車を修理に出した場合に、トラブルが発生することは少なくありません。
たとえば、修理に出したのに直っていなかったり、一時的には回復したものの、すぐに故障してしまったりなどの事例は実際に発生しています。
しかし、修理に関するトラブルが発生しても、どのように対処すべきかわからない方もいるでしょう。
本記事では、車の修理トラブルの事例や、対処法をご紹介します。
相談先も紹介しているので、車の修理トラブルが起きた場合は、ぜひ参考にしてください。
車の修理のトラブル事例
車の修理のトラブルは、以下のような事例があります。
- ・修理後に同じ部分が故障した
・期間が長引いた
・高額料金を請求された
・板金塗装の仕上がりに不満があった
・リース者を自分で修理してしまった
それぞれのトラブル事例について、詳しく解説します。
修理後に同じ部分が故障した
修理後に同じ部分が故障するのは、よくあるトラブルです。
ここでは、トラブルが発生する原因を下記の2つ紹介します。
- ・双方で認識が異なっていたから
・正しく修理されていなかったから
双方で認識が異なっていたから
1つ目の原因は、依頼人と修理業者の認識が異なっていたからです。
修理を依頼する際にきちんとコミュニケーションが取れていなければ、考えにズレが生じることがあります。
たとえば、修理業者は依頼人がなるべく修理費用を抑えたいと考え、リビルド品を使ったとしましょう。
しかし、依頼人は純正品を希望していたため、認識の違いからトラブルに発展するケースもあります。
そのため、修理を依頼する際には、業者と細かい点まで話し合っておく必要があります。
正しく修理されていなかったから
2つ目の原因は、正しく修理されていなかったからです。
整備士は豊富な知識や経験があるものの、すべての症状に対して確実に診断するのは難しい場合もあります。
そのため、悪徳業者ではなくとも、整備ミスが発生するトラブル事例もあります。
特に足回りの異音などは発生箇所や症状の再現が難しく、整備ミスが起こることも珍しくありません。
人間が修理をする以上、完全には防げないトラブル事例でしょう。
期間が長引いた
あらかじめ伝えられた修理期間より長引くことも、よくある車の修理トラブルの1つです。
修理期間が長引く原因は、以下のとおりです。
- ・部品の取り寄せに時間がかかったから
・車両保険を適用したから
・依頼先が繁忙期だったから
それぞれ解説します。
部品の取り寄せに時間がかかったから
1つ目の原因は、部品の取り寄せに時間がかかったからです。
車の部品はすべてが使いまわせるわけではなく、車種やモデル、メーカーなどによって異なります。
そのため、すぐに部品が手に入らない場合には、修理期間が思ったよりも長引いてしまうでしょう。
とくに国内で部品を常備していない輸入車や、年式が古くすでに部品が市場に出回っていない車種は、部品の調達に時間がかかりがちです。
また、販売メーカーと製造メーカーで部品が異なる車種も、部品の手配に時間を要することがあります。
車両保険を適用したから
2つ目の原因は、車両保険を適用したからです。
事故による故障で修理に出す場合は、修理代を負担してもらうために、保険を適用するケースが多いでしょう。
しかし、保険を利用する際は、保険会社と修理工場のあいだで契約を交わす必要があり、通常よりも工程が多くなります。
工程が増えると時間がかかる傾向にあるため、保険を適用する場合は、修理期間が通常より長くなる可能性を想定しておきましょう。
依頼先が繁忙期だったから
3つ目の原因は、依頼先が繁忙期だったからです。
繁忙期で人員が足りていない場合は、軽度の故障でも修理に時間がかかることがあります。
特に連休明けは事故が増えやすく、修理依頼も増加傾向にあるため、通常よりも修理に時間を要するかもしれません。
高額料金を請求された
修理を依頼したら、見積もり以上の高額な料金を請求され、トラブルに発展することがあります。
高額料金を請求される原因は、以下のとおりです。
- ・パーツ交換の費用が必要になったから
・保険適用外だったから
・悪徳業者だったから
それぞれの事例を紹介するので、確認しましょう。
パーツ交換の費用が必要になったから
1つ目の原因は、パーツ交換の費用が必要になったからです。
見積もり時点ではパーツ交換は不要だと判断しても、実際に修理をしたら交換が必要になることがあります。
パーツ交換をすると、修理する工賃に加えてパーツ代もかかるため、修理費用の負担が増えます。
そのため、パーツ交換が発生した場合の費用も含めて、見積もりを作成してもらうと良いでしょう。
保険適用外だったから
2つ目の原因は、保険適用外だったからです。
事故による故障では、保険を利用して修理することが一般的ですが、状況によっては保険が適用されないケースもあります。
「保険が適用されるだろう」と勝手に判断して修理を依頼したものの、保険適用外だった場合は、見積もり以上の費用を請求されてしまうことがあります。
そのため、事前に保険が適用されるか確認しておくことが重要です。
悪徳業者だったから
3つ目の原因は、悪徳業者だったからです。
依頼人に車の知識が少ないことを利用して、修理費用を不当に高く請求する悪徳業者も存在します。
騙されて高額な修理費用を支払わないよう、あらかじめ相場を確認しておきましょう。
また、業者の口コミをチェックしたり、複数社に見積もりを依頼したりなどして、慎重に選定しましょう。
板金塗装の仕上がりに不満があった
板金塗装の仕上がりが期待と異なったり、他の箇所と比べて違和感を感じたりすると、不満に思うかもしれません。
仕上がりに不満があった場合、再修理が可能かどうかは修理業者で異なるため、事前に確認しておくと安心です。
ただし、再修理を受け付けていても、追加料金が発生する場合があるため注意が必要です。
また、業者の技術力に問題があるのではなく、修理前の状態が予想以上に悪いことが原因で、元の状態に戻せない場合も考えられます。
よって、修理後に発生するリスクをあらかじめ十分に説明してもらい、理解したうえで修理の依頼をしましょう。
リース車を自分で修理してしまった
カーリース会社や契約内容によって異なりますが、リース車は基本的に連絡なしで勝手に修理してはいけません。
リース車は、事故や故障がない状態でリース期間を満了することを前提に、残価が設定されているからです。
もしも、修理に出すと修復歴のある車とみなされ、想定残価に満たないと判断される場合もあります。
しかし「ばれないだろう」と思って自分で修理したり、知らずに修理に出したりする事例もあります。
場合によっては違約金が発生することもあるため、自己判断で修理をせずに、契約している会社に連絡してください。
車の修理トラブルが発生したら費用は支払うべき?
車の修理を依頼しても直らなかった場合でも、費用を支払うべきかどうか知りたい方もいるでしょう。
修理費用は高額になるケースが多く、直らなかったのに修理費を支払うのは不当だと考えるかもしれません。
ここでは、車の修理トラブルが発生したときでも、料金を支払うべきか解説します。
支払いが必要になるケースがほとんど
車の修理が完了していない場合でも、依頼をして修理の見積もりを取り、合意した場合は料金を支払う必要があります。
なぜなら、修理に合意した時点で契約が成立しており、自身も納得してサービスを受けていることになるからです。
そのため、修理結果にかかわらず、当初合意した料金を支払わなければいけないケースがほとんどです。
まずは修理業者に問い合わせる
「修理トラブルが発生しても料金を支払う必要がある」と解説しましたが、まずは修理業者に相談してみましょう。
診断ミスや整備不良など、業者側に責任がある場合は、再度点検を受けられる可能性があるからです。
たとえば、追加の修理料金が不要になったり、元々の料金と相殺して一部の費用のみ支払うケースも考えられます。
誠意ある対応や提案をしてくれる業者もいるため、まずは問い合わせをすることが大切です。
中古車を購入してすぐに修理が必要になったら?
中古車を購入して、すぐに故障してしまうトラブルもあります。
ここでは、中古車購入後にトラブルが発生した場合の対処法を解説します。
購入時の状況を確認する
中古車の販売時には、価格や走行距離だけでなく、保証の有無や修復歴の有無など、一定事項の表示が義務付けられています。
そのため、購入時に「現状販売」などの条件がわかりやすく表示されていたか、あるいは説明を受けていたかを思い出しましょう。
また、販売店から事前に受けた説明と、実際の内容に相違がないかも確認してください。
車の保証内容を確認する
保証の範囲内の故障であれば、不具合を販売店に報告すると、無償で修理対応してもらえます。
その際、保証対象箇所や保証期間もあわせて確認しておくことが重要です。
さらに、メーカー保証や自社保証など多様な種類の保証が存在し、それぞれで内容や条件が異なります。
保証内容をよく確認して、理解しておきましょう。
車の修理トラブルが発生したときの相談先
車の修理トラブルが発生した場合は、1人で悩まずに相談してみるのが良いでしょう。
車の修理トラブルの相談先は、以下のとおりです。
- ・国民生活センター
・自動車公正取引協議会
・自動車製造物責任相談センタ
・日本中古自動車販売協会連合会
・弁護士
それぞれの特徴を解説します。
国民生活センター
国民生活センターは中古車や商品、サービスなど、さまざまなトラブルに対応している窓口です。
中古車購入や買取業者への売却など、中古車に関する相談を年間で7,000件以上対応しているため、安心して相談できます。
ただし、あくまでも相談やアドバイスがメインのため、当事者のあいだに入って対応できないのがデメリットです。
自動車公正取引協議会
自動車公正取引協議会は中古車や新車問わず、車の契約や購入後のトラブルに対応している機関です。
信頼性の高い機関ですが、自動車公正取引協議会に加盟している店舗のみしか対応していません。
購入前に加盟しているかどうか確認しておくと安心です。
自動車製造物責任相談センター
自動車製造責任相談センターは、車の部品や機能などに不具合が生じた場合に、相談できる機関です。
公益財団法人のため、中立公正な立場でトラブル解決をサポートしてくれます。
無料でありながらも、専門的なアドバイスを受けられるのが魅力です。
日本中古自動車販売協会連合会
日本中古自動車販売協会連合会は、中古車の売買における専門機関で、全国に中古車相談室を設置しています。
公式サイトにはトラブル事例も掲載されているため、自分と似た内容がないかを、チェックしてみるのがおすすめです。
ただし、日本中古自動車販売協会連合会に加盟している場合しか利用できないため、注意してください。
弁護士
自動車公正取引協議会や自動車製造物責任相談センターなどの、専門機関に相談しても解決しない場合は、弁護士への相談を検討してみましょう。
ただし、弁護士に相談をする際は、30分で5,000円程度かかるケースがあります。
さらに実際に依頼すると、着手金や報酬金なども発生するため、高額な費用がかかる可能性もあります。
よって、修理トラブルで被った金額と、弁護士へ依頼する場合の費用対効果を考えて検討しましょう。
まとめ
車を修理に出したあとに、トラブルが発生することがあります。
たとえば、修理期間が長引いたり、修理後に同じ部分が故障したりと、トラブルの内容はさまざまです。
車を修理に出したにも関わらず直らなかった場合、修理費を支払うのは不当だと思うかもしれません。
しかし、見積もりを取って同意した以上、料金は支払わなければならないケースがほとんどです。
もしも、車の修理トラブルで困った場合は、まずは業者に相談してみましょう。
それでも解決しない場合は、専門機関に相談してみるのも1つの方法です。
車の修理トラブルの相談先は、国民生活センターや自動車公正取引協議会など、複数あります。
修理トラブルが起こっても、落ち着いて対応しましょう。