公道を走行するためには、定められた期間ごとに車検を受ける必要があります。
車検に通らなかった場合、車はどうなるのでしょうか。
この記事では、車検に通らない可能性が高い車の状態について解説しています。
車検に落ちた場合の対処法や車検に合格するためのポイントについても解説しているので、これから車検を控えている方は参考にしてください。
車検に合格できない理由
どのようなことが原因で車検に合格できないのでしょうか。
車検に通らない理由を車側の不備とユーザー側の不備に分けて紹介します。
車側の不備
車が保安基準を満たしていない場合は車検に通りません。
車側の問題でよくあるケースを紹介します。
ローダウンしている
最低地上高が9cm以上確保できていない車は車検に通ることができません。
車高を落としたりドレスアップパーツを装着していたりする車は注意が必要です。
ただし、樹脂製のマッド・ガードやエアダム・スカート、エア・カット・フラップはこの規制の対象外になります。
エアロパーツやバンパーも樹脂製であるケースが多いため、最低地上高5cm以上を確保していればOKです。
タイヤが劣化している
タイヤの溝が1.6mm以下になっていたり、スリップサインが出ていたりする場合は車検に通りません。
ひび割れや傷も点検対象なので、偏摩耗や劣化によりカーカスと呼ばれる骨格部分が露出している場合も不合格です。
タイヤサイズの変更により、スピードメーターに誤差が生じる場合もアウトになります。
フェンダーからタイヤがはみ出しすぎている場合も整備不良と判断されるので気をつけましょう。
マフラーが劣化している
マフラーの点検箇所は排気音と取り付け位置、触媒の有無です。
2010年4月1日以降に生産された車は、普通車の場合で96db、軽自動車の場合で97db以下でなければ車検に落ちます。
取り付け位置は最低地上高9cm以上で、フロアラインから10mm以上突出することはできません。
触媒を取り外してしまっている場合は、有害物質を除去できなくなってしまうので車検で不合格になります。
触媒を取り外すようなカスタマイズはやめましょう。
ライトに問題がある
ライトは違反色や光量不足、破損があると不合格です。
ブレーキランプは赤、ウインカーは橙、フォグランプは白か淡黄といったようにライトの種類ごとに色が定められています。
特にヘッドライトは光の強さも決まっているため、事前に確認しておくことが大切です。
窓ガラスの透過率が低い
フロントガラスと運転席、助手席側の窓ガラスは、透過率を70%以上確保できていないと不合格になります。
透過率が低いフィルムを貼っている場合は外しましょう。
なお、後部座席の窓ガラスには透過率が定められていません。
スモークフィルムを貼っていても車検に合格できます。
ユーザー側の不備
車側に問題がなくても、ユーザー側の不備で車検に落ちてしまうこともあります。
必要書類の記載ミスが発覚したり、書類を忘れたりした場合は不合格です。
また、違反金の未払いがある場合も車検に通ることはできません。
未納が続いてしまうと、車検拒否制度により車検証の交付を受けることができなくなってしまいます。
ユーザー車検を受ける場合は、操作ミスによって落ちる場合もあります。
初めて受ける場合は、検査ラインでユーザーが操作を誤ることが多いため注意しましょう。
車検に通らない場合の対処法と再検査の費用
車検に通らなかった場合はどうすればいいのでしょうか。
不合格になった場合の対処法について解説します。
車検に通らない場合の対処法
車検で落ちてしまった場合の対処法は、大きく分けて3通りです。
- ・当日中に再検査を受ける
・15日以内に再検査を受ける
・売却または廃車にする
それぞれの方法について詳しく解説します。
当日中に再検査を受ける
車検当日の再検査は2回まで無料となっています。
初回検査で不合格になった場合と合計して、3回まで検査を受けることが可能です。
4回目以上の再検査を受けるためには、限定自動車検査証の交付を受けることと1300円の手数料が必要になります。
15日以内に再検査を受ける
部品の取り寄せが必要だったり、修理に時間がかかったりする場合は15日以内であれば再検査が可能です。
後日再検査を受ける場合も、窓口で限定自動車検査証の交付を受けることと、1300円の手数料を支払う必要があります。
限定自動車検査証の期限内であれば、車検が切れてしまっても公道を走ることが可能です。
売却または廃車にする
修理や交換費用が高額な場合は、車を売却するか廃車にする選択肢もあります。
高値で売れた場合は、新しい車の購入費用に充てることも可能です。
走行距離が長かったり、年式が古かったりする車は買い手が見つかりにくいので、廃車にして車を手放すこともできます。
売るべきか廃車にするべきか悩んでいる場合は、買取業者に見積もりを依頼してみましょう。
車検の再検査の費用
車検を15日以内に受けることができず、車検が切れてしまった場合は継続検査を受けるために以下の手数料がかかります。
- ・普通車:1800円
・小型車:1700円
車検場に持ち込むためには、仮ナンバーの取得が必要です。
自賠責保険にも忘れずに加入しておきましょう。
車検に合格するためのポイント
車検に合格するためには、事前の対策が必須です。
どのような対策をしておけば良いのか、ポイントを解説します。
定期的なメンテナンスを心がける
車検時に整備不良と判断される箇所をまとめて直すと費用が高額になりやすいです。
日頃からこまめに点検や整備を行えば、費用の負担が分散できます。
車のコンディションを良好に保つため、定期的なメンテナンスを怠らないようにしましょう。
簡単な部品交換であれば自分で実施することも可能です。
自分でメンテナンスをすれば、業者に依頼するよりも部品代や工賃の節約ができます。
必要書類に不備がないか確認しておく
車検の必要書類はユーザー車検と業者に依頼する場合とで異なります。
事前にしっかりとチェックしておきましょう。
ユーザー車検で継続検査を受ける場合 |
業者に依頼する場合 |
・申請書
・⾃動⾞検査証 ・⾃動⾞検査票 ・点検整備記録簿 ・⾃動⾞損害賠償責任保険(共済)証明書 ・手数料納付書 ・自動車重量税納付書 ・納税証明書 |
・自動車検査証
・自賠責保険証明書 ・自動車税納税証明書または軽自動車税納税証明書 ・身分証明書 |
用意した書類の有効期限が切れていないか、不備がないかを必ず確認してください。
手続きには所有者の認印が必要となりますので忘れずに持参しましょう。
自分で修理できる場合は直しておく
車検前に車を点検して不合格になりそうな箇所がある場合は、自分で交換や修理しておくことをおすすめします。
たとえばタイヤがすり減っているなら、交換しておけば不合格になることはありません。
ヘッドライトの黄ばみによる光量不足がある場合は、カー用品店でクリーナーを購入すれば簡単に落とすことができます。
車検で修理や交換が発生すると費用が割高になってしまうので、自分で直した方が費用の負担が少ないです。
自分で直すことが難しい場合は整備業者に相談してみましょう。
車検の再検査を受ける場合の注意点
車検に落ちた後に再検査を受ける場合の注意点を解説します。
時間を過ぎると受けられない
当日に再検査を受けようとしても受付時間を過ぎている場合は、再検査を受けることができません。
運輸支局の営業時間はそのエリアによって異なりますが、たとえば17時までの場合でも受付時間は16時までになります。
再検査になったとしても当日中に検査を終わらせたい場合は、午前中に検査を予約するのが得策です。
また、月末は混みやすいので、予約が取れない可能性があります。
予約できたとしても無駄な待ち時間が発生してしまうため、車検や再検査を受ける場合は月末を避けた方がよいでしょう。
修理代が高い場合は買い替えを検討する
車検が不合格になり、高額な修理が必要で時間もかかることが判明した場合は、再検査を受けずに買い替えを選択した方が総合的に見るとお得な場合もあります。
お金をかけて修理をしても古い車や走行距離が長い車の場合は、また別の不具合が発生するかもしれません。
いつ壊れるかわからない車に2年分の自賠責保険料を支払うのはもったいないです。
新しい車を購入する費用はかかりますが、修理代や車検費用をすぐに負担する必要がないので、買い替えた方がランニングコストを削減できる可能性があります。
プロに車検を依頼する
ユーザー車検で再検査になり当日中に合格するのが難しい場合は、ユーザー車検をやめてプロの車検業者に依頼することをおすすめします。
車検業者に依頼すれば車検費用は高くなってしまいますが、検査の手間や時間を気にする必要がなくなるでしょう。
ユーザー車検は車に異常がなければ1日で終わりますが、不具合があった場合はチェックするのが難しいです。
車検に慣れていないと検査で手こずったり、操作ミスをしてしまったりする可能性が高いので、不安を感じる場合は車検業者を頼りましょう。
ユーザー車検と業者の車検を比較
ユーザー車検と業者の車検はどちらが通りやすいのでしょうか。
難易度や費用などを比較します。
難易度
ユーザー車検では検査場に車を持ち込んだあと、検査官の指示に従って車を操作する必要があります。
操作をミスしてしまうと車検が不合格になる恐れがあるので、車検に慣れていない方にとって難易度は高いです。
必要書類の作成や手続きにも時間がかかります。
車検業者に依頼する場合にユーザーがすることは、必要書類の準備と車検当日に車を業者まで持ち込むことだけです。
車検を業者に依頼した場合は、ただ待っているだけで車検が完了するので難しさを感じることはありません。
費用
ユーザー車検と業者に車検を依頼した場合の費用の比較は、次のとおりです。
- ・ユーザー車検:3万〜6万円
・ディーラー車検:8万〜15万円
・車検専門店:6万〜10万円
・カー用品店、ガソリンスタンド:6万〜10万円
・整備工場:6万〜12万円
車検費用はユーザー車検が圧倒的に安く抑えることができます。
かかる費用が法定費用のみのため、3万〜6万円で車検を済ませることが可能です。
業者は依頼する場所によって6万〜15万円と大きな幅があります。
ディーラー車検は一番高いですが、技術力の高さやサービスの質が良いです。
車検専門店やカー用品店、ガソリンスタンドは最低限の検査のため、業者の中でも費用が安く数時間で車検が終わります。
整備内容
ユーザー車検では日常点検の範囲で整備を行うため、車検後に車がすぐ壊れてしまう恐れがあります。
具体的な確認項目は、以下の8つです。
- ・同一性の確認
・外回り検査
・サイドスリップ検査
・ブレーキ検査
・スピードメーター検査
・ヘッドライト検査
・排気ガス検査
・下回り検査
この検査項目が保安基準に満たない場合は不合格となります。
業者の車検ではプロがしっかりと点検整備を行うので、車検が終わった後も安心して乗り続けることができます。
検査項目はユーザー車検と同じですが、安全に走行するための整備が行われるケースが多いです。
業者によっては、車検を通すための最低限の整備を希望することもできます。
まとめ
今回は、車検が通らなかった場合の対処法について詳しく解説しました。
車検が通らない理由は車側の不備がある場合と、ユーザー側の不備の2通りです。
どちらの不備も事前の対策をしっかりすれば防げます。
車検に落ちてしまうと費用だけでなく時間や手間がかかってしまうので、車検前の点検整備や確認は忘れずに行いましょう。