車を使っていると、ドアにズレが生じてしまうことがあります。
このズレが生じる原因は複数ありますが、原因によっては自分で直すことも可能です。
ただし、適切に対処しないと悪化してしまう恐れがあるため、正しい対処法を知ることが大切です。
そこで本記事では、車のドアにズレが生じた場合の調整方法や修理依頼先について解説します。
車のドアのズレで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
車のドアがズレると起こる症状
車のドアがズレることは、珍しいことではありません。
ドアにズレが生じると、ドアが開きやすくなったり、開いたときに異音がしたりします。
それぞれの症状について解説します。
ドアが開きやすくなる
ドアがズレていると、必要以上にドアが開きやすくなってしまいます。
特に小さなお子さんがいるご家庭では、気をつけていないと、出やすくなるようにドアを勢い良く開けてしまうかもしれません、
狭い駐車場では、横の車や壁にぶつけてしまう確率が高くなってしまうため注意しましょう。
異音がする
ドアが必要以上に開いてしまうことで、ドアと車体が接触してバキッといった異音がすることがあります。
異音がするほどドアが開きやすくなっている場合でも、事故につながる恐れは少ないですが、ドアが開きやすくなってしまうので、その反動で壁に当たりやすくなり、車体に傷がついてしまう恐れがあるでしょう。
また、自分の車体だけでなく、他人の車にぶつかる可能性も高いため注意が必要です。
車のドアにズレが生じたときの修理依頼先
車のドアにズレが生じた場合には、周りの車や自分の車に傷をつけてしまう前に早めに修理するのがおすすめです。
車のドアにズレが生じた際の修理依頼先として「ディーラー」「板金工場」「カー用品店」「ガソリンスタンド」があります。
それぞれの修理依頼先の特徴を解説します。
ディーラー
ディーラーに修理依頼する場合のメリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット |
純正製品と交換してもらえる
保証サービスが手厚い |
費用が高い |
メーカーの正規店であるディーラーは、自社の車に詳しいスタッフが対応するため、安心感があるでしょう。
また、純正製品と交換してもらえるので、保証サービスが手厚いのも特徴です。
ただし、純正製品のみの交換となるため社外品と比べて部品代が高くなる上に、作業に関しては板金業者に委託しているため中間マージンが発生します。
安心感はあるものの、他の修理依頼先と比較すると、修理費用が高くなってしまうのがデメリットといえるでしょう。
板金工場
ディーラーに修理依頼する場合のメリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット |
金額や修理の希望を聞いてもらいやすい | 技術力に大きな差がある
部品の在庫数が少ない |
板金工場はディーラーやチェーン店のように作業がマニュアル化されていないため、予算や修理の希望などに柔軟に対応してもらいやすいのが特徴です。
ただし、板金工場の技術力には大きな差があるため、初めて利用する店舗の場合は、口コミや評判を調べて厳選する必要があります。
また、ディーラーと比べると部品の在庫数が少ないため、交換が必要になった場合には時間がかかってしまうこともあるでしょう。
カー用品店
カー用品店に修理依頼する場合のメリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット |
工賃が比較的安い
純正品と社外品から選べる |
修理に対応していない店舗もある
担当者によって見積もり金額にバラツキが生じる |
カー用品店は、他の修理依頼先と比較すると工賃が安く、純正品と社外品の豊富な部品から選ぶことができるのが特徴です。
ただし、すべてのカー用品店がドアの修理や交換に対応しているわけではないため、あらかじめ確認しましょう。
また、担当者によって見積もりにバラツキがみられることがあるため、ご注意ください。
ガソリンスタンド
メリット | デメリット |
いつでも利用しやすい
ついでに見積もり依頼ができる |
対応していない店舗もある |
ガソリンスタンドは店舗数が多く、いつでも利用しやすいのが特徴です。
また、ガソリンスタンドは給油や洗車で日頃から利用するため、そのついでに見積もり依頼ができるというメリットもあります。
ただし、対応していない店舗もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
原因別の車のドアの調整方法
車のドアがズレる原因は、さまざまです。
ここでは、ドアストライカーが原因の場合、ヒンジが原因の場合、ウェザーストリップが原因の場合に分けて、車のドアの調整方法を解説します。
ドアストライカーが原因の場合
ドアストライカーとは、車体のボディについているリング状のパーツです。
ドアについているツメと噛み合うことで、ドアをロック状態にしておく役割をしています。
ドアストライカーが原因の場合は、以下の手順を踏んで作業しましょう。
- ①ドアストライカーの位置確認
②ドアストライカーの位置に印をつける
③ドアストライカーのネジを緩める
④ドアストライカーの位置調整
⑤ドアストライカーのネジを締める
⑥ヒンジの調整
それぞれの手順について解説します。
ドアストライカーの位置確認
ドアストライカーの位置が少しズレるだけでも、ドアが閉まりにくくなってしまいます。
ドアストライカーを調節するために、まずは位置を確認しましょう。
ドアストライカーの位置に印をつける
ドアストライカーの位置を確認したら、水性ペンや色鉛筆などの簡単に消せる塗料を使って、ドアストライカーの位置に印をつけておきましょう。
この際、消えにくい塗料を使用しないように気を付けてください。
ドアストライカーのネジを緩める
ドアストライカーは、大きなネジやトルクスネジが使用されているため、緩めるにはドライバーやトルクスネジ用のラチェットが必要です。
ドライバーやラチェットは、サイズが合っていることを確認しましょう。
ネジとサイズが合わない場合は、無理やり開けようとするとねじ山が壊れてしまう恐れがあるためご注意ください。
また、ネジは完全に緩めなくとも、指でドアストライカーを押したら動く程度まで緩めれば問題ありません。
ドアストライカーの位置調整
ドアストライカーの位置を少しずつズラしていき、位置を調整しましょう。
ドアがガタガタしている場合には内側へ、ドアの締まりが悪い場合には外側へズラしていきます。
ドアストライカーの位置を調整するのは、簡単なことではないため、位置を調整してはドアの締まりを確認するという行為を何度も行わなければならないでしょう。
繰り返しているうちに、丁度良い締まり具合に近づいていきます。
確認作業をする際には、ゆっくり閉めないとドアストライカーが大きくズレている場合にドアロッカーに当たり、壊れてしまう恐れがあるためご注意ください。
ドアストライカーのネジを締める
ドアに隙間がなく閉まるようになったら、ドアストライカーのネジを締めましょう。
この際には、ネジをきちんと固定するように注意が必要です。
ヒンジの調整
ドアストライカーの調整が完了したら、ヒンジ部分のドアとボディに段差ができていないか確認しましょう。
もし段差ができている場合には、ヒンジレンチを使用して調整する必要があるため、プロに依頼して直してもらうのがおすすめです。
ヒンジが原因の場合
ヒンジとは、ドアに取り付けられている部品です。
少ない力によってスムーズにドアを開閉できるように手助けをします。
ヒンジの調整には、ヒンジレンジなどの専門工具が必要です。
専門工具の使用はテクニックが必要になるため、ヒンジの調整はプロに依頼しましょう。
ウェザーストリップが原因の場合
ウェザーストリップとは、ドアとボディの隙間を埋めるためにドアに巻かれている黒いゴムです。
ドアとボディとの隙間を埋めて、雨や埃の侵入を防いだり、ドアを閉める際の衝撃を吸収したり、遮音性を向上させたりする役割があります。
ウェザーストリップはゴムであるため経年劣化する部品ですが、明確に推奨されている交換目安はなく、新車購入から車を手放すまで一度も交換しないということも少なくありません。
ウェザーストリップが原因の場合は、以下の手順を踏んで作業しましょう。
- ①ウェザーストリップの位置確認
②ウェザーストリップを外す
③新しいウェザーストリップをはめ込む
それぞれの手順を解説します。
ウェザーストリップの位置確認
ウェザーストリップが劣化して位置がズレてしまうと、ドアがきちんと閉まらず、雨や埃が入ってきてしまいます。
ウェザーストリップを調節するために、まずは位置を確認しましょう。
ウェザーストリップは、サイドドアやバックドア、ウェンドアの上部や下部にあります。
ウェザーストリップを外す
ウェザーストリップは、等間隔に配置されたクリップによりドアに固定されています。
クリップをひとつずつ外しながら、ドアから剥がしていきましょう。
新しいウェザーストリップをはめ込む
ウェザーストリップを剥がしたときとは反対の要領で、クリップをひとつずつはめながら、ドアに巻きつけていきます。
クリップをはめてウェザーストリップをはめ込んだら、ドアを開け閉めしてスムーズに開閉できるか確認しましょう。
開閉に問題がなければ、作業は完了です。
ドアの調整にかかる費用
ドアの調整にかかる費用は、原因によって異なります。
ドアストライカー、ヒンジ、ウェザーストリップの原因別にかかる費用について解説します。
ドアストライカーが原因の場合
ドアストライカーが破損している場合は、交換しなければなりません。
ドアストライカーの新品価格相場は4,000円程度です。
また、フリマサイトなどで中古品も販売されており、中古品の価格相場は1,000円~2,000円程度です。
ヒンジが原因の場合
ヒンジが破損してしまった場合は、交換する必要があります。
ヒンジは種類や店舗によって価格に差がありますが、基本的には数千円程度で入手可能です。
ヒンジの交換は自分で行うことが難しい傾向にあり、ディーラーや整備工場に依頼するのが一般的ですが、交換するための工賃は2万円〜3万円位程度かかります。
また、修理の際に板金が必要な場合には、さらに1万円〜2万円程度の修理費用もかかり、高い場合には5万円程度かかることもあるでしょう。
ウェザーストリップが原因の場合
ウェザーストリップが劣化している場合は、交換しなければなりません。
ウェザーストリップはヒンジと異なり、作業が比較的容易であるため、自分でも簡単に交換することができます。
ウェザーストリップを自分で交換する場合には、クリップ剥がし、内張り剥がし、プラスドライバーが必要です。
クリップ剥がしと内張り剥がしは1,000円~2,000円前後、プラスドライバーは150円〜2,000円程度で、すべてカー用品店やホームセンターで販売されています。
したがって、自分で交換する場合にかかる費用は、最低でも1か所につき1,150円程度で可能です。
クリップ剥がしの代用として、マイナスドライバーを用いる方もいますが、ボディを傷つけてしまう恐れがあるため、クリップ剥がしを使用するように心がけましょう。
また、業者に依頼する場合には、1か所5,000円程度かかります。
車種やウェザーストリップの種類によっても値段は変わるため、あくまで参考価格として覚えておきましょう。
まとめ
車のドアにズレが生じることは珍しいことではありません。
ドアにズレが生じている場合には、ドアが必要以上に開きやすくなっていたり、異音がしたりします。
主な原因は、「ドアストライカー」「ヒンジ」「ウェザーストリップ」の3つです。
原因によって直し方は異なりますが、自分で簡単に直すことができるものもあります。
ドアのズレは大きな事故には繋がる可能性は低いですが、自分の車体や他人の車体を傷つけてしまう恐れがあるため、できるだけ早く修理や交換を行いましょう。