「保険なしで車の修理をするのは無謀?」
「任意保険に入っていないと直すのはやっぱり厳しい?」
といったお悩みや疑問をお持ちの方はいるのではないでしょうか。
事故を起こした際の保証のためにある保険ですが、利用すると保険料が上がります。
そのため、車を直すために自動車保険を使うと固定費が上がり家計が苦しくなることもあるかもしれません。
本記事では、保険なしのほうが良いケースや反対に使用したほうが良いケース、パーツ別の費用相場などを解説します。
車の修理で保険を使わないほうが良いケース・判断基準
車の修理で保険を使わないほうが良いケース・判断基準をご紹介します。
軽い傷や凹みの自損事故は使わないほうが良い
保険を使わないほうが良いケースとして「軽い傷や凹みの自損事故」が当てはまります。
事故を起こしたことでできた傷を直す際に保険を適用させると、翌年から保険の等級が下がり保険料が上がるためです。
事故による等級ダウンは「事故あり係数適用期間」というものがあります。
事故ありの等級は1年間続くため、たとえば、2等級ダウンした場合は3年目に等級が元に戻ります。
保険料は節約が難しいうえに固定費です。
増額すると月々または年間のベースでかかる出費額が増えてしまいます。
数千円であれば保険を使用するのはもったいないため、自費による支払いをおすすめします。
判断基準
保険を使用するかどうかは、等級が戻るまでに支払う保険料と修理費用を比較して決めます。
等級ダウンし余分に支払う保険料が修理費用より安ければ、保険を適用したほうがお得です。
たとえば、修理費用の60万円と保険を使って3等級ダウンした場合を比較します。
<3等級ダウンした保険料の例>
保険を使う場合 | |
事故した年 | 無事故14等級:70,000円 |
1年後 | 事故有11等級:116,670円 |
2年後 | 事故有12等級:113,750円 |
3年後 | 事故有13等級:110,830円 |
合計額 | 411,250円 |
※実際の保険料と異なる場合があります
修理費用の60万円と等級が戻るまでに支払う保険料の合計額を比較すると、保険料のほうが低額です。
このような場合は、自費よりも保険適用のほうがお得です。
自費で修理したほうが良い例は、上記の保険料の場合40万円以下の場合となります。
自損事故による建造物の修理は対物賠償保険が適用される
「自損事故により家の生垣を壊してしまった」「電柱を倒してしまった」といった物損修理は「対物賠償保険」で補償できます。
対物賠償保険は、ご自身以外の車両や建造物の補償に特化した保険です。
もし加入していない場合、自費で弁償しなければなりません。
賠償金額は破損させたものによって異なりますが、ガードレールは5,000円〜50,000円、照明柱は100,000円〜500,000円が相場です。
車両保険とはまた別物であるため、追加で対物賠償もつけておくと安心です。
車修理の費用相場
車の修理費用の相場と保険を使わない場合はどうなるのかを解説します。
修理費用の相場は、傷の種類と修理箇所別に分けてご紹介していますので、ご自身の車の状況に合わせて参考にしてください。
保険を使わない場合は自損事故の車両修理代は高額
自損事故の車両修理代は非常に高額であるため、、保険なしで修理しようとするのは難しいかもしれません。
現代の車は衝突事故の衝撃が乗車している人に伝わりにくくするため、凹みやすいような構造になっています。
そのため、衝突まではいかなくても、軽くぶつけただけで大きく凹むこともあるのです。
もしそうなった場合、フレームごと凹み交換が必要となるケースもあり、修理費用で、数百万円することもあります。
傷の種類別の費用相場
すり傷と凹みに分けて費用相場をご紹介します。
すり傷の修理
すり傷は塗装で対応します。
傷が浅い場合は自力で塗装することもできますが、下地までの深い傷はプロの依頼が必須です。
すり傷の修理費用は、傷のサイズや部品によって異なります。
傷のサイズでいうと、小さい傷は8,000円、大きいサイズだと30cm程度で20,000円が相場です。
しかし、傷が深いと小さいものでも10,000円超えることも珍しくありません。
また、修理費用は修理の依頼先でも変動します。
ディーラーに依頼する場合は他の業者に比べて高くなりやすいため、保険を使わないと支払いが難しい可能性があります。
凹みの修理
凹みの修理は板金と塗装で対応します。
板金とは、金属の凹みをハンマーやパテで直す方法です。
凹み傷は、すり傷よりも修理費用は高額の傾向にあります。
高い技術を要するうえに修理方法が大掛かりであるためです。
車種や修理箇所にもよりますが、国産車のドアを板金修理する場合、100,000円〜200,000円が相場です。
それに加えて、塗装費用もかかります。
すり傷と同様、修理の依頼先によっても費用は変動します。
ディーラーに依頼する場合は、すり傷同様、保険を適用しないと支払いが難しい金額を請求される可能性があります。
修理箇所別の費用相場
修理が必要な箇所ごとに費用相場をご紹介しています。
今回紹介しているパーツは以下です。
- ・エンジン
・フレーム
・ドア
・バンパー
・サイドミラー
・フェンダー
・ルーフ
・ボンネット
では、一つずつご紹介していきます。
エンジンの修理
エンジンの修理はエンジン本体そのものを交換するケースが多く、国内製造のエンジン本体は300,000円〜500,000円が相場です。
しかし、工賃なども含め100万円を超えることもよくありますが、外車や高級車はさらに高額です。
エンジンブローや不具合を感じた場合でも、最低でも100万円かかると覚悟しておいたほうが良いでしょう。
部品修理の場合は、費用が安い車種でも200,000円、一般的な国産車は500,000円が相場です。
ハイブリッドカーや高級車、外車の場合はさらに高額です。
エンジン本体を交換するほうが安く収まるケースが多く見受けられます。
付け加えると、エンジンではなくエンジンルームにある部品が原因で不調を起こしている場合の相場は以下のとおりです。
部品 | 相場 |
Ⅴベルト | 15,000円〜20,000円 |
タイミングベルト | 5,000円〜数十万円 |
イグニッションコイル | 8,000〜64,000円 |
ウォーターポンプ | 10,000円〜70,000円 |
ラジエーター | 1,000円〜100,000円 |
タービン | 80,000円前後 |
フレームの修理
フレームは車の骨格部分であり、修理費用は10万円〜100万円が相場です。
高額になる理由は、フレームを直す際に周辺のパーツの解体・組み立ての作業が発生するためです。
フレームを元の状態に近づける方法は、板金加工が一般的です。
ある程度の歪みや凹みを取ることはできるものの、完全に元に戻すことは困難であるため、損傷具合によっては廃車になることもあります。
フレームの歪みは走行に影響し、まっすぐ走らない状態になります。
安全性を考え、新たに車を購入することも検討したほうが良いかもしれません。
ドアの修理
ドアの修理方法は傷、凹みの種類や度合いによって異なり、相場も大きく異なります。
小さな傷の場合は塗装で対応することになり、1,000円〜40,000円が相場です。
軽度の凹みを板金と塗装で対応する場合は20,000〜60,000円、交換する場合は100,000円以上です。
高級車が外車の場合はさらに高額になる可能性があるため、該当する方は必ず見積もりを出してもらい確認しましょう。
バンパーの修理
バンパーの修理費用は、バンパーの種類や損傷レベルによって異なります。
傷が小さい場合や少しの凹みであれば10,000円程度で直せますが、すり傷の塗装で30,000円かかることもあるのです。
また、傷が深かったり大きかったりする場合は交換が必要となり、相場は50,000円〜200,000円と金額が大きく跳ね上がります。
加えて、フロントバンパーよりもリアバンパーのほうが修理費用が高い傾向です。
リアバンパーはデザインが複雑であることが多く、高いスキルがなければ難しい箇所であるためです。
さらに、車種によっても変動し、高級車や外車はさらに高額になる可能性があります。
サイドミラーの修理
サイドミラーの修理費用は、損傷レベルや交換部品によって異なります。
小さなかすり傷の場合は数百円~5,000円で直せますが、交換となると数万円かかります。
交換部品ごとの相場は以下のとおりです。
部品 | 相場 |
ミラーのみ | 1,500円~3,000円 |
カバーのみ | 8,000円~10,000円程度 |
ミラー+カバー | 10,000円前後 |
モーターごと | 24,000円前後 |
車種によっても異なるため、確実な費用は見積書で確認してください。
フェンダーの修理
フェンダーの修理費用の相場は、傷のサイズや数、交換適用の有無によって大きく異なります。
傷が10x10cm程度の相場は30,000円、30x30cm程度は40,000円〜50,000円です。
凹みがある箇所が少量の場合の相場は40,000円、数か所ある場合は50,000円です。
交換を必要とする場合、ディーラーは100,000円以上と高額ですが、板金業者の場合は50,000円〜80,000円が相場となっています。
ルーフの修理
ルーフは車の屋根部分のことであり、修理費用は傷の種類によって異なります。
傷の種類 | 相場 |
傷(10㎝×10㎝) | 35,000円~60,000円 |
凹み | 50,000円~100,000円 |
錆 | 35,000円~80,000円 |
ルーフに傷がついた場合は、傷の修理と部分塗装が行われます。
内訳は、傷の修理がおよそ5000〜10000円、部分塗装代が30,000〜50,000円が相場です。
凹みは部品の脱着、凹み修理、部分塗装が行われます。
内訳の相場は、脱着費用が5,000〜15,000円、凹み修理が10,000〜25,000円、部分塗装が30,000〜50,000円です。
錆びは症状の進行具合によって費用が異なります。
錆びのみの場合は5,000円~20,000円、穴があいた錆びの場合は5,000円~30,000円が相場です。
追加で塗装費用の30,000〜50,000円がかかることも把握しておきましょう。
ボンネットの修理
ボンネットの修理費用は、凹み具合や依頼先の業者によって異なります。
業者 | 10cm以内 | 10cm~20cm | 20cm以上 |
ディーラー | 60,000円以上 | 70,000円以上 | 80,000円以上 |
板金業者 | 25,000円程度 | 30,000円程度 | 40,000円程度 |
カー用品店 | 40,000円以上 | 40,000円以上 | 60,000円以上 |
凹み具合がひどく交換しなければならない場合は、工賃や部品代、塗装費用を含めておよそ100,000円が相場です。
保険なしの車の修理代をできるかぎり抑える方法
保険なしで車を直す際に役立つ、できる限り費用を抑える方法を3つご紹介します。ポイントは以下の3つです。
①保安基準に適合する最低限のラインに留める
②交換部品を社外や中古パーツにする
③相見積もりで安いところを選ぶ
では、さっそくみていきましょう。
保安基準に適合する最低限のラインに留める
保険なしで車を直す際の支払額をできる限り抑えるには「保安基準に適合する最低限のラインに留めておく」方法があります。
完全な修復は必要なく、公道で走行するにあたり安全が確保された保安基準に適合するレベルであれば問題ありません。
たとえば、小さなこすり傷であれば直す必要はありませんし、もし色ムラを気にしないのであれば自分で塗装して出費を節約することも可能です。
交換部品を社外や中古パーツにする
交換が必要となった場合、純正製品ではなく社外や中古パーツにすることでも、費用を抑えられます。
純正製品は高額ですが、社外製品や中古パーツは安いため交換費用を安く抑えやすいです。
中古部品を選ぶ場合は、新品に近い状態まで補修したリビルド品をおすすめします。
中古品は著しく安全性や機能性が低下している可能性があるためです。
安価なのは普通の中古品ですが、安全性を考えるとリビルド品をおすすめします。
相見積もりで安いところを選ぶ
相見積もりで工賃や修理費用が安いところを選ぶこともおすすめです。
部品代はある程度の定価がありますが、工賃は自由に設定できます。
よって、業者によって高額なところもあれば低額なところもあります。
複数の業者で見積もりを取り、比較して最も安いところを選ぶか中間の金額のところを選ぶと良いでしょう。
事故の相手が保険なしだったらどうする?どうなる?
事故の相手が保険に未加入だった場合どうするべきなのか、またどうなるのかを車両保険と任意保険に分けて説明します。
車両保険の場合
万が一、事故の相手が車両保険に入っていない場合でも、自分自身に影響することはありません。
車両保険は被保険者の車両の修理を保証するものであるためです。
もし、ご自身の車両を直さなくてはならない場合、相手の任意保険から賠償されることになります。
車両保険に加入していなかったとしても、車両を直すのにかかる費用は保証してもらえるためご安心ください。
任意保険の場合
万が一、事故の相手が任意保険に加入していない場合、全額はもらえないことを覚えておきましょう。
相手の年収がそれほど高くない場合は特に支払いが難しいため、全額の賠償は厳しくなります。
このような場合、ご自身の車両保険で足りない分を賄わなければなりません。
しかし、保険を利用すると等級が下がり保険料が上がるため、損傷レベルによっては買い替えを検討したほうが良いこともあります。
まとめ
車の傷を直す際は保険なしのほうが良いのか、反対に使ったほうが良いのかは保険料と修理費用のバランスで判断します。
もし、保険料が上がっても損しない場合は保険を使用したほうが良いですが、損する場合は保険を使わないほうが良いです。
保険料は固定費なので上がってしまうと、家計が苦しくなってしまうリスクがあるため、十分に検討しましょう。