「古い車に乗っているため、1年ごとの車検が必要か確かめておきたい」
「個人タクシーで商用車を持っているため、車検期間を確認しておきたい」
このようなお悩みをお持ちではありませんか?
車検が切れてしまうと、運転できないため車検場までの運搬が大変です。
加えて、車検が切れてしまった状態を知らず、警察に指摘されて罰金や違反点数が生じても嫌ですよね。
本記事では、1年ごとに検査が必要な車の車種をお伝えします。
車検切れしてしまっていた場合にどのように運ぶのかの対処法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
1年ごとに車検が必要な車・理由とは?
「車検は毎年受けなければならない」と思っている方が、一定数いらっしゃいます。
結論からお伝えすると、確かに有効期限が1年しかない車種は存在します。
ただし、これは特殊な例であり、一般的な自動車は毎年受ける必要はありません。
以降では、1年車検に該当する車種、有効期限が短い理由、1年車検と法定点検との違いについて解説します。
毎年必要な車の種類
1年の有効期限に該当するのは、以下の車種です。
- ①タクシー
②貨物自動車
③バス
④レンタカー
以降では、1年しか有効期限がない理由もひとつずつ解説します。
1.タクシー
タクシーで使用されている車両は、1年車検に該当します。
使用される車両には、セダンやミニバン、ワゴンタイプなどがありますが、どの種類もすべて1年です。
なお、新車であっても1年と決まっています。
毎年検査が必要な理由は、車両の劣化が早いためです。
タクシーで使用されている車両は、24時間年中無休で昼夜問わず、長期間にわたって走ります。
そのため、走行距離は長くなり、タイヤやエンジン、バッテリー、ブレーキオイルなどが激しく消耗するのです。
2.貨物自動車
貨物自動車も、1年車検に該当する車両です。
車両総重量が8トン以上になる場合は、初回検査から1年後に検査を受けなければなりません。
8トン未満の車両の場合は、初回検査は2年後に行い、継続検査は1年ごととなります。
毎年検査が必要な理由は、重量のある荷物を積載して走行しているためです。
重たい荷物に耐えられる構造にはなっていますが、それでも徐々に劣化していきます。
一般的な車と違いタイヤやブレーキパッドなどの消耗が激しいため、保安基準を下回る状態になりやすいです。
3.バス
バスは、初回検査と継続検査の両方が1年車検に該当する車両です。
連結のバスや二階建てのバスといったように車両の形状に種類はありますが、形状を問わず1年と決まっています。
1年ごとに定められている理由は、タクシーと同様、昼夜問わず長距離を走行するためです。
ワイパーやブレーキパッドなどの消耗パーツの劣化が激しいため、1年くらいで保安基準を下回っている可能性があります。
4.レンタカー
レンタカーは、基本的に初回検査は2年、継続検査から1年ごとに切り替わる車両です。
ただし、初回検査から1年に該当するケースもあり、バスやタクシーに用いられる場合がそれに該当します。
また、軽自動車や軽トラックなど小さい車両は、継続検査も2年で問題ないとされています。
1年ごとに車検を受けなければならない理由は、走行距離が長くなりやすいためです。
1年更新が必要な理由は?
先ほど紹介した車両の特徴からみるとわかるとおり、商用車に使われるものが1年ごとに義務付けられています。
理由は、人や重量のある荷物を乗せ走行することには、大きなリスクがあるためです。
そもそも保安基準は、安全に車が走行できる状態の基準です。
その基準から外れていると、故障や破損による事故を招くリスクが高まります。
人や重たい荷物が乗っている状態で車両が壊れると、大きな事故につながります。
安全に車を使用するためにも、消耗や劣化が激しい商用車は1年の更新が必要なのです。
法定点検との違い
法定点検も1年ごとに実施され、1年車検と混同する方がいますが、れっきとした違いがあります。
端的に違いをお伝えすると「点検か検査か」です。
名前にもあるとおり、法定点検はあくまで故障がないかの点検であり、点検項目は26項目です。
対して車検は、保安基準に適し、違法改造されていないかをチェックする検査であり、検査項目は57項目もあります。
自家用車の車検は3年・2年!
車の消耗や劣化で1年ごとと定められていることを知ると「10年や20年乗っている自家用車はどうなる?」と思っている方もいるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、自家用車の車検は使用年数に関係なく3年もしくは2年と決まっています。
以降で、詳しく解説します。
新車は3年・新車以降(4年目以降)は2年
新車を購入した場合は、次の車検まで3年の期間が空きます。
理由は、近年の車は丈夫な作りになっており、普通に乗る分には劣化が進みにくくなっているためです。
また、故障も少ないことから、毎年受ける必要はないと定められています。
新しく車を購入してから4年後の継続検査を受けると、それ以降は2年ごととなります。
車両の劣化が進み、故障のリスクが高まるためです。
新車登録から10年経つと1年ごとになる?
実は、もともと新車登録から10年経過すると、1年ごとに車検を受けなければなりませんでした。
しかし、1995年に道路交通法の改正で車検期間が見直され、初回3年、以降2年ごととなりました。
このような改正がなされた背景には、戦後の製造技術の向上が挙げられます。
第二次世界大戦後、しばらくは乗用車製造が禁止されていました。
軽自動車の製造が復興した1955年から車の製造が再開されたのちに高度経済成長期に突入します。
その後、さらに東京オリンピックや大阪万博などの開催もあり、自動車産業は盛んになりました。
1980年代には日本車の黄金期を迎え、1995年に道路交通法が改正されたのです。
現在もなお、製造技術は進化を遂げているため、今後さらに車検期間が長くなる可能性があります。
車検が切れるとどうなるの?
本章では、車検の有効期限を過ぎて運転するとどうなるのか、有効期限切れ状態で車検を受ける方法をお伝えします。
車検切れで走行すると違反になる
車検切れ状態で運転すると違反となり、検挙されると罰金もしくは懲役刑、違反点数の加点が下されます。
罰金刑が課された場合、道路運送車両法第108条によって30万円以下を支払わなければなりません。
懲役刑が課された場合、道路運送車両法第108条によって、交通刑務所へ6か月以下の期間入所することが定められています。
なお、罰金もしくは懲役刑に加えて違反点数6点も追加され、30日間の免許資格停止が課せられます。
参考元:道路運送車両法|条文|法令リード 第8章 罰則 第108条
有効期間切れの状態で車検を受けるには?
車検の有効期限が切れた状態では運転できないため、どのように検査を受ければ良いのか疑問に思う方もいるでしょう。
運転ができないことへの対処法として、以下の方法があります。
- ・仮ナンバーを取得する
・積載車を使う
では、具体的な方法を一つずつ解説します。
運転して車検を通すなら仮ナンバーが必要
もし、ご自身の運転で車両を車検場まで運搬したいのであれば、仮ナンバーの取得が有効手段です。
仮ナンバーを申請すると赤い斜線が入ったナンバープレートを貸し出ししてもらえ、公道を走れるようになります。
なお、仮ナンバーには最長5日の使用有効期限があり、それまでに車検を通しにいく必要があります。
仮ナンバーの申請は、市区町村の役所にて可能です。
申請には車検証と有効期限が切れていない自賠責保険証、運転免許証が必要となりますので、忘れず用意しましょう。
積載車を使う方法もある
仮ナンバーの取得以外では、積載車を使用する方法があり、積載車はレンタルが可能です。
運転できる方は積載車をレンタルして、車検切れした車両を車検場まで運べます。
運転することが厳しい方は、積載車で運搬してくれる業者に依頼しましょう。
車検はいつごろから受けられる?
車検は、有効期限の1か月前から受けられます。
ただし、早く受ければ受けるほど車検残期間が早まり損した気分になるのでおすすめしません。
車検切れになるよりかはもちろんよいのですが、損がなく満了日が変わらない、有効期限の1か月前以降が良いでしょう。
例外ですが、45日前でも短縮されないケースもあります。
特例として認められるには細やかな条件があり、すべて満たさなければなりません。
車検費用の相場と内訳項目
車検でかかってくる費用の相場と内訳項目を解説します。
どのくらいかかるのかおおよそを知っておくことで、費用の準備や心づもりができ、安心して依頼できるようになります。
費用の内訳項目
費用の内訳項目を大まかに分けると以下の3つです。
- ・法定費用
・基本料金
・整備費用
<法定費用>
支払い義務や金額が法律によって決まっている費用項目です。
具体的にいうと、自賠責保険や重量税、印紙代・証紙代が該当します。
自賠責保険料は有効期限によって変動します。
【24か月で契約した場合】
- ・普通自動車(3・5ナンバー):17,650円
・軽自動車:17,540円
重量税
、印紙代・証紙代については、クレジットカードなどのキャッシュレス決済ができます。
<基本料金>
業者への依頼費用で、ディーラーが最も費用が高いです。
相場は以下です。
- ・普通自動車(3・5ナンバー):54,000円~
・軽自動車:34,020円~
<整備費用>
車検に通すための整備作業にかかる費用です。
費用は車の状態や交換パーツによって大きく変動するため、相場を出すのは困難です。
車検費用が高くなるタイミング・ケースがある
車検費用が高くなるタイミング・ケースは、以下です。
- ・新車登録から5年目・13年以上経過したタイミング
・多走行で整備が必要な箇所が多いケース
では、一つずつ解説します。
新車登録から5年目に入ったタイミング
新車登録から5年目に入ったタイミングで車検費用が高くなる理由は以下です。
- ・メーカー保証が切れる
・多くのパーツが交換タイミングに来る
・エコカー減税の減免措置がなくなるタイミングになる
上記のように、交換パーツ代が増えたり法定費用が上がったりすると、車検代は上がります。
13年以上経ったタイミング
13年以上経ったタイミングで車検費用が高くなる理由は、重量税が上がるタイミングに来るためです。
さらに、18年以上のタイミングが来ると増税されます。
免税対象となるエコカー認証の車でも同様です。
多走行で整備が必要な箇所が多い
多走行で整備が必要な箇所が多い場合も、車検費用が高くなります。
車を使用するほど劣化が進みパーツ交換を必要とする数が増え、整備費用がかかることが理由です。
加えて、走行距離が長いと高価パーツの交換タイミングが来ることも、高くなる理由のひとつです。
具体的には、バッテリーやエンジン、トランスミッションなどが該当します。
車検費用を抑えるには
車検費用は、普段からの対策や依頼先によって抑えやすくなります。
日頃からセルフメンテナンスをしておく
消耗品パーツの劣化を進ませない走行の仕方や、車検前にパーツを交換するといったメンテナンスが、費用をおさえることにつながります。
特に、ディーラー車検は細やかなところまで確認し、不適合になるような状態でなくても、修理や交換を進んで行ってくれます。
修理や交換が不要な状態にしておくことで、整備費用を抑えやすいです。
車検費用が安い業者に依頼
車検費用は、車検を通すための作業をしてくれることに対する謝礼のようなものです。
そのため、業者や店舗によって金額が大きく異なり、チェーン店であっても地域によって費用が異なるほどです。
安いところに依頼できるところには、修理工場、カー用品店、車検専門業者などが該当します。
相見積もりで費用を比較すると、地域内でもっとも安いところを探せるでしょう。
車検にかかる期間は?
車検にかかる期間の目安は、依頼先の業者によって異なります。
数日で終わる場合もありますが、なかには1週間以上になるケースもあるため、詳しく解説します。
車検依頼先ごとの目安
車検依頼先ごとの目安は以下のとおりです。
- ・ディーラー・民間工場:2日〜4日が一般的
・カー用品専門店・ガソリンスタンド:1〜2日が一般的
・車検専門店:30分〜数時間一般的
作業の丁寧さや車検待ちの起こりやすさで期間が異なります。
もし、車検完了までの期間を短縮させたいのであれば、車検専門店がいいでしょう。
作業の丁寧さを重視したい場合は、2日〜4日と最も長いですがディーラー・民間工場がおすすめです。
1週間以上かかるケース
目安としては長くても4日程度ですが、1週間以上かかるケースもあります。
以下の状況に該当する場合は、長期間になる可能性があることを念頭に置いておきましょう。
- ・海外への取り寄せ部品がある
・繁忙期に依頼している
特に、海外へ部品を取り寄せる場合は船便で届くケースが一般的であり、1週間以上の日数がかかることもよくあります。
輸入車のパーツは海外からの取り寄せが基本です。
BMWやベンツといった輸入車のオーナーは、車検期間が長くなることを見積もっておきましょう。
車検期間を残して廃車にする場合はどうなる?
「車検期間が残っているが、事故で廃車にする」「車検費用の見積もりが高額になるため買い換えたい」といった方も一定数います。
もし、車検期間を残して廃車にした場合はどうなるのでしょうか。
廃車にする場合は還付金がある
車検期間が残っていれば、その分の還付金が発生します。
受け取りできるのは、以下の項目です。
- ・自動車税
・自動車重量税
・自賠責保険
・自動車保険
注意しなければならないのが、全額返金ではないということです。
また、廃車にするタイミングによっては費用が発生する契約日数の関係で還付金が発生しない項目もあります。
加えて、軽自動車は自動車税の還付金そのものがありません。
手続き方法
廃車手続きはご自身で行うことも可能ですが、廃車買い取り業者に依頼すれば手続きを代わりに進めてくれます。
ただ廃車にするのではなく、廃車にする車両の価値を査定し、その査定額を支払ってくれます。
手元に残るお金が還付金と合わせて増えるため、買い替え費用や生活費の足しになり助かるでしょう。
まとめ
1年ごとに車検を受けなければならないのは、事業用として使われる車両です。
一般車両として使用する場合は、走行距離や新車登録からの経過年数を問わず、継続検査は2年ごとです。
車検が切れると公道を走行できなくなり、もし違反した場合は30万円以下の罰金もしくは6か月以下の懲役、追加で違反点数6点で30日間免許停止が課されます。