車を所有している方は、法律で車検を受けることが義務付けられています。
車検を受けずに運転すると、罰則が科せられる可能性もあるため注意が必要です。
では、なぜ車検が必要なのでしょうか?
本記事では、車検が義務とされる理由や検査項目、もし車検に通らなかった場合の対処法を詳しく解説していきます。
車検が法律で義務化されている理由を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
そもそも車検とは?
車検とは、車を安全に乗るために必要な点検のことです。
正式名称は「自動車検査登録制度」といい、法律上定期的に受ける必要があると決まっています。
まずは、車検の概要や、義務化されている理由、、そして検査の種類を紹介していきます。
車検の概要
車検は、車の安全機能や環境性能をチェックしますが、正確には保安基準を満たしているかを定期的に検査、確認するためのものです。
一部の車を除く自動車と250cc以上のバイクは、法律上定期的に検査を行わなければならないと義務化されています。
車検を受ける期間は新車登録から3年後、その以後は2年に1度、もしくは新車登録から2年後、それ以後は毎年1度行う必要があり、車の種類によって期間は異なってきます。
なぜ車検は義務化されているのか
車検は義務化されていますが、なぜ受ける必要があるのでしょうか。
具体的には、次の3つが挙げられます。
安全に運転できる状態を確認するため
車は走行を続けていくと同時に、使用されているパーツも劣化していきます。
パーツの中には定期的に交換が必要なものもあり、そのままにしておくと車が動かなくなることに加えて、事故に繋がる可能性が高くなります。
そのため、定期的に車検を行い、安全に運転できる状態を保つ必要があるのです。
車両の状態を整えるため
さまざまな箇所を点検して不具合がある場合、修理やパーツの交換が必要です。
車検では、不具合があった箇所の整備も行っており、必要に応じて調整を行っています。
また、環境性能も同時にチェックし、基準に満たないときは、整備しなければなりません。
車両の状態を整えることは、車の安全機能や環境性能を維持するために不可欠です。
車検は法的に義務付けられているから
車検は、1930年にバスやタクシーなどの商用車の安全性を維持するために制度化されたことが始まりです。
その後、乗用車の増加に伴い1951年にすべての車の所有者に義務付けられました。
そして、1955年に、交通事故の増加とそれに伴う被害者の急増が問題となり、被害者救済措置として車検時の自賠責保険加入も義務化されています。
このように、車検は法的に義務付けられた制度のため、車検を行わずに公道を走ると、6ヶ月以下の懲役や30万円以下の罰金などの罰則が科せられます。
検査の種類
車検は1種類しかないと思われがちですが、実はいくつかの種類があり、それぞれ受けるタイミングや特徴が異なってきます。
具体的には、以下の4つがあります。
- ・継続検査
・新規検査
・予備検査
・構造等変更検査
それぞれ詳しく解説していきます。
継続検査
継続検査とは、2年に1回、もしくは1年に1回行う必要がある検査のことで、「一般的に行う車検」を指します。
具体的には、車検証の有効期限が過ぎた後も、車を使用し続ける際に受ける検査です。
継続検査は、車検証の有効期限の1ヶ月前から受けられ、検査に合格することで、有効期限を2年もしくは1年延ばせます。
なお、手続きは、全国にある運輸局や軽自動車検査協会、車検を受けられるお店などで行えます。
新規検査
新規検査は、車の新規登録を行う際に実施される検査です。
新規検査は、検査を受けるのが新車か中古車かでそれぞれ意味合いが異なります。
新車の場合は、ナンバープレートが1度も発行されていない車を指し、車を購入したお店が車をオーナーに納品する前に代行で受けている場合がほとんどです。
一方、中古車は一時抹消登録を行いナンバープレートを失効した車を、再び利用するために受けるものです。
どちらも新たにナンバープレートを発行しますが、初めてなのかそうでないのかに違いがあります。。
なお、手続きは住んでいる地域にある運輸支局や軽自動車検査協会で行います。
予備検査
予備検査とは、ナンバープレートがない状態の車に行う検査です。
一般的に、車検の切れた車を譲るときや、車を個人間で売買する際の判断材料として行われます。
予備検査は、一般的に行われる継続検査と変わりはありません。
継続検査と異なる点は、検査に合格した後に交付されるものが車検証ではなく「自動車予備検査証」となるところです。
自動車予備検査証は、3ヶ月しか有効期限がありません。
そのため、その間に新規登録や名義変更、各種税金支払いや保険への加入などを行う必要があります。
しかし、法的な点検を行っているので車検を受ける必要がなく、その後の手続きだけで車の受け渡しができるのです。
また、新規登録することで、継続検査と同様に車検証の有効期限が2年もしくは1年ついた状態となります。
構造等変更検査
構造等変更検査とは、車のカスタムや加工を行った際に実施される検査です。
通常、車の長さや高さ、重量、乗車人数などが車検証に記載されており、その基準値に納めなければなりません。
基準値を超えた場合は、構造等変更検査を受け、保安基準を満たしているか検査する必要があります。
構造等変更検査は、お住まいの地域の運輸支局や軽自動車検査協会で手続きできます。
車検と法定点検の違い
車の点検や検査には、車検のほかに法定点検があります。
法定点検とは、12ヶ月点検や24ヶ月点検と呼ばれ、車が安全に走行できるか、故障がないかを点検整備するものです。
車検は、車の状態が保安基準を満たしているかを検査するためのものなので、それぞれの検査が持つ意味合いや目的は異なります。
また、車検は車検証の有効期限までに受ける義務がありますが、法定点検に関しては義務化されていません。
そのため、法定点検は点検を受けなくても罰則はありません。
車検時の検査項目は?
車検はいくつかの項目に分けて検査されています。
ここからは、車検時の検査項目を紹介していきます。
同一性の確認
同一性の確認は、車検証に記載してある車の情報と車両が同一であるかを確認することです。
具体的には、各パーツに刻印されてある番号と車体番号が同じであるかをチェックします。
外まわり検査
外回りの検査では、主に以下の箇所を確認します。
- ・発煙筒
・タイヤやホイール
・ナットの緩み
・ワイパー
・クラクション
・ランプやライト
これらが正常に動くか、必要なものが積載されているかなどが確認されます。
サイドスリップ検査
サイドスリップ検査は、ステアリング(ハンドル)を真っ直ぐにした状態で車を走らせ、どの程度横滑りするのかを確認するための検査です。
具体的な保安基準は、「走行1mにつき内外ともに5mm以内」と決まっています。
ブレーキ検査
ブレーキ検査は、前輪と後輪のブレーキとサイドブレーキの利きを確認します。
具体的には、回転しているタイヤに対してブレーキをかけ、正常に止まるかを検査します。
ブレーキに問題がある場合は、安全性が保てないと判断され交換が必要です。
スピードメーター検査
スピードメーター検査は、運転席前方にあるメーターと、実際の車のスピードが同じであるかを確認する検査です。
専用のローラーの上に車を載せ、アクセルを踏んだスピードと実際の速度のメーター表示にどのくらいの誤差があるのかを確認します。
許容範囲を超えている場合は、車検に通りません。
ヘッドライト検査
ヘッドライト検査は、ヘッドライトの光量や光軸、色を測定器で確認する検査です。
光量が少ないことはもちろんですが、光軸の位置が大きくズレていると不合格となります。
また、最近では色の基準が設けられ、「白色であること」が保安基準に規定されました。
下回り検査
下廻り検査は、車体の下側部分を確認する検査です。
具体的には、エンジンオイルの漏れやボトルの緩み、かじ取り装置、マフラー、ブーツ類などが確認されます。
車検を依頼できる場所
一般的に車検を受けるところは、車を購入した店舗が多いと思いますが、その他にも車検専門店やガソリンスタンドなどでも受けられます。
以下では、車検を依頼できる場所について紹介していきます。
ディーラー
ディーラーで車を購入した方は、車検も依頼する方が多いのではないでしょうか。
ディーラーは、各メーカーに特化した整備士が車検を行ってくれるので、質の高いメンテナンスを受けられるところが特徴です。
しかし、交換や修理が必要となると、純正品を使用するため、費用が高くなるため注意しましょう。
車検専門店
車検専門店は、その名の通り車検を専門に扱っている業者です。
点検・整備・検査をすべて自社で行えるので、短い時間で車検を終えられるところが特徴です。
そのため、すばやく車検を終わらせたい方におすすめと言えます。
しかし、技術力は店舗によって大きく異なるので、品質を求める方にはおすすめしません。
民間整備工場
民間整備工場は、車の整備や点検を専門に扱っている業者です。
地域密着型のところが多く、誰もが1度は「〇〇モータース」や「〇〇自動車整備工場」などの看板を見たことがあると思います。
民間整備工場には、「指定工場」と「認証工場」の2つがあります。
指定工場は、国が定める認定基準に合格した工場で、国家資格を有した整備士が在籍しています。
また、修理・整備・検査のすべてができる設備を所有しています。
一方、認証工場は修理と整備はできますが、検査のみできません。
そのため、検査だけは運輸局に行き自分で行う必要があります。
カー用品店
カー用品店は、車のパーツやメンテナンス用品を扱っている業者です。
店舗によりますが、車の修理や点検ができる設備が整っているお店であれば、、車検を受けられます。
カー用品店のメリットは、修理や交換が必要になったときに、低価格で取り替えてくれるところです。
お店によっては会員価格や割引サービスなどで、安く受けられます。
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドは、車検に対応できる整備士や設備があれば車検依頼できます。
行きつけのガソリンスタンドで車検を受けられるなら、手間が省けるので時間によるメリットが大きいでしょう。
また、ほかの業者と比べても費用を抑えられるので、お得に車検を受けたい方におすすめです。
車検する際に必要な物・流れ・費用
ここからは、車検を受ける際に必要な具体的な物や流れ、費用を紹介していきます。
車検の際に必要な物
車検の際に必要な物は、業者に依頼するか、自分でユーザー車検を受けるかで異なります。
【業者に依頼する場合】
- ・自動車検査証(車検証)
・自賠責保険証明書
・自動車税納税証明書(軽自動車の場合は軽自動車税納税証明書)
・身分証明書
・本人以外が車検を受ける場合は委任状
自分でユーザー車検を受ける場合は、上記の書類に加え、次の書類を用意します。
【自分でユーザー車検を受ける場合】
- ・自動車検査票
・自動車重量税納付書
・継続検査申請書
・定期点検整備記録簿
・自賠責保険証明書(新旧2枚)
車検の流れ
車検の流れは以下の通りです。
- 1.車検を依頼し日時を決定する
2.必要書類を準備する
3.事前に決めた日時に車を持っていく
4.車を引き取り支払いをする
車検に出している間に車が必要な方は、代車を準備してもらう必要があります。
代車が必要な方は、依頼する際に代車の有無を確認しておくと安心です。
車検に必要な費用と内訳
車検に必要な費用は、「法定費用」「車検基本料」「整備費用」の3つがあります。
それぞれに必要な費用は以下の表のとおりです。
法定
費用 |
車種によって金額が異なりますが、
どこで受けても金額は同じです 費用は、3万〜5万円程度 |
車検
基本料 |
車検業者に支払う料金で、依頼する業者によって異なります
費用は1万〜10万円程度です |
整備
費用 |
修理や交換パーツがある場合に必要となる費用です
費用は、修理や交換パーツの数によって異なります |
車検にかかる時間
車検にかかる時間は、業者や依頼先の混み具合によって異なりますが、一般的に1時間〜3日程度と言われています。
しかし、修理や交換箇所が多いと、それ以上の時間がかかることもあります。
そのため、車検は余裕をもってスケジュールを組むようにしましょう。
また、代わりの車が必要な方は、代車の有無も確認しておく必要があります。
当日に代車の依頼をしても在庫がないと言われる可能性もあるので、車検を依頼するときと同時に代車の依頼もしておくと安心できます。
車検を受けるベストなタイミング
車検は、普通自動車であれば、新車登録から3年、それ以降は2年ごとに受けます。
また、トラックや貨物車などの特別な車に関しては、普通車よりも劣化が早いことから、新車登録から2年、それ以降は毎年車検を受けなければなりません。
そして、車検を受けるタイミングですが、車検証の期日内であればいつでも良いわけではありません。
車検は基本的に有効期限の1ヶ月前から実施できると決められています。
そのため、有効期限の1ヶ月前より早い段階で予約しておくのが良いでしょう。
車検に通らない理由と通らなかった場合の対処法と対策
事前の準備をしっかり行っていても、車検に落ちることはあります。
ここでは、車検に通らない理由と通らなかった場合の対処法、その対策を紹介していきます。
車検に通らないよくある理由
車検に通らないよくある理由は以下の6つです。
- ・タイヤのすり減り
・エンジンオイル漏れ
・マフラーやフレームの破損
・保安基準外の車高
・車検証の紛失
・自動車税や反則金の未払い
この中で特に多いのが、タイヤのすり減りだと思います。
タイヤは車を走行させるたびにすり減る消耗品です。
保安基準には、「溝の深さが1.6mm以下の「スリップサイン」が出ている場合は、車検に通せない」と記載されていますので、車検前にスリップサインが出ているときは、速やかに交換しましょう。
また、自動車税や反則金の未払いにも注意が必要です。
未払いをそのままにしておくと、車検が受けられないことに加えて、取り立ての対象になる可能性があります。
未払いの場合は、速やかに支払いしましょう。
通らなかった場合の対処法
業者に車検依頼している方は、不具合があった場合業者が修理やパーツ交換を行い、車検に合格できるようになります。
しかし、ユーザー車検の場合は自分で車の整備を行い、再度車検を受ける必要があります。
当日に再検査を受ける
ユーザー車検を行い不合格となった場合、当日であれば、再検査を2回まで無料で受けることができます。
不合格と言っても、その内容はさまざまです。
たとえば、ブレーキの踏み方が弱いといった操作ミスからブレーキ検査が不合格となったり、ライトが点かないといった整備ミスから不合格となったりします。
操作ミスであれば当日再検査を受けることで合格できますが、整備ミスとなると修理やパーツ交換が必要となるので、日を改めて再検査をしなければなりません。
後日に再検査を受ける
後日再検査を受ける際は、窓口で「限定自動車検査証」を発行してもらいます。
限定自動車検査証の有効期限は、発行日から15日間です。
期間内の再検査であれば、すでに合格した箇所の再検査は必要なく、通らなかったところだけの再検査で済みます。
15日を過ぎた場合は初めからの検査となるので、できる限り早めに再検査するのがおすすめです。
売却もしくは廃車として処分する
再検査が必要になった際に、修理箇所によっては費用が高額となることもあります。
そういった場合は、そのまま売却もしくは廃車するのも選択肢の1つです。
再検査するためにかかる修理費用と、売却や廃車処分をして新しく車を買い替える費用を比較してみて、お得になる方を選ぶと良いでしょう。
車検切れは厳しい処罰を受ける可能性がある
車検が切れた車で公道を走ると、厳しい処罰を受ける可能性があります。
具体的には以下の処罰が科せられます。
- ・違反点数6点
・6ヶ月の懲役もしくは30万以下の罰金
自賠責保険も切れていた場合は以下の処罰が課せられます
- ・違反点数6点
・1年6ヶ月以下の懲役もしくは80万円以下の罰金
さらに、車検も自賠責保険も切れていた場合は、違反点数が合計で12点になるため以下の処罰も課せられます
- ・90日の免許停止処分
なお、仮ナンバーを取得すれば5日間の有効期間で公道を走れます。
車検切れの車を再度走らせたい方は仮ナンバーを取得し、車検を行いましょう。
車検を通すための対策
車検を通すための対策としては、定期的なメンテナンス一択です。
日頃から車の状態の確認や消耗品の交換を行っていれば、大抵は車検に合格できます。
また、日頃のメンテナンス費用と車検時の修理費用を比較すると、車検時に修理が必要になったときの方が、費用が高額となる可能性が高いです。
そのため、定期的なメンテナンスを怠らないようにしましょう。
車検なしでも車に乗る方法がある!
車検は、定期的に受ける必要のある検査ですが、時間や費用がかかるのが手間と感じる方も多いと思います。
そんな方におすすめなのが、3年契約のカーリースです。
カーリースとは、好きな車の新車を契約して借りるレンタルサービスです。
レンタカーやカーシェアのように数日間車を借りるのではなく、数年単位でレンタルし、契約者の希望があれば、そのまま購入することも可能です。
また、3年契約のカーリースであれば、契約が切れるときに車検の期日となるので、車検を受ける必要がなくなります。
契約終了後に再び別の車に契約すれば、車検なしで車に乗り続けられます。
まとめ
本記事では、車検の概要や、なぜ義務化されているのか、そして検査項目などを紹介していきました。
車検は、法律により定期的に受ける必要のある検査です。
車検切れの状態で公道を走ったことが分かると、厳しい処罰を科せられる可能性があるため注意が必要です。
そのため、車検の有効期限をしっかり確認し、期限切れになる前に適切な手続きを行うことが大切です。
安全で快適なドライブを楽しむためにも、定期的な点検と車検の準備を怠らないようにしましょう。