車に傷や凹みなどができてしまい、車検時に修理を勧められた場合は、直したほうが良いのか迷う方もいるでしょう。
また、傷や凹みがある状態で車検に通るのかどうか、不安に思うかもしれません。
本記事では、車検で修理を勧められた場合の対応や、車検費用を抑える方法を紹介します。
車検でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
修理箇所があると車検に通らない?
修理箇所があっても、車検に通ることはあります。
なぜなら、車検時にチェックされる保安基準を満たしていれば、車検に通過できるからです。
保安基準とは道路運送車両法で定められた基準で、車が安全に走行できるか、環境保全に適しているかを細かく規定しています。
たとえば、ドアに傷や凹みがあっても、問題なく開閉できれば車検に合格する可能性はあります。
しかし、車体に穴が開いていたり、ぶつけた箇所が尖っていて他の人が怪我をする恐れがあったりする場合は、車検に通りません。
そのため、修理箇所の有無ではなく、保安基準を満たしているかどうかで異なります。
車検時に修理も一緒にしたほうがいい?
車検時には、修理を一緒に勧められるケースがあります。
ここでは、車検時に修理をしたほうがいいのか解説します。
車検時に修理を勧められた場合
車検時に修理を勧められても、修理が必要になる場合と、必ずしも修理をしなくても良い場合があります。
ケースごとに解説するので、車検時に修理を提案されて迷っている方は、確認しましょう。
ケース①検査項目に該当する
車検時に修理を勧められた場合、検査項目に該当する箇所は修理が必要です。
車検の検査項目には、以下のようなものがあります。
- ・タイヤの状態
・ガラスの状態
・メーターパネルの表示
・内装の危険性のチェック
・バッテリーの状態
・車と車検証の内容が一致しているか
・ライト類の状態
・ウィンドウォッシャーの状態
・ワイパーの状態
・マフラーの状態
・クラクションの状態
・ブーツ類の状態
・ステアリングの左右の状態
・速度表示の正確さ
・排気ガスの濃度
・ブレーキの効き具合
たとえば、安全に走行するために必要なライトやウィンカーが破損している場合や、ライトごとに定められた色や光量の基準に満たなければ、車検に通りません。
また、ワイパーが動く状態でも、ゴムが劣化していて雨や雪を除去できないときは、不合格となります。
このように、それぞれ細かく基準が設けられているため、基準に満たなければ修理が必要です。
ケース②部品交換を提案された
不具合がないにも関わらず、ディーラーや車検業者から部品交換を提案されるケースもあります。
しかし、検査項目に該当しない場合は任意のため、必ずしも交換する必要はありません。
車検で部品交換を勧められる理由は、予防整備のためです。
予防整備とは、車の部品の劣化や消耗による事故を防ぐために行う整備のことです。
完全に使用できなくなる前に部品を交換することで、車の健康状態を維持する目的があります。
さらに、車のコンディションが向上して快適に走行できたり、きちんとした整備が評価されて、プラス査定になったりする可能性もあります。
検査項目以外の部品交換は、交換しなくても車検に影響はないものの、大きなトラブルにつながる前に予防するのも良いでしょう。
同時に修理した方が安く済む傾向にある
一般的に、車検と同時に修理を依頼したほうが、安く済むケースが多いです。
なぜなら、車検で車を持ち上げてチェックする際に、同時に交換作業を行うことで手間を省けるからです。
もちろん、部品の値段や工賃は業者で異なるため、修理箇所によっては車検後に自分で修理したほうが、安価になる場合もあります。
しかし、差額はそれほど大きくないため、安全性を考慮すると車検と同時に修理するのがおすすめです。
一方で、相場よりも高額な費用を要求される可能性もあるため、注意が必要です。
事前に相場を確認し、納得できる金額かどうかを判断して依頼するのが良いでしょう。
車検前に修理が必要な車は買い換えるべき?
車検前に事故を起こしてしまうと、修理して乗り続けるべきか、買い換えるべきか悩む方も多いでしょう。
どちらを選ぶかは、修理代金や買取価格、自動車保険の保障内容などを考慮して判断するのがおすすめです。
また、数年後の車の状態をイメージし、長期的にどちらが良いか選択することも重要です。
ここでは、修理と買い替えのそれぞれに適したケースをご紹介します。
修理のほうが安く済むケース
事故による損傷がそれほどひどくない場合は、修理して乗り続けるほうが金銭的にお得になるケースがほとんどです。
修理したほうがお得な損傷の程度は、以下のとおりです。
- ・ウィンカーやテールランプなどのライト系統の割れ
・バンパーやカウルなどの外装の割れや凹み
・窓ガラスの破損
部品の交換や軽度の板金修理で済むような損傷は、修理費用もそこまで高くならないことがほとんどです。
よって、車を買い換えるよりも、修理費用のほうが安く済む可能性が高いでしょう。
ただし「修復歴あり」に該当する車は、修理をおすすめしません。
修理をしても査定額が大幅に下がるうえ、完全に元通りにならない可能性もあり、故障のリスクつきまといます。
また、修復歴があれば廃車扱いとなり、業者によっては売却できない場合もあります。
もしも買取業者で値段が付かない場合は、廃車買取業者に売却することを検討しましょう。
買い替えを検討したほうが良いケース
事故の損傷の程度だけでなく、年式や走行距離、車の状態によっては買い替えたほうがよいケースもあります。
たとえば、走行距離が1万km未満かつ3~5年落ちの車は、買取査定でそこそこの値段がつくでしょう。
しかし、事故を起こしていない同じ車種の買取相場と比較すると、20~50%程度査定額が減額されてしまうのが一般的です。
また、車の基盤が損傷したり、エアバッグが飛び出すほどの事故を起こしたりした車は、修理費用が100万円を超えることもあります。
高額な修理費用を払いたくない場合や、新しい車を購入する意思がある方は、売却して資金に充てて新しい車に乗り換えるのが良いでしょう。
車検費用の相場
車検時に不具合が発覚し、修理が必要になる場合、修理費用が高額になることがあります。
ここでは、車検費用の相場や内訳、そして車検費用を抑える方法を解説します。
車検費用の相場
車検費用は大きく分けて、以下の3つに分けられます。
- ・法定費用
・車検基本料
・部品代金
それぞれの内訳や費用相場を解説します。
法定費用
法定費用とは車検の手続きに必要な費用で、自動車重量税・自賠責保険料・印紙代の3つが含まれています。
自動車重量税は、車の用途や燃費の達成率、新車登録からの経過年数などで費用が決められているため、どこの業者で受けても同じ料金です。
継続車検では、次回車検分までの2年分をまとめて支払いますが、普通車の2年分の自動車重量税は以下のとおりです。(エコカーを除く)
13年未満 | 13年経過 | 18年経過 | |
0.5t以下 | 8,200円 | 11,400円 | 12,600円 |
~1t | 16,400円 | 22,800円 | 25,200円 |
~1.5t | 24,600円 | 34,200円 | 37,800円 |
~2t | 32,800円 | 45,600円 | 50,400円 |
~2.5t | 41,000円 | 57,000円 | 63,000円 |
~3t | 49,200円 | 68,400円 | 75,600円 |
軽自動車の重量税は、経過年数によって異なります。(エコカーを除く)
軽自動車 | 13年未満 | 13年経過 | 18年経過 |
6,600円 | 8,200円 | 8,800円 |
自賠責保険とは、車を所有する人が必ず入らなければならない保険で、車検と同時に加入もしくは更新するのが一般的です。
2年分であれば、普通自動車は20,010円、軽自動車は19,730円と決められています。
車検における印紙代とは、自動車検査登録印紙と自動車検査証紙の2つに分かれますが、継続検査の際に必要な印紙代は以下のとおりです。
車種 | 自動車検査登録印紙 | 自動車審査証紙 | |
指定工場 | 全車種 | 1,200円 | ー |
認証工場 | 小型自動車 | 400円 | 1,300円 |
小型自動車以外の自動車 ※軽自動車を含まない |
400円 | 1,400円 | |
軽自動車 | 1,400円 |
しかし、年度によって法定費用は変動する可能性があるため、車検に出す際は最新情報を確認してください。
車検基本料
車検基本料とは車検を依頼した際にかかる費用で、業者によって金額は異なります。
公式メーカーであるディーラーは豊富な知識があるため、安心感があり、高品質なサービスを提供してくれます。
ただし、純正部品のみを使用するため、部品交換代が高くなりやすい点がデメリットです。
カー用品店は消耗品や部品のラインナップが豊富で、部品代を比較的安く抑えられます。
一方で、店舗によって技術力が異なるため、評価や口コミを見て業者を選ぶ必要があります。
また、民間の整備工場は技術力が高く、ディーラーよりも費用を安く抑えられる点がメリットです。
しかし、カー用品店と同様に技術力は業者によって異なるため、慎重に業者を選んでください。
車検基本料には、基本検査料・代行手数料・定期点検費用などが含まれており、業者によっては代車費用も含まれることがあります。
部品代金
部品代金は、部品交換などの整備が必要な場合に発生する費用です。
車の状態によって異なるので相場は出しにくいものの、年式の古い車は部品の劣化や消耗が進んでいるため、高くなる傾向にあります。
部品交換が必要になりそうな場合は、事前に費用を確認しておきましょう。
車検費用を抑える方法
車検費用を抑える方法は、以下のとおりです。
- ・複数社から見積もりを取る
・定期的なメンテナンスを行う
・整備項目から外せるものがないか確認する
・ユーザー車検を利用する
それぞれの方法を解説します。
複数社から見積もりを取る
複数社から見積もりを取ることで、車検費用の相場を把握できます。
さまざまな業者に車検の見積もりを提示してもらい、納得のいく箇所で車検を受けましょう。
また、車検費用だけでなく、メリットやデメリットなども考慮して選ぶのがおすすめです。
定期的なメンテナンスを行う
定期的なメンテナンスを行うことで、車検時の部品代金の削減につながります。
たとえば、タイヤを長持ちさせるためには、常に適切な空気圧を保つことが大切です。
定期的な空気圧の確認や補充を行えば、タイヤにかかる負担を減らせるため、長く使用できます。
また、メンテナンスだけでなく、普段の車の乗り方も重要です。
急ブレーキや急発進の頻度が高いと、あらゆる部品に負荷がかかため、部品の劣化や消耗が進みます。
ゆっくりとしたブレーキ・発進を心がけて、部品の交換頻度を下げましょう。
整備項目から外せるものがないか確認する
整備項目から今すぐ交換する必要のない部品など、外せるものがないか確認しましょう。
部品交換を依頼しなくても、カー用品店で購入して自分で交換できる部品もあるかもしれません。
ユーザー車検を利用する
ユーザー車検とは、自分で車検を行うことで、車検基本料や部品交換の工賃を抑える方法です。
ただし、手間や時間がかかるうえ、車検に通らず再検査が必要になるケースもあります。
また、整備不良や見落としがあった場合は、安全性を損なうリスクも考慮しなければなりません。
そのため、車に関する知識や経験が少ない場合には、ユーザー車検はおすすめできません。
プロに依頼することで安全性が確保され、余計な手間や再検査の心配を避けられるでしょう。
まとめ
車検で修理を一緒に勧められることもありますが、検査項目に該当する箇所でなければ、断っても問題ありません。
ただし、車検時に一緒に修理も依頼することで、相場よりも安く修理が済む可能性もあるため、前向きに検討しても良いでしょう。
車検代は法定費用・車検基本料・部品代金で構成されており、法定費用は国で定められているため節約はできません。
しかし、車検基本料や部品代金は車の状態や業者で異なるため、費用を抑えることも可能です。
また、日頃から丁寧な運転や定期的なメンテナンスを行えば、部品代金の削減につながることもあります。
複数社から見積もりを取ったり、整備項目から外せるものがないか確認したりして、車検費用を抑えましょう。