ポジションランプは取り付けが容易なため、ドレスアップ目的でカスタムしやすい部品の一つです。
ポジションランプにはどのような保安基準があるのか、気になっている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、車検でチェックされるポジションランプの基準について解説します。
ポジションランプの選び方や交換する場合の注意点についても解説しているので参考にしてください。
ポジションランプとは
そもそもポジションランプとはどのようなライトのことなのでしょうか。
ポジションランプの役割やデイライトとの違いについて解説します。
ポジションランプの役割
ポジションランプはヘッドライトの最も外側に位置し、車の幅を周囲に知らせる効果があるランプです。
車幅灯やスモールランプと呼ばれることもあり、ウインカーのダイヤルを1段階回すと点灯します。
薄暗くなってきた時間帯のタイミングで、車の存在を周囲に知らせるために使用されるケースが多いです。
夜間にポジションランプのみ点灯させている場合は、無灯火運転で違反になるので注意してください。
国産車にはT10規格のポジションランプが使用されているケースが多いです。
交換する場合は規格が合っていないとランプが点灯しないので、購入時はよく確認する必要があります。
デイライトとの違い
デイライトは、日が出ている時間帯に車を周囲に認識させる目的で常に点灯しているライトです。
正式な名称はデイタイムランニングライトで、ポジションライトは日が落ち始めた時間帯に運転者が自ら点灯させるため、混同されやすいですがデイライトとは役割や点灯方法が異なります。
デイライトは欧州では装着することが義務付けられていますが、日本では義務化されていません。
日本国内で使用されている一部の輸入車には搭載されています。
ポジションランプの保安基準
ポジションランプには法律で厳しい保安基準が設けられています。
車検を受ける前に把握しておきたいポジションランプの保安基準を確認しましょう。
明るさ
平成18年1月1日以降に製造された車のポジションランプの光源の明るさは5W〜30W以下と定められています。
なお、平成17年12月31日以前に製造された車は5W以上です。
光源から特定の方向に放射される光の強さを表す光度は、300cd以下である必要があります。
ポジションランプは夜間に前方300mの距離から点灯を確認できるものであり、照射光線は他の車の通行を妨げてはいけません。
色
平成18年1月1日以降に製造された車のポジションランプの色は、基本的に白色のみとされています。
一般的に白と認識される色温度は3000K〜6500Kです。
この色温度の範囲内のランプを選べば、青に近い色へのカスタムも可能となります。
平成17年12月31日以前に製造された車の場合は、白色、燈色、淡黄色でも良いでしょう。
ウインカーやハザードランプと構造が一体である場合のみ、燈色でも良いとされています。
取り付け位置
ポジションランプの取り付けには高さと横の取り付け位置に決まりがあります。
車の製造年月日によって高さに違いがあるのでしっかりと確認しておきましょう。
平成18年1月1日以前に製造された車は、ランプの上縁の高さが地上から2.1m以下、ランプの下縁の高さが地上から地上から0.35m以上です。
平成17年12月31日以前に製造された車はランプの上縁の高さが地上から2.1m以下、平成8年1月31日以降に製造された車はランプの中心位置が地上から2m以下が基準となっています。
横の取り付け位置は製造年月日にかかわらず自動車の最外側から400mm以内と一律です。
被牽引自動車の場合に限り150mm以内とされています。
大きさや個数
取り付けられるランプの大きさ(面積)は15平方m以上とされています。
車の安全を確保するための基準なので、大きさに関しては車の製造年月日による違いはありません。
取り付け可能なランプの個数は、平成18年1月1日以前に製造された車で2個または4個までです。
左右対称でなければなりません。
車検に対応するポジションランプの選び方
市販されているポジションランプがすべて車検に対応するわけではありません。
車検に対応するポジションランプの選び方を解説します。
車種別電球適合表をチェックする
ポジションランプにはさまざまな種類があるため、車種別電球適合表を確認してから選ぶと安心です。
車種別電球適合表はインターネットで調べることができます。
車種によって年式や車両形式、タイプが一致していても、特別仕様車などは形状・定格が異なる場合があるので注意してください。
しかし、車種別電球適合表の検索の結果と購入した電球が適合しない場合の保証はありません。
購入した電球の装着で不具合が発生した場合や損害が発生した場合も保証されないので、了承した上で利用しましょう。
バルブのサイズをチェックする
ランプのバルブのサイズは2種類で、T10バルブかT16バルブのどちらかが販売されています。
国産車のポジションランプ用にはT10規格のバルブが使用されているケースがほとんどですが、車種によってはT16バルブの場合もあるので、購入前にバルブのサイズを確認してください。
T10バルブの直径は10mm、T16バルブの直径は16mmです。
差し込み口の形状は同じコの字になります。
直径の大きさか「ポジションランプ・スモールランプ用」とパッケージに記載のものを選べばほとんど間違いないでしょう。
LEDは発熱対策が必須
ポジションランプをLEDに交換したい場合は、発熱対策が必須となります。
LEDランプは消費電力が少ないのですが、光度が高いためカバーの中に熱がこもりやすいのです。
熱が逃げない状態が長時間続くと、ランプの劣化が早まってしまう恐れがあります。
LEDランプを選ぶときは、ヒートシンクが付属しているタイプを選択しましょう。
ヒートシンクにはLEDの発熱エネルギーを吸収し、そのエネルギーを空気中に分散する効果があります。
安価なものには付いていないケースが多いので、購入の際に確認してみてください。
明るすぎると車検に通らない可能性がある
ポジションランプをLEDにする際にもう一つ気をつけたいのが、明るすぎるものを選んでしまうことです。
LEDの明るさは、数値が高ければ高いほど赤色に、低ければ低いほど青色に見えます。
一般的に白色に見える数値は3000K〜6000Kです。
あまりにも高い数値のランプを選んでしまうと、青色と判断されて車検に通らなくなってしまう恐れがあるので数値内のLEDを選択しましょう。
ポジションライトをLEDに変えるメリットは
ポジションライトの種類は、白熱球とLEDライトのふたつです。
LEDに変更するメリットについて解説します。
明るさがアップする
LEDは電力を効率的に変換できる特性を持っているため、白熱球よりも明るくできます。
光の拡散も少ないため、設置場所を的確に明るくすることが可能です。
最大光量に達するスピードも速いので、安全性の向上にも貢献しています。
省エネ効果がある
LEDは消費電力が少ないため、特別な手入れをしなくても白熱球の3倍長持ちします。
メーカーによって異なりますが、使用できる時間は1万時間と長いです。
走行中にライトが切れる心配がありません。
無駄な電力消費を抑えることができるので、車のバッテリーにも優しいです。
ポジションライトをLEDに変更するデメリット
ポジションライトをLEDに変更するメリットは多くありますが、もちろんデメリットもあります。
最大のデメリットは導入コストが高いことです。
安価なものもありますが、安過ぎる場合は粗悪品の可能性があります。
LEDライトは熱量が低いため寒冷地で使用する場合に適しません。
雪や氷を溶かす力が弱いので、出発前に溶かす手間がかかります。
安全面のデメリットも把握した上で、LEDへの交換を検討しましょう。
ポジションランプを変更・交換する場合の注意点
車検に通すためには、ポジションランプを正しく取り付けることが大切です。
ポジションランプを変更・交換する場合の注意点について解説します。
カバーが汚れているなら掃除をする
ポジションランプのカバーに汚れが付着していたり、変色していたりする場合は、光量不足で車検に落ちる可能性があります。
ポジションランプを交換する前に汚れを除去しましょう。
軽い汚れであれば市販のクリーナーを使用することで簡単に汚れを落とすことができます。
黄ばみやくすみがひどい場合は、研磨剤や研磨ペーパーで汚れを除去するのが効果的です。
汚れがどうしても落ちない場合は業者にクリーニングを依頼しましょう。
手順や工具を事前に確認しておく
ポジションランプ交換の手順や工具は事前に確認しておきましょう。
間違った作業工程で取り付けてしまうと、ランプや車両の破損、ドライバーの怪我につながる恐れがあります。
自分で交換する場合は、軍手と交換用のポジションランプを用意すれば準備完了です。
慣れている場合なら2分、初心者でもやり方さえ頭に入っていれば5分程度で簡単に交換できます。
ポジションランプの交換手順
ポジションランプの交換手順は、次のとおりです。
- ①ボンネットを開ける
②オープンレバーでロックをかける
③ポジションランプのソケットを外す
④ライトを交換する
取り付け位置は車種によって異なるので、取扱説明書を読んで確認しておきましょう。
ポジションライトはつける向きが決まっています。
エンジンをかけて正常に点灯するか試してから元の位置に戻してください。
不安な場合はプロに相談する
ポジションランプの交換は比較的簡単ですが、車種によっては難しい場合もあります。
交換に自信が持てない場合は、無理をせずに整備士や整備業者に依頼しましょう。
工賃はかかってしまいますが、プロに頼めば失敗のリスクをゼロにすることが可能です。
車検時のポジションランプ球切れについて
ポジションランプが球切れの状態で車検を受けた場合、どうなってしまうのでしょうか。
球切れの状態で公道を走行した場合の処罰と合わせて解説します。
車検には通らない
ポジションランプが点灯しない場合は整備不良と判断されるため、車検には不合格となります。
その場で新しいポジションランプに交換してもらうか、在庫がない場合は取り寄せが必要です。
車検に落ちてしまった場合は、再検査が必要になります。
初回の検査を含めて3回まで無料で再検査を受けることが可能です。
ポジションランプが原因で落ちた場合はポジションランプの部分のみ検査されるので、しっかりと点灯するように直しておきましょう。
走行すると違反になる
ポジションランプの球が切れた状態で公道を走行した場合は無灯火運転です。
無灯火運転は道路交通法第52条の違反に該当するため、5万円以下の罰金が科されます。
なお、信号待ちの際にポジションランプを消した場合も無灯火になるので注意してください。
無灯火の状態で事故を起こし相手に怪我をさせた場合は、重過失傷害罪等に問われたり損害賠償を請求されたりする恐れがあります。
まとめ
今回はポジションランプの役割や、車検に通るための保安基準について解説しました。
ポジションランプはヘッドライトをつけるまでもない時間帯に、車幅を周囲に知らせる重要な役割を担っています。
安全運転には欠かせないアイテムなので、保安基準に沿ったものを正しく取り付けることが大切です。
ポジションランプは非常に多くの種類が販売されています。
なかには車検に対応していないタイプのものもあるので、今回解説した選び方を参考にして自分の車種に合うものを選択してください。