
トヨタの最高級車「センチュリー」は、日本が誇る伝統と革新を融合させたフラッグシップモデルです。
皇室用車両としても知られ、静粛性・乗り心地・上質な仕立てにおいて他の追随を許しません。
2023年には新たにSUVモデルも登場し、より幅広い層のニーズに応える存在となりました。
そんなセンチュリーですが、気になるのが燃費性能です。
高出力なパワーユニットを搭載しながら、ハイブリッド技術によって意外にも効率的な走行が可能です。
今回は、モデル別の燃費と燃費を少しでも良くする方法について詳しく解説します。
センチュリーの特徴
センチュリーは、日本のものづくりを象徴するトヨタ最上級のショーファーカーです。
近年はSUVモデルも加わり、伝統と進化が共存する独自の魅力を放っています。
ここでは、センチュリーの特徴と基本情報を紹介します。
トヨタが誇る最高級乗用車
センチュリーは1960年代後半、トヨタが「国産最高峰の車をつくる」という強い決意のもと誕生しました。
単なる高級車ではなく、国家の中枢で働く人物や企業トップが使用する公務専用車としての役割も担っています。
ドアの開口角からシートの高さ、乗降時の所作まで丁寧に検証され、後席の利用者に負担を感じさせない作り込みが随所に見られます。
センチュリーはモデルサイクルの長さでも特異な存在で、半世紀以上の歴史に対しフルモデルチェンジは数えるほどです。
これは一度開発したプラットフォームに徹底的に磨きをかけ、熟練工の技術を注ぎ込むことで“完成度を極限まで高めていく”アプローチがとられているためです。
生産工程も通常のラインとは大きく異なり、20年以上のキャリアを持つ職人だけが組み立てに携わるなど、クラフトマンシップの集大成と呼べる1台になっています。
圧倒的な高級感
センチュリーの存在感を語るうえで欠かせないのが、他に類を見ない上質な仕立てです。
ボディ外装は、7層にもおよぶ塗装を重ね、その途中で何度も手作業による水研ぎを行うことで、深みのある鏡面のような光沢を実現しています。
量産車とは明らかに異なる輝きは、熟練した塗装職人の感性と経験によって生み出されています。
内装は、手触りの良いウールファブリックや天然の木目パネルが贅沢に使われ、落ち着きの中にも気品が漂う空間です。
スイッチやドアノブなどの細部に至るまで専用設計となっており、センチュリーだけの世界観がしっかりと形成されています。
快適な後部座席
センチュリーの設計で最も重視されているのが快適な後部座席です。
センチュリーは、オーナーが自らステアリングを握るのではなく、専属ドライバーが運転し、後席で移動時間を過ごすという前提でつくられています。
機能も豊富で、リクライニング機能やオットマンの調整幅は広く、足元空間も圧倒的なゆとりを確保しています。
まるで個室ラウンジにいるかのような穏やかなプライベートな空間を感じられるでしょう。
走行中の静粛性にも徹底的にこだわっており、ボディやシャシーには防振・制振材が贅沢に使われています。
電子制御サスペンションによる振動の抑制と合わせて、路面の粗さやエンジンの存在感を極限まで遮断します。
移動中に打ち合わせをしたり、読書や休息をとることができるほど、落ち着いた車内環境が保たれています。
力強いエンジン
センチュリーの心臓部には、大排気量のV型8気筒エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドユニットが搭載されています。
高級車でありながら余裕のある加速と静粛な走行性能を両立しています。
重量のあるボディをものともせずスムーズに速度を乗せられる特性は、まさに最高級車にふさわしい落ち着きのある走りです。
スポーツカーのような刺激的な走りを追求した車ではありません。
しかし、必要なときに確実なパワーを発揮する応答性と、高速道路での安定感はトップクラスです。
SUVモデルも展開
新たに加わったセンチュリーSUVは、ショーファーカーの価値観が現代でどのように発展すべきかを探りながら生まれた最新世代のモデルです。
従来のセダンでは確保しにくい後席の広さや乗り降りのしやすさを重視し、車内での仕事・休憩・移動を一体化した「移動するプライベートスイート」というコンセプトを打ち出しています。
SUVらしい重厚感を持ちながらも、センチュリーらしい静粛性と滑らかな乗り心地は健在です。
従来モデルを利用してきたユーザーだけでなく、ビジネスパーソンやラグジュアリーSUVを求める新たな層にも響くデザインと機能性が融合しています。
従来のセダンも生産が継続されており、選択肢はより広がっています。
センチュリーの基本情報
センチュリーの基本情報は、セダンとSUVの2モデルで構成されています。
| 項目 | セダン | SUV |
| 排気量 | 5.0L V8 ハイブリッド | 3.5L ハイブリッド |
| 駆動方式 | FR | フルタイム4WD |
| 定員 | 5名 | 4名 |
| 車両重量 | 2,370kg | 2,570kg |
| 全長×全幅×全高 | 5335 × 1930 × 1505 mm | 5205 × 1990 × 1805 mm |
| 価格 | 20,080,000円 | 27,000,000円 |
セダンは5.0L V8ハイブリッドを搭載し、全長5335mmの威厳あるボディながら燃費は12.4km/Lと燃費効率は優れていると言えるでしょう。
FRレイアウトを採用し、静粛性と滑らかな走りが特徴です。
一方、SUVモデルは3.5Lハイブリッド+フルタイム4WDを組み合わせ、ゆとりある4名乗車レイアウトを採用しています。
全長5205mmと堂々としたサイズでありながら、14.2km/Lという優れた燃費を実現しています。
どちらもトヨタ最高峰モデルにふさわしい品質と快適性を備えた特別な1台です。
モデル別センチュリーのカタログ燃費
センチュリーはセダンとSUVの2タイプが展開されており、どちらもハイブリッドシステムを採用することで、大排気量モデルながら効率の良い走行を実現しています。
静粛性や上質さを重視した設計でありつつ、日常走行でも扱いやすい燃費性能を確保しているのが特徴です。
ここでは、各モデルの燃費について解説します。
センチュリーセダンの燃費
センチュリーセダンは、伝統あるショーファーカーとして設計されており、5.0L V8ハイブリッドを搭載しながらもWLTCモードで12.4km/Lという高水準の燃費性能を実現しています。
大排気量ならではの余裕ある加速力に加え、モーターによる滑らかな走行が燃費効率にも貢献しています。
重量級モデルながら、市街地から高速まで安定した実用燃費を確保しており、静粛性とエコ性能を両立した唯一無二の存在といえるでしょう。
センチュリーSUVの燃費
新たに登場したセンチュリーSUVは、3.5Lハイブリッドシステムを採用し、WLTCモードで14.2km/Lを達成しています。
セダンより車体は大きいものの、最新ハイブリッド技術により優れた燃費を実現しています。
フルタイム4WDによる安定走行と、後席の快適性を高めた車内設計が魅力です。
ショーファーカーとしての質感を維持しつつ燃費性能も高められており、長距離移動でも効率的に走れる点が大きな特徴となっています。
センチュリーとライバル車との燃費比較
ここでは、センチュリーとライバル車との燃費を比較して紹介します。
レクサス LS
レクサスLSは、レクサスの最上級セダンとしてセンチュリーのライバルに挙げられるモデルです。
燃費性能は、ガソリンターボの「LS500」がWLTCモードで10.2km/L、ハイブリッドの「LS500h」は16.4km/Lを記録します。
一方のセンチュリー(セダン)は12.4km/Lで、ハイブリッドながらV8エンジンを搭載していることもあり、比較するとやや劣ります。
燃費だけを比較するとLSが優勢です。
しかし、センチュリーは静粛性や後席のつくり込みといった“ショーファーカーとしての質を重視しているため、単純な燃費数値だけでは語れない魅力があります。
ロールスロイス・カリナン
ロールスロイス・カリナンは、世界的にも最高峰とされるショーファー向けSUVで、センチュリーSUVが比較対象にされることの多い1台です。
カリナンは6.75L V12ツインターボを搭載し、そのWLTP燃費は15L/100km(約6.7km/L相当)と、圧倒的な排気量に見合う数値となっています。
一方のセンチュリーSUVは3.5Lハイブリッドを採用し、14.2km/Lと大きく上回る燃費性能を実現しています。
パワートレインの設計思想こそ異なりますが、実用性や環境性能ではセンチュリーに軍配が上がります。
センチュリーの燃費を少しでも良くする方法
センチュリーは静粛性や快適性を重視したモデルであり、その走りは非常に上質ですが、車重が大きいため燃費への影響も大きいとされることがままあります。
しかし、日常の運転方法や車両の扱い方を少し見直すだけで燃費を改善することは十分可能です。
ここでは、センチュリーの性能を損なわずに効率よく走るための方法を4つにわけて解説します。
急加速・急停止を避ける
センチュリーのような重量級の車は、加速時に多くのエネルギーを必要とするため、アクセルを強く踏む運転は燃料消費の増大につながります。
スムーズに速度を上げ、前方の交通状況を見ながら早めにアクセルを戻すといった「予見運転」を意識することで、余分な加減速を減らせて燃費向上に役立ちます。
また高速走行時も、必要以上に速度をあげると空気抵抗が増し燃費が悪化します。
センチュリーは静粛性が高く速度感が薄れやすいため、速度計を確認しつつ穏やかな運転を心掛けることが効率良く走るコツです。
余計な荷物を載せない
車両重量の増加は燃費に直結するポイントで、重量級のセンチュリーではその影響が顕著です。
一般的に車の重量が10%増えると、燃費が約5%悪化するとされており、日常的にトランクへ荷物を積みっぱなしにしているだけでも燃費性能は確実に低下します。
工具類やアウトドア用品、使わない備品などがそのまま載っていないか定期的に確認しましょう。
不要な物を降ろして車体を軽く保つことで、エンジンへの負担が減り、燃費改善だけでなく加速や取り回しのしやすさにも良い影響が生まれます。
エアコンを適切な温度にする
センチュリーのエアコンはモーター駆動のため直接ガソリンを消費するわけではありません。
しかし、バッテリー残量が低下するとエンジン稼働が増え、結果的に燃費悪化を招く場合があります。
特に真夏や真冬は設定温度が低すぎたり高すぎたりすると負荷が大きくなるため、無理のない温度設定を意識することが重要です。
また、走行モードを「エコ」にすることで空調制御も穏やかになり、燃費の改善に貢献します。
後席が快適に過ごせる範囲で、過剰な冷暖房を避けるのが効率よく走るポイントです。
タイヤの空気圧をチェックする
大型セダンであるセンチュリーは車重が非常に大きいため、タイヤ空気圧のわずかな低下が燃費に大きく影響します。
空気圧が不足するとタイヤの接地面積が広がり、転がり抵抗が増加してエネルギー効率が低下するため、燃費悪化だけでなく乗り心地やハンドリングにも影響が出ます。
タイヤの空気は自然に抜けていくため、給油のタイミングや月に一度の点検を習慣化しましょう。
適正空気圧を保つことで燃費はもちろん、車体の安定性やタイヤ寿命の向上にもつながります。
まとめ
センチュリーは、日本を代表する最高級ショーファーカーとして卓越した静粛性と快適性を備えながら、ハイブリッド技術によって実用的な燃費性能も確保しています。
セダンとSUVで燃費は異なりますが、車格を踏まえると十分に優れた数値といえるでしょう。
燃費を維持するには、穏やかな加減速や適切な空気圧管理、エアコン設定など日頃の工夫が欠かせません。
愛車の状態を把握し、定期的な点検を行うことで、センチュリー本来の上質な走りを長く堪能できるでしょう。





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