車で公道を走行するには、定期的に車検を受けなければなりません。
しかし車検に出している間は車を使用できず、不便に感じる方が多いでしょう。
そこで本記事では、車検にかかる時間や車検時間を短縮する方法について紹介していきます。
車検にかかる時間を短くしたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
車検にかかる時間はどのくらい?
ここでは、車検にかかる時間について解説します。
車検にかかる平均時間
車検にかかる時間は、平均して1日程度です。
しかし、業者や車の状況によっては30分で終わることもあれば、2日~3日かかる場合もあります。
一般的には午前中に業者に車を預けて夕方や翌日以降に受け取ることが多いものの、短時間での完了を希望する場合は事前に業者に確認しておくと安心です。
車種や車の状態で異なる
車検にかかる平均時間は1日ほどですが、車種や車の状態によって大きく変動します。
新車や走行距離が少ない車は、部品交換や整備の必要が少ないため、比較的早く終了することが多いです。
一方で大型車や年式が古い車、走行距離が長い車は部品交換や整備箇所が増えるため、平均よりも長い時間がかかる可能性があります。
とくに、生産が終了している部品の取り寄せや海外からの部品輸送が必要な場合は、数日かかることもあります。
車検依頼先によっても異なる
車検依頼先によっても、かかる時間は異なります。
ここでは、車検依頼先ごとの車検にかかる時間をご紹介していきます。
車販売店
車販売店に車検を依頼すると、店舗により所要時間に差はあるものの、最近では1日で完了するケースがほとんどです。
なかには1時間ほどで終了する場合もあり、短時間での車検を希望する方には適した選択肢といえます。
ディーラー
ディーラー車検でかかる日数は、平均で2日~3日程度です。
ディーラーでは、予防整備や推奨される部品交換も行うため、比較的時間がかかることが一般的です。
ただし、場合によっては即日で終了することもあるため、早めに完了させたい場合は事前にどれくらいかかるかを確認しておくと安心です。
整備工場
整備工場には町工場や個人経営の工場が含まれており、車検終了までの期間は平均1日~2日程度です。
ただし、車の状態や工場の混雑状況によっては2日~3日かかることもあるため、予算やスケジュールに合わせて整備工場を選ぶと良いでしょう。
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドでの車検は、曜日によって変動があります。
早い場合は半日ほどで完了しますが、土日祝日にかかると3~4日程度必要なこともあります。
なぜならガソリンスタンドが整備工場を持っておらず、車検を陸運局に持ち込んで行うからです。
混雑状況やスタッフ数によっても時間が異なるため、事前に確認しておきましょう。
中古車販売店
中古車販売店は店舗の規模にもよりますが、大手の場合は平均2日~3日で完了します。
見積もりから点検、整備まで一貫して行うため短期間で一定の品質が確保される傾向にあります。
知識が豊富なスタッフが多く在籍していることから、中古車販売店で車検を受ける場合は大手に依頼するのも選択肢のひとつです。
車検専門店
車検専門店はスピーディーな対応が魅力的で、スピーディーに車検を終えたい方におすすめです。
車検専門店には「指定整備工場」と「認証工場」の2種類があり、指定整備工場では自社内で整備から検査まで一貫して行えるため、約2~3時間で車検が完了することもあります。
一方で認証工場は陸運局に持ち込む必要があるため、1~2日ほど時間がかかるのが一般的です。
依頼先が指定整備工場か認証工場か確認しておくと、所要時間の目安がつきやすいでしょう。
車検の工程
車検の工程を大まかに理解しておくことで、実際に手続きを進める際に慌てずに済みます。
車検の主な工程は以下の5つです。
- 1.車検予約と見積もり
2.法定点検
3.整備作業
4.検査作業
5.書類手続き
それぞれの工程について解説していきます。
車検予約と見積もり
まずは車検を依頼する業者を選び、予約と見積もりを行いましょう。
車検の予約期間はとくに制限はありませんが、一般的に車検満了日から1ヶ月前の期間内で行うと、次回の車検満了日が早まらずに済むためおすすめです。
予約や見積もり方法には、電話・公式サイトの問い合わせフォーム・メールなどがあり、業者によってさまざまです。
事前に予約方法を確認しておくとスムーズに手続きが進められるでしょう。
法定点検
車検は車のタイプや用途によって、有効期間が異なりますが、乗用車であれば基本的には新車登録から3年、初回以降は2年ごとに受けるのが一般的です。
初回以降の車検に関しては24ヶ月法定点検も含まれるため、覚えておきましょう。
24ヶ月法定点検とは、その車が保安基準に合っているかどうかを確認するための検査です。
保安基準に合っているか点検して、点検内容を記録した記録簿が発行されます。
24ヶ月法定点検にかかる時間の目安は車の状態や混雑状況によっても異なりますが、記録簿の記入を含めて1~2時間程度が一般的です。
ただし、車の状態や整備の混雑状況によって多少前後する場合があるため、目安程度に考えておきましょう。
整備作業
車検時には、劣化している部品の交換や修理などの整備作業が必要になります。
一般的な部品は即日で対応できることが多いですが、年式が古い車や輸入車の場合は、部品の取り寄せに時間がかかることもあります。
また、整備後の検査で不具合が発見されると追加の整備が必要になり、車検完了までの時間が延びる場合があります。
整備作業が必要な場合は、事前に所要時間について確認しておくと良いでしょう。
検査作業
検査作業は車検のなかでもとくに重要な工程で、整備が完了したあとに交換された部品の機能性や車全体の安全性を確認します。
問題がなければ、通常は10分〜20分程度で作業は終了します。
また、この検査作業に合わせて24ヶ月点検も実施し、車が保安基準を満たしているかどうかを確認します。
とくに問題がなければ、こちらも15分程度で完了することがほとんどです。
書類手続き
車検が無事に通過すると「適合標章」と呼ばれる仮の証明書が発行されます。
この証明書には検査内容や今後のメンテナンスについての情報が記載されているため、しっかり目を通しておきましょう。
その後、陸運局で正式な証明書が発行され、郵送または来店で受け取ることですべての車検手続きが完了します。
車検に時間がかかる理由
車検に時間がかかる理由は、以下のとおりです。
- ・整備項目が多い
・繁忙期
・整備士が少ない
・認定工場だと指定工場よりも時間がかかる
・部品の取り寄せに時間がかかる
それぞれの理由について解説していきます。
整備項目が多い
整備項目が多い場合は、車検にかかる時間も長くなる傾向があります。
とくにディーラー車検では自社ブランドの信頼性を守るため、車検項目以外の部分まで丁寧に点検・整備することが一般的です。
ディーラーでの車検は通常1日から数日かかりますが、時間短縮のため複数のスタッフで点検・整備を行うサービスを提供している場合もあります。
繁忙期
車検の繁忙期には、通常よりも時間がかかりやすくなります。
車検の繁忙期は11月~3月で、新生活を始める前に新車を購入するユーザーが増える3月は、とくに混雑が予想されます。
この期間に車検を予定している場合は、余裕を持って早めに予約をしておくと安心です。
繁忙期にはディーラーやガソリンスタンドがとくに混雑しやすいため、どの業者に依頼するかもよく検討しておきましょう。
整備士が少ない
整備士の数が少ない場合も、車検に時間がかかる要因となります。
とくに、小規模な整備工場では整備士の人数が限られているため、混雑時に人手が足りず待ち時間が長くなってしまうことがあります。
一方の車検専門店などは車検に特化した業者は整備士が多く、スピーディーに対応できるケースが多いため効率重視の方に向いています。
依頼先の規模や整備士の数も確認し、迅速に対応できる業者を選ぶと良いでしょう。
認定工場だと指定工場よりも時間がかかる
認定工場では、指定工場よりも車検に時間がかかる傾向があります。
認定工場では整備が完了したあとに運輸支局に車を持ち込み、車検検査を実施する必要があるためです。
一方の指定工場では、整備から車検検査までを自社で完結できるため、時間の短縮が可能です。
認定工場か指定工場かは標識で判別できますが、分からない場合は事前に問い合わせると良いでしょう。
部品の取り寄せに時間がかかる
車検時に交換が必要な部品のなかには取り寄せが必要な場合もあり、その際は時間がかかることがあります。
とくに輸入車や特殊車両、特注部品が必要な車種などは、部品の取り寄せに通常以上の時間がかかることも珍しくありません。
部品の供給状況によっても、車検の所要時間が左右される点を理解しておきましょう。
車検時間を短くするには?
車検時間を短くするには、以下の方法が挙げられます。
- ・大手中古車販売店へ依頼する
・定期的にメンテナンスを行う
・不要な整備を省く
・必要書類を揃えておく
・ユーザー車検を利用する
・部品交換がある場合は事前に伝える
車検にかかる時間を短縮するためのコツを確認しておきましょう。
大手中古車販売店へ依頼する
車検時間を短縮したい場合は、大手中古車販売店に依頼するのがおすすめです。
大手の店舗には専門知識を持つ整備士が多く在籍しており、効率的かつスピーディーに車検を行ってくれます。
また、必要な修理や部品交換が発生した場合も店舗に在庫があったり、迅速に手配できる体制が整っていることが多く、車検にかかる時間を短縮できるのも強みです。
忙しい方や早く車を返却してほしい方にとって、大手中古車販売店は便利な選択肢といえるでしょう。
定期的にメンテナンスを行う
車検に時間がかかる原因のひとつは、車の状態が悪いために、整備や交換が必要となる箇所が多いことです。
定期的にメンテナンスを行っておくと不具合を早期に発見・整備できるため、車検時の作業も少なくなり結果として車検時間を短縮できます。
法定点検の12ヶ月点検に加えて定期的に自分でも車の状態を確認すると、車検をスムーズに済ませられるだけでなく安全な走行にも繋がります。
車や整備に関する知識も得られるため、おすすめです。
不要な整備を省く
車検の際は不要な整備項目を省くことで、時間と費用を節約できます。
いくつかの車検パッケージには、必須ではない整備項目が含まれていることがあります。
そのため、見積もりで提示された整備内容をしっかり確認して必要な整備のみを依頼するのも、ひとつの手段です。
整備の質を重視したい方には向いていませんが、時間やコストの削減に繋がります。
必要書類を揃えておく
車検に必要な書類を事前に揃えておくことで、スムーズに車検を進めることが可能です。
車検に必要な書類は、以下のとおりです。
- ・車検証
・自賠責保険証明書
・印鑑
車検のタイミングによっては、上記に加えて自動車納税証明書が必要なケースもあります。
事前にこれらを用意しておくことで、車検の手続きをスムーズに進められ、車検時間の短縮に繋がるでしょう。
ユーザー車検を利用する
業者に依頼せずに自分で車の整備や点検を行う「ユーザー車検」を利用すれば、時間と費用の両面でメリットがあります。
ユーザー車検は早ければ30分程度で済むことも多く、さらに車検基本料がかからないため車検費用を大幅に抑えられます。
しかし、万が一ユーザー車検に通らなかった場合、自己修理や再手続きが必要になり、かえって手間が増えるリスクも想定しておきましょう。
車の構造や整備に関する知識がある方にはおすすめの方法ですが、初心者には少し難易度が高い方法だといえます。
部品交換がある場合は事前に伝える
車検で部品交換が必要と分かっている場合、事前に業者に伝えておくと車検手続きがスムーズです。
とくに調達に時間がかかる部品や輸入車の部品は、事前の準備が重要です。
また、広範囲の整備が見込まれる場合でもあらかじめ内容を伝えておくことで、車検時間の予測がしやすくなります。
効率よく車検を進めるためにも、事前に伝えることを心がけましょう。
まとめ
車検はさまざまな工程があるため、時間がかかる傾向にあります。
しかし、車検依頼先の選択や対策によって、車検時間を短縮することも可能です。
車検時間を短くしたい方は車検依頼先の特徴を把握して、適した業者を選定しましょう。