公道を走行するすべての車には、ナンバープレートの取り付けが法律によって義務付けられています。
令和3年10月1日にはナンバープレートの装着新基準が適用されているため、車検を受ける前にルールを確認しておきたい方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ナンバープレートの表示基準について解説しています。
ナンバープレートを交換する場合の手順や禁止事項についても解説しているので、これから車検を受ける予定の方はチェックしてみてください。
ナンバープレートの表示基準
ナンバープレートの表示には細かい取り決めがあります。
車検を受ける前に確認しておきたいナンバープレートの表示基準を見ていきましょう。
前面のナンバープレートの位置・角度
前面のナンバープレートの上下の取り付け角度は、上向き10度・下向き10度の範囲内である必要があります。
左右の向きについては、左向き10度の範囲と定められていて、右向きには傾けられません。
取り付け位置は番号の識別に支障がない見やすい位置とされています。
後面のナンバープレートの位置・角度
後面のナンバープレートの取り付け角度は、車高によって異なります。
ナンバープレートの上端の高さが地上から1.2m以下の場合は、上向き45度・下向き5度の範囲内です。
高さが1.2mを超える場合は、上向き25度・下向き15度の範囲内に収める必要があります。
後面の取り付け位置も前面と同様です。見やすい位置に取り付けてください。
フレーム
ナンバープレート外縁からフレームの内縁までの幅は、上部10mm以下、左右18.5mm以下、下部13.5mm以下と定められています。
ナンバープレートに取り付けたフレームやボルトカバーが突出している部分の厚さは、上部6mm以下です。
上部の幅が7mm以下の場合は10mm以下、その他30mm以下と定められています。
フレームは脱落する恐れのない、しっかりと固定できる安全なものを取り付けなければなりません。
ボルトカバー
ナンバープレートを固定するボルトにはボルトカバーを取り付けることが可能です。
直径が28mm以下で番号に被覆しないもの、厚さが9mm以下という基準が設けられています。
脱落しない安全なものを使用しましょう。
ナンバープレートの変更が必要なケース
所有者の状況やナンバープレートの状態によっては、ナンバープレートの変更や交換が必要です。
ナンバープレートの変更が必要なケースについて解説します。
引越しによる住所変更があった場合
転居により住所を管轄する運輸支局が変更になった場合は、ナンバープレートの変更が必要です。
たとえば品川区のエリアから渋谷区のエリアに引越した場合、渋谷区を管轄する運輸支局へナンバープレートの変更申請を届け出なければなりません。
車の所有者は住所変更があってから15日以内の申請が必要となります。
引越しの場合は次回車検時までの猶予が可能
令和4年1月4日より、引越し時のナンバープレートの交換が次回車検時まで猶予が可能となる特例措置の運用が開始されました。
対象となる手続きは、所有者本人がマイナンバーカードを用いて行う自動車ワンストップサービス(OSS)の場合のみです。
所有者と使用者が異なる場合は、特例措置を利用することができません。
所有者はOSSで変更登録を申請した後15日以内に、引越し先の運輸支局に旧車検証を郵送します。
新車検証が交付されれば手続きは完了です。
所有者は車検を受ける前か車検時までに運輸支局で手続きを行えば、古いナンバープレートの返却と新しいナンバープレートの交付を受けることができます。
紛失や盗難があった場合
ナンバープレートを落としたり、誰かに盗まれてしまったりした場合は、ナンバープレートの再交付手続きが必要となります。
再発行手続きの手順は、次のとおりです。
- ・警察署に届け出を行う
・市区町村役場で仮ナンバーを取得する
・運輸支局で再交付を申請する
再交付手続きには約3,000円程度の費用がかかりますが、車が動かせないためレッカー費用や移動費用がかかる場合もあります。
再交付まで時間もかかるので、覚えておきましょう。
破損や汚損が発生した場合
ナンバープレートの番号が認識できないほどの破損や汚損があった場合は、同一番号のナンバープレートへの交換が可能です。
盗難や紛失に遭った場合と同じような手順でナンバープレートの再交付を申請してください。
なお、ナンバープレートが破損した状態で走行することはできません。
破損・汚損したナンバープレートを放置した状態で車両を使用した場合は、法律違反になるので十分に気をつけましょう。
希望ナンバー・図柄ナンバーに変更したい場合
所有者が希望すれば、ナンバープレートの番号を自由に変更したり、好みのデザインに変えたりすることもできます。
変更は希望番号・図柄ナンバープレート申込サービスから申し込むことが可能です。
変更にかかる費用は種類、大きさ、枚数によって異なります。
- ・ペイントナンバー:4,000円~6,000円
・字光式ナンバー:5,500円~8,000円
・図柄ナンバー:7,000円~10,000円
選択した図柄によっては寄付金が必要になる場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
ナンバープレートを変更する手順
車のナンバープレート変更手続きは、OSS申請の他に窓口で申し込む方法があります。窓口でのナンバープレート変更手続きの手順は、次のとおりです。
必要書類を準備する
ナンバープレートの変更に必要な書類は、事前に用意するものと陸運支局で当日に用意するものがあります。
事前に用意するもの | 当日に陸運支局で用意するもの |
住民票(発行後3か月以内)
車庫証明(発行後1か月以内) 印鑑 予約済証 自動車検査証 委任状 理由書 |
申請書
手数料納付書 自動車税申告書 |
レートの変更理由によって異なるので確認が必要です。
手続きをスムーズに進めるため書類に不備がないかをチェックしておきましょう。
運輸支局・自動車検査登録事務所で手続きをする
車の所有者が住んでいるエリアを管轄する運輸支局で手続きを行います。
場所がわからない場合は、国土交通省のホームページで検索してください。
運輸支局内の窓口で必要書類を提出し、不備がなければ新しい車検証が交付されます。
車検証を受け取ったら、マイナスドライバーで封印を取り外して古いナンバープレートを返却してください。
新しいナンバープレートが交付されたらビスを取り付けます。
これでナンバープレート変更の手続きは完了です。
自動車保険の変更手続きをする
ナンバープレートを変更したときは、加入している自動車保険の会社にも連絡する必要があります。
保険の登録番号を変更しておかないと、保険金の請求が必要になった場合に補償を受けられない可能性があるからです。
車の登録番号が変わったときは、保険会社の手続きも忘れずに行ってください。
ナンバープレートの禁止事項
ナンバープレートの表示方法には厳しい規則があります。
車検に通らないナンバープレートの禁止事項を確認しておきましょう。
カバーを装着してはいけない
以前はナンバープレートを汚れから守るためにカバーの装着が許可されていましたが、現在は禁止されています。
ドレスアップが目的ではない無色透明のものであっても禁止です。
いかなるカバーも装着することはできません。
文字が隠れるフレームを取り付けてはいけない
ナンバーフレームの装着は認められていますが、番号を被膜するものや走行中に判読できないものに関しては禁止されています。
違反すると道路交通法の番号表示義務違反に問われるので気をつけましょう。
車にはナンバーフレームが許可されていますが、バイクにはナンバーフレームの装着が禁止されています。
シールやステッカーで装飾してはいけない
ナンバープレートにシールやステッカーを貼り付けて装飾することも禁止されています。
番号の識別を妨げる恐れがあるからです。
光の反射で番号が識別できなくなるので、透明のシールで皮膜することもできません。
小さなものでも処罰の対象になる可能性があるので、ナンバープレートのデコレーションはあきらめましょう。
回転や折り返して表示してはいけない
ナンバープレートを回転させての表示は一切禁止となっています。
縦向きにつけることはできません。
また、ナンバープレートを折り返す行為についても禁止されています。
定められた位置と角度を守って表示することが原則です。
遵守しなければ、車検に通らないので気をつけましょう。
デザインを故意に変更してはいけない
図柄のナンバープレートを装着している場合、デザインに手を加えたり、わざと汚したりするのは処罰の対象となります。
手書きでナンバープレートを塗りつぶすなどといった行為ももちろん違反です。
図柄のナンバープレートは特別に認められたものなので、大切に扱いましょう。
車検切れの車のナンバープレートについて
車検が切れてしまった車のナンバープレートはそのままでも良いのでしょうか。
車検切れの車のナンバープレートの扱いについて解説します。
つけたままだと税金が課せられる
車検の有効期限が切れてしまった車のナンバープレートを放置してしまうと、車を利用していないのに自動車税が課せられてしまいます。
車検が切れているのでもちろん公道を走行することはできません。
ナンバープレートを残す特別な理由がない限り、すみやかに返却しましょう。
なお、車検が切れた車を陸運局や整備工場まで動かしたい場合は、仮ナンバーの交付を受ければ一時的な走行が可能となります。
仮ナンバーを申請する場所は、住んでいる地域の市町村役場です。
3日間の貸し出し期間内であれば、申請した経路を運転することが可能です。
3月31日までに返却する
ナンバープレートの返却は、その年の3月31日までに済ませてください。
なぜなら自動車税は、毎年4月1日時点での所有者に課せられるからです。
4月1日以降に返却してしまうと、新たに1年分の自動車税の支払い義務が発生してしまいます。
月末は手続きを済ませたい人で陸運局が大変混み合いますので、時間に余裕を持って返却の手続きを済ませましょう。
公道を走ると罰則が科せられる
車検切れの状態で公道を走った場合、自動車賠償責任保障法違反に問われます。
具体的には、次のような罰則が科せられるため注意が必要です。
- ・違反点数6点
・30日間の免許停止
・1年以下の懲役または50万円以下の罰金
罰則が適用されるのは公道を走行した場合のみなので、私有地では適用されません。
さらに事故を起こすと行政や刑事処分が加わります。
自賠責保険が切れている場合は無保険となりますので、さらに処分が重くなる可能性が高いです。
車検切れの車を運転するのは絶対にやめましょう。
まとめ
今回は車検時のナンバープレートの表示基準について詳しく解説しました。
表示基準が守られていないナンバープレートは、車検に通ることができません。
厳しい罰則も設けられているので、禁止されている付け方は絶対にしないようにしましょう。
今後もナンバープレートに関する法律が改正される可能性があるので、車検を受ける前には基準を確認することが大切です。
また、転居や紛失などの事情によりナンバープレートを変更・交換する必要があります。
引越しの際には次回車検まで変更手続きが猶予されるため、申請手順をよく確認しておきましょう。