台風や水害などで愛車が水浸しになったという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
本記事では水浸しになった車を買い取ってくれるのかについて解説します。
買取の際の手順や注意点なども記載しているのでぜひ参考にしてみてください。
水没車とはどんな車?
近年、日本ではこれまで見られなかったようなゲリラ豪雨が発生するようになりました。
更に南方で誕生した台風が勢力を弱めないまま日本国内に上陸、大規模な水害を発生させて甚大な被害を出すケースも増えてきています。
日本全国どこで水害が発生してもおかしくないというのが現状です。
そのため、水没車に関しての知識を身につけておいて損はありません。
ここでは水没車の定義について紹介し、その後水没車を買い取ってもらうことは可能なのかについても詳しく解説していきます。
水没車とは?
水没車には明確な定義があるので、自己判断を間違えないためにも水没車の定義についてはしっかりと理解しておくようにしましょう。
日本自動車査定協会の査定基準によると、台風による洪水なゲリラ豪雨などによって室内フロアよりも上まで水浸しになった車、又は普通では発生しないような錆や汚れなどが発生していることが認められた車を「水没車」と定義しています。
室内フロアとは簡単に言えば車内の床部分で、この部分が水に浸かってしまっている時点でその自動車は水没車であるとみなされ、水没車の規定に則った見積もり基準で見積もりされることになります。
また自動車業界では水浸しになった車に対しては水没車ではなく、「冠水車」と呼んでいます。
水没車は買い取ってくれる?
結論から言えば、水没車であったとしても査定によって価値があると判断され、見積額を出せるような状態であれば業者はお金を支払って買い取ってくれます。
ただし水没車(冠水車)は水没車独自の規定に従った見積もりが行われるので、通常の中古車よりも割り引いて見積もりされており、
- ・具体的にはどの部分まで浸水していたかによって割引率が決められていて、フロアまでなら30パーセント未満の割引率
- ・クッション(座席)上部までなら40パーセント未満の割引率
- ・車体全体が完全に水に浸かっている場合は50パーセント以上の割引率
以上のような割引率で見積もりされることになります。
水没車が売れる理由
水没車と同様に廃車も買い取ってもらうことができますが、廃車や水没車として認定される自動車のなかには、エンジンも損傷してしまって車としては使いものにならないと判断されるようなものも含まれています。
ですが先に触れたようにたとえ廃車や水没車であってもわざわざお金を出して引き取ってくれる業者は存在するのです。
何故廃車や水没車であってもお金を払って買い取ってくれるのでしょうか?
自動車は鉄の塊です。
たとえ自動車としては使いものにならないとしても、然るべき処置をして鉄の塊にすればその用途は無限大なので、必要とする企業が買い取ってくれます。
また、車として走らないとしても、各パーツ毎にネット通販などで販売して収益化するなど、たとえ廃車であっても利益を生み出すことができるため、お金を出して買取をする業者が存在するのです。
そしてもうひとつ、廃車や水没車は海外で需要があります。
特にまだ交通が整備されていない後進国で需要が高く、ハイエースやキャラバンといった日本では商用車として使われている車がタクシー代わりの車として大人気です。
また、日本製の車は現代でも高性能で壊れにくいと海外で信頼度が高いというのも日本製の廃車が海外で需要が高い理由のひとつになっています。
以上のように水没車であってもさまざまな用途があるため買い取ってもらえるのですが、水没車は車体又は車内が濡れてしまっているため、買取後の状況は廃車処分された車とは少し変わってきます。
クッション上部まで浸水してしまった車はパーツの大部分が濡れてしまっており、エンジンもダメージを受けていて、修理ができません。
したがってスクラップにして鉄として売却することになります。
一方でフロアまでしか浸水していない場合、ほとんどのパーツがダメージをそこまで受けていないので、パーツ毎に売ることも可能ですし、少し整備すれば海外に売却することもできると、一気に用途が広がります。
車が水没してしまったときの対処法
駐車している車が水没してしまった場合はそのまま業者に買取依頼をして運搬してもらえばよいですが、もし運転中に水没してしまった場合、適切に対処しなければ自分自身の身も危うくなってしまいます。
あらかじめ対処法を知っておけば、万が一愛車が水没してしまったときも慌てずに対応できるでしょう。
まずは車から脱出することを最優先に!
走行中、突然の雨で乗っている車が浸水してしまったら、まずは車から出ることを最優先に考えましょう。
川などが冠水してしまうとあっという間に水位が上昇してドアが開かなくなってしまいます。
車が水に浸かるととにかく車を水から逃がすことを真っ先に考えてしまいますが、閉じ込められると更に大変な状況になるので、とにかくドアが開く水位の間にドアを開いて車から離れるという行動を取るようにしてください。
ドアが開かなくなったら窓を開けて脱出できないか試みます。
もし窓も開かなくなったら、逆に車内と外の水位が同じくらいになるまで待ちましょう。
外と社内の水位が同じになると、圧力の差がなくなってドアを開きやすくなります。
水没後の注意点
水没車はひとまず電気系統が濡れている状態でエンジンをかけるとショートする恐れがあるのでエンジンをかけてはいけません。
エンジン内でショートを起こすと車両火災が発生して大変な事になってしまいます。
いち早く水たまりから離れたい気持ちはわかりますが、ここは冷静になって車をそのままにし、しかるべき対処をするようにしましょう。
レッカー車の手配
とはいえ、水没した車をそのままにはできないので、とにかく車を安全な場所にいどうさせなければなりません。
JAF、あるいは民間の自動車保険に加入しているのであれば保険会社に連絡しましょう。
連絡するとレッカー車で車を運んでくれるはずです。
水没車の運搬先は整備工場またはディーラーになるでしょう。
ディーラーや整備工場では車の状態を確認し、修理して乗ることができるかどうかを説明してくれます。
その説明や修理する際の見積もりなどを見て、整備して乗り続けるか売却するかを決断しましょう。
保険の確認
もし修理して再び乗るのであれば、水没が保険適用になっていないか、自分が加入している自動車保険を確認します。
車両保険に入っているのであれば水没して修理が必要となった際に保険が適用される可能性がありますが、車両保険に加入していないのであれば、保険適用となるものはほぼないでしょう。
水没車はどこで買い取ってくれるの?
水没車も廃車と同様に買い取ってくれることは判明しましたが、水に浸かった車を買い取ってくれる業者についての知識がなければ自分の車が万が一水没してしまった際に正しく手続きをすることができません。
本項目で水没車を買い取ってくれる業者について詳しく解説していきます。
水没車は中古車買取業者または廃車買取業者で買い取ってくれる
水没車は中古車買取業者又は廃車買取業者に依頼することで買い取ってくれます。
ですが水没車を状態によって買い取ってくれる業者が異なる点には注意が必要です。
具体的にはエンジンが水に浸かってしまっているかどうかで水没車を買い取ってくれる業者が変わります。
エンジンに損傷がなければ中古車買取業者
水浸しになったのがフロアまでに留まっているのならば中古車買取業者に買取を依頼しましょう。
水没車なのに普通の中古車買取業者に買取を依頼して大丈夫なのかと不安になってしまうかもしれませんが、浸水がフロアまでに留まっているならば、大部分のパーツが損傷を受けていない状態です。
特に車の心臓部にあたるエンジンはフロアよりも上部に取り付けられている場合がほとんどなので、整備さえすれば車は普通に走ります。
日本国内で需要がないとしても、海外の後進国などに向けて出品すれば買い取ってくれる可能性は高いでしょう。
したがって、中古車買取業者に買取を依頼しても問題なく見積もりしてもらえるケースが大半です。
エンジンも水に浸かっているなら廃車買取業者
浸水がフロアよりも上、クッション部分まで完全に浸水してしまっていると、エンジンも濡れていると思っておいた方がよいでしょう。
したがって中古車買取業者に買取を依頼しても断られてしまいます。
エンジンまで水に浸かってしまっている可能性が高い水没車は廃車買取業者に買取を依頼しましょう。
廃車買取業者は分解するか、プレスしてスクラップにしてしまうなど、車を原型を留めない形にして利益を得ています。
したがって、エンジンが浸水して使いものにならなくなったとしても問題なく見積もりをしてくれます。
買取までの流れと高く買い取ってもらうためのコツ
水没車は中古車買取業者又は廃車買取業者が買い取ってくれることについて解説しました。
ここからは具体的に水没車を買い取ってくれるまでの流れについて解説します。
買い取ってくれるまでの流れを把握しておくことで事前に必要なものを準備でき、スムーズに買取を進めていくことができるでしょう。
水没車を買い取ってもらうまでの流れ
水没車の買取までの流れとしては、見積もりして買い取ってくれる業者を選び、買取先が決まったら実際に見積もりをしてもらう日程を調整します。
日程を決める際に業者から説明があると思いますが、水没車を売却する際には必要となる書類がいくつかあるので、見積もり当日までに書類を準備しておかなければなりません。
見積もり当日になったら買取業者が実際に水没車を目で見て買取金額を算出、金額に納得がいけば買取の契約を結び、車と書類を引き渡します。
水没車を高く買い取ってもらうためのコツ
せっかく売却するのであれば、少しでも高く買い取ってほしいと思うものです。
ここでは水没車を高く買い取ってくれるための秘訣を3つご紹介します。
水没した車はできるだけ早く売る
水浸しになった車は時間が経過すればするほど劣化が進みます。
現状では特に見た目に問題がない場所でも、サビが発生してしまって中の機械や部品がどんどん損傷して使いものにならなくなってしまうと価値が下がってしまうのです。
水没車を放置してもメリットが何もないので、愛車が水浸しになった場合はできるだけ早めに売却するようにしましょう。
車を正確な情報を提供する
愛車を正しく見積もりしてもらうためには、こちらも業者に対して正しく情報を伝えることが重要です。
特に水没車を見積もりしてもらう際は、水浸しになった時の状況や被害度合いなどを正確に伝えられるかどうかが売却額に大きく影響します。
もちろん水浸しになったときの状況だけではなく、年式、型式など基本的な情報も伝えられるようにしておかなければなりません。
見積もり当日までに車の情報をメモなどにまとめておくとよいでしょう。
業者に車の正確な情報を知ってもらうためには車検証を準備するのが一番です。
とはいえ、車検証はダッシュボードなど車内に保管していることが多く、車が水没してしまうと一緒に車検証も濡れてしまっている可能性が高いです。
しかし内容さえ確認できれば問題ないので、濡れてしまった車検証は乾かすようにしましょう。
自動車税の還付金が査定に含まれているか確認する
見積もりが終わって金額を提示された場合、ついつい最終的な金額ばかり意識しがちですが、見積書の内訳をしっかりと確認しましょう。
ここで特に確認したいのが自動車税の還付金についての記載がなされているかです。
自動車税は1年分を前払いしているので、廃車処理をした際は自動車税が還付されます。
還付金についての記載がない場合は、必ず還付金がどうなっているかを確認しましょう。
まとめ
ここまで水没した車が売却できるかについて解説しました。
たとえ自動車としての機能をまったく果たせないような廃車でもパーツを売却したり、スクラップにして売却したり、整備して海外に売却したりできます。
それと同様に、水没してしまった車でも業者によっては買い取ってもらえることがあるのです。
フロア部分までの水没に留まっていれば中古車買取業者に、フロアより上まで浸水したならば廃車買取業者に買取を依頼しましょう。