車検に通るためには、車のウインカーも一定の基準を満たす必要があります。
しかし、最近のカスタムやトレンドによって、基準に適合しないウインカーが見られることもあります。
そこで本記事では、車検に通らないウインカーの種類や特徴を解説していきます。
また、ウインカーの保安基準やカスタムする際の注意点も紹介するため、車検を受ける前にしっかりと確認しておきましょう。
車検に通らないウインカーの種類と特徴
車検に通らないウインカーの種類と特徴は以下のとおりです。
- ・シーケンシャルウインカー
・全く点灯しない
・ひび割れしている
・規定外の位置にある
・明るすぎる
・オレンジ色以外の色
・点滅回数が速度が早すぎる、もしくは遅すぎる
・面積が小さい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
シーケンシャルウインカー
近年シーケンシャルウインカーは、人気のあるカスタムのひとつです。
シーケンシャルウインカーとは、LEDが順番に点灯していく「流れる」スタイルのウインカーで、視覚的にとてもスタイリッシュです。
実際に、純正で採用している車種も増えてきていますが、社外品の場合は車検に通らないことも少なくありません。
シーケンシャルウインカーで車検を通すためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
まず、LEDの点灯は車体の内側から外側に向かって、連続して点灯することが求められます。
また、均一に広がることや、すべてのLEDが点灯するまで光り続けることも必要です。
そして、すべてのLEDは同時に消灯し、点灯周期は毎分60回〜120回の範囲内であることが条件です。
さらに、左右対称に光ることや、他のウインカーと同周期での点滅も求められます。
これらの条件を満たさない場合は、車検に通らない可能性があるため注意しましょう。
全く点灯しない
ウインカーが全く点灯しない場合、当然ながら車検に合格することはできません。
ウインカーは方向を示すための重要な機能であり、作動しない場合は安全に大きな影響を及ぼすためです。
また、ウインカーをポジションランプとして利用する場合でも、作動時には必ずウインカーとして点灯するよう、設定されている必要があります。
点灯に異常がある場合は、速やかに修理を行いましょう。
ひび割れしている
ウインカーのレンズがひび割れしている状態だと、車検に通らない可能性が高くなります。
とくに、ひび割れが大きく、内部の光が正確に照射されない場合は、検査員によって不合格と判断されることがあります。
ひび割れの程度によりますが、レンズに欠けや破損がある場合は、車検前に交換すると良いでしょう。
ただし、ひび割れの程度は検査員の裁量に左右されることもあるため、少しでも不安な方は交換しておくことが望ましいです。
規定外の位置にある
ウインカーの位置にも厳しい保安基準が存在します。
前方ウインカーの場合は、ウインカーの上部が地上2.1メートル以下、下部が0.35メートル以上である必要があります。
また、前方および後方のウインカーは、左右で600ミリ以上離れていることが必須です。
さらに、ウインカーの最外端は車体の外側から400ミリ以内に配置されることが、規定されています。
そのため、純正のウインカーの位置を大きく変更するようなカスタムは、注意が必要です。
規定を逸脱した位置にウインカーを装着した場合は車検に通らないため、位置の確認はしっかりと行いましょう。
明るすぎる
ウインカーの明るさが過剰な場合も、車検に通らない可能性があります。
なぜなら、周囲の車両や歩行者に対して眩しさを与えてしまい、視認性を妨げる恐れがあるからです。
点灯しないのも問題ですが、明るすぎても車検には通らないため、光量が適切であるかどうかの確認は必要です。
オレンジ色以外の色
日本のウインカーの色は、オレンジ色と定められています。
アメリカ車などではリアウインカーが赤色になっていることがありますが、これはアメリカの規格に準じたものです。
よって、日本で車検を受ける際には、オレンジのウインカーに変更する必要があります。
また、ウインカーレンズのカスタムも行う場合、最終的にウインカーの光がオレンジ色になれば問題ありませんが、守らなければ車検に通らない可能性が高まります。
点滅回数が速度が早すぎる、もしくは遅すぎる
ウインカーの点滅回数にも、保安基準が定められています。
車検に合格するためには、ウインカーの点滅速度が毎分60回以上、120回以下である必要があります。
これを上回るか下回る場合は、車検には通りません。
とくに、LEDウインカーにした際に点滅回数が狂うこともあるため、点滅速度の確認は必須です。
面積が小さい
ウインカーの光る面積が小さすぎるのも、車検に通らない要因のひとつです。
面積が小さければ周囲の車両や歩行者が方向を確認しにくくなり、安全性が損なわれるからです。
保安基準では、ウインカーの発光面積が20㎠以上である必要があります。
とくに、全長6メートル以上の大型車の場合は、40㎠以上の面積が求められます。
なお、ウインカーがEマーク付きであれば、発光面積に関して問題となることは少ないでしょう。
ウインカーをカスタムする際の注意点
ここでは、ウインカーをカスタムする際の注意点を詳しく解説していきます。
カスタムしようと考えている方は、事前にチェックしておきましょう。
Eマークの正規品を利用する
ウインカーをカスタムする場合、重要なのはEマークがついている製品を選ぶことです。
Eマークとは、国連欧州経済委員会(ECE)が定めた基準をクリアした製品に与えられるマークです。
Eマークがついているウインカーは保安基準に適合しているため、日本国内の車検でも問題なく通るでしょう。
そのため、ウインカーを選ぶ際には製品説明やパッケージに「Eマーク」や「車検対応」の記載があるかを必ず確認してください。
これにより、購入後のトラブルを回避しやすくなります。
とくに社外品のウインカーを選ぶ場合、Eマークの確認は不可欠です。
万が一、Eマークのないウインカーを使用していると、車検に通らないだけでなく違法改造とみなされることもあるので注意しましょう。
必ず車検に通るとは限らない
Eマークがついているウインカーを選んだからといって、必ず車検に通るわけではありません。
なぜなら、ウインカーの取り付け方や車体との適合性が重要だからです。
取り付け位置や角度、配線の状態などが正しくなければ、Eマークが付いているウインカーでも車検に落ちる可能性があります。
たとえば、ウインカーの取り付け位置が規定の範囲を外れていたり、点滅速度が基準を外れていたりすると、保安基準に適合しなくなる可能性が高いでしょう。
したがって、ウインカーをカスタムする際には、製品選びだけでなく取り付けも慎重に行う必要があります。
もし取り付けを業者に依頼する場合は、カスタムしたウインカーでも通るか確認してもらうと安心です。
車検の検査員が適合性を判断するため、自己判断で問題がないと考えても、実際に車検で落ちるケースも少なくありません。
こうしたリスクを避けるためにも、製品の取り付けガイドラインに従い、正しい手順でカスタムを行いましょう。
縦長のテールランプにも注意する
ミニバンやSUVなどの縦長のテールランプが装備されている車両の場合で、流れるタイプのウインカーにカスタムする際は注意が必要です。
縦長のテールランプは、ドレスアップ効果が高いため人気があります。
しかし、車検対応品でも実際の取り付け方法や使用状況によっては、車検に通らない場合があります。
とくに、縦方向に流れるウインカーは、水平に流れることが求められるシーケンシャルウインカーの保安基準を満たさないため、通らないケースも少なくありません。
さらに、社外品の後付けキットには、複数の点灯パターンがプログラムされていることが多くあります。
誤ったパターンで設定されてしまうと、基準に適合しない場合もあるため注意しましょう。
また、下から上に向かって流れるようなウインカーは、車検では不適合とされる可能性が高いです。
このようなリスクを避けるためにも信頼できる業者に依頼し、正しい方法でウインカーを取り付けてもらうことが大切です。
また、事前に車検基準に合致しているかどうか、しっかりと確認しましょう。
バイクのウインカーの車検ポイント
車のウインカーだけではなく、バイクのウインカーの車検ポイントについてもみていきましょう。
バイクのウインカーは、安全に走行するために非常に重要なパーツであり、車検でも厳しい基準でチェックされます。
車と同様に保安基準に適合していない場合は車検に通らないだけでなく、道路上でも安全性が損なわれる可能性があるため、しっかりと確認しておくことが大切です。
バイクウインカーの保安基準
バイクのウインカーの保安基準は以下のとおりです。
- ・光源ワット数が10W以上60W以下
・照明部の面積は7㎠以上
・灯光の色はオレンジ色
・レンズにヒビや著しい汚れがない
・毎分 60 回~120 回の一定周期で点滅する
・フロントは最内縁が240ミリ以上離れている
・リアは発光面の中心が150ミリ以上離れている
・中心面に対して左右対称で装着されている
・地上 2.3m 以下の位置に付いている
・ウインカーの内側方向20°外側方向80°のどの角度の範囲からでも視認できる
バイクのウインカーは車と比べて高い位置に取り付けられることが多く、2.3m以下という高さ制限が設けられているのも特徴です。
また、視認性に関しても、より広い角度で周囲の車両や歩行者に対して明確に見えるよう、設計されています。
車のウインカーは設置できるスペースが確保されやすいため、バイクのほうが取り付け位置に制限が多くなります。
詳しい基準内容は国土交通省のサイトで確認ができるため、一度確認してみましょう。
LEDウインカーでも問題はない
車と同様に、バイクでもLEDウインカーだからといって、車検に落ちることはありません。
しかし、保安基準を満たしていない場合は、車検に通らないことがあるため、気を付けましょう。
なお、Eマークが付いたLEDウインカーであれば基準に適合しているとみなされ、車検に合格する可能性が高まります。
Eマーク付きの製品を選ぶことで、車検の心配も減るでしょう。
ただしEマークが付いていても、必ずしも車検に適合するわけではないため、注意が必要です。
社外品のウインカーは通らない可能性がある
社外品のウインカーを取り付ける際は、車検に通る製品を選び、正しく取り付けることが重要です。
とくにEマークがないウインカーや、特殊な点滅パターンを持つ製品は、車検で不合格になる可能性があります。
自分で取り付けに不安がある場合は専門業者に相談することで、車検の検査項目に影響を及ぼさない取り付け方法を、実施してもらえるでしょう。
社外品のウインカーを使用する際はEマークの有無を確認して、必要に応じて専門業者に取り付けを依頼しましょう
ウインカー以外の車検ポイント
車検ではウインカー以外にも、さまざまな項目が厳しくチェックされます。
そのなかでもブレーキは重要な部分のひとつであり、ブレーキパッドやディスクの摩耗、ブレーキフルードの劣化が確認されます。
摩耗が進むと制動力が低下して事故のリスクが高まるため、定期的な点検と交換が必要です。
タイヤの溝の深さや空気圧、ひび割れもチェックされ、かつ溝が1.6ミリ未満の場合は車検に通りません。
ヘッドライトの調整も重要で、光量や照射角度が適切でないと、対向車に眩しさを与え事故につながることがあります。
エンジンやサスペンションなどの機械部品も点検され、正常に作動しているかどうか確認されます。
これらの項目を定期的に整備することで、安全かつ長く車を使用できるでしょう。
まとめ
ウインカーも重要な検査項目のひとつであり、保安基準を満たしていないと車検に通らない可能性があります。
とくにシーケンシャルウインカーを取り付ける際には、基準に適合しているかをしっかり確認することが大切です。
標準装備のシーケンシャルウインカーは問題ありませんが、カスタムで取り付ける場合は注意が必要です。
本記事を参考にし、保安基準を守りながら、安心して車検を通過できるウインカーの選択と取り付けを行いましょう。