特殊車両に多い8ナンバーですが、車検費用が安いといわれています。
しかし、どのくらい安いのか、そもそも8ナンバー車はどのような車か知らない方も多いでしょう。
本記事では8ナンバー車の車検費用や期間について、解説していきます。
8ナンバーの取得条件や取得方法についても紹介しているので、8ナンバー車に興味のある方はぜひ参考にしてください。
8ナンバーの車とは
そもそも8ナンバーとはどのような車のことを指すのでしょうか。
8ナンバーの定義や種類、車検費用について解説していきます。
8ナンバーの定義
8ナンバーとは「特種用途自動車」のことを表す言葉です。
特種用途自動車とは、使用目的が特殊で定められた構造や装置を備えている車のことを指します。
車両に装着するナンバープレートの分類番号から8から始まるため「8ナンバー車」と呼ばれるようになりました。
なお、8ナンバー車を運転するためには乗車定員数、車輌総重量、最大積載量に応じた種類の免許が求められます。
クレーンなどの特殊装備の操作が必要な場合は、運転免許のほかに技能講習の修了や資格取得が必要となります。
8ナンバー車を運転する際は、必要な免許や資格を事前に確認しておきましょう。
8ナンバーの種類
特種用途自動車の用途はさまざまで、8ナンバーに該当する主な車の種類をまとめました。
- ・警察車両
・給水車
・消防車
・霊柩車
・教習車
・キャンピングカー
使用目的としては、緊急の用途で使用する車・法令で定められた特定事業で使用する車・特殊な目的に使用する車・そのほかの目的で使用する車の、4つに分類されます。
8ナンバーの車検費用
8ナンバー車の車検費用は、普通自動車よりも高めです。
なぜなら、8ナンバー車には特殊な構造や装備が備えられているからです。
なお、8ナンバー車は初回が新車登録時から2年後、初回以降は2年おきに車検する必要があります。
一方で自家用乗用車は初回が3年後でその後は2年ごとのため、8ナンバー車の方が費用と手間がかかることが分かります。
また、8ナンバー車に対応する整備工場は少ないため、車検を依頼できるか事前に確認しておきましょう。
8ナンバーのメリット・デメリット
車は条件を満たすことで、8ナンバーとして登録することが可能です。
ここでは、8ナンバーのメリット・デメリットそれぞれについて詳しく解説していきます。
8ナンバーのメリット
8ナンバー車には、以下のようなメリットがあります。
- ・貨物車のなかでは車検代が安い
・税金が安い
・高速料金が安い
8ナンバー車は普通自動車と比較すると車検代は高めですが、1ナンバーや4ナンバーの貨物車と比較すると費用は安い傾向にあります。
また、貨物車は毎年車検が必要な一方で、8ナンバーは車検を受ける回数が少ないのもメリットです。
さらに、8ナンバー車は普通自動車よりも重量税が約2割も安いのが特徴です。
税金はすべての車の所有者に課せられるため、維持費を安く抑えられるのは大きなメリットでしょう。
また、8ナンバーは高速料金も安く設定されています。
貨物自動車は中型車の料金となってしまいますが、8ナンバーのキャンピングカーであれば普通乗用車と同じ金額にできるため、お得に遠出ができるでしょう。
8ナンバーのデメリット
メリットの多い8ナンバーですが、以下のようなデメリットもあります。
- ・自賠責保険料が高い
・任意保険に加入しにくい
・設備の追加が必要
すべての車に加入が義務付けられている自賠責保険ですが、8ナンバー車は普通自動車よりも保険料が約7,000円高く設定されています。
任意保険は強制加入ではないものの、8ナンバー車は事故のリスクが高いと判断されやすく、審査基準が厳しくなっています。
そのため、任意保険には簡単に加入できないことを把握しておきましょう。
また、キャンピングカーを8ナンバーに変更する場合は、要件を満たすために設備を追加する必要があります。
設備の追加により車両重量が増加した場合は、サスペンションによる強化が必要です。
税金は安くなりますが、8ナンバーに変更するための導入費用が高額になるデメリットを把握したうえで、検討しましょう。
8ナンバーの取得条件と取得方法
8ナンバーを取得するためには、法律によって定められた4つの要件をクリアする必要があります。
ここでは、取得条件と取得方法をチェックしていきましょう。
8ナンバーの取得条件
8ナンバーを取得するためには、4つの要件を満たす必要があります。
- ・就寝設備があること
・水道設備があること
・炊事設備があること
・室内高が確保できること
それぞれの要件について、詳しく解説していきます。
就寝設備があること
8ナンバーの取得条件1つ目は就寝設備があることで、具体的にはベッドのことを指します。
必要なベッドの数は、車の乗車定員によって異なるので注意しましょう。
就寝設備の数と大きさの要件は、次のとおりです。
就寝設備の数 | 就寝設備の大きさ |
・乗車定員の3分の1以上の大人用ベッドの確保
・乗車定員が2人以下の場合は1台以上でOK |
・大人用:180cm×50cm、高さ50cm以上
・子ども用:150cm×40cm以上、高さ40cm以上 |
就寝設備の数に関して、端数は切り捨てとなります。
なお、大人用ベッド3台目からは、子ども用ベッド2台で大人用1台分にカウントすることが可能です。
就寝設備の高さはベッドの表面から計測し、ベッドの表面は水平であることや、隙間のないフラットな状態であることも重要です。
大きさの要件を満たしていれば、ソファーベッドも利用できます。
水道設備があること
8ナンバーの取得条件2つ目は水道設備があることで、構造要件は以下のとおりです。
- ・10L以上溜められるタンクがある
・排水可能な10L以上のタンクがある
・水が溜められるシンクがある
シンクは障害物がなく、正面に人が向き合えるスペースが必要です。
タンクは使用シーンによって必要な容量が異なりますが、シャワーやトイレを設置するなら10L以上の大容量タイプを選択しましょう。
炊事設備があること
8ナンバーの取得条件3つ目は、炊事設備があることです。
炊事設備の要件は、次のとおりです。
- ・調理ができる熱源がある
・30cm×20cm以上の料理用作業スペースがある
・炊事設備の壁や天井は耐火性・耐熱性の素材である
・コンロ側に窓または換気扇がある
炊事設備はガスコンロと思う方も多いですが、常設ではなくポータブルコンロや電子レンジでも問題ありません。
外してしまうと基準を満たせなくなるので、注意しましょう。
室内高が確保できること
8ナンバーの取得条件4つ目は、室内高が確保できることです。
8ナンバーに登録するための室内高は、2022年に大きく法改正されています。
2022年以前はキッチンの室内高が1600mm必要とされていましたが、現在では調理台の高さが850mm以下の場合は、1200mmに緩和されました。
室内高の基準が大幅に変更されたため、ハイエース(トヨタ)やタウンエースバン(トヨタ)が8ナンバーとして登録しやすくなったのは魅力的です。
しかし、キッチンの高さが850mm以上の場合は、室内高が1600mm必要となるため注意しましょう。
8ナンバーの取得方法
普通自動車を8ナンバーとして登録するためには、どのような手続きが必要なのでしょうか。
8ナンバーを取得する方法について解説していきます。
必要な設備を追加する
8ナンバーを取得するためには、要件をすべて満たす車を用意する必要があります。
先ほど紹介した要件を確認して、ベッドやコンロ、キッチンなどの設備を導入しましょう。
設備によってはさらに細かい要件が設定されている場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。
不安がある場合は、陸運局や整備工場など構造変更のプロに質問をしながら、カスタムを進めていくと良いでしょう。
構造変更手続きを行う
設備の追加が完了したら、運輸支局で構造変更の手続きを行います。
構造変更に必要な書類は、次のとおりです。
- ・申請書
・自動車検査証
・自動車検査票
・点検整備記録簿
・自動車損害賠償責任保証明書
・委任状(所有者と使用者)
・手数料納付書
・自動車重量税納付書
・自動車税納税証明書
8ナンバーを取得するためには、書類審査と実車検査に合格しなければなりません。
合格した場合のみ新ナンバーの交付を受けることができます。
また、任意保険の車両情報の変更も忘れずに行いましょう。
8ナンバーの車検費用
8ナンバーの車検費用の目安を、以下の項目に分けて詳しく解説していきます。
- ・自賠責保険料
・重量税
・印紙代
・追加整備費用
どのくらい費用がかかるのか、確認しておきましょう。
自賠責保険料
自賠責保険は、公道を走行する車のすべてに加入が義務付けられています。
8ナンバー車は2年ごとに車検を受けるため、24か月分の自賠責保険料の支払いが必要です。
24か月分の自賠責保険料は、自家用乗用車の場合は17,650円、8ナンバー車(3輪以上)の場合は19,980円になります。
軽自動車の場合は17,540円、8ナンバー車(軽自動車)の場合は11,290円です。
8ナンバー車でも、軽自動車のほうが自賠責保険料が安くなっています。
重量税
8ナンバー車の重量税は、車両総重量や新車登録からの経過年数によって異なります。
8ナンバー車の重量税の税額については、下記の表をご確認ください。
車両総重量 | 新車登録から13年未満 | 新車登録から13年以上 | 新車登録から18年以上 |
1t以下 | 8,200円 | 11,400円 | 12,600円 |
〜2t | 16,400円 | 22,800円 | 25,200円 |
〜3t | 24,600円 | 34,200円 | 37,800円 |
車両総重量1t以下、新車登録から13年未満の自家用乗用車の重量税は16,400円のため、8ナンバー車の方が8200円も安いです。
なお表の数値は、エコカー減税適用前の金額となっている点に注意しましょう。
印紙代
8ナンバー車の印紙代は、車検をどこで受けるかによって異なるのが特徴で、依頼先別の印紙代は次のとおりです。
- ・指定工場:1800円
・認証工場:2300円
指定工場は自社で車検の検査ができますが、認証工場は車検の検査ができないため運輸支局に持ち込む必要があります。
印紙代を安く抑えたい場合は、指定工場を持つ業者に車検を依頼しましょう。
追加整備費用
車検時に不具合が見つかり部品交換や修理が必要な場合は、追加整備費用が請求されます。
8ナンバー車は特殊な装備が搭載されているため、メンテナンスにかかる費用は自家用乗用車と比べると割高です。
重量税は安く済みますが、追加整備費用がかかる場合は自家用車と同等の車検費用がかかる可能性があります。
8ナンバーの軽キャンピングカーとキャンピングカーの車検費用の比較
8ナンバーとして登録できるのは、キャンピングカーと軽キャンピングカーの2種類です。
最後に8ナンバーの軽キャンピングカーと、キャンピングカーの車検費用を比較していきます。
キャンピングカーの車検費用
キャンピングカーの車検費用は、以下のとおりです。
- ・自賠責保険料:19,980円
・重量税:8,200円〜37,800円
・印紙代:1,800円〜2,300円
車両検査料や追加整備費用を除いたキャンピングカー(8ナンバー)の車検費用の目安は、29,980円です。
軽キャンピングカーの車検費用
軽キャンピングカーの車検費用は、以下のとおりです。
- ・自賠責保険料:11,290円
・重量税:6,600円
・印紙代:1,800円〜2,300円
軽キャンピングカー(8ナンバー)の車検費用の目安は19,690円です。
キャンピングカーと比較すると重量税や自賠責保険料の金額が10,000円程ほど安くなります。
維持費用を安くしたい方は、軽キャンピングカーを選びましょう。
まとめ
今回は8ナンバー車の車検費用について詳しく解説しました。
8ナンバーは特種用途自動車のことですが、普通乗用車を8ナンバー車として登録することも可能です。
設備などの取得条件を満たすことができれば、キャンピングカーを8ナンバー車として登録することもできます。
8ナンバー車に登録すると税金や車検代を安くすることが可能です。
ただし車両の設備を増やしたり構造変更手続きを行う手間はかかります。
メリットやデメリットをしっかりと把握したうえで、8ナンバーの取得を検討しましょう。