タイヤの空気圧が高すぎ、低すぎが原因で車検に通らないことはあるのでしょうか。
この記事では、車検で空気圧はチェックされるのかについて解説していきます。
空気圧測定を怠るリスクや空気圧のチェック方法についても解説しているので、車検を控えている方は参考にしてください。
タイヤの空気圧とは?
タイヤの空気圧とは、タイヤ内の空気の圧力を数値化したものです。
空気圧の単位はkPa(キロパスカル)という単位で表します。
乗り心地の良さや走行時のタイヤ性能を十分に発揮するためには、定期的に適切な空気圧の充填が必要です。
タイヤの種類や大きさが同じでも、最適な空気圧は車の車両総重量や外形寸法によって異なるため、自動車メーカーは車両ごとに指定空気圧を定めています。
車両指定の空気圧は、運転席側のドア付近か給油口に貼付された空気圧シールかドライバーズマニュアルで確認することが可能です。
またタイヤの空気圧は自然空気漏れやゴムの性質により徐々に低下していきます。
乗用車用タイヤの場合、1か月で5%〜10%の空気圧が低下することを把握しておきましょう。
車検で空気圧はチェックされるのか
空気圧が原因で車検に通らないケースはあるのでしょうか。
車検でチェックされる空気圧の基準について解説していきます。
空気圧のチェックはされない
車検の際にタイヤの空気圧をチェックする項目はありません。
空気圧が適正でない場合でも車検に通ることはあります。
基本的に、適正空気圧ではないという理由で不合格になることはないので安心してください。
ただしタイヤの空気圧によって不合格になる可能性がある検査項目もあります。
それはサイドスリップ検査です。
サイドスリップ検査ではタイヤが横滑りする幅を計測するため、指定空気圧でないと車検に通らない可能性があります。
車検時に空気圧のチェックはされませんが、運転性能には影響があることを理解しておきましょう。
タイヤの状態が悪いと通らない
空気圧は点検されませんが、タイヤの状態はチェックされます。
タイヤの状態が下記の保安基準を満たしていない場合は不合格になるので、事前に確認しておきましょう。
- ・タイヤの溝の深さが1.6mm以上ある
・タイヤのはみ出しが10mm以内
タイヤの摩耗具合を表すスリップサインが一箇所でも出ている場合はアウトです。
溝の深さが半分程度になるとプラットフォームが露出することがありますが、スリップサインが出ていなければ車検に通ります。
また、走行に悪影響を及ぼすサイズアップやサイズダウンも禁じられているのでタイヤのサイズ変更をしている方は注意が必要です。
タイヤがフェンダーからはみ出ていると、スピードメーターの誤差の許容範囲を超えてしまいます。
タイヤのはみ出しは、影響がないとされている10mm以内に抑えましょう。
タイヤの空気圧点検を怠った場合のリスク
空気圧点検はしなくても問題ないのでしょうか。
タイヤの空気圧点検を怠った場合のリスクについて解説していきます。
空気圧が低い場合
タイヤが指定空気圧よりも低い場合には、次のようなリスクがあります。
- ・燃費性能が悪化する
・偏摩耗が発生しやすくなる
・パンクの可能性が高まる
・ハイドロプレーニング現象が起こりやすくなる
・ヒートセパレーションやバーストの危険性がある
・スリップしやすくなる
タイヤの空気圧が基準値よりも低いとタイヤが潰れて地面との接地面が増えてしまうため、燃費が悪くなったり偏摩耗により劣化しやすくなるでしょう。
偏摩耗を放置した場合はパンクする可能性が高いです。
空気圧が低い状態で水たまりの上を走行した場合、タイヤが滑ってブレーキやハンドルが効かなくなるハイドロプレーニング現象も起こりやすくなります。
さらにタイヤが内部まで劣化するヒートセパレーションが起こると、バーストしてしまうこともあるので、タイヤの空気圧不足を放置するのはやめましょう。
空気圧が高い場合
タイヤの空気圧不足を防ぐために、あえて空気圧を高くしている方もいるのではないでしょうか。
タイヤが指定空気圧よりも高い場合には、次のようなリスクがあります。
- ・乗り心地の悪化
・タイヤが傷つきやすくなる
・ブレーキが効きにくくなる
タイヤの空気を入れ過ぎてしまうと柔軟性が失われるため、道路を跳ねるように走り、段差も伝わりやすくなるなど乗り心地が悪化してしまうおそれがあります。
さらにタイヤのトレッド部にばかり荷重が集中するため、偏摩耗が発生しやすいです。
トレッド面が傷つくとタイヤの寿命低下にもつながります。
路面との接地面が減少するため、制動力が低下する恐れもあるので空気の詰め過ぎには気をつけましょう。
自分でタイヤの空気圧チェックする場合のやり方
タイヤの空気圧はどのように計測するのでしょうか。
自分で空気圧を測定する方法について解説していきます。
エアタンク型の場合
圧力計が付いていて、空気圧を確認しながらエアーを充填できるのがエアタンク型になります。
エアタンク型の空気圧充填機の使用手順は、次のとおりです。
- 1.エアバルブのキャップを取る
2.エアバルブにホースの先端を取り付ける
3.圧力計を見ながら空気圧を確認する
4.空気を詰めたいならプラス、抜きたいならマイナスボタンを押す
5.ホースをエアバルブから外してキャップをつける
車両指定空気圧の範囲内になるまでは、空気の注入と抜きを繰り返します。
プリセット型の場合
プリセット型にはデジタル式とダイヤル式があります。
空気を入れる前の空気圧を測ることはできません。
プリセット型の使用手順は、次のとおりです。
- 1.エアバルブのキャップを取る
2.車両指定空気圧に合わせる
3.エアバルブにホースの先端を取り付ける
4.空気を注入する
5.ホースをエアバルブから外してキャップをつける
ダイヤル式の場合は空気の注入が開始されると音が鳴りますが、デジタル式の場合は鳴りません。
車両の指定空気圧に達して音が止まるまで、あるいは、自動調整されるまで待ってください。
使い終わったら、車両指定空気圧の設定をゼロに戻します。
タイヤの空気圧を調整する際のポイント
タイヤの空気圧を確認する頻度や調整する際のポイントについて解説していきます。
適切な頻度は半年に1回
タイヤの空気圧調整は最低でも半年に1度は行ってください。
それ以上期間を空けてしまうと、燃費の悪化やタイヤが劣化するリスクが高まります。
基本的には夏タイヤと冬タイヤを履き替えるタイミングで空気圧のチェックをしておけば問題はありません。
ただし、年間走行距離が長い場合はタイヤの空気が抜けやすいので3か月に1度チェックするのがおすすめです。
高速道路を走行する場合は、毎回事前に確認しておくと安心して走行できるでしょう。
さらに、タイヤの空気圧チェックと同時にタイヤの状態を確認しておくことも大切です。
溝が減り過ぎていないか、偏摩耗が起きていないかをチェックすれば、パンクなどのトラブルを未然に防げます。
過不足なく調整する
タイヤの空気圧を補充するときは、入れ過ぎたり少な過ぎたりしないように調整することが大切です。
タイヤの空気圧が適正でなければ、先ほど解説したリスクに見舞われる可能性が高まるからです。
自然に漏れてしまうことを考慮して調整したい場合は、車両指定空気圧の10%増やすか、20kPa増やして注入することをおすすめします。
つまり、車両指定空気圧が240kPaの場合は260kPaが限度です。
バルブやホイールも点検する
タイヤのバルブもゴムでできているため劣化します。
劣化すると空気漏れの原因になってしまうので、空気圧を調整するときに抜けがないかを確認しましょう。
バルブの点検には洗剤を溶かした水を使用します。
泡ができる場合は空気漏れがあるので、バルブの交換が必要です。
ホイールに変形があるとタイヤの空気が抜けやすくなってしまうため、ホイールに異常がないかも点検しておきましょう。
タイヤが冷えているタイミングで補充する
高速道路を走行した後など、タイヤが熱い状態で計測すると熱膨張により正しい空気圧が計測できません。
夏場の昼間も路面が高温になりやすいので気をつけてください。
空気圧の調整はタイヤが冷えているタイミングで行うのがベストです。
適正値を確認する
純正のタイヤであれば、メーカーの推奨する空気圧の数値をもとに調整を行えば問題はありません。
運転席側ドアの開口部に記載されている指定空気圧の数値に従って、空気圧を点検・充填しましょう。
社外品のタイヤでインチアップやインチダウンした場合は、適正な空気圧が変わるケースがあります。
自己判断は危険なので、タイヤのメーカーやタイヤを購入したカー用品店に指定空気圧を確認してください。
車種によっては前輪と後輪の指定空気圧が違う
通常、前輪と後輪の指定空気圧は同じです。
しかし車種によっては指定空気圧が異なるケースもあります。
前輪と後輪の指定空気圧が違う車の特徴は、次のとおりです。
- ・車両の前側にエンジンがある
・前後でサイズの異なるタイヤを装着している
前軸と後軸でかかる負担が異なる車は、前輪と後輪で指定空気圧が異なります。
ラベルや説明書の記載をよく確認しておきましょう。
窒素ガスなら空気圧が低下しにくい
タイヤには空気ではなく窒素ガスを充填することもできます。
窒素ガスは温度変化に強いという特徴があるため、熱による膨張と収縮による空気抜けを最小限に抑えることが可能です。
また、窒素ガスを使うことによりタイヤ内の水分や酸素がなくなるため、ホイールの酸化を防ぐことにも役立ちます。
メリットの多い窒素ガスですが、定期的な補充が必要なくなるわけではありません。
窒素ガスの充填にはタイヤ1本あたり500円の費用がかかります。
窒素ガスを充填した後に空気を入れても問題はありませんが、窒素ガスの効果が薄れてしまうことを理解しておきましょう。
空気圧警告灯が点灯している場合は
空気圧警告灯が点灯している場合は、タイヤに問題が生じています。
警告灯が点灯している場合の対処法を確認していきましょう。
パンクしている場合
まずは車を安全な位置に停止させ、パンクしていないか確認します。
パンクの有無をチェックする際のポイントは、次のとおりです。
- ・車が傾いている
・運転中ガタガタと振動する
・ハンドルが効かない
・タイヤが潰れている
タイヤがパンクしている場合は、応急修理キットで応急措置をするかスペアタイヤに交換しましょう。
近くにカーショップやガソリンスタンドがあれば、修理を依頼してください。
パンクした状態で走行するのは大変危険です。
車同士の事故が起きる可能性や、歩行者に危害を及ぼす可能性もあるので絶対にやめましょう。
パンクしていない場合
パンクの症状が出ていない場合は、タイヤに他の問題が生じています。
空気圧警告灯の様子を確認して、原因を把握しましょう。
1分間点滅して消えた
タイヤの空気圧警告システムに異常が発生している可能性があります。
修理店またはディーラーで点検や修理を受けてください。
点灯し続けている
自然な空気漏れによる空気圧の低下が原因として考えられます。
指定空気圧を確認して、できるだけ早く空気の充填を行なってください。
パンクしていないからといって、そのまま走行を続けるのはやめましょう。
まとめ
今回は、タイヤの空気圧は車検でチェックされるのかについて解説しました。
空気圧を車検でチェックすることはありませんが、タイヤの状態が悪い場合は車検に落ちてしまいます。
他の検査に影響が生じる恐れもあるので、車検前に空気圧を調整しておくことが大切です。
タイヤの空気圧を調整しないまま放置すると、タイヤや走行に悪影響が生じます。
空気は期間が経てば自然に抜けてしまうため、定期的な点検と充填が必要です。
走行時の性能を十分に発揮させるために、タイヤの空気圧は適正を保ちましょう。