個人事業主には多くの節税方法があります。
その中でも特に効果的なのが車に関する費用です。
しかし、車の費用をどのような条件で経費計上できるのか、どれだけの金額を経費として認められるのかわからない方も多いでしょう。
そこでこの記事では、車の購入費用を経費計上できる場合やポイントを詳しく説明します。
車の購入費用が経費になる場合
個人事業主が車を買う場合、その費用が経費として計上できるかどうかは、その使用目的によって大きく異なります。
ここでは、車の購入費用を経費にできるケースについて詳しくみていきましょう。
仕事で車を使用する場合
仕事専用の車として利用する場合、その費用は基本的に全額を経費として計上することが可能です。
業務に直接必要なものであるため、購入費用の全額を経費にすることが認められています。
仕事とプライベートの両方で使用する場合
仕事とプライベートの両方で使用している場合、経費計上は少し複雑です。
この場合「家事按分」と呼ばれる方法を用いて、車の使用割合に応じて経費を計算します。
たとえば、1ヶ月の走行距離が200kmで、そのうち50kmが仕事で使用された場合、40%を経費として計上することが可能です。
また、週単位で仕事とプライベートの使用日数を基に計算する方法もあります。
重要なのは、この按分の根拠を明確にし、記録を付けておくことです。
運転記録をつけることで、税務署に対して正確な使用状況を説明しやすくなります。
プライベートのみ使用の車は、経費にならない
プライベート使用の車は、経費になりません。
経費に計上できるのは、あくまで業務上必要であり、実際に業務で使用している場合のみです。
実態が伴わない場合は、経費計上は認められないため注意しましょう。
カーローンやカーリースの場合
車の取得する方法には、現金購入の他にもリースやローンがあります。
カーリースを利用する場合、初期費用を抑えつつ車を利用でき「支払手数料」として経費に計上が可能です。
リース契約により、減価償却の計算が不要となり、経費計上が簡単になります。
一方、ローンで車を購入した場合は、減価償却の計算が必要です。
ローンの利息部分は経費として計上が可能で、利息の支払いも経費に含めることができます。
その年に全額経費は不可
車の購入費用をその年に全額経費計上できません。
車は通常、長期間使用する資産であるため、購入費用は減価償却により数年にわたって少しずつ経費として計上します。
これにより、毎年の経費計上が適正に行われます。
車の維持にかかる費用で経費にできるものとできないもの
経費計上できるのは、購入代金だけではありません。
車を保有することで発生するさまざまな費用も経費として認められます。
ここでは、車の維持にかかる費用で経費計上できるもの、できないものについてみていきましょう。
車の維持にかかる費用で経費にできるもの
車の維持にかかる費用で経費にできるものは以下のとおりです。
- ・租税公課
・保険料
・車両運搬具
・支払手数料
・車両費
・賃借料
・支払利息(ローン購入の場合)
それぞれ詳しく解説します。
租税公課
自動車に関する税金も、経費計上できます。
租税公課には、自動車重量税や環境性能割、自動車取得税、自動車税、軽自動車税が含まれ、これらの税金は、車を所有している限り毎年発生する費用のため、経費計上できます。
保険料
自賠責保険料や任意保険料なども、経費として計上可能です。
業務で使用する車の事故やトラブルに備えるための費用ですので、経費として認められます。
車両運搬具
車両本体価格に加えて、オプション費用や引取運賃、購入時の手数料、納車費、運送時の保険料なども経費に含めることができます。
これらは車を購入する際に一度だけ発生する費用ですが、業務に必要な費用として計上可能です。
支払手数料
検査登録法定費用や検査登録代行費用、車庫証明手続き代行費用、車庫証明法定費用などの手数料も経費として認められます。
これらの手数料は、車を正式に登録し業務で使用するために必要な手続き費用です。
車両費
日常的にかかるガソリン代、洗車費用、車検費用、点検費用なども経費として計上できます。
これらの費用は、車を業務で使用するための維持費として認められます。
賃借料
車を駐車するための駐車場費用も経費に含めることができます。
業務で使用する車を安全に保管するために必要な費用です。
支払利息(ローン購入の場合)
車をローンで購入した場合、その金利部分も経費として計上可能です。
これは、ローンの利息は実質的に車の取得費用の一部とみなされるためです。
車の維持にかかる費用で経費にできないもの
車に関する費用が、全て経費計上できるわけではありません。
経費計上できない費用もあるため、理解しておきましょう。
リサイクル代
車に関係する費用の中でも「リサイクル預託金」は、経費として計上できません。
リサイクル預託金は、廃車時に車をリサイクルするための費用を前払いする費用で、業務の直接的な費用ではないです。
経費計上できるのは、実際に業務で必要な費用に限られるため、注意しましょう。
経費計上するメリット・デメリット
個人事業主の場合、車に関するさまざまな費用が経費計上できます。
では、経費計上をすると具体的にどのような影響があるのでしょうか。
ここでは、経費計上のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
経費計上するメリット
経費計上を行うことで、個人事業主は様々な恩恵を受けることができます。
特に税金面でのメリットは大きく、事業運営において重要なポイントとなります。
税金を抑えることができる
事業のために使ったお金を経費として計上することで、最終的に支払う税金を抑えることが可能です。
個人事業主は、営業活動を通じて得た収益から経費を差し引いた額を利益とし、その利益に対して税金が課せられます。
経費を増やすことで利益が減少し、結果として税額も少なくなります。
このため、経費計上は効果的な節税手段といえるでしょう。
経費計上するデメリット
個人事業主は、節税できるメリットがありますが、デメリットも存在します。
経費計上の際には、以下のデメリットを踏まえて行いましょう。
事務作業が増える
経費を計上するためには、領収書やレシート、振込み証明などの書類をしっかりと保管しておくことが大切です。
そして、それらの費用が事業のどの部分に使われたのかを説明できるように管理する必要があります。
そのため、経費処理には多くの作業が伴うため、事務負担が増えます。
利益が下がる
経費を増やすことで節税につながるメリットがありますが、出費が増えることには変わりありません。
経費を多く計上しすぎると、利益が減少してしまい、赤字になるリスクがあります。
また、金融機関からの借り入れを利用する場合や予定している場合、赤字はマイナスの印象を与え、借り入れ審査に通らないことがあります。
そのため、経費に計上する際はその費用が本当に事業に必要なものであるかを慎重に判断し、無駄な支出を避けることが大切です。
車を経費計上する際の6つのポイント
車を経費計上する際には、いくつかの重要なポイントがあります。
以下の6つのポイントを押さえておくことで、経費計上を正確かつ効率的に行うことができます。
- ・名義は本人になる
・仕事とプライベートの両方で使用する場合は「家事按分」を行う
・一括で計上できる金額は30万円まで
・青色申告と白色申告がある
・副業でも経費計上できる
・基本的に台数制限がない
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それぞれのポイントについて詳しくみていきましょう。
名義は本人になる
個人事業主が経費に計上するためには、基本的に車の名義が本人である必要があります。
ただし、生活を共にする親族の車であれば、例外として経費計上が認められることもあります。
車を購入する際には、必ず名義を確認してください。
仕事とプライベートの両方で使用する場合は「家事按分」を行う
先述でも少し触れましたが、仕事とプライベートの両方で使用する場合、それぞれの使用割合に応じて経費計上するのが前提です。
これを「家事按分」といい、家事按分をせずに経費計上を行うと、税務調査で指摘を受けたり、経費として認められないリスクがあります。
使用割合の根拠を明確にして、客観的な記録を残しておくことが重要です。
一括で計上できる金額は30万円まで
車の購入代金は減価償却が必要ですが、例外的に30万円未満は一括で経費計上が可能です。
少額減価償却資産の特例により、30万円未満の車を一括で経費計上するには、青色申告の申請が必要です。
また、この特例は年間合計300万円までの限度があり、適用期限は2024年3月31日までです。
ただし、適用期間は過去に度々延長されているため、今後も延長される可能性が高いです。
詳しい内容は税務署サイトで確認しましょう。
青色申告と白色申告がある
個人事業主には、確定申告の方法として青色申告と白色申告の2種類があります。
青色申告では、複式簿記で帳簿を作成する必要がありますが、65万円の特別控除が受けられます。
一方、白色申告は単式簿記で済むため手続きが簡単ですが、65万円の特別控除は受けられません。
また、30万円未満の車を一括で経費計上できる特例は青色申告のみで適用されるため、注意しましょう。
副業でも経費計上できる
会社員が副業として個人事業を行っている場合でも、車の購入費用を経費計上が可能です。
副業で使用する車の費用を経費として計上することで、節税効果が得られます。
ただし、給与所得のみの場合は、車の購入費用で節税することはできません。
副業の事業に関連する費用として計上する必要がありますので注意しましょう。
基本的に台数制限がない
経費として計上する車の台数に制限はありません。
業務に必要であれば、何台でも経費に計上できます。
ただし、すべての車が業務で使用されていることを証明できるようにしておくことが重要です。
個人事業主が複数台の車を保有している場合、税務署に対してその使用状況を明確に説明できるよう、しっかりとした記録を残しておきましょう。
希望の新車購入を目指す方法
新しい車を購入する際に、現在所有している車をどのように処分するかが重要です。
経費を考慮しつつ、新車の購入資金を最大化する方法をみていきましょう。
ディーラーに下取りを依頼する
「下取り」は、新しい車を購入する際に、現在所有している車をディーラーに引き取ってもらう方法です。
ディーラーは下取りした車の価値を新車の購入価格から差し引く形で提示してくれます。
下取りを利用することで、新車の購入価格を直接下げられるため、実質的な出費を抑えることができます。
買取店に依頼する
「買取」は、新車購入の有無に関わらず、現在所有している車を中古車専門店に売却する方法です。
買取専門店に車を売却することで、現金を得ることができます。
この現金を新車の購入資金として充てることが可能です。
一括査定を依頼する
「一括査定」は、複数の買取業者から同時に査定を受けることができます。
一括査定サイトを通じて申し込むことで、最も高い買取価格を提示してくれる業者を選ぶことができるため、車の売却益を最大化できます。
この方法も、得た現金を新たな車の購入資金に充てることで、経費として計上することが可能です。
CTN一括査定を利用すれば大手から地域密着型まで、600社以上の提携業者に査定が依頼できます。
一括査定サイトの利用料や手数料は無料です。
自動車業界14年以上の実績があるため、安心して車を売却できます。
紹介数は高価買取店3社のみなので、営業電話が何件もかかってくる心配はありません。
CTNのネットワークにより、全国どこに住んでいても対応できます。
一括査定サイトを利用した車の売却を検討している方には、CTN一括査定がおすすめです。
まとめ
個人事業主であれば、車に関するさまざまな費用を経費として計上することが可能です。
しかし、節税効果だけを期待して車を購入すると、思ったような効果が得られなかったり、経費計上できなかったりします。
そこで、この記事で解説した経費計上のポイントをしっかりと押さえ、正しく理解して車を所有することが重要です。
経費計上を正しく行うことで、適切な節税効果を得ながら、事業運営をスムーズに進めることができます。
しっかりとした知識を持ち、計画的に車を活用して、事業の発展に役立てましょう。