車を購入する際には、ほとんどの人が契約書(注文書)を作成します。
しかし、なぜこの契約書が必要なのでしょうか。
この記事では、契約書が必要な理由や契約書に記載されるべき内容、さらに注意点について解説します。
車の購入を考えている方や、これから契約を行う方にとって、非常に役立つ情報なのでぜひ参考にしてください。
車を購入する際の契約書(注文書)とは
車を購入する際の契約書は、なぜ必要なのでしょうか。
ここでは、車を購入する際の契約書やその必要性について詳しく解説します。
車を購入する際の契約書とは
車を購入する際の契約書は、購入者と販売者の間で交わされる正式な合意書になります。
自動車を購入する際に、最初に行われるのが交渉です。
購入者と販売者がさまざまな条件について話し合い、その結果として最終的な見積書が発行されます。
見積書は、購入する車両の価格やオプション、追加費用などが詳細に記載されている書類です。
この見積書の内容に同意して、最終的な購入を決定した段階で購入者は正式な契約書、つまり「注文書」にサインすることになります。
この注文書が実際の売買契約を確定する重要な書類となるのです。
契約書の必要性
自動車の購入において契約書が必要な理由は、何よりもトラブルを未然に防ぐためです。
車の売買には、故障や不具合といった技術的な問題だけではなく、名義変更や納税などの法的手続きも含まれます。
これらの手続きを明確に定めておかないと、金銭的なトラブルや法的な問題が発生する可能性があります。
たとえば、購入した車に欠陥があった場合、その対応を巡って販売者と購入者の間で大きなトラブルが生じることも少なくありません。
こうしたトラブルを避けるためにも、契約書を交わして双方の義務と権利を明確にしておくことが重要なのです。
車を購入する際の契約書(注文書)に記載されている内容
車を購入する際の契約書には、主に以下の項目が記載されます。
- ・契約書である旨の内容
・車両情報
・金額
・支払い方法
・納車・引き渡しの日程
・所有権を移転する時期
・名義変更に関するとり決め
・保証やメンテナンスの有無
・危険負担に関する内容
・瑕疵担保責任に関する内容
・契約解除に関する内容
・合意管轄に関する内容
・特約事項
それぞれの項目について詳しくみていきましょう。
契約書である旨の内容
車の売買契約書には、まずその書類が正式な契約書であることを示す表題や導入文が必要です。
具体的には、書類の最上部に「自動車売買契約書」という表題を記載します。
その下には「売主 ◯◯(以下「甲」という。)と、買主 ◯◯(以下「乙」という。)は、甲乙間の売買契約に関して、以下のとおり合意した。」という一文を記載します。
このように明示することで、書類が正式な契約書であり、売主と買主の立場が明確になるため、後々のトラブルを防ぐことができます。
この形式的な部分は、契約書全体の信頼性を高めるために欠かせません。
さらに、表題や導入文の明確化により、どの文書が正式な売買契約書であるかが一目で分かるため、各種手続きや確認作業が円滑に進められます。
これにより、法的にも確実に認識される文書としての役割を果たします。
車両情報
購入する車両に関する詳細な情報は、契約書の中でも特に重要な部分です。
対象となる車両を明確に特定するために「登録番号」「車名」「型式」「年式」「車体番号」などの情報を細かく記載します。
これらの情報が不足していると、どの車が売買の対象となっているのかが不明確となり、誤解やトラブルの原因になってしまうのです。
たとえば、同じモデルでも年式や型式によって価値が大きく異なります。
そのため、車両の情報を正確に記載し、確実に納車されるようにすることが大切です。
これにより、取引の透明性が高まり、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
金額
契約書には、車両の売買代金が明確に記載される必要があり、基本的に「金◯◯◯万円(税込)」という形式で金額が記載されます。
金額を「金」と「万円」で挟むことによって、改ざんを防ぐことが可能です。
金額の記載に加えて、支払いの期限と振込先の情報も明記します。
これにより、支払いが遅延したり、誤った口座に振り込まれたりするリスクを回避できます。
たとえば、「支払期日は契約締結日から30日以内とし、振込先は◯◯銀行◯◯支店、口座番号◯◯◯◯◯◯」という具体的な記載が求められます。
このように詳細に記載することで、金銭的なトラブルを防ぐことが可能です。
支払い方法
契約書には、支払い方法も記載されている場合があります。
主な支払い方法としては、一括払い、自動車ローン、クレジットローン、リースの4つが挙げられます。
それぞれの支払い方法にはメリットとデメリットがあり、購入者の経済状況やライフスタイルに応じて適切な方法を選ぶことが重要です。
一括払いの場合は、現金、銀行振込、クレジットカードが一般的です。
自動車ローンやクレジットローンを利用する場合は、事前にローンの審査を通過する必要があります。
リースの場合は、定期的な支払いを行い、契約終了後に車両を返却します。
納車・引き渡しの日程
納車・引き渡しの日程なども記載される項目です。
たとえば、「契約日に手付金◯◯万円を支払い、その場で車両を引き渡す」という形で記載されています。
さらに「◯年◯月◯日に現金◯◯万円を持ち、支払いが確認された後に車両を引き渡す」といった内容もあります。
これらの条件を明確にすることで、双方の合意に基づいたスケジュールで引き渡しが行われるのです。
所有権移転の時期
所有権の移転時期についても契約書に明記することが重要です。
所有権移転については「◯年◯月◯日までに所有権を移転する」といった具体的な期限が記載されます。
これにより、いつまでに所有権の移転手続きを完了させるべきかが明確になり、トラブルを避けることが可能です。
また、所有権の移転が遅れた場合の対処法についても記載される場合もあります。
名義変更に関するとり決め
名義変更の手続きについては、誰がいつまでに行うのかを明記することが不可欠です。
車両引き渡し時に取扱説明書や車検証、名義変更に必要な書類を交付する内容を記載し、さらに自動車税や名義変更に要する費用についても明記します。
これにより、名義変更手続きがスムーズに進み、費用負担に関するトラブルを未然に防ぐことが可能です。
保証やメンテナンスの有無
中古車の販売価格が相場より安い場合、保証や定期点検が付いていないことがあります。
保証がないと、故障時の修理費用を自費で負担する必要があるのです。
新車には通常3年または6万kmの保証があり、故障時の修理費用を販売業者が負担します。
中古車購入時には、保証の有無を確認し、保証がない場合のリスクを理解することが重要です。
価格の安さだけで決めず、契約書で保証やメンテナンス条件を確認しましょう。
危険負担に関する内容
危険負担とは、車両が盗難に遭ったり損傷したりした場合の責任の所在を定める項目です。
契約書には、どのタイミングまで売主が負担し、いつから買主が負担するのかを明記します。
これにより、車両が引き渡されるまでの間に発生するリスクについての責任が明確になります。
瑕疵担保責任に関する内容
瑕疵担保責任とは、修復歴や故障などを隠して売却した場合に売主が負う責任です。
契約書には「装備や外観等の状態について確認を行い、売主が瑕疵担保責任を負わないことを確認する」などと記載します。
この内容を明記することで、後々のトラブルを防ぎます。
買取業者との取引でもよく発生するため、この項目は必ず含めましょう。
契約解除に関する内容
契約の解除条件も契約書に明記します。
相手方が本契約の義務を履行しない場合、契約を解除できる旨を記載します。
また、相手方に対し契約解除によって生じた損害を賠償請求できるなどの旨を記載することで、安心して契約が可能です。
合意管轄に関する内容
合意管轄も契約書に記載しましょう。
合意管轄とは、損害賠償請求などのトラブルが発生した際に、どこの裁判所で裁判を行うか決めておくことです。
契約書には「本契約に関する訴訟は、◯◯地方裁判所を専属管轄裁判所とする」と記載します。
この記載により、裁判地を巡る争いを防ぐことができます。
特約事項
特約事項は、販売業者と顧客との特別な約束ごとを記載する重要な項目です。
契約成立の時期、申込金、手付金などが含まれます。
特約事項はトラブルを防ぐために非常に重要であり、契約前にしっかり確認しましょう。
契約書(注文書)作成後にキャンセルは可能?
車は高額な買い物であるため、契約書を交わした後にキャンセルを希望するケースも少なくありません。
ここでは、契約後にキャンセルが可能な場合やその条件について詳しく解説します。
売買契約書に規定がある場合はキャンセル可能
結論として、契約成立後は契約書にキャンセルの規定がない限り、基本的にできません。
ただし、売買契約書にキャンセルに関する規定があれば、その条件に従ってキャンセルが可能です。
キャンセルに伴う違約金が設定されている場合もあるため、契約時に内容をよく確認しましょう。
契約確定前の場合
正式に契約が成立する前、つまり契約確定前であればキャンセルが可能な場合があります。
自動車の登録日、販売店でのパーツ取り付け作業開始日、納車日のうち最も早い日が契約確定基準日とされます。
これらの基準日前であればキャンセルに応じてもらえる可能性が高いです。
ただし、基準日の定義は販売店によって異なることがあるため、事前に確認しておきましょう。
瑕疵がある場合
購入した車に瑕疵がある場合は契約を解除できます。
民法に基づき、車に本来あるべき機能や品質に欠陥が見つかった場合、購入者は売主に対して契約解除や損害賠償請求が可能です。
しかし、購入前に明らかにわかる不具合については、事前に説明を受けていた場合、契約解除はできません。
未成年の場合
契約者が未成年の場合、親の同意がなければ契約を取り消すことができます。
民法では、未成年者が法定代理人つまり親の同意なしに法律行為を行った場合、その契約を取り消すことができると定められています。
したがって、未成年者が車を購入した場合は、契約を無効にすることが可能です。
車を購入する際の契約書(注文書)の注意点
車を購入する際に交わす契約書は、購入者と販売者双方の権利と義務を明確にする重要な書類です。
契約内容に不備があると、後々トラブルに発展する可能性があります。
本項では、契約書を作成する際の注意点についてみていきましょう。
口約束の内容も記載する
契約書には、口頭での約束内容もすべて書き出すことが重要です。
口約束も法的には有効ですが、後から内容を忘れたり、言った言わないのトラブルになることがあります。
そのため、口頭で交わした約束も、契約書にしっかりと明記しておくことで、双方の認識を一致させてトラブルを防ぐことが可能です。
代理人の場合は委任状がいる
代理人が契約書にサインする場合、正式な委任状が必要です。
委任状とは、本人が代理人を選任し、その代理に手続きを任せる意思表示を記した文書です。
本人が契約書にサインできない場合には、代理人を選任し、委任状を作成しておく必要があります。
これにより、代理人による契約が正式なものとなり、問題が発生することを防ぎます。
まとめ
車を購入する際の契約書は、さまざまなトラブルを未然に防ぐために非常に重要な役割を果たす書類です。
契約書には、車両情報や支払い条件、納車日、保証内容など、すべての重要な情報が記載されています。
そのため、契約を結ぶ前に必ず詳細を確認しましょう。
また、契約書には口約束の内容も記載することで、トラブルを避けることができます。
このような注意点を踏まえて、慎重に契約を進めましょう。