廃車証明書は廃車したことの証拠になる書類です。
自賠責保険の解約や任意保険の中断や解約、一時抹消登録からの再登録を行なう際に必要になります。
廃車証明書には、登録事項等証明書、登録識別情報等通知書などの種類があることをご存じでしょうか。
廃車証明書のなかには、再発行が可能なものと不可能なものがあるため、廃車を予定している方はしっかり理解しておきましょう。
ここでは、廃車証明書の発行手続き・手数料、再発行の方法などについて解説します。
廃車証明書とは?
廃車証明書は車を廃車した際に受け取れる書類で、現在加入している車やバイク保険の解約に必要となる書類です。
車やバイクの自賠責保険や任意保険を解約する際などに準備する必要があります。
廃車証明書の種類
廃車証明書は以下4点の書類の総称です。
- ・登録識別情報等通知書
- ・登録事項等証明書
- ・自動車検査証返納証明書
- ・検査記録事項等証明書
これらはどんな書類なのか、またどのような場面に使うのか詳しく見ていきましょう。
廃車証明書の種類:登録識別情報等通知書
登録識別情報等通知書は、普通自動車を一時抹消登録したことを証明するための書類で、一時的に自動車を使用しないことを運輸支局に知らせるために必要になります。
車保有者には自動車税などの税金支払いや自賠責保険加入の義務が発生しますが、一時的に自動車を使用しない場合は、それらの義務もなくなります。
そしてそういった支払いを不要にするための手続きに、登録識別情報等通知書が必要になるのです。
廃車証明書の種類:登録事項等証明書
登録事項等証明書は、普通自動車を永久抹消登録したことを証明するための書類です。
登録事項等証明書は、現在登録証明書と詳細登録証明書という2種類に分かれます。
現在の車検証の内容と完全に一致した記録の記載があるのが現在登録証明書で現在の内容にプラスして新しい登録の履歴が記載されているのが詳細登録証明書です。
発行請求は陸運局(運輸局・運輸支局)で行うことができ、車検証に記載の所有者だけに限らず、誰でも請求が可能です。
しかし登録事項等証明書の交付請求は、自動車登録番号と車台番号(下7桁)の明示、本人確認、請求理由の明示などをしなければ請求はできません。
廃車証明書の種類:自動車検査証返納証明書
自動車検査証返納証明書は、軽自動車を一時抹消登録したことを証明するための書類です。
普通自動車の一時抹消登録は運輸支局での発行ですが、返納証明書の手続きは「軽自動車検査協会」で行われます。
廃車証明書の種類:検査記録事項等証明書
検査記録事項等証明書は、普通自動車における永久抹消登録、つまり軽自動車の解体返納を行ったことを証明するための書類です。
検査記録事項等証明書は現在記録と保存記録(詳細記録)という2種類に分かれています。
保存記録には種別、車両番号、使用者氏名、所要者氏名・住所、使用している場所など、現在の記録と過去の履歴が記載されています。
廃車証明書の発行手数料
普通自動車、軽自動車、バイクの場合の廃車証明書発行にかかる手数料についてみていきましょう。
普通自動車
普通自動車における一時抹消登録の証明書は登録識別情報等通知書であり、1件につき350円の発行手数料が必要です。
こちらは運輸支局で即日発行可能となっています。
永久抹消登録の証明書は登録事項等証明書であり、現在登録証明書の場合は1件につき300円が必要となり、詳細登録証明書の場合は詳細1枚につき1,000円が必要です。
こちらは登録識別情報等通知書とは異なり、陸運局で発行手続きを行います。
軽自動車
普通自動車とは異なり、軽自動車の廃車証明書は一時抹消登録・解体返納(永久抹消登録)共に軽自動車協会で発行することができます。
軽自動車を一時抹消登録したことを証明する自動車検査証返納証明書は、1件につき350円が必要です。
解体返納したことを証明する検査記録事項等証明書は、現在記録だけなら300円、保存記録は300円に加えて履歴1枚につき1,000円が必要となります。
発行手続きには運転免許証、健康保険の被保険者証など本人の確認が取れる証明書の提示が必要なため、実際に発行を行う際は注意しましょう。
バイク
バイクの廃車証明書は、廃車手続きを完了した後に発行されます。
廃車手続きにかかる手数料は、排気量によって手続きする場所や手数料が以下のように異なります。
-
- ・原付(排気量125cc以下)
手続き場所:区市町村役場
手数料:無料
- ・原付(排気量125cc以下)
・125cc以上の中型・大型バイク
手続き場所:運輸支局
手数料:125cc〜250cc以下は330円〜530円、250cc以上は500円ほど
廃車証明書が必要になるケース
廃車証明書が必要になるケースは以下の4点です。
- ・自賠責保険の解約
- ・任意保険の中断
- ・車の再登録
- ・車庫証明の申請
廃車証明書の必要な各ケースについてみていきましょう。
自賠責保険の解約
自賠責保険を解約する場合は廃車証明書が必要になります。
自賠責保険は行動を走る上で必ず加入しなければならないため、自賠責保険を解約するためには車の廃車証明書が必要となるのです。
自賠責保険の解約には廃車証明書のほかに、自賠責保険に加入していることがわかる確認書類、自賠責保険承認請求書、印鑑、解約返戻金の振込先口座が確認できるものが必要となります。
任意保険の中断
一時的に車を使わなくなった場合など、任意保険を途中中断する際は、中断を申請するために廃車証明書が必要になります。
また廃車証明書が必要になるのは任意保険の途中中断であり、保険を解約する場合は必要ありません。
車の運転を再開し、任意保険も再開したい場合は、廃車証明書の手続きで受け取った「中断証明書」と新しく契約する車の車検証が必要です。
車の再登録
普通自動車の再登録手続きには以下の書類と実印(印鑑証明書で登録したもの)が必要となります。
- ・廃車証明書(登録識別情報等通知書の原本)
- ・自賠責保険証(車検の有効期限までカバーされているもの)
- ・印鑑証明書(2ヶ月以内のもの)
- ・車庫証明書(有効期間1ヶ月以内)
再登録にかかる費用は以下のとおりです。
- ・手数料印紙代:700円
- ・検査手数料:小型:ナンバー検査登録2,000円、小型以外2,100円
- ・重量税:1トン以下16,400円、2.5~3トン75,600円
- ・ナンバープレート代:1,500円~2,000円
なお重量税は年式で金額が変わり、ナンバープレートの数字を希望ナンバーにする場合は4,000円ほど必要となります。
また普通自動車とは違い、軽自動車の再登録では、車庫証明書が必要なく、印鑑は認印が使用可能です。
軽自動車の再登録費用は、手数料印紙代1,400円、重量税最大8,800円、ナンバープレート代1,470円(希望ナンバーの場合は4,180円)となります。
車庫証明の申請
車庫証明の申請では、自動車保管場所証明申請書、車を保管している場所の配置図・所在図、本人確認書、そして車庫が自己所有の場合は保管場所使用権原疎明書(自認書)、車庫が賃貸の場合は保管場所使用承諾証明書を警察署で提出する必要があります。
そして車を廃車し、新しい車を購入した際に車庫証明が必要となる場合には、上記に加え、廃車証明書(登録事項等証明書)が必要となるのです。
廃車証明書の発行手続き
廃車証明書の発行に必要なものを普通自動車、軽自動車、バイク別に解説します。
普通自動車の廃車証明書の発行
普通自動車の廃車証明書を運輸支局で発行してもらうためには、前後2枚のナンバープレートと車検証、印鑑登録証明書が必要です。
実際に手続きを行う際は。窓口で「抹消登録証明書」と「手数料納付書」を購入し、上記とあわせて提出します。
また一時抹消登録後に永久抹消登録に行う際は、上記の必要書類に加え、「一時抹消登録証明書」の原本、所有者の実印、リサイクル券番号(移動報告番号)と解体記録日がわかる書類が必要となります。
軽自動車の廃車証明書の発行
軽自動車の廃車証明書を軽自動車検査協会で発行してもらうために必要なものは普通自動車と同じです。
また廃車証明書の発行手続きは以下のとおりです。
- 1.軽第4号様式申請書(自動車検査証返納証明書交付申請書)と自動車検査証返納届出書の書類を窓口で受け取る
- 2.必要事項を記入する
- 3.窓口でナンバープレートを返却する
- 4.必要な書類を窓口に提出し、手数料350円を支払う
これにより自動車検査証返納証明書が発行されます。
バイクの廃車証明書の発行
125cc以下のバイクの廃車証明書の正式名称は廃車申告受付書と言い、廃車登録を行った地方の市役所の窓口で受け取ることができます。
一方、125cc以上バイクの廃車手続きは運輸支局で行います。
125cc~250cc以下バイクの廃車手続きを行うと「軽自動車届出済証返納証明書」と「軽自動車届出済証返納済確認書」という2枚の書類が発行され、251㏄以上バイクの場合は廃車証明書が発行されます。
このようにバイクの廃車証明書は、排気量によって受け取る書類が異なるため、手続きおよび書類保管の際には間違えないよう注意しましょう。
廃車証明書紛失による再発行の方法
廃車証明書のなかには、紛失すると再発行できない書類があります。
どの書類が再発行できないのか、また廃車証明書の種類別の再発行方法について解説いたします。
再発行できない廃車証明書とは
廃車証明書は4種類ありますが、そのなかでは「登録事項等証明書」と「登録事項等証明書」が再発行可能となっています。
しかし「登録識別情報等通知書」は再発行することができません。
登録事項等証明書は紛失してもいつでも再発行可能で、廃車手続きと同じ運輸支局で申請できます。
再発行で必要となるものは以下の3点です。
- 1.ナンバープレートの番号と車台番号下7桁の提示
- 2.本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 3.請求理由書
登録事項等証明書の再発行
再発行ができない証明書として登録識別情報等通知書があります。
紛失してしまったり盗難にあったりしても、車の盗難を防ぐために再発行はできず、新たに発行する必要があります。
もし一時抹消登録中の車が盗難にあったとすれば、盗んだ犯人は登録識別情報等通知書を再発行します。
そうすると盗んだ車が中古車として新規登録されてしまいます。
そういった事態を防ぐために、登録識別情報等通知書は再発行できないようになっているのです。
登録識別情報等通知書紛失での車の再登録
登録識別情報等通知書をなくしても車の再登録がまったくできないわけではなく、特別な手続きで車の再登録ができます。
「一時抹消登録証明書の遺失等に係る新規検査・登録申立書【登録事項等証明書が取得できる場合】」の書類を運輸支局に提出することで、車の再登録の手続きが進みます。
この書類での申請は、登録事項等証明書が取得できる場合に限られているため、登録事項等証明書が必要です。
登録事項等証明書は身分証明書を提示すれば、運輸支局または自動車検査登録事務所に請求できます。
自動車検査証返納証明書の再発行
軽自動車の廃車証明書(自動車検査証返納証明書)は再発行できません。
なくしてしまった場合は、車の所有者があきらかではなく、盗難の恐れがあるからです。
盗難を防ぐためには、軽自動車検査協会への車の再登録手続きが必要になります。
再登録手続きには以下の書類と印鑑が必要です。
- ・新規検査願出誓約書
- ・自動車検査証返納証明書遺失等に係る新規検査願出書
- ・自動車検査証返納証明書紛顛末誓約書
- ・車台番号の拓本
- ・実印・印鑑証明書
廃車証明書の発行場所
廃車証明書は、「登録事項等証明書」「登録識別情報等通知書」「自動車検査証返納証明書」「検査記録事項等証明書」という4点の総称で、車輌の種類、手続き内容、申請場所それぞれに違いがあります。
- ・普通自動車の一時抹消登録:廃車証明書(登録識別情報等通知書)で運輸支局に申請
- ・普通自動車の永久抹消登録:廃車証明書(登録事項等証明書)で運輸支局に申請
- ・軽自動車の返納届出:廃車証明書(自動車検査証返納証明書)で軽自動車検査協会に申請
- ・軽自動車の解体返納:廃車証明書(検査記録事項等証明書)で軽自動車検査協会に申請
運輸支局の窓口
運輸支局は国土交通省の出先機関で、関東運輸局・近畿運輸局・九州運輸局など全国10ヵ所に地方運輸局があり、「住所変更などの変更登録抹消登録」「車検整備」「点検」などの業務を行っています。
軽自動車検査協会の窓口
軽自動車検査協会は、全国89カ所に事務所や支所を構え、国の代行として軽自動車の車検や新規登録などの検査事務と住所変更など各種手続きを行います。
廃車時に委任状が必要になる場合
委任状の作成と手続きについて解説いたします。
委任状が必要な廃車手続き
委任状は自分以外の人に手続きをお願いするための書類で、自分で廃車手続きを行う際は必要ありません。
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