは以下の通りです。
1.前所有者が必要書類を新所有者に渡す。
このとき、バイクと一緒に渡すのが一般的ですが、バイクがなくても手続き可能です。
2.新所有者が自動車検査登録事務所か運輸支局にて手続きする
住所登録しているところへ行きましょう。
3.手順に沿って申請する
わからない場合は、窓口に行って手順を教えてもらってから手続きを進めましょう。
4.前所有者と住んでいる地域が異なる場合は、ナンバープレートを変更する必要があります。
1度ナンバープレートを返納し、軽自動車税申告書を受け取ります。
また、車検が残っている場合は、車検ステッカーをはがして持っておいてください。
車検ステッカーは、絶対に捨てないでください。
5.不備がなければ手続き完了
新しい軽自動車届出済証と新しいナンバープレートを受け取り、ナンバープレートをバイクに取り付けましょう。
また、車検ステッカーを貼ることを忘れずに行いましょう。
車検が切れている場合は、名義変更した後に運輸局で車検を通すことになりますが、仮ナンバーを取得するか、トラックなどの車に載せるか、代行業者に依頼するのが良いでしょう。
税止め
次に税止めについて解説していきます。
税止めとは、普通自動車や軽自動車、125ccを超えるバイクなどを廃棄や売却した後、自動車税や軽自動車税が翌年度も課税されないように、自動車税事務所や市町村の税務課に申告することをいいます。
税止めは自己申告となっており、行わないと翌年度も納税通知書が届き課税義務が発生する可能性があるため、手続きを忘れないようにしましょう。
税止めに必要な書類と手続き方法は以下の通りです。
【必要書類】
・軽自動車税(種別割)申告書(報告書)
・軽自動車変更(転出)申告書 ・軽自動車税(種別割)納税義務消滅(変更)申告書 ・自動車検査証返納証明書のコピー ・軽自動車届出済証返納証明書のコピー ・新旧各ナンバーの自動車検査証のコピー |
上記のうち、いずれか1つが必要です。
手続きは郵送または、電子申請で行います。
お住まいの地域の市区町村役場に、必要書類を提出すれば手続き完了です。
前所有者と新所有者の住んでいる地域が異なる場合は、前所有者が住んでいる地域の市区町村役場に提出してください。
なお、バイク売却後に課税がある場合は、税止めができていない可能性があります。
必ず早めに連絡し、事情を話して税止めしてもらいましょう。
バイク売却時に注意すべきこと
ここまで、バイクの売却時の確定申告の必要性や、税金のことを紹介しましたが、いくつか注意するべきポイントがあります。
名義変更されているか気をつける
売却した後は、必ず名義変更されているか確認しましょう。
名義変更されていない状態で4月1日を迎えると、前所有者に納税義務が発生します。
関係ないと思っていても催促状や督促状は届きます。
最悪の場合、差し押さえされる可能性もありますので注意しましょう。
自賠責保険は250cc以下なら解約、251cc以上なら名義変更する
バイクを売却する際の自賠責保険は、250cc以下なら解約、251cc以上なら名義変更するのが一般的です。
2つの違いは、車検の有無です。
250cc以下の場合は車検する必要がありませんので、そのまま解約しても問題ありません。
251cc以上の場合は、自賠責と車検がセットになっています。
自賠責と車検が別々だと手続きに手間がかかるため、費用や時間を費やさなければならず、売れにくくなってしまいます。
そのため、名義変更するのが一般的です。
なお、251cc以上のバイクを売却する際は、自賠責保険の料金も上乗せできないか交渉することも大切です。
ただし、自賠責保険は少額なので、上乗せできても数千円程度ということを覚えておきましょう。
まとめ
本記事では、バイクの売却時に確定申告は必要なのかについて解説していきました。
バイクを売却するときの確定申告は、ほとんどのケースで所得税が発生することはないため、必要ありません。
ただし、レアなバイクなど価値が高いバイクの場合、売却利益が50万円を超えることもあるため注意しましょう。
税金については、売却しても納税義務が発生するもの、還付金が受けられるものがあります。
また、税止めを行わないと翌年の納税義務が発生するため、必ず手続きを行いましょう。
バイクの売却は、フリマアプリやオークションなどで手軽に売れるようになっています。
売却する場合は確定申告や税金に気をつけ、トラブルにならないようにしましょう。