「車検が通らないバッテリーってどのような状態?」と疑問に思う方はいませんか?
何度も車検を受けるのは、手間や費用といったコストがかかるため、避けた方が良いでしょう。
結論からお伝えすると、バッテリーそのものの状態で車検に通らないことは、よほどのことがないかぎり起きません。
以降で詳しく車検に通すための条件を解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
バッテリーの役割と種類
本章では、バッテリーの役割と種類を解説します。
役割は電力を必要とする部品への電力供給
車のエンジンルームに積まれているバッテリーは、車に必要な電力を供給するために必要な部品です。
車はガソリンによって発生する燃料だけでなく、電力によって動く部品があるためです。
具体例としては以下です。
- ・パワーウィンドウ
・ウィンカー
・ステレオ・カーナビ
・ランプ類(ヘッドライト・テールランプ・フォグランプ・ルームランプ・ブレーキランプ)
・スパークプラグ など
特に、スパークプラグはエンジンの発動に関わる重要なパーツで、バッテリーがなければ発火ができず走行できません。
このようにバッテリーは、重要な役目をもつパーツのひとつです。
バッテリーの種類
車のバッテリーはさまざまな種類があり、特徴やメリット・デメリットなどが異なります。
- ・標準タイプ
・メンテナンスフリータイプ
・アイドリングストップ対応タイプ
・ハイブリッドカー対応タイプ
・リチウムイオンタイプ
では、ひとつずつ解説します。
標準タイプ
標準タイプは、一般的に搭載されているタイプで「開栓型バッテリー」ともよばれています。
開栓型とあるように、中に入っている「希硫酸」が蒸発してバッテリー液が徐々に減っていくのが特徴です。
なお、希硫酸は電解液として用いられており、蒸発して量が少なくなると火災のリスクが高まります。
よって、定期的に量をチェックし補充するといったメンテナンスが必要です。
なお、バッテリー液は市販されており、オートバックスなどのカー用品店で購入できます。
メンテナンスフリータイプ
メンテナンスフリータイプは、メンテナンスの手間がかからず楽なタイプで「密閉型バッテリー」ともよばれています。
密封型であるため中に含まれる希硫酸が蒸発しにくく、バッテリー液を補充する必要はありません。
そのため、ニーズが高まっており、最近の主流になりつつあります。
世界でも注目されており、輸入車でもよく見かけるようになりました。
国内では、ハイブリッドカーや電気自動車によく搭載されている傾向です。
アイドリングストップ対応タイプ
アイドリングストップの機能がついた車を専用としているバッテリーです。
アイドリングストップは、走行中に何度もエンジンを始動させたり、エンジン停止中も電気を供給したりしなければならず、バッテリーに大きな負担がかかります。
アイドリングストップ車の普及に伴い、高い負荷にも耐えられる強さを兼ね備えたバッテリーが必要となったため開発されました。
世界全体で車から排出される排気ガスを減らす取り組みが行われているため、こちらのタイプも主流といえるでしょう。
ハイブリッドカー対応タイプ
ハイブリッドカーを専用としたタイプです。
こちらのタイプは、駆動用と補機用の2種類があります。
ハイブリッドカーはガソリンだけでなく、電力による駆動も持ち合わせた車です。
加えて、カーナビやランプなどにも電力が必要であり、バッテリーに大きく負担がかかります。
よって、十分な電力を安定して供給できるよう、駆動用と補機用の2種類があるハイブリッドカー対応タイプが誕生しました。
リチウムイオンタイプ
一般的に用いられる鉛電池をリチウムイオンに変更されたタイプです。
ハイブリッドカーや電気自動車、スポーツカーをメインに搭載されています。
リチウムイオンタイプの特徴は以下のとおりです。
- ・自己放電が少ない
・生み出せるエネルギーが大きい
・急速充電ができる
・軽い
これらの特徴から、国内でもニーズが拡大しています。
電解液補充が必要なバッテリータイプは?
さまざまな種類のカーバッテリーがありますが、電解液を補充しなければならないのは「開栓型」のみです。
そのほかの密封式をはじめとする、ハイブリッド用やアイドリングストップ対応タイプ、リチウムイオンタイプは補充しなくて構いません。
とはいえ、近年の開栓型バッテリーは改良が重ねられ、液不足が起こりにくくなっています。
昔ほど減りが早くないため、メンテナンスの手間はかかりにくいといえるでしょう。
どうしても気になる場合は、価格はアップしますが密封型に変えることをおすすめします。
バッテリーの中で最もリーズナブルなのは開栓型ですので、購入価格とメンテナンス費用・手間のコスパを比較して選ぶといいでしょう。
バッテリーは車検の検査項目に含まれる?
バッテリーは車検の検査項目に含まれるのかどうかを解説します。
車検時のバッテリーの検査項目
車検時にチェックされるバッテリーの検査項目は、大きく「固定方法」と「絶縁状態」の2つです。
保安基準に「振動や衝撃で破損や移動をしないよう固定されていること」「端子部分の絶縁が適切であること」と定められています。
そのため、バッテリーの劣化や液不足、バッテリー上がりは検査項目に含まれていません。
バッテリーが原因で通らないことはない
よほどのことがないかぎり、バッテリーが原因で不適合が通知されることはありません。
バッテリーの固定方法が悪くなったり、絶縁状態になっていなかったりすることは基本的にないためです。
ただし、バッテリーの状態を検査した際に、何かしら指摘されることはあります。
具体的には、バッテリーの液が少なく補充が必要であることや、バッテリー交換目安の期間に来ていることなどです。
ただ、これらの指摘があったとしても車検の合否には影響しないためご安心ください。
バッテリー交換は任意
バッテリー交換を指摘されることがありますが、交換は任意です。
バッテリー交換を勧められるのは寿命が来ているためです。
そのため、このタイミングで交換すればバッテリー上がりや故障の心配もなくなります。
しかし、車検を依頼している業者によってはノルマがあり、バッテリー交換の工賃を高くとるところがあります。
費用を抑えたい方は車検のタイミングではなく、別日に購入してご自身で取り付けるか安価で取り付けを依頼できる業者に依頼するといいでしょう。
車検時のバッテリー交換が必須になるケース
基本的に車検時のバッテリー交換は任意ですが一部、例外があります。
バッテリー交換が必須になるケースを以降でお伝えします。
バッテリー故障により車が動かないケース
車検時のバッテリー交換は基本的に任意となりますが、故障が原因で車が動かない場合は交換しなければなりません。
保安基準に「エンジンがかかる状態でなければならない」とされているためです。
ちなみに、ブースターを繋げなければバッテリーが駆動しないほどの劣化も同様に、交換が必須となります。
バッテリー故障・劣化によりライトが明るさが足りないケース
バッテリーの故障や劣化が原因でヘッドライトやテールランプといったリライトの明るさが足りないケースも、交換が必須です。
ライトの明るさが足りないと事故につながりかねないためです。
安全に乗れる車であることが適合車の条件となるため、事故を起こしそうな車では車検を通せません。
車検前のバッテリーチェックと交換方法
車検前のやっておくべきバッテリーチェックをお伝えします。
万一、交換しなければならない状態の場合の交換方法もお伝えしているので、参考にしてください。
チェック項目
バッテリーの検査でチェックする項目は以下の2つです。
- ・電圧低下の有無
・車の機能低下の有無
では、ひとつずつ解説します。
電圧低下がないかチェック
車検を受ける前に、電圧の低下がないかチェックしましょう。
電圧の低下があれば、バッテリー交換のタイミングが来ているためです。
具体的には、12Vを下回ると交換が推奨されます。
バッテリーの電圧をチェックするには、専用のテスターが必要です。
しかし、本格的なテスターは非常に高額で準備が大変です。
もし購入するのであれば「サーキットテスター」が良いでしょう。
サーキットテスターは、これまで家庭でバッテリーの状態を確認するのに使われてきました。
ただし問題もあり、近年製造されている車のバッテリーは、このサーキットテスターで正確な計測をするのが困難になっています。
費用面や計測結果の信ぴょう性を考えると、プロに見てもらうのがベストです。
車の機能低下がないかチェック
車の機能が低下していないかチェックしましょう。
バッテリーの劣化が著しくなると、車の機能が大幅に落ちるためです。
具体例を出すと、以下のような症状が現れます。
- ・パワーウィンドウの不具合
・ヘッドライトの光量が小さい
・バッテリー上がりが頻繁に起きる
・エンジンがかかりにくくなる
・アイドリングストップができなくなる など
車はガソリンだけでなく、バッテリーによる電力供給が必要なパーツがたくさんあります。
上記のように電力がかかわるパーツの不調を感じる場合は、バッテリー交換しておきましょう。
自分で交換する方法と費用・バッテリーの選び方
本章では、自分で交換する方法と費用、バッテリーの選び方について解説します。
自分で交換する方法と費用
ご自身でバッテリー交換する場合は、カー専門用品店でバッテリーを購入し、必要な工具を準備しましょう。
自分で交換する場合、かかる費用はバッテリー本体の購入費用のみなので4,000〜40,000円程度です。
<準備物>
- ・スパナまたはレンチ
・水中メガネ
・潤滑スプレー
・ゴム手袋
・メモリーバックアップ(必要な車種である場合のみ)
<手順>
- ①エンジンを止める
②バックアップ電源をつなげる
③マイナス端子からプラス端子の順に取り外す
④固定している金具を取り外す
⑤バッテリーを取り外す
⑥新しいバッテリーを載せる
⑦固定している金具を取り付ける
⑧プラス端子からマイナス端子の順番に取り付ける
⑨バックアップ電源を取り外す
⑩エンジンがかかれば完了
なお、使用していたバッテリーは、家庭ごみとして廃棄できません。
バッテリー回収の業者やバッテリーを購入した店舗に渡すなどして処理してください。
バッテリーの選び方
バッテリーを選ぶ際は、品番や型式を確認し、サイズや用途などを確認します。
まず、適合する車種を意味している型式とその意味を覚えましょう。
- ・JIS形式:標準車に適合する製品
・ISS型式:アイドリングストップ車に適合する製品
・DIN型式:欧州車に適合する製品
<JIS形式の品番の見方>
「75D23L」のような形で品番が書かれており、左から右にかけて読み解きます。
- ・最初の2桁の数字:エンジンの始動性や容量を表す。数字が多いほど性能がアップする。
・2番目のアルファベット:サイズを表す。AからHまであり進むほどサイズがアップする。
・3番目の2桁の数字:長側面のサイズ。おおよその数字で表記されている。
・最後のアルファベット:側面から見た端子の位置。Lなら左、Rなら右。
<ISS型式の品番の見方>
「N-65R」のような形で品番が書かれており、左から右にかけて読み解きます。
- ・最初のアルファベット:ケースのサイズ。JIS形式でいうと「D23」の部分にあたる。
・2番目の2桁の数字:性能ランクを表す。数字が多いほど性能がアップ。
・最後のアルファベット:側面から見た端子の位置。Lなら左、Rなら右。
<DIN型式の品番の見方>
5 55-59のように、数字のみで品番が書かれており、左から右にかけて読み解きます。
- ・最初の1桁の数字:カーバッテリーの種類を表す。5は12V100Ah未満、6の場合は12V100Ah以上である。
・次の2桁の数字:容量を表す。
・最後の2桁の数字:サイズや端子の位置を表す。
もし、覚えられそうになければメモするか、販売店のスタッフに相談して決めるといいでしょう。
プロに依頼する方法と費用
プロに依頼したい場合は、バッテリーを購入した店舗に任せるのが安心です。
ディーラーは、純正品であることに加えて技術の高さもあり、高額になりやすいです。
費用を抑えたい方は、ガソリンスタンドやカー用品店に任せるとリーズナブルな価格で交換できます。
バッテリーの交換時期目安・寿命
本章では、バッテリーの交換時期目安や寿命、交換時期の見極め方法や寿命を延ばす方法、寿命が縮まる原因を解説します。
交換時期目安・寿命
バッテリーを交換したほうがいい期間は、車またはバッテリーを購入してから2年〜3年です。
理由は、バッテリーの保証期間が大体2〜3年としているところが多いためです。
ただしこれはあくまで目安であり、車の使用頻度などによってはバッテリーの劣化を早く感じることもあります。
交換時期の見極め方法とは?
近年開発されている車やハイブリッドカーのバッテリーは、ひと昔前までの車と違ってバッテリーの劣化を感じることが困難です。
エンジンのかかりに影響しにくい上に、バッテリーの性能が向上しているためです。
よって、車に精通した仕事でない限り見極めるのは難しいため、プロに定期点検してもらうことをおすすめします。
バッテリーの寿命を延ばす方法は?
バッテリーの寿命を延ばせる方法として以下の2つが挙げられます。
- ・定期的に走行充電をする
・容量アップする
あまり車に乗らない方は放電しつづけ、バッテリーが弱り続けます。
1週間に1回もしくは2週間に1回、1時間以上走行するのがおすすめです。
容量を大きくする方法も有効な方法です。
バッテリーが上がりにくくなるほか負担を減らせるため、劣化減少の進行が遅くなり寿命が延びます。
バッテリーが弱まる原因は?
バッテリーが弱まる主な原因は以下の5つです。
- ・短い距離を走ることが多い
・渋滞に巻き込まれやすい
・エンジンのオン・オフを頻繁に繰り返す
・バッテリー上がりを経験する
・寒冷地に住んでいる
上記の状態をまとめると、放電状態が続くことやバッテリーへの負担が大きくなる行動は、バッテリーを弱らせる原因となります。
できるかぎり放電し続ける時間を少なくすること、バッテリーの負担の軽減することを意識することが大切です。
まとめ
バッテリーそのものの状態で不適合となるのは、バッテリーの固定が甘い、絶縁できていないといった状態です。
基本的にこのようなことにはならないため、バッテリー本体で不適合となることは基本ありません。
ただし、バッテリーが原因で不適合となる車の状態はあります。
バッテリーの劣化によりライトが暗い、エンジンが動かないといった状態が見られたら、バッテリーを交換しておきましょう。