車検の際にプラグ(スパークプラグ・点火プラグ)の交換が必要と指摘された経験はありませんか?
プラグはガソリン車のエンジン稼働時に欠かせない部品です。
この記事では、車検時のプラグ交換の必要性について解説していきます。
プラグ交換の目安となる時期や症状、交換時の注意点についても解説していくので、これから車検を受ける方は参考にしてください。
プラグとは
車のプラグとはどのような部品なのでしょうか。
役割や種類、車検で確認される項目について解説していきます。
プラグの役割
プラグは火花を発生させる装置で、エンジンプラグやスパークプラグ、点火プラグなどさまざまな呼称が存在します。
プラグは、エンジンをかけるために必要な部品で、プラグが起こした火花がガソリンに引火してエンジン内にあるピストンの上下運動を引き起こします。
そしてピストンの上下運動がクランクシャフトの回転運動に変換され、その回転運動の動力がタイヤに伝わって、車が走る動力になるという仕組みです。
つまりプラグに何か問題が生じた場合は、エンジンがかかりません。
プラグの性能はエンジン全体の性能を左右するほど重要な部品です。
プラグの種類
プラグにはいくつかの種類があります。
それぞれの特徴や交換時期、価格を表にまとめたのでご確認ください。
プラグ名 |
特徴 |
交換時期 |
価格 |
レジスタープラグ | ・ニッケル合金素材
・中心部にレジスター がある |
2万km | 500円前後 |
グリーンプラグ | ・加速時の安定性が向上
・着火しやすいV字溝 |
2万km | 500円〜1000円 |
多極プラグ | ・外部電極が2〜4つある
・耐久性が高い |
2万km | 1500円〜2000円 |
白金
イリジウムプラグ |
・中心電極に白金が
使われている ・摩耗しにくい |
10万km | 5000円前後 |
プラグの種類は車の使用頻度に合わせて選ぶのがおすすめです。
たとえばレジスタープラグはそれほど耐久性が高くないので、車に乗る機会が少ない方に向いています。
白金・イリジウムプラグは高価ですが、摩耗しにくいので長距離移動が多い方にぴったりです。
選び方がわからない場合は、カー用品店のスタッフに相談してみましょう。
車検時にチェックされること
車検の際にプラグを点検する項目はありません。
検査の際にエンジンがかかれば、ある程度劣化していて交換が必要な状態でも車検に通ることができます。
ただし、エンジンがかからない、エンジンの回転数が安定しないなどの問題が見つかった場合は不合格です。
プラグのみを点検する項目はありませんが、エンジンの調子が悪ければ交換を勧められる可能性があることを理解しておきましょう。
車検時のプラグ交換の必要性
車検時にプラグ交換は実施するべきなのでしょうか。
プラグ交換の必要性について解説していきます。
プラグに異常がない場合は交換が不要
プラグの異常やエンジンの不調が認められなければ、プラグの交換は不要です。
正常な状態のプラグは、先端が灰白色またはキツネ色で、電極の消耗はほぼありません。
定期的なプラグの検査を受けているのであれば、車検のタイミングで交換する必要はないでしょう。
消耗品のため定期的な交換が必要
プラグはエンジンを動かすために着火を繰り返す消耗品です。
寿命は走行距離1万km~2万kmが目安となり、定期的な交換が必要になります。
ただしプラグの寿命は車の使用状況や燃料の影響を受けやすい部品のため、低速走行や近距離移動が多い場合は電極がくすぶりやすく、高速運転が多い場合は電極が消耗しやすいなど、消耗のスピードが異なります。
交換しないと車にさまざまな影響がある
劣化により寿命を迎えたプラグを使い続けると、車にさまざまな悪影響が出てしまうリスクがあります。
たとえば、プラグが発する火花の放電が弱くなるとエンジンの出力が低下して燃費が低下するほか、プラグの先端が溶けるとエンジンに異音が生じるなど、深刻なトラブルが発生してしまうでしょう。
それらのトラブル回避のために定期的にプラグを点検し、寿命が切れる前に交換を行っておくことをおすすめします。
プラグの交換の目安となる時期・症状
プラグ交換はどれくらいの時期に交換するべきなのでしょうか。
交換時期の目安となる症状についても解説していきます。
走行距離が1万〜2万kmに達したタイミング
プラグ交換の交換時期の目安は、走行距離にすると1万km〜2万kmです。
プラグが劣化しているかどうかは目視で判断できるため、次のような特徴があらわれていないか、気になる方はチェックしてみましょう。
- ・黒く焼け焦げている
・先端が折れている
・先端が詰まっている
・腐食している
このような状態になっているプラグは、寿命を迎えているかもしれません。。
エンジンに不調をきたさないためにも、すぐに交換することをおすすめします。
エンジンまわりに不具合が見られる
プラグが寿命を迎えると、エンジンまわりに次のような不具合が発生します。
- ・アイドリングが不規則になる
・エンジンが突然停止する
・エンジンがかからない
・アクセルを踏んでも加速しにくい
・燃費が悪くなる
・排気ガスが臭くなる
このような症状がある場合は、プラグの点火不良が原因であり劣化が進行している可能性が高いです。
エンジンへのダメージやO2センサー、イグニッションコイルの寿命を早めてしまうことも考えられるので、なるべく早めにプラグを交換しましょう。
プラグの点検方法
エンジンに不調がみられる場合、プラグが原因かもしれないため点検が必要です。
以下では、プラグ点検に必要なものや手順について紹介していきます。
プラグ点検に必要なもの
プラグを点検する前に、次のものを準備してください。
- ・軍手
・プラグレンチ(14mmまたは16mm)
・トルクレンチ(ラチェットレンチ)
・圧縮エアー
・ソケット(10mm)
・エクステンションバー
圧縮エアーはプラグホールに異物が混入するのを防ぐために使用します。
道具はすべてカー用品店で購入することが可能です。
火花点検のためにエンジンをかけるので、作業を補助してくれる方を見つけておきましょう。
プラグ点検の手順
プラグ点検の手順は、次のとおりです。
- 1.エンジンルームを開く
2.プラグコードを取り外す
3.プラグを取り外す
4.プラグの状態を目視で確認する
5.プラグコードを取り付ける
6.火花を点検する
7.プラグを取り付ける
8.プラグコードを取り付ける
9.エンジンをかける
10.エンジンルームを閉じる
エンジンに不調があり、プラグから火花が飛んでいない場合は劣化が疑われます。
エンジントラブルによる事故の発生を防ぐため、早急にプラグの交換を検討しましょう。
プラグの交換方法・費用
エンジンの不調やプラグに異常がある場合は交換が必要です。
プラグの交換方法や、かかる費用について解説していきます。
業者に交換を依頼する
プラグの交換は修理業者やカー用品店、ガソリンスタンド、ディーラーなどに依頼することができます。
部品代の他に作業工賃が発生しますが、作業に自信がない方であればプロに任せるのが安全です。
プラグの交換業者を選ぶ際、交換実績の多い業者を選ぶと安心して任せることができるでしょう。
依頼先が複数ある中でディーラーは特に工賃が高めに設定されていますが、技術力が高いので信頼性は抜群です。
業者によって作業工賃に差があるので、まずは見積もりを依頼してサービス内容や費用を比較しましょう。
業者に頼んだ場合の費用
プラグの種類や車種、エンジンの気筒数によって費用は変動しますが、業者に依頼した場合の費用は目安として1万円前後です。
たとえば、エンジンまわりの部品を多く脱着しなければならない車種だと、工程数の多さから費用が上がる可能性があります。
そのほか、エンジンの気筒数が多いとそれに応じて交換するプラグの数と手間が増えて工賃が上がったり、プラグの中でも価格の高い白金・イリジウムプラグを使用するとそのぶん部品代がかかったりするなど、工賃が上がるケースはさまざまです。
自分で交換する
車の構造や修理に関する知識がある場合は、部品をカー用品店で購入して自分でプラグ交換を行うことも可能です。
必要なものはプラグの点検時に使用したものと同様になります。
プラグ交換の手順は以下のとおりです。
- 1.ボンネットを開けてエンジンカバーを外す
2.イグニッションコイルまたはプラグコードを外す
3.古いプラグを外す
4.新しいプラグを取り付ける
5.イグニッションコイルまたはプラグコードを取り付ける
自分で交換する際の注意点として、エンジンは必ず冷めた状態であることを確認してから行ってください。
走行後すぐに作業をしてしまうと火傷の恐れがあります。
慣れていれば短時間で作業を完了させることができますが、基本的には自分で交換作業をすることはおすすめしません。
プラグの取り付けにミスがあった場合、正常に動作せずエンジンの稼働に影響を与えてしまうため、特別な事情がない限り、プロの業者に取り付けを依頼しましょう。
自分で交換した場合の費用
自分でプラグを交換する場合は作業工賃がかからず、部品代のみで済みますが、レンチなど交換作業に必要な工具をお持ちでない場合は、部品代のほかに工具の購入費用も必要です。
プラグの種類によって価格が異なるため、費用の目安は500円〜5,000円と幅があります。
自分でプラグ交換を行う際の注意点
自分でプラグを交換する場合はある程度の知識が必要です。
プラグを交換するときの注意点について解説していきます。
トルクの締め付けは適切に行う
トルクの締め付けはゆるすぎてもきつすぎても良くありません。
エクステンションバーを軽く締め付けてから、ラチェットで3分の1回転〜3分の2回転させてください。
トルクの締め付けが適切でないとエンジンがかからない、エンジンがストップするなどの不具合が発生します。
デリケートな部品なので作業はできるだけ慎重に行いましょう。
潤滑剤や焼き付け防止剤は使用しない
グリースなどの潤滑剤や焼き付け防止剤をネジの部分に塗布してしまうと、トルクを適切に締め付けても締めすぎになる恐れがあります。
プラグ交換の際に使用しないことを徹底してください。
すでに塗布されている場合や、メーカーから指示がある場合はマニュアルを確認して締め付けを行いましょう。
わからない場合は、製品サイトの締付回転角に従って取り付けます。
金属製のブラシで掃除しない
プラグにくすぶりがある場合、ワイヤーブラシなどの金属製ブラシを使用して掃除するのは避けましょう。
絶縁体に金属粉が付着してしまうと、絶縁性が保てなくなって火花リークを起こす恐れがあります。
また、白金・イリジウムプラグなど中心電極が細いプラグは、電極に傷みが生じる可能性があるのでブラシを直接当てないようにしましょう。
プラグの寿命を伸ばす方法
プラグの劣化は車の使い方やメンテナンス次第で防ぐことが可能です。
プラグの寿命を伸ばす方法を紹介していきます。
定期的な掃除を心がける
プラグにゴミや水分が付着していると、くすぶりや腐食が起こりやすくなります。
ナイロン製のブラシを使って、ゴミが溜まらないようにしましょう。
カーボンなどの汚れが目立つ場合は、洗浄液にプラグを浸すと落ちやすいです。
最後にしっかりドライヤーをかけて乾燥させるようにしましょう。
負担をかけない運転をする
急ブレーキや急発進などの運転や、長時間のアイドリングなどはプラグに負担をかけ寿命を縮める原因になります。
長距離運転や短距離運転がどうしても必要な場合は、運転方法に合ったプラグの種類を選択すると、より長くプラグを使うことができます。
まとめ
今回は、プラグの役割や車検時にチェックされる項目について解説しました。
プラグはエンジンをかけるためには必要不可欠な部品です。
車検の際にプラグを直接点検する項目はありませが、消耗や劣化している場合はエンジンに不具合が発生するため、定期的な交換が必要になります。
プラグの交換時期は走行距離によって決められていますが、車の使用状況やプラグの種類によって異なるため、劣化したときの症状を把握しておくことが重要です。
プラグの異常にいち早く気づくために、定期的な点検を実施しましょう。