車検を受ける際に「サイドスリップ検査」という言葉を耳にしたことはあるでしょう。
車の安全な走行に欠かせない項目のひとつですが、内容がわからず不安を感じるかもしれません。
本記事では、サイドスリップ検査とは何か、検査料金などを解説していきます。
車検前にサイドスリップ検査をしておくべきかどうかも紹介するため、ぜひ最後までご覧ください。
車検で行うサイドスリップ検査とは
車検の検査項目のひとつであるサイドスリップ検査について、詳しく解説していきます。
車の直進性を測る検査
サイドスリップ検査は、車の直進性を確認するために行われる重要な検査です。
ハンドルを真っすぐに保ちながら車を走行させ、どの程度横にずれるかを測定します。
日本国内の基準では車が1m走行した際に横滑り量が5mm以内である必要があり、この基準を超えると、車両の直進性に問題があると判断されます。
外国車はメーカー独自の基準が採用されていることが多いため、日本の基準を満たさなくとも、通過する傾向です。
サイドスリップ検査の必要性
サイドスリップ検査は、車両の安全性を確保するうえで欠かせない重要な検査です。
ズレが大きい場合は偏摩耗が生じやすくなり、タイヤの寿命が短くなる可能性があります。
また、ハンドルの操作性に悪影響を与え運転のしづらさが増すことで、ドライバーに負担がかかります。
とくに長時間の運転では、操作性の低下によって疲労が蓄積しやすくなり、事故のリスクを高める要因になりかねません。
また、高速道路のような場所では、車両の安定した直進性が求められるため、わずかなズレも大きな問題に発展する可能性があります。
自分や同乗者の安全を守るためにも、サイドスリップ検査は定期的に受けることが推奨されます。
もしも異常が見つかった場合は速やかに整備を行い、車両の状態を万全に保つことが重要です。
ユーザー車検でサイドスリップ検査を通過するコツ
ユーザー車検でサイドスリップ検査を通過するコツは、以下の3つです。
- ・サイドスリップテスターで測定する
・ハンドルを動かさない
・空気圧を調整しておく
業者に車検を依頼する場合は、サイドスリップ検査を自分で行う必要はありません。
しかし、ユーザー車検でサイドスリップ検査を通過するためには、事前にしておきたいことがあります。
当日はスムーズにユーザー車検を終えるためにも、あらかじめチェックしておきましょう。
サイドスリップテスターで測定する
検査を通過するためのポイントのひとつは、サイドスリップテスターを活用することです。
サイドスリップテスターとは、自動車を直進させた際の左右へのズレを測定し、数値化して表示する機器です。
この機器を使えば、事前に自動車の直進性能をチェックできるため、必要な調整を行えば検査の合格率を上げられるでしょう。
簡易的なテスターであれば個人でも購入しやすいため、定期的に測定することがおすすめです。
大型のカー用品やカーショップ、タイヤショップなどで販売されているため、入手しやすいでしょう。
ハンドルを動かさない
サイドスリップ検査では、ハンドルを動かさずにまっすぐ走行することが求められます。
検査中にハンドルを動かしてしまうと、正確なサイドスリップ角度が測定できず、不合格となる可能性があるためです。
ユーザー検査時にはハンドルをしっかりと握り、動かさないよう意識することが重要です。
また、先ほど紹介したサイドスリップテスターで事前にチェックしておけば、余裕を持って検査に臨めます。
車検当日は慌てずに落ち着いて対応することが、サイドスリップ検査へ合格する近道です。
空気圧を調整しておく
サイドスリップ検査を通過するための重要なポイントのひとつが、タイヤの空気圧を適切に調整することです。
空気圧が不足するとタイヤの接地面が均一でなくなり、車が走行中に左右にずれてしまう原因となります。
とくに、まっすぐ走らせることが求められるサイドスリップ検査では、空気圧が不適切であれば合否に影響を及ぼすかもしれません。
適正な空気圧の維持は、サイドスリップ検査の通過だけでなく、タイヤの寿命を延ばすことにも繋がります。
したがって、車検直前や車検当日だけでなく、日常的に空気圧をチェックしましょう。
サイドスリップ検査の料金
サイドスリップ検査に関する料金について、解説していきます。
事前にサイドスリップ検査を行う測定料金と、車検で不合格となった場合の調整料金、さらに予備検査場の、3つに分けて紹介していきます。
測定料金
サイドスリップ検査の料金は業者によって異なりますが、一般的には数千円程度と比較的安価です。
とくに車検場の近くにある整備業者では、リーズナブルな費用で検査を受けられることが多くあります。
事前にチェックしておくのもおすすめです。
調整料金
サイドスリップ調整の料金は、2,000円から4,000円程度が相場です。
もし検査で不合格となった場合でも、整備業者でスピーディに調整してもらえるため、再検査の手間を省けます。
タイヤの偏摩耗やハンドル操作の不安定さに直結しないためにも、異常が見つかった際は速やかに調整しましょう。
予備検査場での費用相場
予備検査を活用することで、車検をスムーズに通過する準備が整います。
予備検査では、サイドスリップ検査などの重要なチェックを行えるため、車両の不具合を早期に発見できます。
費用は数千円程度と手軽なため、利用しやすいでしょう。
また、車検の1ヶ月前に予備検査を受ければ、不具合が見つかっても修理の時間を十分に確保できます。
ただし、検査が早すぎると、その後の使用で新たなトラブルが発生する可能性もあるため、タイミングに注意が必要です。
予備検査を適切なタイミングで活用して、車検を確実に通過できるようにしましょう。
車検前にサイドスリップを調整したほうが良いケース
車検を受ける前にサイドスリップを調整したほうが良いケースは、以下の4つです。
- ・前輪を強くぶつけた
・段差に強く乗り上げた
・側溝に脱輪した
・ハンドル操作に違和感がある
それぞれ理由も含めて説明していきます。
前輪を強くぶつけた
前輪を強くぶつけた場合は、サイドスリップの調整をする必要があります。
衝撃によりサイドスリップ角度が正常な範囲を超え、まっすぐ走れない可能性があるからです。
また、衝撃でサスペンションが損傷しているリスクも、否定できません。
ぶつけた自覚がなくても、何かに前輪が接触したと感じたり、異常を感じたりした場合は、早めに点検を依頼しましょう。
段差に強く乗り上げた
段差に強く乗り上げた場合も、サイドスリップの調整が必要です。
段差に無理に乗り上げると、タイヤやサスペンションに負荷がかかり、サイドスリップ角度に異常が出る可能性があるからです。
サイドスリップに異常が出ると、ハンドル操作が不安定になり、まっすぐ走行できなくなることがあります。
違和感を覚えた場合は、速やかに整備業者で点検を受けることが推奨されます。
運転中に違和感を覚えたときは、事故を防ぐためにも早急に点検を依頼しましょう。
側溝に脱輪した
側溝に脱輪した場合も、サイドスリップの調整が必要なケースです。
脱輪時の衝撃が大きく、サイドスリップ角度やサスペンションに、異常が生じる可能性があるためです。
脱輪したあとも乗り続けていると、車検に不合格となるリスクが高まります。
問題を早期発見することで車検の合格と安全な運転の両方を実現できるため、脱輪後は速やかに点検を受けて、車を良好な状態に保ちましょう。
ハンドル操作に違和感がある
ハンドル操作に違和感がある場合も、サイドスリップの調整を検討しましょう。
ハンドルの違和感は重大なトラブルの兆候であることも、少なくありません。
なかでも、直進中にハンドルが左右に取られる感覚がある場合は、サイドスリップ角度に異常が発生している可能性があります。
そのままではサイドスリップ検査で不合格となるだけでなく、高速走行中の事故リスクも高まります。
とくに高速道路を頻繁に利用する場合は、わずかな違和感でも早めに点検を受けることが大切です。
サイドスリップ調整とアライメント調整の違い
サイドスリップ調整と一緒によく聞く言葉として「アライメント調整」があります。
サイドスリップ調整とアライメント調整は、いずれもタイヤの角度を整え、走行性能を向上させる重要な調整です。
しかし、調整する箇所や項目が異なり、それぞれ特有の目的と効果があります。
まずサイドスリップ調整では、直進時に前輪がどれだけずれるかを測定し、必要に応じて調整します。
サイドスリップに異常があると、タイヤの偏摩耗やハンドル操作の不具合が発生しやすくなるため、放置するのは良くありません。
一方のアライメント調整は、前輪だけでなく後輪の調整も行います。
キャンバー角・トー角・キャスター角といった複数の角度を総合的に調整することで、タイヤの均等な接地と操作性を向上させるのが目的です。
アライメント調整は調整箇所が多いため、サイドスリップ調整に比べて費用が高くなる傾向にあります。
しかし、運転時の安全性を高めるためには、どちらの調整も状況に応じて必要です。
タイヤを長持ちさせるコツ
タイヤを長持ちさせるコツは、以下の4つです。
- ・無駄な荷物を積まない
・急ブレーキをしない
・水だけで洗う
・ローテーションを行う
サイドスリップ検査とは何か、目的や必要性を解説してきましたが、ここではタイヤを長持ちさせるコツを解説していきます。
タイヤ交換にかかる費用や手間を省くためにも、タイヤの寿命を延ばす方法を確認しておきましょう。
無駄な荷物を積まない
タイヤの寿命を延ばすためには、無駄な荷物を積まないことがポイントです。
大量の荷物を積んだ状態で自動車を走らせると、タイヤへの圧力が増えて摩耗が進み、寿命が短くなってしまうからです。
また、また荷物を偏らせて積んでいると、タイヤの摩耗にムラが生じて、ハンドル操作のしづらさやパンクの原因となります。
さらに、荷物が重いまま走行すると、燃費も悪化するため経済的にも不利です。
車内の整理整頓を日常的に行うことでタイヤへの負担を減らし、快適な走行を維持できます。
「不要な荷物は積まない」との意識が、タイヤの寿命を延ばすコツです。
急ブレーキをしない
タイヤを長持ちさせるためには、急ブレーキを避けることも大切です。
急ブレーキはタイヤのゴム部分に熱を発生させて、ダメージを与える原因となるからです。
また、頻繁に急ブレーキをかけるとタイヤの寿命が短くなるだけでなく、サスペンションへの負担も増えます。
サスペンションの劣化も、車検の不合格に繋がります。
トラブルを避けるためにも日頃から安全運転を心がけて、急ブレーキの回数を減らしましょう。
水だけで洗う
タイヤを長持ちさせるためには、水だけで優しく洗うことが効果的です。
洗剤や化学薬品を使用すると、タイヤのゴムが劣化し、寿命が短くなる可能性があるからです。
水だけで丁寧に汚れを落とし、洗った後は日陰でしっかり乾燥させることで、ゴムの劣化を防ぐことができます。
タイヤを傷めないためにも水洗いを心がけ、洗ったあとは日陰でしっかりと乾燥させることが重要です。
ローテーションを行う
タイヤの寿命を延ばすためには、定期的にローテーションを行いましょう。
ローテーションとは、前輪と後輪を入れ替える作業のことです。
タイヤの前輪と後輪を定期的に入れ替えることで、タイヤの摩耗が均一になり、交換時期を遅らせられる可能性があります。
ローテーションの頻度は、走行5,000km~10,000kmごとといわれています。
最後にローテーションしてから10,000km以上走行している場合は、早めの実施が効果的です。
偏摩耗を防ぐために、定期的にローテーションを実施しましょう。
まとめ
サイドスリップ検査は、自動車の直進性や安全性を確認するためには欠かせない、非常に重要な検査です。
角度に異常がある状態で走り続けた場合はハンドル操作がスムーズにいかず、大きな事故を引き起こす可能性があります。
また、運転する人の疲労も蓄積しやすくなるため、サイドスリップ検査は必要です。
車検をスムーズに通過するためにも、まっすぐ走りにくいと感じたらサイドスリップの点検をしてみましょう。