中古車の購入を法人名義で行う場合、必要書類や手続きの流れについて事前に知っておきたいと考えるのではないでしょうか?
個人で購入するケースとは異なる点も多いため、内容をしっかりと理解して契約に進むほうが安心できるでしょう。
そこで本記事では、中古車購入(法人名義)の必要書類や手続きの流れについて解説しています。
法人契約のメリットや注意点、個人使用に対する疑問なども解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
中古車購入を法人名義で行うメリット
中古車を購入する上で、個人と法人では異なる点が多数存在します。
まずは、中古車購入を法人名義で行うメリットから解説していきましょう。
購入費用や維持費を経費で処理できる
法人名義で中古車を購入した場合、購入費用や維持費を経費で処理できます。
経費で処理できれば必要な金額は会社から出されるので、個人で用意する必要はありません。
車の維持費に当たる費用は継続して必要になるため、それらを経費に組み込める点は見逃せないメリットです。
不要な車は個人で買取できる
法人名義で購入した中古車が不要になった場合、個人で買い取ることが可能です。
業者やオークションを利用するのは相応の手続きがかかりますが、個人で買い取ってもらえれば車での資産移転として処理できます。
会社と個人であれば仲介も入らず、価格が上昇することもありません。
車の査定額だけを基準に、安価で売買することが可能です。
減価償却の面でもお得
法人名義で中古車を購入すると、減価償却の面でもお得です。
減価償却で計上できる経費は、法定耐用年数を基に算出されます。
新車を購入した場合の耐用年数は、普通車6年・軽自動車4年ですが、中古車になると決められた計算式を使って耐用年数を導き出す仕組みです。
4年落ちの普通自動車を購入するケースだと、1年間で100%減価償却できます。
さらに契約の時期を決算の翌月にすれば、次決算までの全期間を減価償却の対象にすることも可能です。
法人名義で中古車購入する際の必要書類は?
次に法人名義で中古車を購入する際に必要になる、複数の書類について解説していきます。
普通自動車と軽自動車で内容が異なる点に注意しましょう。
軽自動車を購入する場合
軽自動車を購入する場合に必要な書類のひとつは、代表者の実印もしくは署名です。
さらに以下の中から、どれかひとつを用意します。
- ・商業登記簿謄本(もしくは抄本)
・登記事項証明書
・印鑑証明書
普通自動車を購入する場合
普通自動車を購入する場合の書類は以下のとおりです。
- ・代表者の実印もしくは認印
・印鑑証明書(発行日が3か月以内のもの)
・自動車保管場所証明書(発行日が1か月以内のもの)
中古車の購入時にローンを使う想定なら、銀行の届出印・口座番号も用意しておきましょう。
法人で車庫証明を申請する際の注意点
ここからは、法人で車庫証明を申請する際の注意点を解説していきましょう。
ミスが起きやすい部分・悩みやすい部分をピックアップしています。
個人での申請と記入方法が異なる
法人と個人では、申請書の記入方法が異なります。
ミスが起きやすいのは「自動車の使用の本拠の位置」です。
個人で申請する場合、この欄には申請者の住所を記載しますが、法人の場合はオフィスの所在地を記載します。
このとき、購入した中古車を使用するオフィスの所在地を記載しなければなりません。
本店や支店などオフィスが複数ある場合に間違いやすいので注意しましょう。
また「申請者の住所」は、登記簿または印鑑証明に明記されている住所を記載しなければなりません。
印鑑について
法人として使用する印鑑が複数あると、車庫証明の申請時にどれを使うべきか迷ってしまうケースがあります。
ある地方で提示されている記載方法には、「法人として通常使用する印鑑を押印」と明記されています。
この文章を読み解くと、必ずしも実印である必要はなく、銀行印や社印でも構わないということです。
発行に必要な書類は5種
車庫証明の申請手続きには、5種類の書類が必要です。
警察署で入手できる書類と、事前に準備しなければならない書類に分かれます。
自動車保管場所証明申請書
自動車保管場所証明申請書は警察署で配布されているものを受け取るか、インターネットからダウンロード(2枚)して手に入れます。
「申請者の住所」「自動車の使用の本拠の位置」については、すでに解説したとおりです。
補足として「申請者の住所」に、代表者の自宅や社員寮の住所を書くことは、原則認められていません。
ただし例外となるケースもあるため、必要に応じて事前に問い合わせておくと安心です。
書類は複写式となっていて、それぞれ運輸局と警察署に提出します。
保管場所標章交付申請書
警察署であれば複写式の状態で、自動車保管場所証明申請書と同時に入手できます。
インターネットでダウンロードする場合は、2枚プリントアウトしましょう。
書き方の注意点も、先述したとおりです。
保管場所の所在図・配置図
保管場所の所在図は「使用の本拠の位置」と保管場所までの距離を、配置図は車の駐車スペースを表します。
車の保管場所が「使用の本拠の位置」から2km以内にあることを証明するための書類です。
書類の入手方法はこれまでの書類と同様で、警察署もしくはインターネットを介して手に入れてください。
所在図の作成は、手書きやGoogle Map、Yahoo!地図を使っても構いません。
配置図は駐車スペースが問題ないことを証明するため、各寸法・道路幅・付近の建物などを明記しておきましょう。
保管場所使用承諾証明書
保管場所使用承諾証明書は、借りている駐車場を使用する場合に提出します。
自社の土地に車を保管する場合は、保管場所使用権原疎明書面(自認書)が必要です。
自社の土地にあっても、駐車場の名義が親または共有のときは、保管場所使用承諾証明書を使用します。
どちらの書類も警察署から、もしくはダウンロードして手に入れます。
保管場所使用承諾証明書は、土地の所有者や駐車場の管理者に記載してもらわなければなりません。
書類が完成するまでに時間を要したり、手数料が発生したりする場合もあるので、余裕を持って確認と依頼を実行しましょう。
所在証明資料
「使用の本拠の位置」に本社の住所を記載している場合、登記簿謄本や公共料金(ガス・電気など)の領収書を所在証明資料として添付します。
「使用の本拠の位置」に支店の住所を記載している場合は、公共料金の領収書もしくは消印がある郵便物などを添付してください。
支店登記をしている場合は、所在証明資料は不要です。
登記簿謄本を添付して提出しましょう。
法人名義で中古車購入する際の手順は?
続いて、法人名義で中古車購入する際の手順を解説していきます。
①予算を決定する
まずしなければならないのは、予算の決定です。
予算の条件がないと、すべての車種が選択肢に入ってしまいます。
車に求める条件を先に決めてしまうと、必要な予算が増えやすくなるので、まずは無理のない予算を定めましょう。
②購入車種を絞る
予算が決まったら、購入車種を絞っていきます。
車の利用シーンを明確に想定できれば、使い勝手の良い車を見つけやすくなるでしょう。
以下のポイントを基準に考えると、購入すべき車種が選びやすくなります。
選択基準:妥当性
法人で中古車を購入する場合、必要になる費用は経費として計上するでしょう。
そのときに税務署よりチェックされる項目のひとつが妥当性です。
会社の利益に見合わない高級車を購入すると、経費として認められないケースもあります。
購入する車種は、事業で得られる利益相当の範囲で選びましょう。
選択基準:リセールバリュー
法人名義で購入した車が不要になったら、売却を検討するのではないでしょうか?
最初から売却を想定するなら、リセールバリューの高い車種がおすすめです。
価値が落ちそうな傾向がなく、中古でも需要の絶えない車種を狙いましょう。
機能性はもちろん、カラーやグレード、デザイン面にも注目して、人気を維持している車を購入できるとプラスになります。
③現車を確認して購入先を決める
購入したい車種が決まったら、購入先を探します。
見積もりを出してもらい、購入先の候補を絞っていきましょう。
気になった販売店に問い合わせをして、実際に店舗を訪れて車を確認してみてください。
試乗してみて問題ないと感じたら、契約に進みます。
④書類を準備して契約を進める
必要書類を提出し、契約書の内容をしっかりと確認しましょう。
疑問点がある場合は、この時点で解消しておくことをおすすめします。
すべてを納得した上で、契約書にサインしたら中古車購入の手続きは完了です。
⑤支払い手続きを終える
任意の方法で、支払い手続きも完了させましょう。
現金支払いのほか、各種ローンが利用できます。
⑥納車
中古車を購入をした場合、納車までの平均期間は3週間です。
この期間を経て、購入を決めた車種がしっかりとメンテナンスされます。
納車時に再度状態を確認して問題がなかったら、すべての流れは完了です。
法人名義の車を個人使用するのは?
法人名義の車を運転する際に、疑問点として散見されるのが個人使用です。
業務用の車を個人使用した場合、罰則はあるのでしょうか?
明確な違法ではないがリスクはある
会社の業務に使う車を私的な目的で使用しても、明確な法律違反になるわけではありません。
しかしながら社用車の個人使用は原則禁止とされているため、実行するのはリスクがあると認識しておきましょう。
個人使用があると経費計上できない恐れも
個人使用が認められると、経費に計上できない恐れもあります。
経費に計上できなければ、法人名義で中古車を購入するメリットが失われてしまうので、十分注意する必要があるでしょう。
役員の通勤利用はOK
個人使用のようで問題なく認められるのが、役員の通勤利用です。
通勤という行為は業務の一部とされるため、社用車を使用しても指摘を受けることはありません。
法人名義の車を個人使用する場合の対策
法人名義の車を個人使用することで予想されるリスクは、「経費計上の否認」「会社の信用」「盗難・情報漏洩」などさまざまです。
しかしながら業務の中での個人使用は線引きが難しく、確実に防止するのは困難だと言われています。
そのため、以下のような法人名義の車を個人使用する場合の対策が大切です。
車両管理規程を整備する
車両管理規程を整備して、社用車の使い方を従業員に周知させましょう。
個人使用に当たる事例や認められる範囲を定めて、個人使用に関するトラブルを防ぎます。
責任の所在を明確にしておく
事故や盗難のリスクに備えるには、責任の所在を明確にしておくことが重要です。
会社と従業員それぞれが責任と処分方法を理解できていると、社用車の適正な運用に期待できます。
用途が事業用だと証明できる根拠を用意しておく
個人使用を疑われた場合、経費に計上できなくなる恐れがあるため、事業用として確実に使われていることを証明しなければなりません。
そのため、用途が事業用だと証明できる根拠を用意しておく必要があります。
車の走行履歴・営業での利用を示す明細書や領収書・稼働状況を示す資料などがすぐ提出できると安心です。
使用料を設ける
経費計上ができなくなる恐れを回避するもうひとつの手段として、プライベートの使用料を設定する方法が挙げられるでしょう。
この場合、詳細なルールを整備・徹底する必要がありますが、個人利用の線引きが難しい点で、運用がうまくいかない可能性もあります。
まとめ
中古車の購入を法人名義で行う場合、個人の購入とは異なる書類を用意する必要があります。
申請書の記載方法が異なる点と全体の流れを理解しておけば、法人名義による中古車の購入はスムーズに進むでしょう。
購入が完了し実際に利用する段階に入ったら、社用車の個人利用にも気を付けなければなりません。
注意点すべき点も複数ありますが、法人名義による中古車購入のメリットは魅力的なので、この機会にぜひ検討してみてください。