車のファンモーターが故障すると、エンジンの冷却が十分に行われず、過熱の原因となります。
しかし、その原因や修理方法、費用について知識がないと、突然故障したときに不安や疑問を抱えてしまう方も多いでしょう。
この記事では、車のファンモーターが故障する原因や、対処法、修理費用などについて詳しく解説します。
本記事を参考にしていただくことで、車の故障に対する不安を解消し、安心して車を運転できるようになるでしょう。
車のファンモーターとは?
車のファンモーターとは、車のエンジンを冷やす役割を持つラジエーターを冷やす役割と、エアコンの冷却機能を高めるコンデンサーに送られてきたエアコンガスを冷やす役割を持った機器のことをいいます。
簡単に説明すると、車のエンジンを冷やす役割と、エアコンの冷却を高める役割です。
ほとんどの車が1つのファンモーターでラジエーターとコンデンサーを冷やしていますが、大型車種などの冷却機能が間に合わないものは、2つ備えられていることがあります。
車のファンモーターは、車のパーツの中でも重要視するパーツの1つで、故障するとエアコンが冷えない、エンジンに熱がこもる、異音が発生するなどの症状が出てきます。
最悪の場合、エンジンが壊れてしまい、車が動かなくなる可能性もあります。
ファンモーターの役割
ファンモーターの役割は、大きく分けて次の2つです、
・ラジエーターを冷やす役割
・エアコンガスを冷やす役割
ラジエーターは、車のエンジンを冷やす役割を持っており、走行中の風によって冷やされたラジエーター内の冷却水が、熱くなったエンジンを冷やしてくれています。
しかし、車の渋滞でラジエーターに風があたらないことや、夏の時期などでラジエーターの温度が一定以上高くなると、自動的にファンモーターが動き出しラジエーターを冷やしてくれます。
一方のコンデンサーは、エアコンの冷却機能に関する機器の1つです。
エアコンの風を冷たくするには、いくつかの工程が必要ですが、ファンモーターはコンデンサーに送られてきたエアコンガスをファンで液状化する役割を持っています。
つまり、ファンモーターの役割は熱くなったラジエーターを冷やす役割と、コンデンサーに送られてきたエアコンガスを冷やす役割があります。
ファンモーターの故障でオーバーヒートの原因になる
ファンモーターが故障すると、オーバーヒートの原因になります。
オーバーヒートとは、過剰にエンジンの熱が熱くなり、冷却機能が追いつかない現象のことです。
エンジンは、動かしているかぎり熱を発しています。
通常であれば、熱くなりすぎると自動的にファンモーターが動き出しラジエーター内の冷却水を冷やし、熱くなったエンジンを冷やしてくれます。
しかし、ファンモーターが故障すると、熱くなりすぎたエンジンを冷却する機能がなくなるため、オーバーヒートを起こすということです。
オーバーヒートは、最悪の場合エンジンの故障に繋がり、車が動かなくなってしまいます。
車のファンモーターが故障するときの原因は?
では、車のファンモーターが故障するときの原因は、どういったことが考えられるのでしょうか。
ファンモーターが故障する原因は以下の2つです。
- ・ヒューズが切れていた
・駆動モーターの故障
それぞれ詳しく解説します。
ヒューズが切れていた
まず、ヒューズが切れていたことが原因として挙げられます。
ヒューズは、車の電気系統と密接な関係があるパーツです。
過剰な電流が流れたときに、ヒューズを切ってほかの回路を保護する役割があります。
何らかの原因でヒューズが切れていた場合、ファンを回すときの電気が流れこないため、ファンが回らなくなります。
この場合、ヒューズを交換すれば再度ファンも回りはじめます。
ヒューズを直しても問題が解決されない場合は、次に紹介する駆動モーターの故障を疑いましょう。
駆動モーターの故障
次に駆動モーターの故障を疑います。
駆動モーターは、ファンを回すためのモーターのことです。
駆動モーターの故障の原因は、長期間使用することでのペアリングの摩擦や寿命、周辺部品の劣化などが考えられます。
駆動モーターが故障しているかの確認方法は、バッテリーとつなげて動くかどうかで判断します。
動かない場合は、間違いなく駆動モーターの故障となりますので交換が必要です。
ファンモーターの交換費用は?
ファンモーターが故障した場合、早急に交換しないと車が動かなくなります。
では、ファンモーターの交換費用は、どのくらいかかるのでしょうか。
ファンモーターの交換費用は、車種にもよりますが、40,000円から50,000円程度が相場です。
内訳は、ファンモーター代や工賃、そのほかの必要パーツの有無によって異なります。
また、整備費用は業者によって異なってきます。
整備費用を安く済ませたいなら、整備工場に依頼するのがおすすめです。
次の章から軽自動車と普通自動車に分けた、ファンモーターの費用について紹介します。
軽自動車の場合
軽自動車のファンモーターの交換費用は、40,000円前後です。
その内訳は、新品のファンモーターが約20,000〜30,000円、工賃とその他のパーツで約10,000円です。
軽自動車のファンモーターは、さまざまなパーツを取り外ししないと交換できません。
車種によっては、コンデンサーの交換も必要となるため、その分の費用も加算されます。
安く済ませたい方は、中古のファンモーターを選ぶのがおすすめです。
状態にもよりますが、10,000円前後で購入できます。
普通車の場合
普通車の場合は、55,000万円程度が相場となります。
その内訳は、新品のファンモーターが約30,000円〜、工賃とその他のパーツで約15,000円〜です。
普通自動車の場合も、安く済ませたければ中古ファンモーターの購入をおすすめします。
ファンモーターの交換時期
ファンモーターの交換時期は、寿命を迎えたときに交換するのが一般的です。
ファンモーターは、頻繁に壊れるものではありませんが、使用状況によって交換時期が異なってきます。
たとえば、5年で壊れる場合もあれば、10年経っても問題なく使用できる場合もあり、はっきりとした交換時期はわかりません。
そのため、ファンモーターの寿命がきているサインを見極めておくのが良いでしょう。
次の章で、ファンモーターの故障で起こるオーバーヒートの症状と対処法を紹介しますので、しっかり確認しておきましょう。
ファンモーターの故障で起こるオーバーヒートの症状と対処法を紹介
ファンモーターが故障した場合、運転できないことはありませんが、そのまま運転を続けると、オーバーヒートしてエンジンが故障してしまいます。
最悪の場合、エンジンを交換しなければならなくなるため、早急な対応が必要です。
では、ファンモーターの故障で起こるオーバーヒートの症状とはどういったものがあるのでしょうか。
【時期別】ファンモーターの故障の症状
ここからは、ファンモーターの故障の症状を時期別に紹介します。
初期症状
初期症状は以下の6つです。
- ・車のスピードが上がりにくくなる
・エンジンの回転が不安定もしくは不規則になる
・アクセルを踏むとイオンが生じる
・エンジンルームから甘いにおいがする
・エアコンの冷房が効かなくなる
・車の水温値がHを示す
上記のような症状が1つでも出た際は、故障の初期症状と考えられるため、ファンモーターの確認を行いましょう。
この時点で、修理できれば費用も抑えられることが多く、重大な故障も避けられます。
中期症状
中期症状は次の3つです。
・車の水温値がHを振り切る
・エンジンがアイドリングできず、アクセルから足を離すと車が停止してしまう
・エンジンルームから煙(水蒸気)が出る
初期症状と異なり、車に詳しくない方でも症状が確認できるようになります。
上記のような症状が1つでも出た場合は、速やかに点検・修理をしてください。
これ以上放置すると、重大な故障や大きな事故になる可能性があります。
末期症状
末期症状は次の5点です。
- ・焦げたような臭いがする
・車の水温値が逆にCになる(冷却不足を示す)
・エンジンから異音がする
・そもそもエンジンがかからなくなる
・ボンネットから煙が起こる(水蒸気ではない)
上記の症状が出た場合は、ファンモーターだけではなくエンジンに何らかのトラブルが出ている可能性が高くなります。
ここまでの症状が出てしまうと、大きな事故になる可能性が高くなり、修理費用も膨大な額となりますので、初期、中期症状のときには一度点検・修理しましょう。
ファンモーターが故障したときの対処法
ファンモーターの故障がわかったとしても、対処法がわからないと、症状を悪化させてしまう可能性があるのです。
ここでは、4つのステップに分けて対処法を紹介します。
①エンジンを停止する
ファンモーターの異常がわかったら、すぐにエンジンを停止させてください。
このとき、必ず安全な場所に停止するようにしてください。
先ほども紹介しましたが、ファンモーターの異常をそのままにしておくと、エンジンが壊れてしまい、大きな事故になることも考えられます。
そのため、すぐに道路のわきや、駐車場などに停車させましょう。
高速道路の場合もサービスエリアや、待機所に停車させます。
②水温を確認する
次に水温を確認します。水温は、メーターパネルにあるHマークを確認すれば状態がわかります。このとき、アイドリング状態で確認してください。
Hマークの範囲内であれば問題ありませんが、Hマークを示している、振り切っているなどの状態であれば異常があると判断できます。
Hマークの範囲外であるなら、エンジンを一度切り再度付けてください。
もし水温が下がれば、走行しても大丈夫です。
ただし、直ったわけではありませんので、必ず点検、修理をしてください。
③ボンネットを開けて風を通す
水温に変化がみられない場合は、ボンネットを開けて風を通してください。
オーバーヒートになると、エンジンのみならず、ラジエーターやそのほかのパーツも熱くなっている可能性が高いため、しっかり冷やすようにしてください。
また、このときにラジエーターや冷却水も確認しましょう。
ラジエーターから液が吹き出したあとがあるなどの症状が見られる場合は、冷却水が減っている可能性があります。
もし、減っている状態が確認できるなら、水道水で代用できます。
また、水道水を入れることで、状態が良くなることもあります。
ただし、冷却水に向いているとは言えないため、応急処置と理解しておきましょう。
④難しい場合は業者に依頼する
これまでの工程を進めても走行が難しい場合は、ロードサービスやJAFなどの業者に依頼してレッカーしてもらいましょう。
プロに依頼すれば状態によって再び走行できる可能性もあります。無理はせず、難しいと感じたら、すぐに依頼しましょう。
オーバーヒートを予防するには?
オーバーヒートを予防するには水温計をこまめに確認しましょう。
水温計は、ラジエーター内の冷却水の温度を確認できるものなので、Hマークを見るだけでラジエーターの状態が分かります。
また、モーターファンに異常がある場合も、ラジエーターが過剰に熱くなるため、こちらも水温計を確認することで分かる場合あります。
何度もお伝えしますが、オーバーヒートは起こしてしまうと重大な事故や故障につながります。
予防できれば防げるものなので、日々の点検や水温計のチェックを行なうようにしましょう。
ファンモーターが故障したときに気をつけること
いくら予防をしたとしてもファンモーターはいつか故障します。
故障したときの対処法は先述した通りですが、気をつけるべきこともあります。
思わぬケガに発展しないためにも、確認しておきましょう。
ラジエターキャップに注意する
ファンモーターが故障しオーバーヒートした際、ラジエーターの確認をしますが、ラジエーターキャップは開けないようにしてください。
理由は、冷却水といっても冷たいわけではなく、およそ83℃に設定されているからです。
ラジエーターの中は圧力がかかっており、ファンモーターなどの故障により温度が上がってしまうと、熱を弁から逃します。
オーバーヒートによりエンジンルームから煙(水蒸気)が出るのは、これが理由です。
ラジエーターの圧力がかかっているときに、ラジエーターキャップを開けてしまうと、一気に圧力が抜け熱湯が吹き出します。
やけどの危険性もあるため、絶対に開けないようにしてください。
ただ、常時高温になっているわけではなく、エンジンをしばらく止めれば、自然に温度は下がってきます。
ラジエーターキャップを開ける場合は、必ず冷えてから開けるようにしましょう。
冷却水も高温になっている
先ほども紹介した通り、冷却水といっても冷たいわけではありません。
冷却水は、ファンモーターやラジエーターで冷やされても、2、3度しか下がりません、
冷たい水などで一気に冷ました方が効率的に良いように思えますが、エンジンは冷やしすぎも良くありません。
エンジンは温度がある程度高い方が効率や燃費が良くなるからです。
また、エンジンの冷やしすぎは、オーバークールと呼ばれるエンジンの不良にも繋がります。
エンジンより少し低い温度で、冷やすくらいがちょうど良く、冷却水が熱いのはこのためです。
まとめ
本記事では、ファンモーターの故障の原因や対処法、交換費用などを紹介しました。
ファンモーターの故障はオーバーヒートを起こし、そのままにしておくと重大な故障や事故につながり、交換費用も高くなります。
そのため、症状がでた時点で早急に対処する必要があります。
日々の点検を実施すれば、未然に防げます。
もし、ファンモーターが故障しオーバーヒートを起こした場合は、紹介した対処法を行い、速やかに点検、修理しましょう。