「中古車によくある修理履歴ってなに?」
「履歴を詐称した車の見分け方を知りたい!」
といったお悩みや疑問をもっている方は多いのではないでしょうか。
車を直したことがあるかどうかは、車の売却で重要なポイントとなるため、知識として知っておいた方が良いです。
実際に、安心につながったり、売る時の価値につながったりするため、知っておいて損はありません。
以降では、詳しく修理履歴の概要や安心して乗れる車の見分け方を解説しています。
ぜひ参考にしてください。
車の修理歴と修復歴の違いは直す部品にある!
車の修理履歴に「修理歴」と「修復歴」と記載されていることがあります。
似ている言葉ではあるものの意味については、大きく異なります。
もし意味を知らないと売却の金額に大きく影響します。
車修理の「修理歴」と「修復歴」の違いをしっかりと知っておきましょう。
修理歴とは
修理歴とは、車のボディーやエアロなどの部品の修理を行った際の履歴です。
修理歴は軽い修理で済むこともあるため、査定額にそれほど影響を及ぼしません。
事故により修理が必要となった場合にも、しっかりと修理されていれば買取金額が大幅に下がることはありません。
傷の程度にもよりますが、減額されるとすれば50,000〜100,000円くらいが相場です。
修復歴とは
修復歴は、骨格部分にあたる部分の修理を行った際の履歴です。
フレームは走行や安全性に大きくかかわります。
具体的には、フレームに歪みが生じると車体自体が歪むため真っ直ぐ走らなくなったり、タイヤの減り方が不均等になったりといった具合です。
このような影響が及ぶため、フレーム修理を行った際は表示をする義務があります。
査定にも大きく影響を及ぼし、高額買取になることは期待できないかもしれません。
300,000〜400,000円程度減額すると考えておきましょう。
修理内容による修理履歴の違い
修復歴と見なされるケースとみなされないケースの違いを具体的に解説します。
修復歴車として扱われるケース
損傷の大きさや修理の規模は関係なく、骨格の修理を行った場合は修復歴の車扱いになります。
該当する具体的にはパーツとして以下です。
- ・フレーム
・クロスメンバー
・ピラー
・フロア
・トランクフロア
・インサイドパネル
・ルーフパネル
・ダッシュパネル
上記の部品はすべて骨格に該当するため、一つでも修理した場合は修復歴車となります。
修復歴車としての扱いにならないケース
修復歴車としての扱いにならないケースは、骨格以外に直した場合です。
具体的には以下が修理歴の扱いになります。
- ・サイドミラー
・フロント・リア・サイドのガラス
・塗装修理
・バンパーの傷
・フェンダーの傷
・ボンネットの傷
・ライトの割れ
・ドアの交換
・ロアスカート
・サイドシルパネル
・トランクリッド
・エアコン など
傷の大きさや修理方法が大掛かりかそうでないかは関係なく修理箇所が見るべきポイントです。
修理の履歴を隠さず伝えなければならない!違反したらどうなる?
修理の履歴がある場合、自動車公正競争規約によって必ず販売店はお客さんに対して提示しなければならないと義務つけられています。
しかし、なかには履歴の改ざんや隠ぺいを行い、正しい価格よりも高額に設定して販売をするところもあります。
もし、このようなトラブルに巻き込まれた場合、私たち消費者はどうすれば良いのでしょうか。
以降では、販売店が事実を隠した場合、反対に車のオーナーが販売店に対して事実を隠した場合にどうなるのか解説します。
販売店が隠した場合はどうなる?
販売店が修復歴を隠した場合、自動車公正競争規約の違反である「不当表示」に該当します。
販売店は、厳重注意に加え違約金の支払いをしなければなりません。
また、不当表示に該当する車の台数が多く悪質と判断された場合は名前の公表が行われ、経営に大きなダメージを受けることになります。
では、隠ぺいされた車を購入してしまった消費者はどうなるのでしょうか。
表示がない中古車を購入してしまった場合、消費者は購入をキャンセルできます。
しっかり直されていても、フレームを直した車の性能や安全性の信頼は著しく失った状態であるためです。
車のオーナーが隠した場合はどうなる?
反対に、車のオーナーが販売店に修復歴を隠して売却した場合どうなるのでしょうか。
告知義務違反となる
車のオーナーが修復歴を隠ぺいして買取をしてもらった場合、あるいは買取前であっても意図的に隠した場合は告知義務違反に該当します。
もし隠したとしても、プロの目線で車の状態を細かくチェックするとわかってしまうのです。
以降で解説するように、意図的に隠ぺいするとマイナスしかないため、正直に伝えたほうが良いです。
売却交渉が不利になる
意図的に隠ぺいしたとみなされた場合、売却交渉が不利になるまたは売却が不可とされてしまいます。
販売店も消費者も信頼があるうえでやり取りを行うため、虚偽申告は大きなダメージです。
売却後に気づかれると損害賠償を請求される
売却後に修復歴があることがバレてしまった場合、損害賠償を支払わなければなりません。
修復歴がないと嘘をついて販売してしまうと販売店や、購入者に被害を与えてしまうためです。
損害賠償は「事後減額請求」と呼ばれ、瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)に基づく支払い対応をすることになります。
具体的には、車の本来の買取価格と買い取られた価格の差額を支払います。
また、新しく契約が決まり売却した場合、キャンセル手数料や運送費、保管料金、売却代金なども請求されることもあるので修復歴は隠さず伝えましょう。
前オーナーの修復歴を知らず申告できなかった場合はどうなる?
意図的に修復歴を隠して虚偽申告した場合にどうなるのかを解説しました。
以降からは、前オーナーから伝えられず申告できなかった場合にどうなるのかを解説します。
車を購入した店に損害賠償を請求できる
これから売却しようとしている車が実は修復歴のある中古車で、それを知らず再び中古車として売却する場合、どうなるのでしょうか。
本当に車に修復歴があることを知らなかった場合、ご自身に違反による罰則が下ることはありませんのでご安心ください。
前のオーナーの修復歴を中古車販売店から知らされなかった場合、購入した販売店に損害賠償を請求できます。
義務となっているにもかかわらず知らされなかった場合は販売店が隠ぺいしているとみなされ、販売店が違反しているということになるのです。
時効に注意だが返金請求できる
売却した中古車に修復歴があったことがあとからわかった場合、購入した販売店に返金を請求することができます。
ただし、気をつけなければならないのが「時効」です。
返金が認められる状態であっても、一定の期間を過ぎている場合は返金を求めることはできません。
契約の取り消しができる期間は、事実に気づいてから1年、もしくは契約してから5年間と決まっています。
契約から7年経過している、事実に気づいて2年経過しているといった場合は返金されないため期限に注意しましょう。
修復歴がある中古車の購入はしても大丈夫?おすすめしない理由は4つ
修復歴がある中古車は購入価格が安いため、魅力的にみえるかもしれません。
車の購入は数万円〜数百万円、高級車となるとそれ以上になることもあり、決して安い買い物ではありません。
そのため、できるかぎり出費を抑えたいと思うことは自然なことです。
しかし、購入はおすすめしません。理由は以下の4つです。
- ・安全性や耐久性が落ちている
・リセールバリューが著しく低下する
・故障するリスクが高い
・事故内容が不明
では、一つずつ解説します。
理由1:安全性や耐久性が落ちている
おすすめしない理由の1つ目は「安全性や耐久性が落ちている」ことです。
修復歴がある車は骨格に大きな損傷を受けており、綺麗に直っていたとしても強度が低下している状態です。
「直しているのに弱いとはどういうこと?」と思う方もいるかもしれません。
実は、金属は一度変形すると強度が低下する性質があるため、直しても強度が戻ることはないのです。
人が乗るスペースを守る役割をもつ骨格の強度が弱いのは、事故が起きた時の衝撃に弱くなっていることがいえます。
安全性や耐久性を考えると、どれだけ安くてもやはり購入はおすすめできません。
理由2:リセールバリューが著しく低下する
リセールバリューとは、一度購入したものを再び販売に出したときの価値のことです。
中古車はそもそも価値が下がっているため、購入して再び売却したときの価値は期待できません。
加えて修復歴があるとなるとさらに価値がなくなり、ほとんど値段がつかない状態になる可能性があります。
最悪の場合、買取を拒否されることもあるかもしれません。
新車の購入は大きな出費となるため、できる限り出費を減らすには既存車の売却価値が重要です。
しかし、修復歴車はリセールバリューが著しく低下するため、新車購入時の出費は大きくなることは避けられません。
売却時や新しい車の購入のことを考えても、購入はおすすめできません。
理由3:故障するリスクが高い
おすすめしない理由の3つ目は「故障するリスクが高い」ことです。
修理歴ありの車、もしくは何もない車と修復歴ありの車を比較した際、大きな性能の違いが生じます。
たとえば、衝撃への耐久性は大きく低下しており、場合によってはまっすぐ車が走らないといった走行性能の低下がみられることもあります。
修復歴のある車の状態は、人でいうと大きな病気をして免疫が大きく低下し、風邪をひきやすい状態です。
車に戻して考えると、車の強度や性能が弱っているため、故障するリスクが高い状態なのです。
故障のリスクが高いということは、今後修理代による出費が多く発生すると予測されます。
初期費用は安く抑えられたとしても、修理費用でトータルが高くつくともったいありません。
理由4:事故内容が不明
おすすめしない理由の4つ目は「事故内容が不明である」ことです。
骨格を直した理由が事故である場合、事故車であることを表示する義務はあります。
しかし、事故内容の詳細を伝える義務はありません。
どのくらい大きな事故だったのかを知ることができないため、どのくらい車の強度が弱っているのかも予測できないのです。
安心と安全に大きくかかわる部分であるにもかかわらず、はっきりと知ることができないのは不安が残ります。
修復歴ありの車を見分けるポイント
見分けるポイントを紹介します。
- ・点検記録簿をチェックする
・パーツのズレや車体のゆがみをチェックする
・タイヤのクリアランスのズレをチェックする
・修理痕や塗装剥がれをチェックする
・トランクの床下をチェックする
では、一つずつ解説します。
まずは点検記録簿をチェックする
点検記録簿とは別名「定期点検整備記録簿」や「分解整備記録簿」ともよばれています。
この記録簿には、整備工場が12か月点検や24か月点検などの法廷点検で実施された作業内容や整備内容が記録されており、事故や修理の履歴もチェックが可能です。
しかし、前のオーナーが廃棄してしまった場合、または紛失してしまっている場合は見ることができません。
フロントガラスの交換歴があるかチェックする
車の外観、内部ともに問題がない場合であっても、フロントガラスの交換歴がある場合は修復歴がある車の可能性があります。
衝突事故などの大きな事故によってフロントガラスが粉々になり、交換したことが考えられるためです。
店員に聞くか、点検記録簿で確認してみましょう。
目視でチェックすべきポイント
点検記録簿が見られなかった場合は、目視でチェックする必要があります。
パーツのズレや車体のゆがみをチェックする
パーツのズレや車体のゆがみをチェックすることで、修復歴の有無がわかります。
パッと見て綺麗な状態に見えたとしても、細かく確認するとパーツのズレや車体のゆがみが見受けられるケースがあります。
これは骨格がダメージを受けている証拠であり、修復歴がある可能性が高いです。
ただし、じっくり確認しないと気づかないくらいのズレであることが多いため、なかなか気づかない場合もあるかもしれません。
万が一、明らかなズレが見られる場合は購入を避けましょう。
タイヤのクリアランスのズレをチェックする
タイヤのクリアランスとは、ホイールハウスと車体のすきまのことです。
前後でタイヤのクリアランスのバランスが崩れている場合、衝突事故または後ろからの玉突き事故を受けた車である可能性が高いです。
修理痕や塗装剥がれをチェックする
外観に問題がなかったとしても、車の内部に修理痕や塗装剥がれがある場合もあります。
もし見受けられた場合、修復歴がある車の可能性が高いです。
ボンネットやトランク、フェンダーの取り付け部分なども確認し、修理した痕跡や塗装剥がれがないか確認しましょう。
トランクの床下をチェックする
外観に気になるところがなかったとしても、トランクの床下に修復の痕跡が残っている場合があります。
具体的には、玉突き事故などを起こした衝撃により、トランクの床下にシワがよっていることがあります。
玉突き事故はスピードが乗った状態でぶつかってきていることが多く、骨格が歪んでいることがほとんどです。
腕が良い業者に依頼した場合は外観ではわかりにくいですが、細かい部分に痕迹が残っていることもあるため、必ず確認しましょう。
判断が難しければ販売店に確認する
もし、ご自身で確認してもわからない場合は、販売店に確認しましょう。
店舗によっては、車に修復歴の有無が書かれた紙が貼られていますが、査定表や点検記録簿でなければ確認できないケースもあります。
確認した際に、はっきりと答えないような感じがある、動揺するなどの怪しい言動がある場合は隠している可能性がありますので、そのような場合は別の販売店に変更しましょう。
冠水車は修復歴より危険!見分ける方法
冠水車は水没車ともよばれますが、災害や落水事故で浸水した車のことです。
修復歴ありの車よりも状態が悪く危険な車両であるため、購入は絶対に避けたほうが良いです。
しかし、悪質な中古車販売店が冠水車であることを隠して販売し、それを購入して発生したトラブルが相次いでいます。
見分け方のポイントは以下の2つです。
- ・エンジンルームや車両のすきまに泥がついている
・車内やエアコンがドブくさい
エンジンルームや車両のすきまに乾いた泥がついている場合は冠水車と考えて良いでしょう。
水害による浸水は泥も混じっているため、水が引きエンジンルームや車内を見ると泥が多く付着しています。
また、ドアをあけると車内がドブくさい、あるいはエアコンを使用するとドブくさい場合も、高確率で冠水車です。
街中の浸水は汚水が混じっており、池や湖に落ちた場合も水質が汚れていることがほとんどのため、汚水が染み込んだ座席シートから臭ってくるのです。
万一、冠水車であることを知らず購入した場合、契約違反となり取り消しできます。
購入前に見分けられるのが一番ですが、もしわからず購入してあとから発覚した場合も取り消し申請できますので安心してください。
まとめ
車の修理履歴は、外観、内部の状態から読み取ることができます。
とはいえ、正確な情報は点検記録簿ですので、お願いして見せてもらうのがベストです。
しかし、車によってはその記録簿がない場合もあります。
安心して車を購入したい方は、記録簿がある車に絞るといいでしょう。