「車で深い水たまりを走った際に起きる故障やトラブルについて知りたい」
このような悩みを抱えているドライバーの方はいませんか?
自然災害などを発端に道路が冠水する事象も見られるため、なるべく知っておきたい知識だとも言えるでしょう。
そこで本記事では水たまり・冠水路を走ったときに起こり得る車の故障・トラブルについて解説します。
冠水路に突入してしまったときの対処法や気を付けたい異音なども紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
車で水たまり・冠水路を走った際に起こり得る故障
まずは車で水たまり・冠水路を走った際に危惧すべき、故障内容について解説していきます。
その場で発生する恐れのある故障は、エンジンの破損と電気系統のショートです。
エンジンの故障
エンジンは車の動力となる部分であり、ガソリンと空気を混合・燃焼させることで、エネルギーを生み出します。
エンジンに水が侵入すると、エンジンが停止する可能性があります。
ただし、エンジンが停止するだけでなく、エンジン本体が損傷を受ける危険もあります。
万が一のためにも、水の浸入経路について把握しておきましょう。
マフラーから水が浸入するケース
1つ目の経路として考えられるのはマフラーです。
マフラーは車の底部に装着されているため、リスクが生まれるのはドアの下部付近にまで水位が上昇したときになります。
水の侵入が始まると排気ガスの放出が阻害され、やがてエンストに至ります。
エンストすると水の侵入は激しくなり、エンジンの破損を招きます。
吸気口から水が浸入するケース
エンジンは空気を必要とするので吸気口とつながっています。
一般的に吸気口は車のボンネット付近に位置していますので、車自体がほとんど水没しない限り、水が吸気口に流れ込むことはまれです。
ただし、冠水路を走行する際には、激しい水しぶきが発生し、吸気口に水が浸入してしまうケースがあります。
侵入した水の量によってはエンジンが損傷してしまう恐れもあるので注意が必要です。
電気系統のショート
電気系統のショートでエンジンが損傷してしまう恐れもあります。
この場合、直接的な機械的な故障ではなく、電気系統のショートが機械的な制御に影響を与えることによって問題が生じます。
結果として、車が走行不能になるリスクが高まります。
過去の事例を考慮すると、水の侵入によるトラブルの方が電気系統のトラブルよりも先に起こる傾向があります。
車で水たまり・冠水路を走った際に発生するリスク
次に見ていくのは、車で水たまり・冠水路を走った際に発生する故障以外のリスクです。
売却時の査定低下
車で水たまりを走った際、目立った故障がなくても売却時の査定が低下するケースがあります。
そのケースとはフロアカーペットの上まで浸水して、水没車(冠水歴車)として登録されるというものです。
対象となる原因は洪水だけでなく、集中豪雨も含まれます。
水没車の査定価格が下がるのは、将来的な腐食・悪臭・汚れを懸念しているからです。
悪臭・カビ・錆びの問題
フロアカーペットの上まで浸水した車には、悪臭・カビ・錆びのトラブルが付きまといます。
交換できるパーツをすべて新品に変えたとしても、トラブルの発生を完全に防ぐことは難しくなります。
現時点でトラブルがなくても、将来に対する懸念は変わらない点に注意しておきましょう。
水たまり・冠水路に入ってしまったら
リスクがあると理解していても、意図せず水たまり・冠水路に入ってしまうことは考えられます。
そういったときに間違った選択をしないよう、対処法について解説していきましょう。
水たまり・冠水路は避けるのが基本
意図せずに突入してしまうことはあるかもしれませんが、水たまりや冠水路はできるだけ避けるのが重要です。
冠水路の水深は濁っていて見極めが難しく、突入してみて動けなくなるという事例も多く報告されています。
正しい判断を下すためにも、次の2点について理解しておきましょう。
基準は縁石の高さ
冠水路の水深は、縁石を見ることでリスクを判断できます。
マフラーに水が浸入するのは20cm以上の水深になるときです。
縁石の高さは約15cmで、車のマフラーより少し低い位置となります。
縁石が完全に水没している道路は通らないのが正解です。
水深が浅い場合は引き返す
「気付いたときには水たまりの途中だった」という場合は縁石で判断し、水深が浅いようなら引き返してください。
すでに述べたとおり冠水路の水深は濁っていて分かりにくいため、そのまま進むのはリスクのある行為と言えます。
進むならアクセルは一定にして低速で
状況によっては進むしかない、進んだほうが早く脱出できるといった場合もあります。
水たまりのなかで車を走らせるときは、アクセルを一定にして低速で進みましょう。
ポイントは水はねを起こさずゆっくり走ること、アクセルから足を外さず排気ガスを出し続けることです。
ギアを低速にしたままでアクセルを緩めず進んでください。
このような走行方法によって、マフラーや吸気口からの水の侵入を最小限に抑えることができます。
エンジンが停止した場合
もし車が動かなくなった場合は、すぐに脱出しましょう。
エンジンの再始動は修理不可能なダメージを負う恐れもあるので実行しないほうが無難です。
感電のリスクもありますので、次に示す手順に従ってなるべく安全に車から離れましょう。
ドアを開けて水深を確かめる
まずはドアを開けて水深を確かめます。
自分の足を物差しにして脱出可能かどうかを判断しましょう。
鍵は挿したままで
車のキーは挿したままにしておきます。
当然ドアロックもかけません。
水が引いた際にすぐ移動させるためです。
移動の際は自走を避けてレッカーを利用します。
足元を慎重に確かめながら脱出
足元を慎重に確かめながら脱出します。
常に水深に気を付けてゆっくり歩行してください。
ドアが開かないほどの水深だったら
水深がドアを開けることができないほど深い場合、答えは待つことです。
水が車内に侵入するのを待ち、水圧の差がなくなったときにドアを開けます。
その際は、直前までに肺に空気を溜め込み、一気に脱出を試みましょう。
水たまり・冠水による故障の保険対応
水たまり・冠水などが原因で故障やトラブルが発生した際、保険対応は可能なのでしょうか?ここでは車両保険について見ていきます。
自然災害が原因だと多くの場合は保証される
車両保険についてはさまざまなものが存在しますが、自然災害による水没が原因だと多くの場合で補償が受けられる傾向です。
自然災害が原因だと示すためにも、間を開けずになるべく早く保険会社へ連絡を入れましょう。
全損扱いに注意
修理が不可能または修理金額が設定されている補償額を超えた場合、その車両は「全損」と認定されます。
全損と認定された車両には保険会社から保険金が支払われますが、設定されている補償額以上に支払われることはありません。
保険金を受け取ってしまうと車の所有権は保険会社に移るため、勝手に修理することはできなくなります。
修理して乗り続けたい場合は、保険を使用せずに自費で対処する必要があるので注意しましょう。
車で水たまり・冠水路を走った後にしておくべきこと
車で水たまりを走った後には、安全確認のためにしておくべきことがあります。
自分と愛車を守る行為となるので、問題がないように見えてもなるべく実行しましょう。
ボンネット内を目視で確認
まずはブレーキまわり、車の外装をチェックします。ボンネットを開けて、吸気口やラジエーター、バッテリー周りを目視で確かめましょう。
目視したそれぞれの場所に汚れの痕跡があった場合は、水をかぶった可能性も生まれるので、念のため点検を依頼したほうが安心です。
またエンジンオイルが乳化していないか確かめることで、水の浸入をチェックできますが危険度についてはプロに判断してもらう必要があります。
点検を依頼する際は水たまりを走った上での点検依頼だということを、しっかり伝えておきましょう。
ブレーキを踏んでみて異常がないか確かめる
水につかったことでブレーキの効きが悪くなる事例も見られます。ブレーキを踏んでみて正常に作動するか確かめておきましょう。
確かめる際は1回だけで判断せずに数回試してみてください。このあと解説するブレーキの異音についても理解しておくとさらに安心です。
車種によってブレーキの構造が違い、水濡れが解消しにくい場合もあります。違和感があったなら、なるべく早く点検を依頼しましょう。
ディーラーや修理工場に点検依頼
目立った違和感がなくても、結局はディーラーや修理工場に依頼して点検してもらったほうが安心です。
自分でチェックできる部分はありますが、判断自体は専門家に任せるべきと言えます。プロの目でないと分からないこともあり、事故が起こってから後悔しても遅いでしょう。
見た目に問題がなくても、感電事故や車両火災が発生する恐れもあると国土交通省は警告しています。
「少し深い水たまりを走っただけだから」とならずに、ディーラーや修理工場への相談を検討してみてください。
気を付けたい異音
車で水たまりを走った後に、気を付けておきたい異音について解説します。
早い段階で異音に気付くことができれば事故が発生する前に対処できるため、しっかりと理解しておきましょう。
キュルキュル
加速もしくは減速時、エアコンを稼働させたときなどに聞こえるキュルキュルという異音は、エンジンのベルトが劣化していることを示唆しています。
なぜ気を付けておきたいかというと、ベルトに水が付いているときも同様の音が発生するからです。
水たまりを走った後に水が付いたとすると、ベルト付近まで水が浸入した可能性も生まれてしまいます。
水分が乾燥してしまえば異音も聞こえなくなりますが、トラブルが発生する恐れはなくなりません。放置せずになるべく早くプロに確かめてもらいましょう。
ゴーゴー
走行中にタイヤ付近からゴーゴーという音が聞こえてきた場合、ベアリングの錆びを疑わなければなりません。
初期の段階で対応すればベアリング交換だけで済みますが、放置しておくとシャフト部分の損傷まで招くことになります。修理費が数十万円まで拡大してしまうので注意が必要です。
また走行中にベアリングが焼き付いてしまった場合、そのまま走行不能に陥る恐れもあります。事故のリスクも引き上げていることを理解しましょう。
ベルトと同様なるべく早いタイミングで、ディーラーや整備工場の点検を受けてみてください。
ゴー(低い)
足元でゴーという低い音が鳴る場合は、ブレーキキャリパーの錆びが考えられます。
ブレーキキャリパーの錆がひどくなると、固着という不具合が発生する恐れもあるので注意が必要です。
不具合が発生するとブレーキが片ぎき状態になり、まっすぐ走行できなかったりハンドルを取られたりします。
トラブルを解消するにはブレーキ部分をオーバーホールするしかないため、ディーラー・整備工場・カーショップへの依頼が必要です。異音に気付いたらすぐに連絡しましょう。
まとめ
車で水たまり・冠水路を走るのは大変リスクのある行為です。
別の進路を探すのが基本ですが、万が一の事態に対処するための知識も取得しておくべきでしょう。
もし水たまり・冠水路を走ったのなら、なるべく早い点検がおすすめです。
問題があったなら車両保険の使用も検討しつつ、修理のスケジュールを立てましょう。
水没車認定を受けても買い取ってもらうことは可能です。
自分にとって最善の選択ができるよう、記事内の情報も参考にして学習しておいてください。