自動車を購入する際には、思いのほか多くの税金が発生します。
これらの税金は、購入時や所有期間中に支払うことが求められるため、事前に把握しておくことが重要です。
一般的に、自動車に関連する税金は5種類ありますが、各税金に対する減税対策を知っておくことで、費用を大幅に抑えることが可能です。
そこでこの記事では、車を購入する際にかかる5つの税金と節税対策について詳しく解説します。
車を購入する際にかかる5つの税金
車を購入する際には、一体どのような税金がかかるのでしょうか。
ここでは、以下の車を購入する際にかかる5つの税金について詳しく解説します。
- ・自動車税(軽自動車税)
・自動車重量税
・環境性能割
・消費税
・ガソリン税
それぞれの税金についてみていきましょう。
自動車税(軽自動車税)
自動車税および軽自動車税は、毎年4月1日の所有者に課される都道府県税です。
納税通知書は毎年5月上旬に送付され、5月末までに納付する必要があります。
自動車税の金額は、車の総排気量に基づいて計算され、排気量が大きいほど税額も増加する仕組みです。
2019年10月の税制改正により、2019年10月以降初めて登録された車両に対しては、税率が引き下げられた新しい税額が適用されることになりました。
また、排気量が660ccを超える場合は「自動車税」が適用され、660cc以下の場合は「軽自動車税」が適用されます。
具体的な自動車税の税額は以下のとおりです。
排気量 | 税額(2019年10月以降に登録) |
軽自動車 | 10,800円 |
~1,000cc | 25,000円 |
1,001cc~1,500cc | 30,500円 |
1,501cc~2,000cc | 36,000円 |
2,001cc~2,500cc | 43,500円 |
2,501cc~3,000cc | 50,000円 |
3,001cc~3,500cc | 57,000円 |
3,501cc~4,000cc | 65,500円 |
4,001cc~4,500cc | 75,500円 |
4,501cc~6,000cc | 87,000円 |
6,001cc~ | 111,000円 |
自動車重量税
自動車重量税は、車の重量に基づいて課される国税です。
この税金は、車を購入した際に初回分を支払い、その後車検時に2年分をまとめて納付します。
乗用車の場合、重量税は1年ごとに0.5トンあたり4,100円の税額が必要です。
たとえば、車両重量が1.69トンの乗用車の場合、年間重量税は4,100円×4で16,400円となります。
また、軽自動車の場合は、一律年間3,300円が課される仕組みです。
税額は重量だけでなく、経過年数によっても異なり、新車登録から13年目と18年目からは増加します。
さらに、エコカー減税の対象となる車両については、自動車重量税の軽減が適用されることがあります。
環境基準を満たす車両に対しては税額が減額されるため、エコカーを選ぶことで税負担を軽減することが可能です。
軽自動車以外 | 軽自動車 | |
新車登録~12年目 | 4,100円/0.5トン | 一律 3,300円 |
13~17年目 | 5,700円/0.5トン | 一律 4,100円 |
18年目〜 | 6,300円/0.5トン | 一律 4,400円 |
環境性能割
環境性能割は、「自動車取得税」の廃止に伴い、2019年10月から新たに導入された税金です。
車を購入する際に課されるもので、燃費性能や排出ガス性能が高い車ほど税率が低くなる仕組みです。
税額は、自動車の通常の取得原価に税率(0%から3%)を掛けて算出します。
なお、電気自動車や天然ガス自動車、PHEV車などは課税対象外となっています。
また、取得金額が50万円以下の車両も環境性能割の対象外です。
消費税
消費税は、商品やサービスの購入時に支払う税金で、車を購入する際にも適用されます。
2024年6月時点の消費税率は10%であり、車両本体価格に対して10%の消費税が必要です。
車両本体だけでなく、カーナビやドラレコ、フロアマットなどのオプション品や付属品にも適用されます。
また、車両の購入時以外にも、車検や修理にも消費税が発生するので、車を購入する際は総合的なコストを考慮しましょう。
ガソリン税
ガソリン税は、ガソリンを購入する際に課される税金で「地方揮発油税」と「揮発油税」を合わせた総称です。
税率はガソリン1Lあたり53.8円(地方揮発油税5.2円と揮発油税48.6円)となっています。
この税金はガソリンの販売価格に含まれており、さらに消費税も上乗せされる仕組みです。
ディーゼル車の場合は、ガソリン税の代わりに軽油引取税が適用されます。
軽油引取税は、軽油1Lあたり32.1円で主に道路整備や、地域環境対策の財源として利用されています。
車を購入する際の6つの減税対策
車を購入する際、少しでも税金を抑えたい方も多いでしょう。
ここでは、車を購入する際の6つの減税対策について解説します。
- ・エコカー減税
・グリーン化特例
・障害者の割引
・軽自動車への乗り換え
・EVやPHEV車に乗り換える
・自動車の登録日を月初めにする
それぞれの減税対策について詳しくみていきましょう。
エコカー減税
エコカー減税は、排出ガス性能や燃費性能が優れている車に対して、自動車重量税の免税または軽減が適用される特例措置です。
この減税制度は、環境に配慮した車を普及させる目的で導入されました。
2023年4月30日までに購入された車が対象でしたが、世界的な半導体不足により新車の納期が遅れているため、制度の延長が決定されました。
新たな延長期間では、2024年1月以降から2026年4月までの間に段階的に税額が引き上げられたのです。
エコカー減税を受けるためには、購入する車が指定された環境基準を満たしている必要があるので注意しましょう。
グリーン化特例
グリーン化特例は、排出ガス性能や燃費性能に優れた車に対して、自動車税や軽自動車税の軽減が適用される特例措置です。
この特例は、電気自動車やハイブリッド車など、環境に優しい車を対象にしています。
2021年4月1日から2023年3月31日まででしたが、3年間の延長が決定されました。
排出ガスが少なく燃費性能が高い車ほど、大きな減税を受けることができ、最大で75%減額されるので、維持費を大幅に節約できます。
障害者の割引
一部の自治体において、障害者の方が利用する車に対して、自動車税などの減税制度を設けています。
この減免制度を適用するためには、障害者手帳による障害レベルの確認などいくつか条件を満たす必要があります。
また、自動車の取得後、定められた期間内に減免申請を行わないと適用されないため、早めの手続きが重要です。
障害者割引を利用することで、経済的な負担を軽減し、障害者の方の移動手段をより確保しやすくなります。
軽自動車への乗り換え
軽自動車は、普通車に比べて自動車税や自動車重量税が低く設定されているため、乗り換えることで税負担を大幅に減らすことが可能です。
普通車の自動車税は、排気量に応じて25,000〜111,000円の税額が設定されていますが、軽自動車税は一律10,800円になります。
また、自動車重量税では普通車は重量ごとに税額が加算されますが、軽自動車は重量に関係なく一律の税額が適用されます。
このため、軽自動車に乗り換えることで、年間の税金を大幅に削減することが可能です。
EVやPHEV車に乗り換える
環境性能の高い電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)に乗り換えることで、減税を受けることができます。
特に、電気自動車やプラグインハイブリッド車は、自動車重量税や環境性能割の免税が適応されるケースが多くあります。
車両価格は少し高めですが、長期的には税負担が軽減されるため、総合的なコストを抑えることが可能です。
自動車の登録日を月初めにする
自動車の購入時にかかる税金を抑えるために、登録日を月初めに設定する方法も有効です。
自動車税は月割りで計算されるため、月末に登録するとその月の税金も支払うことになります。
しかし、月初めに登録するとその月の税金が免除されます。
たとえば、4月30日(月末)と5月1日(月初)というたった1日の違いで、1か月分の税金を節約できるのです。
また、軽自動車の場合、4月2日以降に登録すればその年の軽自動車税が発生しません。
自動車税を支払うタイミングと支払い方法
ここでは、自動車税を支払うタイミングと支払い方法について詳しくみていきましょう。
自動車税を支払うタイミング
自動車税は、毎年4月1日の所有者に課せられる都道府県税です。
この税金は、5月上旬から中旬にかけて納税通知書が送付され、5月末までに支払う必要があります。
また、6月上旬に送付され、6月末までの支払い期限の地域もあるため、注意しましょう。
さらに、納税通知書には支払うべき税額が記載されており、期限内に支払わない場合は、延滞金が発生します。
必ず期限内に納付することが大切です。
自動車税の支払い方法
自動車税は以下の支払い方法で納付することが可能です。
- ・現金
・クレジットカード
・口座振替
・スマホ決済
・電子マネー
・カーローン
それぞれの支払い方法について詳しくみてみましょう。
現金
現金一括払いは、金融機関や税務署、コンビニなどで納税通知書とともに現金を持参して行います。
その場で納付処理が行われ、納付証明書を受け取れる点が大きなメリットです。
納付証明書は車検などで必要になるため、すぐに手に入れたい方におすすめの決済方法になります。
また、現金での支払いは手数料がかからないため、追加費用を避けたい方にも適しています。
クレジットカード
2016年の税制改正以降、クレジットカードを使った税金の納付が可能になりました。
クレジットカード払いの最大のメリットは、支払い時に現金を用意する必要がなく、支払いのタイミングを調整できる点です。
これにより、手元に現金がなくても納付が可能になります。
ただし、クレジットカードでの決済には手数料が発生するため、注意が必要です。
また、すべての都道府県で利用できるわけではないため、事前に確認しましょう。
口座振替
口座振替は、あらかじめ指定した銀行口座から自動的に税金が引き落とされる便利な方法です。
事前に口座振替の申し込みが必要ですが、一度設定すれば毎年自動的に支払いが行われるため、支払い忘れの心配がなくなります。
スマホ決済
近年普及しているスマホ決済アプリを使って自動車税を支払うことも可能です。
PayPayや楽天ペイ、d払いなどのアプリを利用することで、スマホからいつでもどこでも簡単に納付ができます。
納付書に記載されているバーコードを読み取るだけでできるので、誰でも簡単に利用できるでしょう。
電子マネー
電子マネーを利用して自動車税を支払う方法も増えてきています。
nanacoやWAONなどの電子マネーを利用することで、コンビニで手軽に支払いを完了できます。
日常的に電子マネーを利用している方にとっては、慣れた方法で支払いができるため、手続きが簡単です。
カーローン
カーローンの一部を自動車税の支払いに充てることも可能です。
銀行などの金融機関でカーローンを申し込み審査に通れば、自動車税を支払うための資金を確保できます。
カーローンを利用する場合は、計画的な返済計画を立てることが重要です。
自動車税は必ず支払おう!
自動車税は、車を所有するすべての人に毎年課せられる重要な税金です。
自動車税を滞納すると、さまざまな厳しいペナルティが科される可能性があります。
そのため、自動車税は期限内になるべく早く支払うことが大切です。
延滞金が発生する
自動車税を支払わずに納期限を過ぎてしまうと、延滞金が発生します。
延滞金は支払いが遅れた日数に応じて計算されるため、早めに支払わないと負担が徐々に増える仕組みです。
延滞金の割合は地方自治体によって異なりますが、一般的には年利14.6%を上限として設定されています。
延滞金は、税金の未払いに対する罰則として科されるものなので、支払いが遅れるほど最終的な支払い額が高額になります。
そのため、自動車税の納付期限をしっかりと守りましょう。
督促状が届く
納期限を過ぎても自動車税を支払わない場合、次に地方自治体から督促状が送付されます。督促状には、未納税額および新たな納期限が記載されています。
この新しい納期限までに支払いが行われなければ、さらに厳しい措置が取られる可能性があります。
督促状は、納税を促すための最終警告とも言えるものなので、届いた場合は、無視せずに早急に対応しましょう。
資産の差し押さえが行われる
督促状に記載された納期限を過ぎても自動車税を納めないと、地方自治体は法律に基づき、資産の差し押さえが行われます。
資産の差し押さえは、納税者の勤務先や銀行口座、不動産、車などを調査したうえで行われます。
これらの財産は予告なく差し押さえられることがあり、非常に厳しい措置です。
差し押さえられた財産は公売にかけられ、売却されて得た資金で未納税金が回収されます。
このような事態を避けるためにも、自動車税は必ず期限内に支払いましょう。
まとめ
自動車を購入する際には、さまざまな税金がかかります。
しかし、工夫次第で節税対策を講じることが可能です。
この記事で解説した節税対策を参考にして、少しでもお得に車を購入しましょう。