自動車重量税をいくら納付しているか、正確に把握している人は多くないでしょう。
自動車重量税は車検時の法定費用に含まれているため、詳細を知らないまま支払っている方もいるかもしれません。
本記事では、自動車重量税の基礎知識から、エコカー減税や廃車時の還付条件について詳しく解説していきます。
車の買い替え時や維持費の管理にも役立つため、自動車重量税への理解を深めておきましょう。
車検時に支払う自動車重量税とは?
まずは、自動車税の基礎知識から確認していきましょう。
車の重量に応じて課される税金のこと
自動車重量税とは車両の重量に応じて課される税金であり、道路の整備や維持を支える重要な財源です。
道路は日常生活に欠かせないインフラですが、維持管理には多大なコストがかかるため、自動車重量税がこれらの費用を支えています。
なお、重い車ほど道路への負担が大きくなるため、車両の重量に応じて税額が決定されるのが特徴です。
たとえば、大型車は重量があり道路を傷めやすいため、税額は高めに設定されています。
一方の軽自動車やコンパクトカーは比較的軽いため、税額も低めです。
この仕組みは、道路利用者に対して公平な負担を求める考え方に基づいています。
車の重量に応じた税負担をすることで、誰もが快適に利用できる道路環境の維持に貢献します。
自動車重量税を決める項目
自動車重量税は、以下の4つの項目によって決まります。
- ・車両重量
・車種
・年数
・エコカー減税
車両重量とはその名のとおり車の重さのことで、0.5tごとに税額が変わります。
たとえば、バスやトラックなどの大型車は、乗用車に比べて道路への負担が大きいため、より高い税率が適用されます。
また、車の経過年数によって税率が変わるのが特徴です。
なぜなら、新しい車よりも古い車のほうが、排出ガスによる環境負荷が大きくなる傾向があるらです。
エコカー減税は後ほど詳しく解説していきますが、いわゆる「環境に優れた車」は減税対象になる制度のことで、燃費性能の良い車や電気自動車、ハイブリッド車などが該当します。
自動車の種類や状態に応じた税額を理解しておきましょう。
車検との関係性
自動車重量税は、車検を受ける際に支払うことが義務付けられています。
新車登録時とその後の車検時に税金を納めることで、車両が合法的に道路を走行するための権利を得られます。
車検は、車の安全性を確保する目的でも重要なプロセスです。
しっかりと車検を受けて、自動車重量税も納めましょう。
自動車重量税の費用一覧
自動車重量税の費用を、以下の2つに分けて紹介していきます。
- ・普通自動車
・軽自動車
普通自動車と軽自動車では費用が異なるため、しっかりと確認しておきましょう。
普通自動車
自動車重量税の基本的な税率は、以下のとおりです。
車両重量 | 新車登録 ~12年目 |
13年目 ~17年目 |
18年目以降 |
0.5t以下 | 8,200円 | 11,400円 | 12,600円 |
~1t | 16,400円 | 22,800円 | 25,200円 |
~1.5t | 24,600円 | 34,200円 | 37,800円 |
~2t | 32,800円 | 45,600円 | 50,400円 |
~2.5t | 41,000円 | 57,000円 | 63,000円 |
~3t | 49,200円 | 68,400円 | 75,600円 |
車両重量が0.5t変わるごとに費用が高くなり、さらに13年目と18年目でも増えていきます。
軽自動車
軽自動車の重量税は一律で課税されるため、車両重量による変動はありません。
ただし、普通自動車と同様に経過年数によって下記のように、費用が変動します。
経過年数 | 費用(2年分) |
新規検査から13年未満 | 6,600円 |
新規検査から13年経過 | 8,200円 |
新規検査から18年経過 | 8,800円 |
車検は2年に一度のため、2年分の税額が課されます。
ただし、エコカー減税が適用される場合は税額が減免されることもあり、費用を削減できます。
自動車重量税の勘定科目
自動車重量税は、会計上「租税公課」という勘定科目で処理されます。
法人や個人事業主が税金や公的な負担金を支払う際に使用される勘定科目で、経費管理の一環として重要です。
租税公課に含まれる支出を正確に仕訳することで、経営の透明性が保たれます。
とくに業務で車両を使用する事業者にとって、自動車関連の税金を適切に管理することは、確定申告や決算の準備に役立ちます。
経費管理の一環として、自動車重量税の処理は正しく行いましょう。
13・18年目で自動車重量税が上がる理由
自動車重量税が13年目と18年目で上がる理由は、環境負荷の軽減を目的とした政策の一環だからです。
古い車は、エンジンや排気ガス浄化装置が劣化し、最新の排出ガス規制に対応しないケースも多いため、環境への影響が大きくなる傾向です。
これにより、窒素酸化物や粒子状物質などを排出するため、大気汚染の原因になる可能性が高まります。
また、燃費が悪化することで二酸化炭素の排出量が増え、大気汚染や地球温暖化に繋がります。
そのため、政府は古い車に対する重量税を引き上げ、環境に優しい車への買い替えを促す政策を実施しているのが実情です。
環境負荷の軽減のためにも、重量税の増額を理解して適切な対応を検討しましょう。
自動車重量税を含めた車検費用の相場
車検費用は自動車重量税だけでなく、さまざまな費用が含まれますが、普通自動車の車検費用全体の相場は、7万円~20万円程度といわれています。
ここでは、車検費用の相場と費用の内訳について詳しく解説していくので、参考にしてください。
車検費用の相場
普通自動車の場合は、以下の費用が相場です。
自動車重量 | 費用相場 |
~1t | 7万円~15万円 |
1~1.5t | 9万円~17万円 |
1.5~2t | 11万円~20万円 |
軽自動車は、6万円~12万円が相場といわれています。
また、車種の重量が同じでも車検費用は依頼先によって大きく異なるのが特徴で、ディーラーで受けると高くなる傾向にあります。
依頼先と選択肢としては、ほかにも車検専門店やカー用品店などが挙げられますが、ユーザー車検であればさらに費用を抑えられます。
ユーザー車検とは自分で車検を通すことですが、車や整備に関する知識がある場合は選択肢のひとつです。
車検費用の内訳
車検費用は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
- ・法定費用
・車検基本料
・部品交換費用
法定費用とは国や保険会社に支払う費用のことで、どの業者に依頼しても変動はありません。
車検基本料とは車検を依頼する業者が設定する費用のことで、ディーラー車検が高くなる傾向にあります。
業者別に車検基本料の目安を表にまとめたので、確認しておきましょう。
業者の種類 | 費用相場 |
ディーラー | 35,000円~100,000円 |
カー用品店 | 15,000円~70,000円 |
ガソリンスタンド | 15,000円~75,000円 |
車検専門店 | 20,000円~65,000円 |
ユーザー車検 | 0円 |
なお、ユーザー車検は業者に依頼しないため、車検基本料はかかりません。
車検を依頼して、車のどこかに不具合が見つかった場合は「部品交換費用」がかかります。
年式の古い車ほど部品交換の項目が多くなるため、費用は高くなると想定しておきましょう。
車検時の自動車重量税が安くなるエコカー減税対象車とは
エコカー減税と聞いたことがあっても、具体的に知らない方も多いでしょう。
ここではエコカー減税の概要と、どれくらい費用が安くなるのかについて解説していきます。
なお、エコカー減税対象車をお持ちの方は車検費用が安くなる可能性があり、制度は2026年4月30日まで延長されました。
まだチャンスはあるため、確認しておきましょう。
エコカー減税の概要
エコカー減税対象車の大きな特徴は、自動車重量税が減税されることです。
エコカー減税とは、環境保護や経済的負担の軽減を目的とし、環境性能に優れた車を購入する際に適応する制度です。
車種のカテゴリーと、代表的な車種は次のとおりです。
車種のカテゴリー | 車種名 |
電気自動車(BEV)) | ・テスラ モデル3
・日産 リーフ |
燃料電池自動車(FCEV) | ・トヨタミライ |
プラグインハイブリッド車(PHEV) | ・トヨタプリウスPHV
・三菱 アウトランダーPHEV |
ハイブリッド車(HEV) | ・トヨタ プリウス
・ホンダ フィットハイブリッド |
天然ガス自動車(NGV) | ・トヨタカムリ |
クリーンディーゼル車(CDV) | ・マツダ CX-5 クリーンディーゼル |
上記の車両は排出ガス性能や燃費性能が高く、基準を満たすことで大きな減税を受けられます。
気になる車種があれば今のうちにチェックしておくと良いでしょう。
エコカー減税でどれくらい安くなるのか
先ほど紹介したエコカー減税が適用される対象車両は、自動車重量税が25%~100%減税されます。
ガソリン車であっても「2030年度燃費基準」を達成すると、自動車重量税は減税の対象です。
もし2030年度の燃費基準を120%以上達成している場合、自動車重量税の負担はありません。
しかし、2024年1月からは基準が段階的に厳しくなっているため、新車購入時は注意が必要です。
たとえば、クリーンディーゼル車は2024年1月以降、ガソリン車と同様の免税・軽減率になりました。
具体的な減税額は、国土交通省の公式サイトなどで確認できます。
エコカー減税を受ける際の注意点
エコカー減税を受ける際には、以下の点を理解しておくことが大切です。
- ・期間限定の制度
・申請手続きが必要
エコカー減税は本来2023年4月までの特例措置でしたが、物価高騰や半導体不足の影響によって2026年4月30日まで延長されました。
期間に限りがある制度であることは覚えておきましょう。
また、エコカー減税を受けるには各自治体窓口での申請が必要なため、準備すべき書類などは窓口に確認すると安心です。
先ほど、2024年1月1日以降は段階的に厳しい基準に変更されると解説しましたが、燃費基準を達成していれば自動車重量税が安くなり、車検費用の節約に繋がります。
適合する方は忘れずに、エコカー減税の申請をしておきましょう。
廃車にしたときは自動車重量税が還付される!
車検を通さずに、車の廃車を検討している方もいるでしょう。
しかし、廃車にする際は支払った自動車重量税の一部が戻ってくる可能性があります。
この制度は「自動車重量税の還付制度」と呼ばれ、一定の条件を満たすと重量税が月割りで還付される仕組みです。
ここでは還付される条件や還付金を受け取る方法、そして受取時期について詳しく解説していきます。
還付される条件
自動車重量税の還付を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。
- ・永久抹消登録
・残存期間
・自動車リサイクル法に基づいた解体
廃車には「永久抹消登録」と「一時抹消登録」があります。
永久抹消登録は二度と公道を走行しないよう手続きをすることで、認可を受けた解体業者で車を解体します。
また、車検が切れている場合は対象外であり、車検の残存期間が1カ月以上あることが条件です。
還付を受けるためには、上記の条件を満たしているか確認して申請しましょう。
還付金を受け取る方法
還付金を受け取る手順は次のとおりです。
1.運輸支局で永久抹消登録を行う
2.自動車運搬船の還付申請書を提出する
3.還付金が指定口座に振り込まれる。
還付金の計算方法は以下のとおりです。
還付金=納付した自動車重量税額×車検残存期間÷車検有効期間
計算方法はやや複雑なため、詳しくは国税庁のサイトを確認しましょう。
還付金が支払われる時期
還付申請をしてから還付金が支払われるまでには、2か月半程度とやや長めの期間を要します。
ただし、申請内容に不備があった場合や処理状況によっては、さらに時間がかかる場合もあるため注意が必要です。
廃車手続きと還付申請は、時間に余裕を持って行うようにしましょう。
まとめ
本記事では、車検時に支払う自動車重量税の基礎知識やエコカー減税、廃車時の還付制度まで幅広く解説しました。
自動車重量税は道路の維持・管理に欠かせない税金で、車検を受ける際には必ず支払う必要があります。
エコカー減税や廃車時の還付制度を活用すれば、自動車重量税を節約できるかもしれません。
また、廃車にする際には一部の自動車重量税が還付される制度もあります。
ぜひ本記事を参考に自動車重量税の知識をつけ、車検の際に役立ててください。