車検は車を安全に運転し続けるために必要な手続きで、定期的に受けることが義務付けられています。
しかし、転勤や引っ越しなどの事情によって、県外で車検を受けなければいけない場合もあるでしょう。
そこで気になるのが「県外で車検を受けることは可能なのか」という点です。
本記事では、県外で車検を受けることができるケースとできないケース、さらに必要な書類や注意すべき点を、詳しく解説していきます。
県外で車検を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
県外でも車検を受けられる?
結論、県外でも車検を受けることは可能です。
ただし、スムーズに進めるための準備は必要であり、注意点もあります。
ここでは、県外で車検を受けられるケースと受けられないケースについて、詳しく見ていきましょう。
県外で車検を受けられるケース
県外で車検を受けられるのは、以下の2つのケースです。
- ・継続車検
・納税証明書が手元にある
それぞれのケースを解説していきます。
継続車検
県外で車検を受けるためには「継続車検」であることが条件となります。
車検にはいくつか種類がありますが、最も一般的なものが継続車検です。
継続車検とは、現在使用している車を引き続き安全に走行させるために、定期的に行う検査のことを指します。
とくに2回目以降の車検がこれに該当し、ナンバープレートの変更が必要なく、車の登録情報に大きな変更がない限り、県外での手続きも問題なく進められます。
納税証明書が手元にある
納税証明書が手元にある場合も、県外でも車検を受けることが可能です。
通常、毎年5月頃に自動車税事務所から納税通知書が送られてきますが、この通知書には納税証明書が付いています。
この証明書は自動車税を支払った証拠となり、車検を受ける際に提出する必要があります。
車検時にはこの納税証明書が手元にあるかどうかを確認しておきましょう。
もし納税証明書を紛失してしまった場合には、再発行の手続きを行うことも可能です。
なお、県内で受ける通常の車検であれば、納税証明書の提出は原則不要となりました。
県外で車検を受けられないケース
県外で車検を受けられないケースは以下の4つです。
- ・新規車検
・車の構造等変更の手続きの車検の場合
・自動車税を滞納している
・必要書類がない
それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。
新規車検
県外で車検を受けられないケースのひとつとして、新規車検があります。
新規車検とは、まだナンバープレートが発行されていない新車や、一度登録抹消された車両を再び登録するための手続きです。
この手続きは税金の納付やナンバープレートの発行が必要となるため、住民票に記載されている地域の運輸支局でしか、行うことができません。
つまり、県外での新規車検は原則として不可能なため、注意しましょう。
車の構造等変更の手続きの車検の場合
構造変更車検の場合も、県外での手続きは難しいです。
構造変更車検とは、車の仕様やサイズ、積載量などに大きな変更を加えた場合に行う車検で、改造や特別な設備の設置が伴います。
この場合も、車検証に記載されている地域の運輸局でしか、手続きを進めることができません。
たとえば、車椅子対応の車に改造したり、エンジンを載せ替えたりするといった場合が該当します。
このような変更は、厳密な検査と新たな登録が必要となるため、管轄地域以外では手続きが進められません。
自動車税を滞納している
自動車税を滞納している場合も、車検を受けることができません。
毎年5月に自宅に納付書が届きますが、自動車税を期限内に納付しないと車検の際に必要な納税証明書が発行されません。
滞納が続くと延滞金が発生し、最悪の場合は財産の差し押さえにまで発展することもあるため、気を付けましょう。
必要書類がない
県外を問わず、必要書類が揃っていない場合も車検を受けられません。
車検を受ける際には必要書類を用意しなければならず、揃えられない場合は車検を進めることができません。
必要な書類は後述しています。
また、引っ越しを伴う場合には、自動車保管場所証明書(車庫証明書)と住民票も必要です。
とくに、車庫証明書は発行までに1週間ほどかかる可能性があるため、余裕を持って申請しておくことが大切です。
県外車検時に納税証明書を紛失した際の対処法
県外で車検を受ける際、納税証明書を紛失していると手続きが進められません。
この証明書は、自動車税がきちんと納付されていることを確認するために必要で、県外車検時に必須となる書類のひとつです。
ただし、納税証明書を紛失してしまった場合でも、適切な手続きを行えば再発行が可能です。
ここでは、普通自動車と軽自動車それぞれの場合の再発行方法について、詳しく解説していきます。
普通自動車
普通自動車の場合、自動車税は各都道府県の自動車税事務局が管轄となっています。
そのため、納税証明書を再発行する際は、ナンバープレートに記載されている都道府県の自動車税事務局や支所で手続きを行いましょう。
手続きの方法は以下の2つがあり、都合に合わせて選べます。
- ・直接窓口に足を運ぶ
・郵送で申請を行う
窓口での手続きはスムーズに進むのがメリットで、基本的にその場で再発行が完了します。
車検が差し迫っているときや、急ぎで証明書が必要な場合には、窓口で手続きを行いましょう。
一方の郵送での手続きを選んだ場合、再発行された証明書が手元に届くまでに、数日から一週間程度かかることがあります。
郵送での手続きを選ぶ際は、車検の日程に余裕を持って申請を進めることが重要です。
また、再発行の手続きを行うためには、以下の必要書類を準備する必要があります。
- ・本人確認書類
・車検証
・印鑑
基本的には手数料は無料ですが、一部の自治体では数百円の手数料がかかることがあるため、事前に確認しておくと安心です。
また、各自治体によっては手続きに必要な書類が多少異なる場合があるため、事前に自動車税事務所に問い合わせるのがおすすめです。
軽自動車
軽自動車の場合は普通自動車と異なり、居住している地域の市区町村の役所によって行われています。
そのため、納税証明書の再発行手続きも、各市区町村の役所で行う必要があります。
手続き方法としては、窓口での直接申請と郵送での申請が選べるため、自分の都合に合わせて適切な方法を選ぶことが可能です。
窓口での申請であれば、その場で再発行が完了するため急ぎの場合でも対応できます。
車検が近づいているときや時間的に余裕がない場合には、直接役所を訪れて手続きを行うと良いでしょう。
一方で郵送による申請も可能であり、時間的な余裕がある場合には自宅から申請できるため便利です。
ただし、郵送手続きでは納税証明書が自宅に届くまでに多少の時間がかかることがあるため、スケジュールを考慮して申請を行うことが大切です。
軽自動車の納税証明書を再発行する際は、以下を提出する必要があります。
- ・本人確認書類
・車検証
・印鑑
通常、軽自動車の場合も再発行手数料がかからず、無料で手続きを進めることができます。
ただし、各市区町村によっては手続きに必要な書類が異なることもあるため、事前に問い合わせを行いましょう。
県外で車検を受けるために必要な書類
県外で車検を受けることが決まった際に「何を準備すればよいのか」と疑問に思う方も多いでしょう。
普段の車検と大きな違いがあるわけではありませんが、県外での手続きに必要な特有の書類や、注意点がいくつかあります。
ここでは、県外での車検に必要なものをリストアップし、それぞれ詳しく解説していきます。
住所変更がない場合
県外で車検を受ける場合でも住所変更がないときは、以下の書類を揃えれば、比較的シンプルに手続きを進めることができます。
- ・自動車検査証(車検証)
・自動車納税証明書
・自賠責保険証明書
・車検費用、印鑑、ロックナットアダプター
自動車検査証(車検証)は、車を購入した際に発行される非常に重要な書類です。
これは、車が国の定める安全基準を満たしていることを証明するもので、車検の際には必ず提出しなければなりません。
車検証は、運転中に携帯することが法律で義務付けられており、通常は車内のダッシュボードなどに保管している方が多いでしょう。
県外で車検を受ける際にもこの車検証が必要になるため、忘れずに持参することが大切です。
続いての自動車納税証明書は、県外車検時には必須書類のため、納付後は手元に保管しておくことが重要です。
もしも紛失してしまった場合は、事前に再発行の手続きをしましょう。
自賠責保険に加入していることを示す、自賠責保険証明書も必要です。
車検証と同じく、車を運転する際には携帯が義務付けられているため、車検証と一緒に車内に保管している方が多いでしょう。
紛失してしまった場合には、保険会社に連絡して再発行の手続きを依頼することが可能ですので、早めに対応しておくと安心です。
加えて車検を受ける際の車検費用や印鑑、必要に応じてロックナットアダプターも持参しましょう。
引っ越しをした場合
住民票の移動を伴う引っ越しをした場合は、先ほどの書類に加えて以下も追加で必要になるため、注意しましょう。
- ・車庫証明
・住民票
車庫証明は、車を駐車する場所が確保されていることを証明する書類です。
引っ越しに伴い住民票の住所が変更された場合は、新しい住所で車庫証明を取得する必要があります。
この手続きは、最寄りの警察署で行うことができ、申請から証明書の発行までに1週間程度かかることもあるため、早めに準備しておきましょう。
車庫証明が必要なのは引っ越しをした場合のみですが、業者に発行を依頼することも可能です。
また、車検時には新しい住民票が必要になることがあります。
もしも車検証の住所変更をしていない場合は、住所変更手続きを同時に進めることも可能です。
県外で車検を依頼できる場所
県外での車検は、以下の場所で依頼できます。
- ・ディーラー
・車検専門店
・ガソリンスタンド
・カー用品店
・整備工場
・車検代行
ここでは、県外で車検を依頼できる場所について詳しく見ていきましょう。
ディーラー
ディーラーは車検整備の質が高く、自動車メーカーの正規の手順やノウハウに基づいて作業が行われます。
パーツ交換が必要な場合は純正部品を使用するほか、整備品質においても信頼性が高く、安心して依頼できます。
とくにディーラーが扱っているメーカー車に関しては、豊富な情報や経験をもmとに整備が行われるため、車種ごとの弱点も把握されています。
車種によるものの整備費用の相場は7万円〜8万円ほどで、品質重視の方におすすめです。
車検専門店
車検専門店は、スピーディーかつ効率的に車検を行うことに特化しています。
多くの場合は指定工場として認定されており、その場で整備から車検検査までをスムーズに行えるのが特徴です。
1時間程度で完了する店舗もあり、忙しい方に適しています。
また、車検に必要な設備や技術がしっかりしているため、全国どこでも均一なサービスを受けることができます。
整備費用の相場は6万円〜8万円で、時間を節約したい方におすすめです。
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドでも車検を行うサービスが増えており、日常的に利用する場所で気軽に依頼できるのが魅力です。
また、車検を依頼するとガソリン割引券がもらえるなど、独自の特典も提供されることがあります。
ただし、併設工場がない場合は外部の業者に委託するため、整備に時間がかかることもあります。
技術面での不安が残る場合もありますが、費用は比較的安く5万円〜7万円程度の相場です。
ガソリンスタンドは、手軽さとコスト重視の方に向いています。
カー用品店
カー用品店では、普段の買い物のついでに車検を依頼できる気軽さが魅力です。
パーツやオイルなどを自分の好みで選べるため、個々のニーズに応じた整備ができます。
ただし、車検整備に特化していないため、技術や設備面ではディーラーや専門店に劣る可能性があります。
車検の費用は比較的リーズナブルで、6万円〜7万円ほどの相場です。
自分好みの部品を使いたい方や、手軽に車検を済ませたい方に適しています。
整備工場
整備工場は地域に密着しており、地元の住民に親しまれている車検の依頼先です。
指定工場ではその場で車検を行えるためスムーズに対応できますが、認証工場の場合は陸運支局に持ち込む必要があり、時間がかかることもあります。
費用面ではディーラーや車検専門店よりも安く、5万円〜8万円程度で整備が可能です。
地元に馴染みのある工場で、信頼性を重視しつつコストを抑えたい方におすすめです。
車検代行
車検代行は、業者が車を陸運支局に持ち込んで、書類の作成や検査を代行するサービスです。
整備自体は含まれないことが多く、通過しなかった場合は再整備が必要になることがあります。
認証工場や指定工場として車検整備を行う業者もありますが、整備技術や設備の面ではほかの選択肢に劣ることが多いです。
費用の相場は5万円〜7万円ほどで、品質よりもとにかく費用を抑えたい方に適したサービスです。
県外で車検を受ける際に注意するべきこと
県外で車検を受けることは可能ですが、スムーズに進めるためには以下の注意点を押さえておくことが大切です。
- ・必要書類を確認する
・住民票を変更しておく
・ナンバープレートを変更しておく
ここでは、それぞれの注意すべきポイントを詳しく解説していきます。
必要書類を確認する
県外で車検を受ける際は通常の車検と同じく、必要書類を揃えておくことが重要です。
自動車検査証(車検証)、自動車納税証明書、自賠責保険証明書などの必須書類を事前に確認し、忘れずに準備しておきましょう。
これらの書類が揃っていなければ車検を受けることができません。
紛失してしまった場合は、早めに再発行手続きを行うことが大切です。
住民票を変更しておく
車検証の住所変更も15日以内に行う必要があり、これを怠ると所有者には50万円以下の罰金、使用者には30万円以下の罰金が科されます。
処罰されないためにも、なるべく早く対応しましょう。
また、引っ越し後に住民票の変更手続きを忘れてしまうと、自動車税の納税通知書が旧住所に届いてしまい、知らずに滞納するリスクが高まります。
自動車税の滞納は延滞金が発生するだけでなく、車検を受けられなくなる可能性もあります。
そのため、現住所に合わせて住民票を変更することが重要です。
ナンバープレートを変更しておく
ナンバープレートを変更していない場合でも、県外で車検を受けることは可能です。
しかし、ナンバープレートの変更を行っていないことで、住所変更に伴う手続きを見落としている場合があります、
その結果、自動車税の納付が適切に行われないケースも少なくありません。
引っ越しをした際には、車検証の住所変更に加えて、ナンバープレートの変更も行うことが重要です。
ナンバープレートの変更は、普通自動車であれば350円の登録変更手数料がかかりますが、軽自動車は手数料が無料です。
ない、管轄の地方運輸局や軽自動車協会が変更されない場合は、ナンバープレートの変更は不要です。
まとめ
県外で車検を受けられるケースとして、継続車検で自動車納税証明書が手元にあれば日本全国どこでも対応が可能です。
一方で、新規車検や車の構造等変更の手続きが必要な場合は、県外で受けられません。
また、書類が揃っていないと車検を受けられないため、紛失している場合は早めに再発行手続きを行いましょう。
車検を依頼する業者は、サービス内容や料金を比較し、自分に合ったところを選ぶことが大切です。
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