車のコンピューター故障は、突然の警告灯点灯や異音などで運転中に不安を感じることがあります。
この記事では、車のコンピューター故障の原因をはじめ、修理費用や自分でもできる確認方法までをわかりやすく解説します。
突然の故障にパニックになりたくない方や、修理をスムーズにしたい方は、ぜひ一読してください。
車のコンピューター(ECU)とは?役割は?
車のコンピューターとは、ドライブ支援やエンジンの管理を担うパーツのことで、ECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)とも呼ばれています。
ひとむかしの車は、エアコンやオーディオ程度でしたが、現在ではミッションやブレーキ、カメラ、ライトなどもコンピューターで管理しています。
特にハイブリッド車や電気自動車などは、コンピューターなしでは動くことさえもままらない車もあるほどです。
こういった車の電気機器からエンジンといったものまで管理していることから、1度コンピューター異常を起こすと、原因特定はもちろん点検や修理もとても困難です。
車のコンピューターの役割
先ほども紹介した通り、車のコンピューターの役割はエアコンやオーディオをはじめとした電気機器から、エンジンや運転支援なども管理しています。
そのほかの役割には以下のものがあります。
- ・燃料噴射装置
・点火機構
・燃費向上
・排気ガスの清浄
・スロットル開度
・排気
・排ガス還元量
・過給器の過給圧
・動弁機構
・イモビライザー
・セルモーター
・運転性能の向上
上記のようにエンジン点火から排気、運転中の「走る」「曲がる」「止まる」などのコントロールにもかかわっています。
車のコンピューターの種類
車のコンピューターの種類は、大きく分けて以下の2つに分けられています。
- ・エンジン制御
・運転支援システム
それぞれ詳しく紹介します。
エンジン制御
1つ目がエンジン制御です。
車には、エンジン制御に使用される主要なコンピューターがあります。
これは、運転性能の向上や、排気ガス規制への対応を目的として開発された「電子制御ガソリン噴射技術」のことを主としています。
エンジンにとって最も重要なのは、燃焼室内で混合気を効率的に燃やして熱を生み出すことです。
圧力センサーや吸気量センサーなどの働きにより、吸入空気量に合わせて燃料を噴射する役割を果たしてくれているのです。
余談にはなりますが、現在では情報の伝達に必要な車載ネットワークの高速化やセンシング機器の高性能化も進んでいます。
これにより、従来の機械的な構造だけでは実現できなかった高性能な車両が開発されるようになったのです。
運転支援システム
2つ目が運転支援システムです。このシステムは、名前の通り車の運転支援機能を担う重要な役割を果たしています。
内閣府の主導で開発が進められており、一般的な装備となってきたのはここ最近のシステムです。
運転支援システムの具体的な役割は、衝突を軽減したり死角を監視し危険を知らせたりするなどの機能が挙げられます。
これらの役割は、車のさまざまな機器から信号を受け取り、処理した情報をエンジンやハンドルにかかわる機器などに送ります。
この働きにより、運転者の操作なしに車両の動作を制御し、安全性の向上ができるということです。
運転支援システムにとって重要なのは、高速かつ的確な情報処理です。
情報処理が的確で早ければ早いほど、車の運転性能や安全装置能力が高まり、よりスムーズかつ安全に運転できるということです。
耐用期間・寿命
車のコンピューターの耐用期間・寿命は、使用状況により異なりますが、およそ15〜20年といわれています。
車のコンピューターは、PCにも使われるパーツですが、車の方が過酷な条件で使用されているため、耐用期間・寿命が短いです。
特に古い車になるほど劣化度合いが進んでいるため、より故障しやすくなります。
車のコンピューターが故障する原因
車のコンピューター故障の原因は、ハード面である電気制御を行っているセンサーなどが不具合を起こす場合と、ソフト面であるコンピューターの管理部分に不具合が起きる場合があります。
主な原因はこの2つで、どちらか一方でも故障すると修理もしくは交換しなければならなくなります。
しかし、車のコンピューターは精密機器なので故障しやすいパーツです。
上記箇所の不具合を起こす原因の特定は難しく、予想しにくいのが現実です。
車のコンピューターが故障したときの症状と確認方法
車のコンピューターが故障したときは、主に以下のような症状が起こります。
- ・エンジンが不調になる
・振動が生じる
・エンジンがかかりにく
・加速しにくい
・アイドリングストップが不調になる
・警告灯が点灯する
上記のように、エンジン系統に不具合が起こることが多い傾向です。
しかし、上記の症状は他のパーツが影響している可能性もあるため、症状が出たからといってコンピューターが原因とは限りません。
コンピューターの故障は前触れがないことが多い
コンピューターの故障は前触れがないことが多いです。
先ほどの症状からわかるように、エンジンに関係するパーツが故障したからといって、コンピューターが故障しているとは限らないからです。
たとえば、エンジンがかかりにくい原因は、ガス欠やバッテリー関連、人為的なミスなどが挙げられます。
こういった原因を取り除き、ようやくコンピューターの故障が原因ではないかと疑えるようになるのです。
そのため、ほかのパーツが故障しているかを合わせてチェックします。
具体的には、次に紹介する箇所をチェックしましょう。
故障の症状と確認方法①点火系
コンピューターの故障は、コンデンサからの液漏れや内部焼けを起こしているのを目で見て判断できます。
しかし、そのほかの場合は、原因を1つずつ調べていくことになります。
点火系の確認方法は以下の通りです。
- ・キーを回してもランプが点灯しない
・ダイアグノーシス(車の異常を確認する装置)が反応しない
上記の確認方法を試してもエンジンがかからない場合は、エンジンの回転信号が送られても点火信号が出ていないことになるため、コンピューターの故障を疑います。
故障の症状と確認方法②燃料系
燃料系は燃料ポンプをチェックすることで確認できます。燃料ポンプを確認して動かないときは、コンピューターに不具合が起きている可能性があります。
燃料ポンプに問題がある場合、エンジン始動時やスピードを出したときなどに不具合が起こるため、運転すると非常に危険です。
ただし、燃料ポンプに問題がある場合は、ガス欠やポンプ内のゴミ、劣化などが原因となっていることもあるため、故障箇所の判断が難しくなります。
燃料系の故障の場合、修理が難しくなるため、専門業者に依頼するのが良いでしょう。
故障の症状と確認方法③吸気系
最後に吸気系を確認します。吸気系に問題があった場合は、警告灯の点灯で判断できます。
吸気系に問題があると判断できれば、吸気温度センサーを交換すれば修理可能です。
吸気温度センサーは、エンジン周辺にあるインテークマニホールドやサージタンク近くに取り付けられています。
通常、吸気温度センサーの異常は極めて稀ですが、故障した場合劣化や断線、外部からの損傷、センサーの故障が考えられます。
車のコンピューターの修理・交換にかかる費用
車のコンピューターの異常箇所がわかれば、修理もしくは交換をします。
交換する場合は中古品で安く済ませることもできますが、精密機器のためできれば新品を選んだ方が安心できます。
修理や交換は、業者に依頼するか自分で修理するかのどちらかを選べますが、どちらにもメリット・デメリットがあるため慎重に選びましょう。
それぞれにかかる費用は次の通りです。
業者に依頼する場合
業者に依頼する場合は、33,000円が一般的です。
修理するときにコンピューター自体の交換となったときは、こちらの値段にパーツ代が加算されます。
また、作業履歴がある場合は、さらに費用が上がります。
作業履歴とは、コンピューターが修理された記録のことです。
作業履歴がある場合の費用は、作業工程によって一般的な金額の1.5〜2倍、もしくは7,000〜8,000円の上乗せが目安となります。
自己修理する場合
自己修理を行う場合、修理するのではなくコンピューターを交換することがほとんどです。交換する際には、新しいコンピューターを購入する必要があります。
その費用の目安は、新品で10万円以上です。
車が古かったりレアだったりする場合は、パーツが手に入りづらく価格も高くなる可能性があるので、さらに費用がかさむことを覚えてきましょう。
自己修理は、いくら専門知識があるからといってもリスクを伴います。
そのため、プロでない限り自己修理するよりも業者に依頼する方が得策と言えます。
車のコンピューターの修理は保険適用されるのか?
車のコンピューターの修理または交換には、保険は適用できるのでしょうか。
結論からお伝えすると、故障した場合は保険適用されません。
基本的に自動車保険は、事故などにより車が破損した場合のみ適用されると決まっているからです。
損保ジャパンでも「車の故障は車両保険で補償できるか」の問いに対して、「補償できません」と記載してあります。(参照:損保ジャパン)
ただし、自然災害で故障したときは保険適用できます。
たとえば、以下の自然災害があてはまります。
- ・落雷
・台風
・竜巻
・洪水
・高潮
・雹(ひょう)
上記の中で特に関係するのが「落雷」です。
落雷にあった場合、電気系統自体が故障する可能性があり、コンピューターもその中に含まれます。
そのため、落雷で故障した場合は保険適用となる可能性が高いです。
経年劣化だと保険適用されない場合も
もし、保険適用で修理や交換ができても、経年劣化だと保険適用されない場合があります。理由は、経年劣化での補償は保険適用外とされており、修理や交換不可となっているからです。
特に古い車となると経年劣化のリスクが上がり、保険適用外となる可能性があるため、注意しましょう。
故障運搬時⾞両損害特約に加入していれば補償してくれる
一般的に車の故障は、保険適用されません。
しかし、「故障運搬時⾞両損害特約」に加入していれば、車のコンピューターであっても補償してくれます。
こちらは、車両保険にオプションで加入できる任意保険のことで、補償外の故障も適用となります。
条件がいくつかありますが、心配な方は加入しておくと安心できます。
車のコンピューターの交換や修理するときの注意点
車のコンピューターの交換や修理には、いくつかの注意点があります。
費用などにもかかわってくるため、ここで確認しておきましょう。
自己修理する場合
車のコンピューターの修理は、思っている以上に複雑です。自己修理する場合、専門知識があり慣れている方でも、故障を悪化させてしまうリスクがあります。
悪化させてしまうと、さらにコストがかかる恐れがあるため、注意が必要です。
また、細かなパーツを大量に使用することから、適切なパーツがわからなくなることも考えられます。
たとえば、すべて同じような形状のものが1,000個以上のパーツもあり、取り扱いにも十分に注意しなければなりません。
こういった理由から自己修理は、あまりおすすめできません。
業者に修理してもらう場合
業者に修理を依頼する場合は、次の2点に注意しましょう。
作業履歴に要注意
業者に依頼する場合は、作業履歴に注意しましょう。
自己や業者にかかわらず、過去に修理した場合は作業履歴があると判断されます。
注目すべき点は、修理が妨げられる可能性があることです。よく見られるケースとして、次のようなことが挙げられます。
- ・作業ミス
・コンデンサだけ交換
・スルーホールがない
・チップ部品が行方不明
上記のケースがあった場合、修理に支障が出てしまうことが考えられるため、業者に依頼するときに作業履歴があることを伝えましょう。
もし、作業履歴があり修理費用が高いときは、車の買い替えも検討に入れると良いでしょう。
作業履歴がある場合は修理費用が高くなる
こちらも費用のところでお伝えしましたが、作業履歴がある場合は費用が高くなります。
理由は、作業履歴があることで、修理が複雑かつ工程が増えてしまうからです。
自分で修理を試みたが成功しなかった場合でも、その履歴は作業履歴に含まれるため、注意が必要です。
詳しい料金は業者によって異なりますが、作業履歴なしの料金と比べて、1.5〜2倍もしくは7,000〜8,000円が上乗せされます。
詳しい料金が知りたい方は、事前に業者に確認するのが良いでしょう。
まとめ
本記事では、車のコンピューターとはから故障の原因、確認方法、費用などを紹介しました。
車のコンピューターは、エンジン制御や運転支援システムをはじめ、さまざまな電気系統とかかわる重要なパーツです。
故障原因はセンサーや管理部分の異常で、その前兆はほかのパーツが壊れたときと似ているため判断しにくいです。
しかし、紹介した確認方法を試せば原因特定が可能なので、故障が判明すればすぐに修理しましょう。
修理や交換費用は、作業履歴によって大きく異なります。
無理して自己修理すると、かえって悪化することもあるため、業者に依頼するのがおすすめです。
修理費用は、条件によって保険適用できます。費用を押さえたい方は、1度保険会社に確認しましょう。