車検を受ける際、パーツ交換を勧められることは少なくありません。
車検では、車の各部品が法的基準を満たしているか、そして安全に走行できる状態であるかを確認します。
その際、寿命が近づいている部品や消耗が激しい部品については、交換を提案されることがあるのです。
本記事では、車検時にパーツ交換を勧められる理由や交換が必要な部品、交換の適切なタイミングについて詳しく解説していきます。
また、各パーツの交換目安や費用相場についても触れ、パーツ交換にかかる費用を抑えるためのコツも紹介していきます。
車検を受ける前に知っておくべきポイントを押さえ、適切な判断をするための参考にしてください。
車検時にパーツ交換を勧められる理由
車検時にパーツ交換を勧められる主な理由には、以下の2つが挙げられます。
- ・交換しないと車検に通らない部品がある
・「予防整備」の側面も強い
それぞれの理由について詳しくみていきましょう。
交換しないと車検に通らない部品がある
車検は車の安全性を確認するための重要な制度であり、基本的には法的基準をクリアしないと車検に通ることはできません。
そのため、故障や摩耗が確認された部品、寿命が迫っているパーツは、安全性を保つために交換が推奨されます。
たとえば、エンジンオイルやエンジンオイルフィルター、ラジエター液などは定期的に交換が必要な部品で、車検のタイミングで交換を行うことが多いです。
特にエンジンオイルは、5,000㎞走行または半年に一度の交換が推奨されています。
フィルターもオイル交換のたび、もしくは2回に1回は交換するのが望ましいとされています。
また、ラジエター液はエンジンの冷却に使われる重要な液体で、エンジンのオーバーヒートを防ぐ役割があります。
こちらも車検ごとに交換が推奨され、特に長距離を走行する車両ではこのメンテナンスが欠かせません。
「予防整備」の側面も強い
車検時にパーツ交換を勧められる理由の1つは、予防整備の側面がある点も挙げられます。
これは、まだ使用可能な部品であっても、将来的に故障するリスクがある場合に交換を行うことで、未然にトラブルを防ぐことを目的とした整備です。
ディーラーや車検専門店では、こうした予防整備を行うことが一般的です。
たとえば、エンジンオイルやオイルフィルターは、完全に劣化していなくても、長期間使用することでエンジン内部にダメージを与える可能性があります。
そのため、定期的に交換することでエンジンの寿命を延ばすことができます。
また、ワイパーゴムやバッテリーも、故障や劣化が進む前に交換することで、突然のトラブルを防ぐことができます。
予防整備は、一見すると余分な費用がかかるように感じるかもしれません。
しかし、部品が故障してから交換するのではなく、故障前に交換しておくことで予期せぬ修理費用の支払いを避けられるため、長期的な目線で見れば車の維持費用の削減につながるという側面もあります。
予防整備をどこまで行うかは、車の使用状況やドライバーの判断によります。
車検時に点検を受けて整備士と相談し、交換が必要な部品を適切に見極めることが重要です。
予防整備のメリット・デメリット
予防整備には、メリットだけではなくでメリットもあります。
ここでは、予防整備のメリットとデメリットについて詳しくみていきましょう。
予防整備のメリット
予防整備を実施することで、将来発生するかもしれない大きな故障やトラブルを未然に防ぐことができます。
車は定期的に点検・整備を行わなければ、部品が知らず知らずのうちに損耗します。
最悪の場合、エンジンやブレーキといった重要なシステムが故障してしまうケースも少なくありません。
しかし、予防整備をしておけば、突然の故障やそれに伴う高額な修理費用を回避することが可能です。
また、予防整備を行っておくことで、車を常に良好なコンディションで保つことができます。
これにより、車の走行性能や燃費が向上し、快適なドライビングができるでしょう。
予防整備のデメリット
一方で、予防整備にはデメリットもあります。
まず、まだ使用可能な部品が前倒しで交換されてしまうことが挙げられます。
そもそも予防整備では、次に車検を受けるまでの期間に点検や整備が行われないことを想定して整備を実施しています。
そのため、タイミングベルトやバッテリーなど、まだ十分寿命がある部品に対して早めの交換が勧められるケースも少なくありません。
結果として、部品が寿命を迎えるまで使い切ることができず無駄なコストが発生することになります。
また、予防整備は車検の費用が高くなる要因にもなります。
まだ不具合が出ていない部品を交換することで、車検費用が高くなり、経済的な負担が重く感じられる場合もあるでしょう。
特に、ディーラーでは純正部品や高品質な部品が使われるため、部品代に加えて工賃も高額になることが多いです。
こうした費用を抑えるためには、普段から定期的に車の点検や整備を行うことが大切です。
普段から車のメンテナンスをこまめに行う習慣がない場合は、予防整備を選択するのも1つの手段です。
特に、自分では部品の状態を見極める自信がない方や、車のメンテナンスに時間をかけたくない方は、車検時に予防整備を受けることで安心できるでしょう。
パーツ交換の適切なタイミングはいつ?
車を安全かつ快適に運転するためには、定期的なパーツ交換が必要です。
しかし、どのタイミングでどの部品を交換すべきか迷うことがあるかもしれません。
ここでは、パーツ交換の適切な時期について詳しくみていきましょう。
車検を受ける時
車検を受けるたびに交換した方が良い部品は以下のとおりです。
部品名 |
交換頻度 |
ラジエーター液 | 2年ごと |
ブレーキオイル | 2年ごと |
デフオイル | 3年~4年ごと |
エンジンオイル | 半年ごと |
エレメント | エンジンオイルの交換2回につき1回 |
バッテリー | 2年~3年に1回 |
点火プラグ | 走行距離が2万~4万キロごとに |
ブレーキパッド | 使用状況によって異なる |
これらの部品やオイルは消耗しやすいので、できるだけ車検のタイミングで交換しましょう。
走行距離が10万キロを超えた時
走行距離10万キロを超えた際に交換が必要な部品は以下のとおりです。
- ・タイミングベルト
・ショックアブソーバー
・オルタネーター
・ブレーキディスクローター
最も代表的な部品の1つがタイミングベルトです。
この部品はエンジンの動作を調整する極めて重要な役割を持っており、定期的な交換が欠かせません。
タイミングベルトが破損するとエンジン自体が故障し、大きな修理費用がかかるため、10万kmを超えた時点での交換が推奨されます。
また、ショックアブソーバーや、ブレーキディスクローターも10万kmを超えた段階での交換を検討することが必要です。
これらの部品は交換費用が比較的高額になる傾向にあります。
そのため、複数の整備業者から見積もりを取って比較し、最適なサービスを選ぶことで、コストを抑えることが可能です。
新車購入から5年目の車検を受ける時
新車購入から5年目の車検を受ける時に交換するべき部品は以下のとおりです。
- ・タイヤ
・エアクリーナーエレメント
・ワイパーブレードゴム
・バッテリー
タイヤはゴム製品であり、経年劣化が進むとひび割れや硬化が見られるため、溝が残っていても交換が必要です。
特に、ゴムの状態が悪化している場合は、早めの交換が安全を確保するポイントです。
エアクリーナーエレメントは、エンジンに取り込む空気を清浄に保つための部品で、5年も経過すると汚れが蓄積し、エンジン効率が低下します。
ワイパーブレードゴムもまた、紫外線や天候の影響で劣化が進む部品の1つです。5年も使用すると、ゴムが硬化して雨天時の視界が悪くなることがあるため、交換することが推奨されます。
良好な視界を保つために、安全面からもこの部品の定期的な交換が必要です。
バッテリーは、通常2年〜3年の寿命とされており、5年目の車検時には交換が必要になることが一般的です。
バッテリーが劣化するとエンジンがかからなくなったり、電装品に影響が出ることがあるため、車検のタイミングでの交換をしましょう。
交換を提案されやすいパーツと交換の費用相場は?
交換を提案されやすいパーツと交換の費用相場は以下のとおりです。
パーツ名 |
交換費用の相場 |
クーラント液 | 1,000円〜5,000円 |
ブレーキオイル | 2,000円〜5,000円 |
エンジンオイル | 5,000円〜10,000円 |
バッテリー | 4,000円〜40,000円 + 工賃500〜3,000円 |
ブレーキパッド | 10,000円〜20,000円 (4輪分) |
点火プラグ | 15,000円 |
デフオイル | 5,000円〜10,000円 |
クーラント添加剤 | 数千円 |
エアエレメント | 5,000円 |
タイヤ | サイズや種類、メーカーにより異なる |
ファンベルト | 10,000円 |
タイミングベルト | 20,000円〜50,000円 |
パーツの交換費用は、使用する部品の品質や種類、車種、さらには整備を依頼する業者によって大きく異なることがあります。
たとえば、バッテリーはサイズや性能に応じて数千円から数万円と幅広い価格帯があります。
タイヤもメーカーや種類、サイズによって異なるため、見積もりを取ることが重要です。
さらに、エンジンオイルやクーラント液、ブレーキパッドのような定期的な交換が推奨される部品は、工賃も含めて費用が増える可能性があります。
交換する際は、必ず複数の業者から見積もりを取って、コストを抑えることがポイントです。
特に、高額になるタイミングベルトやブレーキディスクローターのような部品は、作業工賃が大きな費用差を生むこともあるため、事前に確認しましょう。
パーツ交換費用を抑えるには
車検時のパーツ交換費用は高額になりがちですが、いくつかの工夫をすることでコストを抑えることができます。
ここでは、パーツ交換費用を抑えるための具体的な方法をいくつかみていきましょう。
1回の車検でパーツをまとめて交換しない
車検時に一度にすべてのパーツを交換すると、費用が高額になります。
特に、タイヤやバッテリーなど高価な部品は、まとめて交換するよりも車検の6か月前に実施する定期点検などで交換すると良いです。
これにより、一度にかかる費用負担を減らすことができ、計画的に交換することで車検時の大きな出費を避けられます。
部品を持ち込む
整備業者によっては、車検時に自分で購入した部品を持ち込むことが可能です。
これにより、業者が用意する部品よりも安価に手に入れることができ、部品代を抑えることができます。
ただし、すべての業者が持ち込みを許可しているわけではないため、事前に確認しておくことが重要です。
また、部品に対する保証が受けられない場合もあるので注意しましょう。
自分でパーツ交換を行う
自分でパーツ交換を行うことで、車検費用を抑えることができます。
たとえば、タイヤの溝チェック、空気圧チェックなどは簡単なため初心者でも対応が可能です。
ただし、作業には正しい工具や手順が必要なため、事前にしっかりと準備をしましょう。
車の整備に慣れていない方でも、YouTubeなどで手順を確認しながら作業すれば、少しずつスキルを磨くことができるでしょう。
タイヤの溝チェックと空気圧充填
タイヤの溝や空気圧のチェックは、車の安全性を保つために非常に重要です。
タイヤは、溝が1.6mm以下になると車検に通らなくなります。
そのため、タイヤにスリップサインが見えたらすぐに交換を行いましょう。
空気圧も、適正な圧力でないと燃費が悪化したり、タイヤが偏摩耗する原因になります。
空気圧はガソリンスタンドで無料でチェック・調整できることが多いため、定期的に確認しておくと良いでしょう。
ワイパーのゴム交換
ワイパーのゴムは、紫外線や天候の影響を受けやすいため、1年を目安に交換することが一般的です。
劣化したゴムは拭き取り性能が低下し、雨の日の視界不良につながるため、安全運転を維持するためにも定期的な交換が必要です。
ワイパーのゴムは自分でも簡単に交換できるため、工賃を節約したい場合には自分で交換するのが良いでしょう。
灯火類のチェックとバルブ交換
ヘッドライトやブレーキランプなどの灯火類は、バルブ切れやカバーの破損があれば車検に通りません。
特にテールランプやバックライトの球切れは気づきにくいため、定期的に点検が必要です。
ヘッドライトのバルブ交換は、ボンネットを開けて簡単にできることが多く、自分で交換することで工賃を節約できます。
取扱説明書に手順が記載されていることが多いので、一度確認してから作業しましょう。
ウォッシャー液の補充
ウォッシャー液も車検の検査項目に含まれますが、補充は非常に簡単です。
ボンネットを開けて、ウォッシャータンクの残量を確認し、必要に応じて液を補充するだけです。
タンクは半透明で残量が見えるため、目盛りを確認しながら補充してください。
ウォッシャー液の補充はDIY整備の中でも最も簡単な作業で、コストもほとんどかかりません。
冷却水の交換
エンジンの冷却に必要な冷却水(クーラント)は、定期的に点検しておく必要があります。
冷却水が不足すると、エンジンがオーバーヒートし、重大な故障を引き起こす可能性があります。
クーラントの補充はDIYで可能ですが、専用のクーラントを使用する必要があり、濃度にも注意しなければなりません。
水だけでの補充は凍結のリスクがあるため、専用クーラントを使いましょう。
車検前に「車を売る」選択肢も!
車検前に車を売り、新しい車に乗り換えるという選択肢もあります。
特に、タイヤやバッテリー、タイミングベルトなどの高額な部品交換が必要な場合、車検費用が大きくなることがあります。
その際、思い切って車を売却し、新しい車に買い替えることでこれらの費用を回避できます。
車検の残り期間が少ない車は、売却時の査定が下がる傾向があるため、できるだけ車検が切れる前に売却するのが賢明です。
CTNの一括査定サイトを利用すれば、複数の買取業者からの査定を一度に比較でき、より高い価格での売却が期待できます。
さらに、CTNの独自審査基準をクリアした買取店のみを厳選しています。
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まとめ
車検は、車の安全性を確認するために不可欠な制度であり、法的基準を満たさないと通過できません。
そのため、故障や摩耗が確認された部品や寿命が近づいているパーツは、安全性を維持するために交換が必要です。
パーツごとに適切な交換時期は異なるため、車検時にまとめて交換するのではなく、定期的にメンテナンスを行うことが大切です。
本記事で解説した交換時期やパーツを参考に、最適なタイミングで交換を検討しましょう。