トヨタ・クラウンは、長年「高級セダン」の代名詞として親しまれてきました。
現行モデルではセダンに加えクロスオーバーやスポーツ、エステートといった多彩なシリーズを展開し、より幅広い層に支持されています。
なかでも注目されているのが、燃費性能です。
ハイブリッドを中心にラインアップされており、20km/Lを超える高燃費を実現するグレードもあります。
この記事では、クラウンのシリーズ別燃費を分かりやすく紹介します。
さらにライバル車との比較や、燃費を向上させるポイントまで徹底解説します。
クラウン購入を検討している方や燃費が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
現行シリーズのクラウンの特徴
まずは、現行シリーズのクラウンの基本情報や特徴を詳しく解説します。
現行クラウンは全4シリーズを展開している
現行の16代目クラウンは、従来の「高級セダン」という枠を超え、4つの異なるボディタイプをそろえた点が大きな特徴です。
クロスオーバー・スポーツ・セダン・エステートというラインナップにより、従来のビジネス需要だけでなく、アクティブなライフスタイルやファミリーユースまで、幅広い層に応えるモデルへと進化しました。
ここでは、各シリーズを詳しく解説します。
クラウンクロスオーバー
クラウンクロスオーバーは、シリーズの先陣を切って登場したモデルで、セダンとSUVを融合させた革新的なモデルです。
全高を高めに設定することで乗降性を大幅に改善しつつ、クーペライクなシルエットを採用することで洗練された外観を実現しています。
室内はヒップポイントを高めに配置し、見晴らしのよい視界と開放的な空間を確保しています。
ラゲッジ容量も450Lと実用性が高く、ゴルフバッグを3個まで収納可能です。
パワートレーンは2.5Lハイブリッドと2.4Lターボハイブリッドを展開し、E-Fourシステムによる安定した走りが魅力です。
デザインと機能を両立した新時代のクラウンといえるでしょう。
クラウンスポーツ
クラウンスポーツは、クロスオーバーよりも全長を短縮し、俊敏さとスタイリッシュさを追求した5ドアハッチバックタイプのモデルです。
エクステリアはハンマーヘッドをモチーフにした先進的なフロントマスクと、力強いリヤフェンダーが印象的で、従来のクラウンとは一線を画すデザインとなっています。
インテリアはブラック・ブラウン・レッドの3色展開で、スポーティさと上質感が融合しています。
走行面ではハイブリッドとプラグインハイブリッドを設定し、どちらも四輪駆動を採用している点も大きな特徴です。
街中での取り回しの良さと、高速道路での安定感を兼ね備えた万能モデルとして位置づけられています。
クラウンセダン
クラウンセダンは、「ニューフォーマル」をコンセプトに開発された正統派モデルです。
外観はシンプルで品格のあるデザインを採用し、ビジネスからフォーマルなシーンまで幅広く対応できる落ち着いた雰囲気を備えています。
パワートレーンにはマルチステージハイブリッドに加え、燃料電池(FCEV)が用意され、環境対応と先進性を強調しています。
室内はホイールベース3,000mmを確保することで、後席もゆったりとくつろげる空間です。
木目調パネルや高級感ある素材を取り入れ、落ち着いたインテリアに仕上げられている点も魅力です。
クラウンの伝統的価値を残しながら、新しい時代にふさわしいセダン像を提示しています。
クラウンエステート
クラウンエステートは、ワゴンとSUVを融合させた新しいスタイルを持つモデルで、シリーズの中ではもっともアクティブ志向が強い1台です。
全長4,930mm、全幅1,880mmというゆとりあるサイズにより、広大なラゲッジスペースを確保しています。
後席を倒せばフルフラットとなり、大型の荷物やアウトドア用品も容易に積み込むことが可能です。
エクステリアは洗練された大人の雰囲気を持ちながらも、都会的で力強い印象を与えます。
パワートレーンはハイブリッドとプラグインハイブリッドを設定し、どちらもE-Fourシステムを採用しています。
長距離ドライブからアクティブなレジャーまで幅広く対応でき、ライフスタイルを大きく広げてくれる1台といえるでしょう。
現行クラウンの基本情報
ここでは、現行クラウンのサイズや荷室容量、価格などの基本情報を紹介します。
シリーズ | 全長 | 全幅 | 全高 | 荷室 容量 |
価格(税込) |
---|---|---|---|---|---|
クラウンクロスオーバー | 4,930mm | 1,840mm | 1,540mm | 450L | 5,150,000〜6,700,000円 |
クラウンスポーツ | 4,720mm | 1,880mm | 1,565〜1,570mm | 397L | 5,900,000〜7,650,000円 |
クラウンセダン | 5,030mm | 1,890mm | 1,475mm | 400〜450L | 7,300,000〜8,300,000円 |
クラウンエステート | 4,930mm | 1,880mm | 1,625mm | 570L | 6,350,000〜8,100,000円 |
現行クラウンは4シリーズそれぞれに個性があります。
クロスオーバーは扱いやすさとデザイン性、スポーツは俊敏さと先進性、セダンは上質さと正統派の雰囲気、エステートは積載力と多用途性に優れています。
価格帯も幅広く、ライフスタイルや用途に応じて最適な1台を選べるのが現行モデル最大の魅力です。
シリーズ別クラウンのカタログ燃費
クラウンはシリーズごとに異なるパワートレーンを採用しており、燃費性能にも大きな違いがあります。
ここではWLTCモード(国土交通省審査値)をもとに、クロスオーバー・スポーツ・セダン・エステートの各シリーズの燃費を紹介します。
クラウンクロスオーバーの燃費
クラウンクロスオーバーの燃費は、以下のとおりです。
グレード | パワートレーン | 燃費(WLTCモード) |
---|---|---|
CROSSOVER RS | 2.4L ターボハイブリッド | 15.7km/L |
CROSSOVER Z | 2.5L ハイブリッド | 22.2km/L |
CROSSOVER G | 2.5L ハイブリッド | 22.4km/L |
CROSSOVER X | 2.5L ハイブリッド | 22.4km/L |
クラウンクロスオーバーは、走りの楽しさと燃費性能を両立させたモデルです。
ターボハイブリッドを搭載するRSは力強い加速を味わえる一方、燃費は15.7km/Lとパフォーマンス寄りの設定となっています。
一方で2.5Lハイブリッドを採用するZ・G・Xは22km/L超を達成し、日常使いでも高いコストパフォーマンスを発揮します。
走行性能を重視するか、低燃費を優先するかで選び分けられる点が大きな魅力です。
クラウンスポーツの燃費
クラウンスポーツの燃費は、以下のとおりです。
グレード | パワートレーン | 燃費(WLTCモード) |
---|---|---|
SPORT RS | 2.5L プラグインハイブリッド | 20.3km/L |
SPORT Z | 2.5L ハイブリッド | 21.3km/L |
クラウンスポーツは、デザイン性と俊敏な走りに加えて燃費性能も優れています。
2.5Lプラグインハイブリッドを搭載したRSは、20.3km/Lという数値に加え、EV走行を日常的に活用できるためカタログ燃費以上の燃費性能が期待できます。
Zグレードの2.5Lハイブリッドは21.3km/Lを達成します。
スポーティな走りと環境性能をバランスよく楽しめる点がクラウンスポーツの大きな魅力です。
クラウンセダンの燃費
クラウンセダンの燃費は、以下のとおりです。
グレード | パワートレーン | 燃費(WLTCモード) |
---|---|---|
SEDAN Z(HEV) | 2.5L ハイブリッド | 18.0km/L |
SEDAN Z(FCEV) | 燃料電池車(FCEV) | 148km/kg(水素) |
クラウンセダンは、伝統的な高級セダンの上質さを保ちながら環境性能でも進化を遂げています。
2.5Lハイブリッド車は18.0km/Lを記録し、落ち着いた走行性能と実用的な燃費を両立しています。
一方で燃料電池車(FCEV)はガソリンを使用せず、水素を燃料として走行するのが特徴で、148km/kgという圧倒的な数値です。
走行中にCO₂を排出しないだけでなく空気を浄化する機能も備え、環境性能ではクラウンシリーズ随一の存在といえるでしょう。
クラウンエステートの燃費
グレード | パワートレーン | 燃費(WLTCモード) |
---|---|---|
ESTATE RS | 2.5L プラグインハイブリッド | 20.0km/L |
ESTATE Z | 2.5L ハイブリッド | 20.3km/L |
クラウンとライバル競合車との燃費比較
クラウンシリーズは高級車としての存在感に加え、優れた燃費性能を備えていることが大きな魅力です。
しかし同価格帯のSUVやセダン、輸入車とも比較すると、その優位性や特徴がより明確になります。
ここではハリアーやBMW 5シリーズ、メルセデス・ベンツCクラスといったライバル車と燃費を比べ、それぞれの強みを解説していきます。
トヨタ ハリアー
トヨタの人気SUV「ハリアー」は、クラウンスポーツの直接的なライバルといえる存在です。
燃費性能を比較すると、クラウンスポーツZの21.3km/Lに対し、ハリアーのハイブリッド(2WD)は21.6km/Lとほぼ互角の数値を誇ります。
さらにハリアーにはガソリン車や2WDモデルも設定されており、価格帯や選択肢の幅広さでユーザーの多様なニーズに応えている点が特徴です。
SUVらしい実用性に加え、コスト重視の購入層にとってはハリアーの存在感は依然として大きいといえるでしょう。
BMW 5シリーズ(セダン)
BMWの主力セダン「5シリーズ」は、欧州プレミアムカーらしい走行性能と先進装備を備えています。
燃費はディーゼルの523d xDriveが16.6km/Lと4WDながら高効率で、長距離走行に強みを発揮します。
ガソリン仕様では523iが14.4km/L、525Liが15.1km/Lと、クラウンセダンの18.0km/Lには届かない数値です。
しかしその分、エンジンフィールやドライビングプレジャーを重視した設計が特徴で、燃費よりも走る楽しさを求めるユーザーに選ばれるモデルとなっています。
メルセデス・ベンツ C220d ステーションワゴン アバンギャルド
メルセデス・ベンツCクラスのディーゼル仕様「C220d ステーションワゴン」は、2.0L直列4気筒ディーゼルターボを搭載し、平均燃費は18.2km/Lです。
クラウンエステートZ(20.3km/L)にわずかに劣るものの、軽油を燃料とするためランニングコスト面では有利です。
さらに大容量の燃料タンクを備え、航続距離は1200km超に達する点も大きな魅力です。
動力面ではC200(ガソリン+マイルドHV)も用意されていますが、燃費効率ではフルハイブリッドのクラウンが一歩先を行くといえるでしょう。
クラウンの燃費を少しでも良くする方法
ここでは、クラウンの燃費を少しでも良くする方法を紹介します。
タイヤの空気圧を適正値にする
燃費を改善するうえで、まず見落としやすいのがタイヤの空気圧です。
空気圧が低いと路面との抵抗が増え、エンジンに余計な負荷がかかるため燃費が悪化します。
逆に適正な空気圧を維持することで、転がり抵抗が減りスムーズな走行が可能になります。
月に一度はガソリンスタンドや自宅のエアゲージでチェックし、車種ごとに定められた規定値に合わせることが、クラウンを効率よく走らせるための基本的なポイントです。
不要な荷物は降ろす
トランクや後部座席に重い荷物を積んだまま走行すると、車体重量が増して燃費効率が低下します。
特にゴルフバッグや工具類、シーズンオフのカー用品などは知らないうちに積みっぱなしになりやすく、注意が必要です。
必要のない荷物を下ろして軽量化するだけで、加速や減速が軽快になり、燃費に直結する効果が期待できます。
普段から「使うものだけを積む」という意識を持つことが、燃費改善と車両への負担軽減に繋がります。
急発進・急加速を避ける
燃費を大きく左右するのが、アクセル操作です。
停止状態から一気に加速するとエンジン回転数が急上昇し、余分な燃料を消費してしまいます。
目安としては、停止から時速20kmまで約5秒かけて穏やかに加速することが理想的です。
また、渋滞中のアイドリングや、エアコンをつけたままの長時間停車も燃料消費を増やす要因になります。
アクセルを丁寧に操作し、無駄なアイドリングを避けることで、クラウンの持つ本来の燃費性能を最大限に活かせます。
定期的にメンテナンスをする
燃費を維持するためには、日々のメンテナンスも欠かせません。
特にエンジンオイルやエアフィルター、スパークプラグといった部品は、劣化や汚れが進むと燃焼効率が悪化し、燃費の低下を招きます。
定期的な点検と交換を行うことで、エンジン性能を最適な状態に保ち、スムーズな走行と低燃費を実現できます。
また、定期点検の際にタイヤの摩耗やブレーキの状態を確認することで、安全性と経済性を同時に確保できるのも大きなメリットです。
まとめ
クラウンはクロスオーバー・スポーツ・セダン・エステートという4つのシリーズを展開し、それぞれに特徴的な性能を備えています。
ハイブリッド車では20km/L超を実現するグレードもあり、同クラスのライバル車と比較しても高い水準にあります。
また、プラグインハイブリッドやFCEVといった先進的な選択肢も用意され、環境性能でも進化を遂げています。
燃費改善の工夫や定期的なメンテナンスを行えば、さらに効率的にクラウンを楽しむことができるでしょう。