新車を購入した際、次に迎える「車検」がいつになるのか、ご存じでしょうか?
一般的な車検は2年ごとですが、新車の場合は少し異なります。
特に、初めて新車を購入する方は、タイミングや費用、受けられる場所などが気になるかと思います。
本記事では、新車購入後の車検のタイミングや確認方法、さらに費用の相場も詳しく解説します。
新車購入後の初めての車検はいつ?
一般的に車の車検は2年ごとに受けなければなりませんが、新車は購入から3年後と決められています。
理由は、普通車と軽自動車にかかわらず、新車購入した車の車検は3年後と決められているからです。
しかし、すべての車が3年後というわけではなく、車両タイプによっては新車購入から2年後となる車もあるのです。
まずは、新車購入後3年で車検を受ける車と、2年で受ける車の紹介と、その理由を確認しましょう。
一般的な乗用車は3年
先ほどお伝えした通り、一般的な普通車や軽自動車の初回の車検は、車購入から3年後です。
その理由は、新車は使用されているすべてのパーツが新品で作られており、車両を良い状態に維持しやすいからです。
車の使い方やメンテナンスによって劣化具合は変わりますが、新車購入後の初めての車検で不備が見つかることは、ほとんどありません。
しかし、使用年数が経つごとに劣化や不備が見つかる可能性が高くなるため、初回以降の車検は2年ごとになります。
車検が2年になる車両もある
一般的な乗用車や軽自動車は、新車購入後3年で車検を受けますが、車検が2年になる車も存在します。
たとえば、以下に当てはまる車は、初回の車検が2年になります。
- ・自家用貨物自動車
・自家用軽貨物自動車
・自家用特種用途自動車
・大型特殊自動車
・事業用軽貨物自動車
この中に当てはまる車の中には、軽トラックや軽バン、小型・中型トラックなどが含まれます。
これらの車の初回の車検が2回目になる理由は、商用車として使用されるので、一般的な乗用車と比べて使用頻度が多いからです。
使用頻度が多いことで、使用されているパーツが新品であっても劣化や不備を起こす可能性があることから、普通車や軽自動車よりも1年早い車検となります。
なお、上記に該当する車は、初回の車検が2年後、以降は1年ごとになります。
【車種別】車検のタイミング
「自分の車は、どのタイプにあたるのか」といった疑問も出てきたと思います。
そこで、下記にナンバーを含めた車両別の車検のタイミングを表で紹介します。
対象車種 | 初回車検 | 2回目以降の車検 |
小型・普通乗用車(3ナンバー、5ナンバー) | 3年 | 2年 |
乗用軽自動車(5ナンバー) | 3年 | 2年 |
小型・普通貨物自動車(1ナンバー、4ナンバー) | 2年 | 1年 |
貨物軽自動車(4ナンバー) | 2年 | 1年 |
小型・普通キャンピングカー(8ナンバー) | 2年 | 2年 |
旅客運送事業用自動車(バス、タクシー) | 1年 | 1年 |
貨物自動車(総重量8t以上の貨物自動車) | 1年 | 1年 |
乗員定員11人以上の自動車(バス) | 1年 | 1年 |
幼児専用車(乗車定員10人以下のスクールバス) | 1年 | 1年 |
貸渡自動車(レンタカー) | 2年 | 1年 |
その他の自動車(大型特殊・特種自動車) | 2年 | 2年 |
表の中には、バスやタクシーなど、初回車検も2回目の車検も1年ごとの車もありますが、これらの車も使用する頻度が高いことから、初回から1年に1度と定められています。
新車購入後の車検満了期日を確認する方法と車検を受けられる期間
新車購入後から車検満了期日を確認する方法には、以下のふたつがあります。
- ・車に貼ってあるステッカーを確認
・車検証に記載されてある日付を確認
それぞれどこを確認すれば良いのか、また、車検を実際に受けられる期間について紹介していきます。
車に貼ってあるステッカーを確認する
新車購入後から車検満了期日を確認する1つ目の方法が、車のフロントガラスに貼ってあるステッカーを確認することです。
新車を購入する際、業者が登録や納車前に点検を行い、点検の証明としてステッカーをフロントガラスの見えるところに貼り付ける必要があります。
また、ステッカーには車検満了期日も記載する必要があると定められているので、そちらを確認すれば期日が確認できます。
車検証に記載されてある日付を確認する
ふたつ目の方法が、車検証に記載されてある日付を確認することです。
車検証には、使用者や所有者の氏名や住所などが記載されていますが、その項目の中に車検満了期日が記載されています。
通常であれば、車検証の左下部分に記載していますので、そちらで確認しましょう。
ただし、2023年1月から交付が始まった「電子車検証」の方は、車検証には車検満了期日が記載されていません。
確認するには、ICカードリーダーがないとできませんので、注意しましょう。
車検を受けられる期間
車検を受けられる期間は、車検の満了日までであればいつでも良いわけではありません。
かといって、満了日を過ぎてしまうと公道を走れなくなり、レッカーなどを利用して車検場へ持ち運ぶ必要が出てくるため、出費がかさんでしまうため注意が必要です。
車検を受けられる具体的な期間は、認定整備工場で車検満了の30日前から、指定整備工場で45日または40日前から車検を受けられます。
ただ、上記の期間内ですぐに受けてしまうと、それだけ次の車検までの期間が短くなります。
そのため、予約する際は早めに予約し、予約日はできるだけ車検満了日に近い日にすると良いでしょう。
新車購入後に初めて車検する際の費用と内訳
車検を初めて受ける方にとっては、新車購入後の車検はどれくらいの費用が必要なのか気になるところでしょう。
基本的に車検にかかる費用には、以下のものが挙げられます。
- ・法定費用
・車検基本料
・部品交換費用
それぞれ詳しく紹介します。
法定費用
法的費用は、納める義務がある税金や保険料などがあります。
具体的には、以下の3つが含まれています。
- ・自動車重量税
・自賠責保険料
・印紙代
自動車重量税
自動車重量税は、その名の通り自動車の重量に合わせて支払う税金が異なります。
重量 | エコカー | エコカー対象外 |
軽自動車 | 5,000円 | 6,600円 |
~500Kg | 5,000円 | 8,200円 |
~1,000Kg | 10,000円 | 16,400円 |
~1,500Kg | 15,000円 | 24,600円 |
~2,000Kg | 20,000円 | 32,800円 |
~2,500Kg | 25,000円 | 41,000円 |
~3,000Kg | 30,000円 | 49,200円 |
自動車重量税に関しては、車の重さに応じて料金が変わり、0.5トンごとに8,200円が上乗せされます。
また、登録年数によっても料金が変わり、13年以上経過した車は、0.5トンごとに11,400円、18年以上経過した車は12,600円となります。
軽自動車に関しては、重量に関係なく6,600円がかかり、13年以上経過した車は8,200円、18年以上経過した車は8,800円となりますので覚えておきましょう。
自賠責保険
自賠責保険は、交通事故の被害者に対する最低限の補償を目的とした保険です。
車を所有する方は、必ず加入しなければなりません。
令和6年4月1日以降の自賠責保険料は、以下の通りです。
保険期間 | 軽自動車 | 普通車 |
12ヶ月 | 11,440円 | 11,500円 |
24ヶ月 | 17,540円 | 17,650円 |
37ヶ月 | 24,010円 | 24,190円 |
※沖縄や離島など、一部地域は異なります。
印紙代
印紙代は、車検の際に必要な手数料として必要な費用です。
印紙代にかかる費用は、車の種類や依頼する工場によって異なります。
車両タイプ | 指定工場 | 認定工場 |
軽自動車 | 1,100円 | 1,400円 |
普通自動車(5ナンバー) | 1,200円 | 1,700円
(印紙代400円+証紙代1,300円) |
普通自動車(3ナンバー) | 1,800円
(印紙代400円+証紙代1,400円) |
表のとおり、指定工場か認定工場で料金が異なります。
また、指定工場はオンライン申請でも可能で、料金が100円〜200円程度安くなりますので、お得にしたい方は指定工場のオンライン申請を選択しましょう。
車検基本料
車検基本料は、車の点検や整備、代行手数料などにかかる費用です。
依頼する業者によって費用が異なりますが、自分で車検を行う「ユーザー車検」では、こちらの費用は必要ありません。
業者ごとの車検基本料は以下の通りです。
車検の依頼先 | 料金相場 |
ディーラー | 35,000円~100,000円 |
整備工場 | 20,000円~65,000円 |
車検専門店 | 10,000円~30,000円 |
ガソリンスタンド | 15,000円~35,000円 |
カー用品店 | 10,000円~45,000円 |
部品交換費用
部品交換費用は、車に部品に劣化や不備があった際に、部品の交換にかかる費用です。
初回の車検で、特に交換が必要になる部品と消耗品については、以下の通りです。
- ・エンジンオイル(通常半年~1年で交換)
・ラジエーター液
・ブレーキオイル
・バッテリー(車の使用状況により寿命が変化)
・ブレーキパッド(車の使用状況により寿命が大きく変わる)
・エアコンフィルター(特に花粉症の人は定期的に交換が必要)
上記すべてを交換する必要はありませんが、車の使用状況によって交換部品は変わりますので、覚えておきましょう。
初回の車検代は比較的安く済む
基本的に初回の車検代は比較的安く済むと言われています。
その理由は、以下の3つが挙げられます。
- ・部品交換にかかる費用が少ないから
・保証サービス期間内だから
・減税対象車であるから
最近の車は、使用されるパーツの質が格段に上がってきており、初回の車検で交換する部品はほとんどありません。
もし部品を交換する必要が出てきても、新車には保証サービスが付帯されるので、部品の交換も無料となるケースがほとんどです。
また、税金や保険料に関しても、最近増えつつある減税対象車により、安く済む場合があります。
以上の理由から、初回の車検代は比較的安く済むというわけです。
車検を受けられる場所と費用相場
車検を受けられる場所は豊富にあり、依頼する業者によって費用が大きく異なります。
以下にそれぞれの相場を表にしてまとめましたので、参考にしてください。
車両の種類 | ディーラー | 民間車検場 | カー用品店 | 車検専門店 | ガソリンスタンド |
軽自動車 | 58,200円~123,200円 | 43,200円~88,200円 | 33,200円~53,200円 | 38,200円~58,200円 | 33,200円~68,200円 |
普通自動車 | 52,840円~117,840円 | 37,840円~82,840円 | 27,840円~47,840円 | 32,840円~52,840円 | 27,840円~62,840円 |
ディーラー
新車を購入する方の中には、ディーラーで買う方が多く、そのまま車検も依頼する方が多いのではないでしょうか。
ディーラーは、専門的な知識や経験のある整備士が車検してくれるので、安全性が高く、丁寧な点検・設備が期待できるでしょう。
また、代車が無料で借りられるといった、サービスの質も高いところも特徴です。
ただし、質の良い点検・設備、サービスを受けられる分、費用は高くなる傾向です。
さらに、使用する部品は純正のものしか使用できないので、部品の交換が必要になった際にも費用がかさむでしょう。
カー用品店
カー用品店は、部品の交換が必要になっても、豊富にある部品から選べるので、比較的コストを抑えられるところが特徴です。
また、営業時間も長い店舗が多いので、忙しい方でも依頼しやすいでしょう。
ただし、整備士の質は店舗によってさまざまです。
そのため、口コミや評判をチェックをし、信頼あるお店を探す必要があります。
整備工場
整備工場は、豊富な車種に対応できるところが特徴です。
また、ディーラーのような中間マージンが発生しないので、比較的安価で受けられます。
整備士の質は、業者によって異なりますが、ディーラーからの下請けとして依頼される業者もいますので、そういったところに依頼すれば、質の良い点検・整備が受けられるでしょう。
車検専門店
車検専門店は、比較的安価で受けられ、加えて車検にかかる時間も短時間でできるところが特徴です。
業者の中にはチェーン展開されているところもあり、料金や整備がマニュアル化されているので、信頼性も高いです。
ただし、業者によってはスピードだけを謳って、整備や点検の質は低めといった業者もいるので、事前に評判を確認するのが良いでしょう。
ガソリンスタンド
車検の設備が整っているガソリンスタンドでは、車検対応しているところもあります。
ガソリンスタンドは、依頼することでガソリン代の値引きといった特典を受けられるところが大きな魅力です。
また、普段から利用しているところなら、依頼しやすいところもメリットといえます。
しかし、場所によっては整備が別の場所で行われる場合があり、日数がかかる可能性があります。
また、整備士の質も店舗によって大きく異なるため、事前に確認しましょう。
ユーザー車検
車検を依頼する場所は、ディーラーや整備工場以外に自分で行う「ユーザー車検」とよばれるものもあります。
ユーザー車検は、業者に依頼した際に支払う「車検基本料」がかからないので、費用が安く済むところが最大のメリットです。
しかし、書類集めや手続きはすべて自分で行う必要があるので、非常に手間となります。
また、車に関する知識が必要となるので、車に詳しくない方にはおすすめできません。
新車購入後に初めて車検を受けるときの流れと必要書類
車検を受ける際は、必要書類を用意し、いくつかの手順を踏む必要があります。
ここでは、車検を受けるときの流れと必要書類を紹介します。
車検を受ける流れ
車検は以下の手順で進めます。
- ①車検満了期日の確認
②複数の業者に見積もり依頼する
③業者を選び予約する
④必要書類を集める
⑤車検当日に車や必要書類、料金を持って車検を受ける
⑥車検証やステッカーを受け取り、所定の場所に保管する
車検は期日があるため、余裕を持って臨みましょう。
車検時に必要な書類
車検時に必要な書類は以下の通りです。
- ・自動車検査票
・自動車重量税納付書
・自賠責証明書
・委任状
・認め印
そのほかに車検時の費用、ロックナットを使用している方はロックナットアダプターなど、書類以外にも必要です。
また、交換部品が発生する可能性がありますので、少し多めに用意しておきましょう。
また、ユーザー車検をする方は、上記の書類以外にも用意する書類がありますので、忘れず準備しましょう。
- ・申請書(事前にダウンロード可能)
・自動車検査票・軽自動車検査票
・定期点検整備記録簿
・継続検査申請書
新車購入後の初めて車検する前に確認すべきポイント
ここからは、新車購入後の初めて車検する前に確認すべきポイントを紹介します。
セルフメンテナンスを行う
車を安心安全に使用するためには、日頃のメンテナンスが欠かせません。
また、メンテナンスを行っていれば、事前にパーツ交換ができるので、費用を抑えられます。
特にエンジンオイルやタイヤの溝のチェック、バッテリーの交換は定期的に行いましょう。
法的点検を受ける
法的点検とは、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月ごとに車の状態を確認してくれるサービスです。
新車であれば、保証により無料で受けられます。
車検が心配な方は、法的点検を受けることで事前に車の状態がわかるので、安心して車検に臨めます。
必要書類の準備
車検の前は、早めに必要書類を準備しましょう。
車検証や自賠責保険証明書などが手元にない場合、再申請する必要があります。
車検前になって慌てないように、余裕を持って準備しましょう。
車検までに新車保証サービスを活用する
通常、新車購入した際は、新車保証サービスが付帯されます。
新車保証サービスは、期間内であれば部品の交換や整備を無料で行ってくれるサービスです。
特に交換に数万円するような部品でも無料にできるので、活用すれば非常にお得です。
車検前に1度活用し、不備があれば整備や部品の交換をしておきましょう。
業者を選ぶ際は相見積もりをとる
ディーラーであれば、どこを選んでも費用はそこまで変わりませんが、そのほかの業者は、店舗によって料金が大きく異なる場合があります。
そのため、複数の業者から見積もりを取り、料金を比較してから選ぶのが重要です。
初めて車検する前に期間が過ぎてしまった場合
車検が初めての方の中には、「忘れていた」と、車検満了期日を過ぎてしまった方もいると思います。
車検が切れた車は、公道を走れなくなるため注意が必要です。
車検が切れた際は、次のことに気をつけましょう。
仮ナンバーを取得する
車検が切れた際は、仮ナンバーを取得することで、公道を走れます。
仮ナンバーは、住んでいる地域の市区町村役場で手続きすると取得できますが、有効期間が最大5日となりますので、車検する日時に合わせて取得しましょう。
なお、仮ナンバー取得時に必要な書類は以下の通りです。
- ・申請書
・車検証
・有効期限1ヶ月以上の自賠責保険証
・運転免許証
・印鑑
・手数料(約750円)
車検切れの車で公道を走るのは違法になる
先述したように、車検切れの車は公道を走れません。
もし、公道を走ったことが分かると、以下の罰則が科せられますので、絶対に車検の切れた車で公道を走らないようにしましょう。
- ・違反点数6点
・6ヶ月の懲役もしくは30万以下の罰金
また、同時に自賠責保険が切れていた場合は、以下の罰則が科せられます。
- ・違反点6点、1年以下の懲役または50万円
・1年6ヶ月以下の懲役もしくは80万円以下の罰金
なお、車検と自賠責の2つともが切れていた場合は、違反点数が合計で12点となるため、以下の罰則も科せられます。
- ・90日の免許停止処分
2回目(5年目)の車検は費用が高くなる
初回の車検以降の車検は2年後となりますが、車検費用は初回よりも高くなることに注意が必要です。
車検費用が初回よりも高くなる理由は、以下の3つが挙げられます。
- ・新車保証サービスの期限がすぎる
・税金の減免が受けられなくなる
・部品交換が必要になる可能性が高くなる
上記3つの理由から、初回よりも車検費用が高くなることを覚えておきましょう。
まとめ
本記事では、新車購入後の初めての車検期日や、満了期日を確認する方法、車検にかかる費用を紹介しました。
新車購入後の初めての車検は、普通自動車や軽自動車で3年、貨物自動車やトラックなどは2年となっています。
車検にかかる費用は、依頼する業者によって大きく異なるため、それぞれの特徴を理解し、相見積もりを取るなどの対策が必要です。
また、事前に車検内容や必要書類を確認しておくことで、スムーズな手続きが可能となり、時間と費用の節約につながります。