「リアワイパーのゴムが破損していると車検に通らない?」
「ワイパーレスは車検に影響するの?」
このような疑問をお持ちではありませんか?
車検は「自動車検査登録制度」の略称で、国土交通省が定める項目に不備がないかを確認する検査です。
違法改造の有無ももちろんみられるため、違法にならない条件を知り、対策しなければなりません。
そこで今回は、違反の条件にはどのようなものがあるのか知りたい方に向けて、車検が通らないリアワイパーの状態を解説します。
リアワイパーの交換方法やそれに伴う外し方なども併せてお伝えしていますので、ぜひ参考にして車検に通る状態にしましょう。
リアワイパーの役割とは?必要性は本当にあるのか?
「リアワイパーにはどのような役割がある?」「ワイパーレスにする方がいるが本当に必要があるのか?」といった疑問にお答えします。
結論からお伝えすると、リアワイパーは視界を見やすくするためにあるものですので必要です。
以降で詳しく解説します。
役割は視界の確保
リアワイパーの役割は、雨や雪、砂やほこり、花粉、鳥や虫のふんなどを取り払い、リアガラスの視界を確保することです。
リアガラスは、バックをする際の後方状況や後ろにいる車やバイクの有無の確認など、重要な役目を果たしています。
雨雪などでリアガラスが視界不良になると、木や人、建物に当たったり、斜面に落ちたり事故の誘因となるため危険です。
安全に運転するためには、常に視界が良好でなければなりません。
リアワイパーがあれば、汚れや雨雪を取り除き視界を十分に確保できます。
リアワイパーがない車はあるが重要性は高まっている
先ほど「リアワイパーによる視界の確保は安全運転につながる」とお伝えしました。
しかし最近になって、リアワイパーがない車が登場しています。
これを聞いて「やはり必要性はないのでは?」と思う方もいるでしょう。
このタイプの車両は、走行風によって吹き飛ばせる工夫が施されています。
そのため、決してリアワイパーの視界確保の役割が不要というわけではありません。
反対に、近年のあおり運転によりドライブレコーダーが普及したことで、リアワイパーの重要性が高まっています。
リアウィンドウの内側に取り付ける「リアカメラタイプ」のドライブレコーダーが、特に人気を博しています。
このタイプは、リアガラスが鮮明でないとナンバープレートや車両・人物の記録ができません。
そのため、効果的に使うにはリアワイパーによる視界確保が不可欠です。
したがって、わざわざ外すのは懸命ではないといえます。
構造と仕組み
リアワイパーは、以下5つのパーツで成り立っています。
- ・ワイパーモーター:ワイパーを動かすパーツ
・ワイパーアーム:ワイパーモーターとワイパーブレードをつなぐパーツ
・ワイパーブレード:ゴムを取りつけるためのパーツ
・ワイパーゴム:汚れ・雨雪を取り払うパーツ
それぞれ別の役割をもっているため、一つでも破損や故障があるとリアワイパーは役目を果たせません。
「もし動きが悪い」「故障かな?」と思ったら、それぞれのパーツを確認してみましょう。
リアワイパーレスは車検に通る?
リアワイパーレスの車両でも車検に通るのか、結論を伝えると基本的には通ります。
しかし、検査官の判断によっては車検に通りません。
どのような意味なのか、以降で詳しく解説します。
リアワイパーレスは車検に通る
リアワイパーレスの車両があることからもわかるように、リアワイパーがなくても車検には通ります。
フロントワイパーと違って、保安基準の定義がないのです。
ちなみに、フロントワイパーには「前面ガラスの視界確保ができるかどうか」が保安基準に定められています。
場合によっては車検に通らない
保安基準に定められていないリアワイパーですが、場合によっては車検に通りません。
検査官のさじ加減によりますが、項目としては以下が該当します。
- ・改造とみなされた
・取り外して突起部分が残っている
・作動スイッチが残っている
では、ひとつずつ解説します。
パターン1.改造とみなされた
ひとつ目は「改造車」とみなされてしまったパターンです。
リアワイパーがない車両に乗っている方は気にしなくても問題ありません。
しかし、もともとついている車両の場合は、取り外した行為を改造とみなす検査官がいます。
もし不安な方は、しっかりとリアワイパーを取り付けた状態で車検に臨みましょう。
パターン2.取り外して突起部分が残っている
リアワイパーを取り外した際に突起部分が残っている場合は、危険と判断されて車検に通らないケースがあります。
たとえば、人とぶつかってしまった、あるいはご自身がぶつかった際に、突起部分で大ケガにつながると予測されるためです。
なお、保安基準にも「鋭い突起がないこと」「回転部分が突出していないこと」と定められています。
よって、突起部分が残っていればほぼ車検に通らないと思っておきましょう。
パターン3.作動スイッチが残っている
リアワイパーの作動スイッチが残っていると、検査官に不適合とみなされるケースがあります。
これも検査官によって異なり、スルーされる場合もあります。
不安な方は、リアワイパーをしっかりと取り付けた状態で車検に臨みましょう。
車検が通らないのを防ぐには「構造変更申請」を出す
リアワイパーレスで改造車と見なされないためには「構造変更申請」を出しましょう。
これから、概要と手続き方法を解説します。
構造変更申請とは?
構造変更申請とは、違法改造車ではないことを検査官に証明する書類です。
保安基準に満たし安全に運転できる範囲で改造したことを証明します。
これがあれば、リアワイパーを取り外しても、検査官によるさじ加減で不適合と判断されません。
手続きの仕方
構造変更申請の手続きは「自動車検査登録事務所」で可能です。
なお、必要書類の準備もありますので、忘れずに持ってきましょう。
「自動車検査登録事務所」は地方に置かれている機関なので、お住まいの場所によっては遠いかもしれません。
億劫に感じたとしても、リアワイパーレスで確実に適合車認定させたいなら「自動車検査登録事務所」でしっかりと手続きしましょう。
必要書類
構造変更申請で必要な書類は以下のとおりです。
- ・車検証のコピー
・自動車検査票
・点検整備記録簿
・自賠責保険証明書
・使用者の委任状
・所有者の委任状
・申請書
・手数料納付書
・自動車重量税納付書
注意点がいくつかあります。
まず、車検証は必ず車の中に入れておかなくてはならないため、原本ではなくコピーを提出します。
次に、委任状ですが、認印で構いません。
また、重量税納付書を忘れる方もいますので、必ず用意を忘れないように気を付けましょう。
手数料納付書ですが、キャッシュレス決済で支払いをした場合は、その旨を記入する必要があります。
必要な費用
構造変更申請に必要な費用は検査手数料です。
書類を提出するだけでなく、本当に問題のない改造なのかを検査する工程があります。
- ・普通車:2,600円
・小型自動車:2,500円
・小型自動車二輪:2,100円
・大型特殊自動車:2,200円
手数料の金額は不定期に変更されるため、申請前に確認しておくと安心です。
【対処法付き】リアワイパーで通らない状態とは?
リアワイパーの車検に通らない状態は、外している状態以外に以下があります。
- ・動かない
・折れ曲がっている
・ゴムが破損している
・ウォッシャー液が出ない
では、ひとつずつ解説します。
動かない状態は通らない
リアワイパーがついている車両で動作しない状態の場合、不適合にみなされるケースがあります。
事故を起こす可能性が高くなるためです。
動かない原因として考えられるのは以下です。
- ・モーターユニットの故障
・ワイパースイッチの故障
・ヒューズ切れ
・アースの接触不良
・ナットのゆるみ
<モーターユニットの故障>
雪がある状態でワイパーを使うことで、モーターユニットに負担がかかってしまい故障につながります。
そしてモーターユニットが故障すると、モーター音がしなくなってしまうのです。
<ワイパースイッチの故障>
ワイパースイッチが故障すると「ウィーン」という、ワイパーの動作音が鳴らなかったり、動きが不安定だったりします。
<ヒューズ切れ>
ヒューズ切れは、ご自身で原因を突き止めるのは困難なため、プロによる診断が必要です。
<アースの接触不良>
古い年式の車でリアワイパーが動かない場合、アースの接触不良が真っ先に疑われます。
<ナットのゆるみ>
ナットがゆるみすぎている場合は、動作音があっても動かない症状があらわれます。
【対処法】修理・ナットの締め付け
リアワイパーが動かない場合、修理またはナットの締め付けで対処しなければなりません。
モーターユニットやワイパースイッチの故障、ヒューズ切れ、アースの接触不良は、プロによる修理が必要です。
ナットのゆるみが原因だった場合は、ご自身で締め付ければ解決します。
ただし、もともとワイパーアームの根本にあるナットはゆるめになっているため、締め付け具合に要注意です。
正しいトルクで締め付けるには知識が必要ですので、心配な方はプロにお任せしましょう。
折れ曲がっているのは通らない
ワイパーアームが折れ曲がっている場合は、車検に通りません。
ゴムとリアガラスの間の密着性が低下し、汚れや雨雪の除去がうまくできないためです。
ブレード部分の変形も同様です。
折れ曲がりや変形が生じる主な原因は、雪の重さです。
雪は重たいため、大きく積もった状態でワイパーを動かすと曲がる場合があります。
雪が多い地域で特に起こりやすいため、冬の季節は雪かきをしてからワイパーを動かすか、ワイパーを立てるのが鉄則です。
【対処法】アーム交換
アームが折れ曲がってしまっている場合は、修理できないためパーツ交換となります。
ブレード部分も同様です。
プロに交換を依頼するのが確実ですが、ご自身でも交換できます。
ゴムの破損は通らない
ゴム部分が摩擦で破損している場合、車検に通りません。
著しい経年劣化も同様です。
水分や汚れの払いのけがうまくできず、視界の確保ができなくなるためです。
- ・ワイパーを動作させても水はけが悪い
・ゴムにひび割れがある
・ゴムに欠けている部分がある
といった場合は、ゴムを交換しましょう。
【対処法】ゴムの交換
ゴムが破損したり経年劣化している場合は、ゴムを交換すると解決します。
ゴムは、単体での販売とブレードとセットになっている商品があります。
どちらかを購入してご自身で交換するか、プロに依頼しましょう。
ウォッシャー液が出ないのは通らない
ウォッシャー液は汚れを落とすために欠かせないため、出ない状態のまま車検依頼すると通りません。
ウォッシャー液が出ない原因は、以下があります。
- ・ウォッシャー液がない
・ホースが破損している・汚れている
・ノズル口が詰まっている
もし、破損や詰まりが見られない場合は、ウォッシャー液がない可能性が高いです。
【対処法】ウォッシャ液補充・修理
ウォッシャー液が出ない場合は、液を補充するか修理する必要があります。
ウォッシャー液は、カーストアで販売されています。
さまざまな効果が付与された液剤が販売されていますので、どのような効果がほしいのか考えながら選ぶのがポイントです。
ホースが破損している場合は、プロへの修理依頼が必須です。
汚れている場合は、洗車で綺麗にしましょう。
ノズル口の詰まりは、ノズルを外して細い針を貫通させれば解消されます。
頑固な場合は、交換してもらいましょう。
リアワイパーの交換時期は?
ここからは、リアワイパーの交換時期の目安や交換したほうが良い症状、交換方法をご紹介します。
ブレード・ゴムの交換目安
ブレードの交換時期の目安は1年です。
ゴムだけを交換する場合は6か月を目安に交換しましょう。
ただし、豪雪地帯はもっと寿命が短くなります。
交換したほうが良い症状
交換目安の期間になっていなくても、以下の症状が見られる場合は交換しておきましょう。
- ・水分を完全に取り除けない
・ワイパーの動きがおかしい
・ワイパーを動かしても音がしない
・折れ曲がりがある
水分のにじみは、夜間走行で危険を生みます。
リアガラスが水分でにじむと、光の反射で周りの状況がはっきりと見えなくなるためです。
雨が強いとさらにバック動作時に周囲確認がしにくくなるため、車検対策の観点だけでなく安全運転の観点からも交換したほうが良いでしょう。
ブレードの外し方・交換方法
ブレードの外し方・交換方法を解説します。
<必要なもの>
- ・新しいブレード+ゴム
・タオル
ブレード・ゴムの交換に工具は必要ありません。
すべて手のみで作業できます。
<手順>
- ①リアワイパーアームを起こす
②ワイパーアームとブレードの接続箇所を探す
③ワイパーブレードの後端を持つ
④反時計回りに回転させブレードを取り外す
⑤アームとリアガラスのあいだにタオルをはさむ
⑥アームをそっと倒す
⑦新しいブレードに交換する
もし、ゴムだけを交換する場合、ブレードを取り外したあとにゴムを外して新しいゴムと交換します。
まとめ
リアワイパーは車検に影響を与えます。
<レスの場合>
- ・レス状態を改造とみなされる可能性がある
・突起物が残り危険と判断される可能性がある
・動作するものがないのに動作スイッチが残っていることを不適合と見なす検察官がいる
<リアワイパーはあるが車検に通らない場合>
- ・動かない
・折れ曲がっている
・ゴムが破損している
・ウォッシャー液が出ない
リアワイパーレスは、検査官のさじ加減で不適合車とみなされることもあり、運次第なところがあります。
確実に車検に通すのであれば、リアワイパーがもともとついている車両はしっかりつけておきましょう。
外していない方であっても、破損や故障があれば通らないため、車検前に点検することをおすすめします。