車検時に見落としがちな「足回り」は、車の安全性に直結する重要な部分です。
もし足回りの点検や整備を怠ると、走行中の異音やハンドリングの不安定さ、最悪の場合は重大な事故につながる恐れもあります。
本記事では、車検を受ける際に検査される足回りの具体的な項目や、部品交換のタイミングについて詳しく解説していきます。
足回りのメンテナンスをしっかり行えば、安心して快適なドライブを楽しめます。
安全なカーライフのため、ぜひ最後までご覧ください。
車検における足回りの検査項目とは?
車検における足回りの検査には、大きく分けて4つの検査項目があります。
- ・タイヤ・ホイール関係
・ブレーキ関係
・サスペンション関係
・ジョイントブーツ関係
車検では、これら足回りのパーツを一つひとつ細かく検査・点検・整備しています。
車検の足回りの検査項目には、どのようなパーツが関係しているのか見ていきましょう。
タイヤ・ホイール関係
タイヤ・ホイール関係は、次の2つが挙げられます。
タイヤ
タイヤに不備があると、走行性能の低下やスリップなど事故の原因につながるおそれがあります。
車検の際は、タイヤがすり減りすぎていないか、ひび割れがないかなどを確認されます。
タイヤのすり減りは、タイヤの溝の深さが1.6mm以下になったときに出てくる「スリップサイン」を確認します。
1.6mm以下と判断されると、車検には通らなくなるため注意が必要です。
ホイール
ホイールは車の車輪のことで、車軸からの回転力をタイヤに伝える役割があるパーツです。
タイヤと同様に、ひび割れや損傷が確認されます。
また、ホイールはサイズにも注意が必要です。
ホイールがフェンダーより大きいサイズだと、国が定めた基準値を満たしていないと判断され、車検には通らなくなります。
一般的には「JWL」と呼ばれる、国が定める基準値を満たしているホイールなら確実に合格するでしょう。
ブレーキ関係
ブレーキ関係の悪化は、車検に受からなくなるのはもちろん、大きな事故に繋がる可能性があります。
そのため、日頃から不具合がないか確認することが大切です。
ブレーキには、「ディスクブレーキ」と「ドラムブレーキ」の2種類があります。
この2つは、車種によって使われているブレーキが異なっていたり、もしくは前輪と後輪に別々のものが取り付けられていたりします。
ディスクブレーキ
ディスクブレーキは、車輪の中央に取り付けられた金属製の薄いディスクローターを挟み込むことでブレーキを作動させるシステムです。
ディスクブレーキで確認しておきたいのが、「ブレーキパッド」と「ブレーキキャリパー」です。
ブレーキパッドは車検時に確認されませんが、5mm以下になるとブレーキが利かなくなるため注意が必要です。
ブレーキキャリパーは劣化が進むと、ブレーキの効きが悪くなります。
どちらに関しても車検時に確認されるのが、「ブレーキの利き」です。
ブレーキが利かないと判断されると、どちらかのパーツが不具合を起こしていると判断され、車検に通らなくなります。
ドラムブレーキ
ドラムブレーキは、車輪の回転を摩擦によって止める制動システムです。
ドラムブレーキの場合は、シリンダー内にあるカップキットを確認することが重要です。
カップキットはブレーキと大きく関係しており、劣化してくると油圧が正常に伝わらず、ブレーキが利きにくくなります。
およそ5万~10万km程度が交換の目安となっていますので、車検前に交換しておくことをおすすめします。
マスターシリンダー
マスターシリンダーは、ペダルを踏んだ力を油圧に変換し、ブレーキ液をホイールシリンダーなどに送り込むことで制動力を発生させるシステムです。
マスターシリンダーに異常があると、ブレーキの利きが悪くなることはもちろん、大きな事故に繋がる可能性があります。
そのため、ブレーキの効きが悪い、ブレーキペダルを奥まで踏む必要があるといった場合は、業者に見てもらうことをおすすめします。
サスペンション関係
サスペンションは、車が走行する際の振動を抑えてくれるパーツです。
車検時には、異音や貼り付き具合を確認されます。
サスペンション関係には、次の4つが挙げられます。
サスペンション
サスペンションは、先ほど紹介したように車が走行する際の振動を抑えてくれるパーツです。
異音や貼り付き具合の確認の他に、各ボルトが緩んでないかなども確認されます。
また、サスペンションが改造されていないかも確認されます。
純正のパーツ以外のものを取り付けている場合、構造変更届を提出しておかないと車検に通らなくなりますので、注意しましょう。
ショックアブソーバ
ショックアブソーバは、スプリングが衝撃を吸収した際に余分な揺れを緩和してくれるパーツです。
ショックアブソーバーにはオイルが含まれており、漏れていると車検に通らなくなります。
スタビライザー
スタビライザーは、車の振動の中でも横揺れを抑えてくれるパーツです。
車検時は、スタビライザーに損傷がないかと、ゴムブッシュの状態も確認されます。
車種によってはリンクロッドと呼ばれるパーツが付いており、こちらも確認されます。
アッパーアーム・ロアアーム
こちらは、ホイールの動きを制御・コントロールする役割を持つパーツです。
車検時には、社外品でないかを確認されます。
車の見た目を良くするために交換する方がいますが、社外品の場合は、車検時に車検証の記載変更が必要となります。
ジョイント・ブーツ関係
車に関するブーツとは、足回りに使用されているゴムパーツのことを言い、潤滑の役割の他にゴミや砂などの侵入を防ぐ役割があります。
破れていたりひび割れなどがあると、車検に通らなくなるため重要なパーツの1つです。
ブーツ関係には、次の4つが挙げられます。
ドライブシャフト
ドライブシャフトブーツは、エンジンとタイヤをつなぐドライブシャフトの接続部分を保護する役割を持ち、蛇腹状の形状をしています。
ブレーキダストブーツ
ブレーキダストブーツは、ブレーキキャリパーの内部にあるピストンを守るために設置されている保護ブーツです。
ステアリングラックブーツ
ステアリングラックのブーツに亀裂や破損が生じると、路面の砂や水が入り込み、ハンドル操作が滑らかでなくなる可能性があります。
ブッシュ類
ブッシュ類も足回りに使用されるゴムパーツの1つです。
亀裂やひびが起こると、振動や異音が聞こえるようになります。
しかし、振動や異音はブッシュ類だけに起こることではないので、判断が難しいです。
そのため、業者に確認するのが良いでしょう。
サイドスリップ検査
サイドスリップ検査とは、ユーザー車検を行う場合に実施される検査のことです。
具体的には、ハンドルを真っ直ぐにした状態で、どの程度左右にブレるかを表した値のことを言います。
こちらの基準は、道路運送車両の保安基準によって定められており、「1m毎に横滑りが5mm」を超えると、基準値に満たないと判断され車検に通らなくなります。
足回りの部品交換のタイミングと費用
足回りに使用されているパーツは、車の走行距離や経年劣化により、少しずつ消耗してきます。
そのため、定期的な交換やメンテナンスが必要です。
しかし、そのタイミングはパーツによって異なり、交換時期がわからない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、足回りの部品交換のタイミングと費用について紹介していきます。
タイヤは溝の深さをチェック
タイヤの交換は、溝の深さとひび割れで判断します。
車検に受かるためのタイヤ溝の深さは、1.6mm以上の「スリップサイン」が出ていない状態です。
1.6mm以下のスリップサインが出ている場合は、確実に車検に通らないので、交換と判断して良いでしょう。
ひび割れに関しては、空気圧の低下や紫外線によるダメージで起こります。
定期的に確認し、少しでもひび割れがある場合は交換しましょう。
なお、タイヤの交換費用に関しては、本体で数千円〜1万円以上、工賃が2,000〜3,000円程度です。
タイヤ本体の価格は関しては、種類によって大きく異なりますので覚えておきましょう。
乗り心地の違和感や異音で交換するサスペンション
サスペンションは、乗り心地の違和感や異音が発生するときが交換時期です。
しかし、乗り心地と言われると、車にいつも乗る方だと感じにくいかもしれません。
そのため、ほとんどの場合は異音で確認するのが一般的です。
また、走行距離も交換時期の目安にできます。
一般的には5万km程度で、サスペンションの交換が必要と言われていますので、5万kmが近くなったら早めに交換しましょう。
なお、サスペンション交換の費用は、本体で4〜5万円、工賃だけでも2万円以上からと他のパーツより高額となっています。
ブレーキパッドは前後確認する
ブレーキパッドの交換時期は、一般的に3〜4万km程度と言われています。
ブレーキパッドは、車の前後に取り付けられており、消耗度合いが異なります。
消耗が早いのは前輪なので、交換時期がきた際は前輪から交換しましょう。
一方、後輪に関しては、前輪を2回交換する際に1回交換する頻度です。
費用は、ブレーキパッド本体で1万円程度、工賃で5,000〜6,000円程度となっています。
経年劣化で破れてしまうジョイント関係
ジョイント関係は、一般的に走行年数5年、走行距離5万km程度が交換時期です。
しかし、異音が聞こえたり、オイル漏れが発生している場合は、脱輪の可能性があるため、すぐに交換する必要があります。
交換費用は、1万〜1万5,000円程度です。
足回りを修理・整備できる業者
車検するより前に足回りの異変を感じたら、以下の業者に修理、整備依頼できます。
ディーラー
ディーラーには、専門の知識や豊富な経験を持った整備士が在籍しています。
そのため、高い技術力が期待できます。
また、所有している車が同じブランドであれば、より安心して任せられるでしょう。
しかし、技術力の高さや、使用するパーツが純正のものになることから、交換費用は高額となりやすいです。
カー用品店
整備や修理ができる設備を持っているカー用品店なら、足回りの修理や整備も依頼できます。
カー用品店は、さまざまなパーツを取り扱っているところが魅力で、お手頃なパーツを手に入れやすく費用も抑えられます。
しかし、難しい修理となった場合は、断られる可能性があるので注意しましょう。
整備工場
整備工場は、地域に密着しているところが多く、柔軟な対応ができるところが特徴です。
また、ディーラーから委託されている工場も多く、技術面でも期待ができますが、すべての整備士の技術力が高いわけではないので、注意が必要です。
ただし、ディーラーにはできない特殊なカスタムに対応できる工場もありますので、カスタム車をメンテナンスして欲しい方におすすめです。
ガソリンスタンド
整備士がいるガソリンスタンドであれば、修理や整備も依頼できます。
行きつけのガソリンスタンドに整備士がいれば、ガソリンを入れるついでに依頼できるので、手間がかかりません。
しかし、難しい修理となると引き受けが難しくなるでしょう。
足回り関係で車検に落ちないためにできる足回りの点検・整備のポイント
車検に落ちないためには、事前の準備や対応も大切です。
ここでは、車検前にできる足回りの点検箇所を紹介していきます。
ホイールアライメントを調整する
ホイールアライメントとは、車軸を適正な角度に調整することです。
歪みがあると、車が真っ直ぐ走れなかったり、ふらつきが生じたりします。
具体的には以下の項目を調整します。
- ・進行方向に対するタイヤの角度(トー角)
・垂直方向のタイヤの角度(キャンバー角)
・操舵軸の傾斜角度(キャスター角)
ホイールアライメント調整は自分でもできますが、知識がないと難しい作業です。
また、ジャッキアップが必要ですので、必ず2人以上で行いましょう。
消耗部品を交換する
車の足回りに使用されている、タイヤやブレーキパッドなどは消耗部品なので、定期的な股間が必要です。
そのままにしておくのは不可能なので、交換時期がきたら交換しましょう。
ボルトが緩んでないか確認する
車に使用されているボルトは、走行時の振動などで少しずつ緩んできます。
車検では、検査員がハンマーで叩いて検査しますが、自分でもできないことはありません。
ただし、一定の知識がないとわからないので、業者に依頼するのがおすすめです。
予備検査を受ける
ユーザー車検を受ける方の場合は、予備検査が受けられます。
予備検査は、車検時に不安になる箇所の検査を事前に受けられるので、車検をスムーズに通過できます。
主に「テスター屋」と呼ばれる民間の予備検査場で実施できます。
予備検査する際は、4,000〜5,000円程度必要になりますが、事前に確認することで手間が減らせるので、心配な方は受けておくことをおすすめします。
足回りに破損がないか確認
足回りの破損チェックも重要です
とはいえ、知識のない方は足回りの破損に気づきにくいと思います。
そのため、車の下を覗いたときに明らかな破損があれば、修理を依頼しましょう。
プロに依頼する
足回りの点検や整備は自分でも可能な部分はありますが、重要保安部品も多いので、難しい場合が多いです。
そのため、自分でできる箇所以外は、プロに任せた方が良いでしょう。
ディーラーや整備工場などに点検依頼すれば、気軽に受けてくれます。
車検に通らなかった場合はどうする?
事前の準備や対策をしていても、場合によっては車検に落ちてしまうこともあります。
実際、車検に通らなかった時はどうすれば良いか困ってしまいますよね。
そこで、車検に通らなかった場合の対処法を紹介していきます。
業者に依頼した場合
業者に車検依頼した場合は、修理箇所にもよりますが、すぐに対応してくれます。
パーツの消耗や交換だけで済むなら基本的に修理してくれるので、その日に解決できるでしょう。
しかし、エンジンなどの車にとって重要なパーツは、修理に数日かかるケースもあります。
また、車高が基準値に満たなかったり、改造車であったりするなど、車検の基準にひっかかる場合は、業者であっても車検に通りません。
その場合は、パーツを純正に戻すなどの対応が必要となります。
ユーザー車検の場合
ユーザー車検が受からなかった場合は、当日もしくは後日再検査します。
当日中に再検査を受ける
ユーザー車検の場合は、当日であれば2回まで無料で再検査できます。
ただし、修理や交換が必要な場合は、そちらを終わらせてからの再検査となるため、当日受けるのは難しいでしょう。
また、検査場の受付時間は決まっていますので、できる限り早めの時間の検査をおすすめします。
限定自動車検査証を発行してもらう
再検査が後日となる場合は、限定自動車検査証を窓口にて発行してもらいます。
限定自動車検査証の期限は15日となっており、期日内なら受からなかった箇所だけの検査で済みます。
期日がすぎると、初めからの検査となるため、できるだけ早めに再検査しましょう。
なお、再検査の手数料は900円となっています。
一括査定を活用して買取に!
車検に通らなかったり、高額な修理費用がかかったりする場合は、車を手放すことも選択肢の1つです。
その際におすすめなのが、一括査定で買取してもらうことです。
一括査定であれば、1度査定してもらうだけで複数の業者から見積書がもらえ、手間をかけずに済みます。
また、料金は一切かかりませんので、お得に依頼できます。
CTN車一括査定では、利用者の登録情報をもとに3社を厳選してご連絡しますので、電話ラッシュで時間や手間を取られることがありません。
またCTN一括査定の大きなポイントは、軽自動車やSUV、輸入車の専門買取業者などでも比較できることです。
そのうえ車販売店のみならず解体業者や貿易会社とも連携しているため、大掛かりな修理が必要な車などにも対応が可能です。
「きっと値がつかないだろう」と諦めている方もCTN車一括査定なら、愛車にぴったりの買取業者を見つけられるかもしれません。
まとめ
本記事では、車検を受ける際の足回りの検査箇所やパーツ交換のタイミングを紹介していきました。
車検する際の足回りの検査箇所は以下の4つがあります。
- ・タイヤ・ホイール関係
・ブレーキ関係
・ジョイントブーツ関係
それぞれには、消耗パーツも多くあるため、交換時期に合わせて取り替えることが大切です。
車の足回りは定期的なメンテナンスや点検が必要ですが、判断が難しい方はプロに依頼するようにしましょう。