車のピラーは、車に衝撃が与えられた際に衝撃を吸収する役割を果たしています。
車のフレームに該当するピラーは車にとって大切なパーツであるため、傷がついたときにはどのくらい修理費用がかかるのか心配になる方もいるでしょう。
そこで本記事では、車のピラーの修理費用や自分で直す方法などを解説します。
車のピラー修理でお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。
車のピラーに傷がついたときは?
ここでは、車のピラーの概要、車のピラーに傷がついた際の修理費用について解説します。
車のピラーとは
車のピラーとは、衝撃を吸収する役割を果たすルーフとボディの間にある柱です。
ほとんどの車には、フロントガラスの両側にあるAピラー、前部座席と後部座席の中間にあるBピラー、リアガラスの両側にあるCピラーがあります。
それぞれのピラーの役割は、以下のとおりです。
- ・Aピラー:前からの衝撃を受け止める
・Bピラー:側面からの衝撃に耐える
・Cピラー:後ろからの衝撃を受け止める
また、3列シートや後部座席の後ろに窓がある場合にはDピラーがあったり、バスはJピラーまであったり、オープンカーはAピラーしかないなど、車によって異なります。
車のピラーは太ければ太いほど衝撃を吸収できますが、デザインを損ねてしまったり、視野を狭めてしまったりするため、さまざまな要因を考慮してサイズが決められているのです。
車のピラーの修理費用
車のピラーの修理費用は、傷の程度によって異なります。
傷の程度による大まかな修理費用は、以下のとおりです。
傷の程度 | 修理費用 |
外側の塗装が剥がれた場合 | 2万円〜5万円程度 |
凹みが大きい場合(板金修理) | 5万円〜8万円程度 |
ピラーが歪んでしまった場合(交換) | 10万円〜20万円程度 |
また、特殊なカラーリングや傷の部分がサビてしまった場合には、修理費用がさらに高くなる可能性があります。
車のピラーを修理する際の注意点
車のピラーを修理する際には、以下の3つの注意点があります。
- ・ピラー以外にも傷ついている可能性が高い
・全体的なダメージがどの程度かを把握しておく
・傷の具合では査定額に影響を及ぼす可能性も
それぞれの注意点について解説します。
ピラー以外も傷ついている可能性が高い
車のピラーが傷付いた場合、以下のパーツも傷ついていることがほとんどです。
- ・ドア
・フロントフェンダー
・リアフェンダー
・ルーフ
上記のパーツも修理するとなると、さらに修理費用も高くなります。
全体的なダメージがどの程度かを把握しておく
修理を検討している場合は、全体的なダメージがどの程度か把握しておくことがおすすめです。
ダメージが大きければ大きいほど、修理費用はかさみます。
全体的なダメージを把握しておくことで、ある程度修理費用の予測が立てられるでしょう。
傷の具合では査定額に影響を及ぼす可能性も
車のピラーの傷は程度によって、査定額に影響を及ぼす可能性があります。
修理したとしても、望むような査定額にならない可能性が高く、売却や廃車を視野に入れて考えなければなりません。
では、どんな状態が査定額に影響するのか見ていきましょう。
車のピラーの修理は査定に影響する?
車のピラーの修理は、内容によっては査定に影響を与えるのです。
JAAI(日本自動車査定協会)、公取協、中販連の3つの団体によって、修復歴の有無の基準が決められており、以下の8つのうちどれかに基準以上の修理を施していると、修復歴ありになってしまいます。
- ・ピラー
・クロスメンバー
・サイドメンバー
・インサイドパネル
・ダッシュパネル
・ルーフパネル
・フロアパネル
・トランクフロアパネル
ここでは、修復歴ありになるピラーの修理と修復歴なしになるピラーの修理について解説します。
修復歴ありになるケース
修復歴ありになる車のピラーの修理は、以下のとおりです。
- ・ピラーを切断して新しいものに交換
・スポット溶接で打ち直し
・ピラーの外部や外板を介して広がった凹みの修理
修復歴ありになった場合は、3万円~7万円程度査定額下がるといわれています。
ピラーを修理していると、他の箇所にも影響していることが多いため、さらに下がってしまう可能性もあるでしょう。
修復歴ありになってしまうほど傷の程度がひどい場合には、修理をせずに手放すのがおすすめです。
修復歴なしになるケース
修復歴なしになる車のピラーの修理は、以下のとおりです。
- ・ピラーの外の露出している箇所の凹みの修理
・500円玉よりも小さい軽微な凹みの修理
・車の内部からの力による凹みの修理
・他の単体部品の交換時に生じたピラーの溶接処理跡
・ピラーの外や外板を介さない凹みの修理
車のピラーの修理依頼先
車のピラーの主な修理依頼先は、以下の4つです。
- ・板金業者
・ディーラー
・カーショップ
・デントリペア専門店
それぞれの修理依頼先の特徴を解説します。
板金業者
板金業者は板金屋とも呼ばれることがあり、主に金属製のパーツの修繕や交換を行っている業者です。
板金業者に依頼するメリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット |
・修理費用が比較的安い
・修理完了までのスピードが早い |
・専門の職人が在籍していない悪徳業者もある |
板金業者は、他の修理依頼先と比べると修理費用が比較的安く、修理完了までのスピードが早いのがメリットですが、どの業者に依頼するのかは慎重に選ばなければなりません。
修理費用が安いという理由だけで業者を選んでしまうと、専門の職人が在籍していないおそれがあります。
軽微な傷の場合には、専門の職人でなくとも、多少車に詳しければ素人にはわからない程度まで修復することは可能です。
しかし、時間が経つにつれて徐々に塗装が剥げてしまったり、下地処理がしっかりとできていないためにサビたり、腐食してしまったりすることがあり、その場合には再び修理をしなければなりません。
また、もし車を売却することになった場合には、査定員に修理の甘さを見抜かれて、査定額が下がってしまうことも考えられるでしょう。
ディーラー
ディーラーは、メーカーの正規販売店です。
ディーラーに依頼するメリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット |
・信頼できるため安心感が高い
・メーカー特別保証を受けられる可能性がある |
・修理費用が高い
・見積額と支払う額に差が発生することがある |
ディーラーはメーカーの正規販売店であるため、質の低い修理をすることがなく、安心感があるのが大きなメリットです。
また、修理の内容によってはメーカーの特別保証を受けられる可能性があり、その場合には安く修理や交換が行えるでしょう。
メーカーの特別保証は、サビなどユーザー側の過失ではない場合の修理のみが対象であり、後からできた歪みや凹みは対象外となるため、ご注意ください。
ディーラーに依頼するデメリットは、修理や交換の際に正規品を使用したり、板金修理や塗装職人などのプロに外注するため仲介手数料が発生して修理費用が高くなってしまうことと、外注に依頼するため見積額と支払う額に差が発生する可能性があることです。
カーショップ
車用品を販売しているカーショップでも、修理や交換を行っていることもあります。
カーショップに依頼するメリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット |
・仲介手数料が発生しない
・見積もりが正確 ・仕上がりが期待できる |
・ショップによって修理費用に差がある |
カーショップはディーラーのように外注しないため、仲介手数料が発生せず、見積もりと支払う額に差が発生しません。
また、自社板金工場を完備しているカーショップであれば、仕上がりが期待できるでしょう。
ただし、ショップによって修理費用に差がある点に注意しなければなりません。
複数のショップで相見積もりをしたり、評判や口コミを調べたりして、どこが最もしっかりと修理を行ってくれるか判断しましょう。
デントリペア専門店
デントリペア専門店とは、板金よりも比較的軽度な傷を直すことを専門とした業者です。
デントリペア専門店に依頼するメリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット |
・修理費用が比較的安い | ・ショップによって技術に差がある
・すべての傷を直せるわけではない |
デントリペア専門店は、塗装などが必要なく、パネル自体を押し出して元の形に戻すため、板金業者よりも修理費用が安くなりやすい傾向にあります。
ただし、デントリペアは高度な技術が必要となるため、腕のある職人が在籍しているショップを選ばなければなりません。
評判や口コミを調べて、仕上がりが期待できるショップを選びましょう。
また、デントリペアは比較的軽度な傷を直すことを専門としているため、凹みの範囲が広かったり、傷がひどい場合には、修理できないこともあります。
修理できるかどうか心配な場合には、デントリペア専門店で相談してみると良いでしょう。
車のピラーを自分で修理する方法
車のピラーを修理するには、ピラー単体でも2〜20万円もの修理費用がかかるため、自分で修理したいと思う方もいるでしょう。
車のピラーの修理は材質によって修理に必要な材料が異なりますが、以下の3つの方法で自分で直すことも可能です。
- ・ピッチレスコート
・コンパウンド剤またはタッチペン
・黒樹脂復活剤
それぞれの直し方や、どこのピラーを直すものか解説します。
ピッチレスコート
ピッチレスコートは軽微な傷の修理に向いており、汚れを落とす効果と傷を埋める効果、ツヤを出す効果があります。
ピッチレスコートを用いて修理する場合には、やわらかい素材のピラーには傷が入りやすいため、まずスポンジを押さえる力加減やスポンジ戻しの練習を行ってから挑むのがおすすめです。
ピッチレスコートで修理する手順は、以下のとおりです。
- ①ピッチレスコートの容器をよく振る
②容器の口にスポンジをあてて容器とともに上下に振ってスポンジにピッチレスコートを適量付着させる
③あまり力を入れずに縦横円に描くように軽く何度もこする
④スポンジ戻しをしてからタオルで拭く
⑤先ほどよりも力を入れてこする
⑥スポンジ戻しをしてからタオルで拭く
ピッチレスコートを修理するうえでのポイントは焦らないことです。
最初から強い力でこすらず、優しくこすり、再度1回目よりも強い力でこすっていきましょう。
そうすることできれいな状態に戻すことができるでしょう。
コンパウンド剤またはタッチペン
ピラーAとピラーCの浅い傷の修理には、コンパウンド剤またはタッチペンを使用するのがおすすめです。
まずコンパウンド剤を使用した修理方法は、以下の手順です。
- ①傷周辺を洗ってほこりや砂などを除去する
②マスキングテープで傷周辺以外にコンパウンド剤が付着しないように保護する
③スポンジを十分に水に浸してやわらかくする
④水が出なくなるまでスポンジを絞る
⑤スポンジを直線的に動かして磨く
⑥クロスで拭いてコンパウンド剤を落とす
⑦ワックスでコーティングする
ポイントは、目の細かいコンパウンド剤から使用することです。
傷の程度によって研磨できなければ、徐々に粗くしていきましょう。
スポンジにつける量はリキッドタイプは500円玉程度、ペーストタイプは1センチ程度が目安です。
このコンパウンド剤は手軽に入手でき、安価に修理できる便利なアイテムですが、使いすぎると塗装が剥げてしまうおそれがあるためご注意ください。
また、材質によっては、コンパウンド剤で磨くとかえって傷を目立たせてしまうことがあります。
たとえば、シール貼りピラーの場合は、ドレスアップ用のエンボスシールを貼って隠したり、シールを張り替えたり、ピラーパネルを貼ったりするなど、別の方法を考えなければなりません。
- タッチペンは塗装が剥がれた箇所を塗料で塞ぎ、サビや腐食を予防するアイテムです。
タッチペンを使用した修理方法は、以下の手順です。
①傷の周辺を洗ってほこりや砂などを除去する
②水分をよく拭き取る
③コンパウンド剤で傷を磨いて表面を滑らかにする
④耐水ペーパーで研磨する
⑤シリコンオフで表面を脱脂する
⑥傷の周辺をマスキングテープで保護する
⑦タッチペンを傷に塗って20分〜30分放置する
⑧7〜8回程度繰り返す
⑨1週間程度乾燥させる
⑩塗料の盛り上がりに合わせてマスキングテープを重ねて貼る
⑪耐水ペーパーで塗料の盛り上がりを削る
⑫マスキングテープを剥がして極細目のコンパウンド剤で表面を磨く
⑬ワックスでツヤを出す
黒樹脂復活剤
黒樹脂復活剤は黒樹脂製のピラーBの軽微な傷の修理におすすめです。
黒樹脂復活剤はツヤ出しをするアイテムですが、傷を埋めて目立たなくさせることができます。
- ・傷周辺を洗ってほこりや砂などを除去する
・マスキングテープで傷周辺を保護する
・黒樹脂復活剤をスポンジに染み込ませて塗布する
まとめ
車のピラーの修理費用は傷の程度によって差があり、2万円〜20万円程度かかります。
ピラーは車のフレームに該当するため、傷の程度がひどい場合には修復歴ありになってしまうため、ご注意ください。
車のピラーの修理費用を抑えるために、自分で修理することもできます。
自分で修理する際には、ピラーの材質を見てどの材料を使用するか検討しましょう。