車を廃車するときには、ナンバープレートを返却する義務があります。
しかし、2019年に改正された道路運送車両法により、記念に残すことも可能となりました。
この記事では、廃車時の取り扱いや法律上の決まり・ナンバープレートを記念に残すための手続き方法などを紹介します。
廃車するときはナンバープレートの返却義務がある
車を廃車するときには、ナンバープレートの返却が必要です。
法的には、廃車後にそのプレートを使用することは厳禁されています。
この重要な手続きを怠ると、法的に問題が生じる可能性があります。
「知らなかった」では済まされないトラブルに繫がることにもなりかねません。
ここからは、なぜプレートを返却しなくてはいけないのか、廃車した車のナンバープレートはなぜ再利用できないのかを詳しく解説していきます。
車のナンバープレートは原則返却しなくてはいけない
まずはじめに覚えておきたいことは、日本の法律では廃車をした車のナンバーは、原則返却しなくてはならないということです。
これは、廃車した車のナンバーを悪用されないための予防対策として、定められています。
プレートは陸運局から借りているものです。
個人の所有物ではないため、返却手続きをおこなう義務があるということを把握しておくことが大切です。
所有者が正式に廃車手続きを完了し、ナンバーを返却することで、車両の所有権が解消される仕組みです。
ナンバーの返却は、所有権解除の意味も含まれていると考えておきましょう。
一度廃車にした車のナンバープレートは使用できない
一度廃車にした車のナンバーは使用できません。
その理由は、過去の車両情報が混乱するのを避けるためでもあります。
同じナンバーが異なる車両に使用されてしまうと、交通違反や事故などでの識別が混乱し、法的問題が発生する可能性が考えられるからです。
ほかにも、盗難車や犯罪に使用されるリスクを防止することや、所有者情報とナンバーは関連付けられています。
そのため再利用を行うと、前の所有者の情報と新規所有者の情報が、混同される可能性があります。
これを避けるために再利用はできないのです。
引越し当日〜翌日以降に必要な手続き
管轄の運輸支局が変わる場所に引っ越しをする場合は、返却手続きが必要になります。
しっかりと手続きをしていない場合は、トラブルに見舞われる場合も考えられるため注意しておきましょう。
引越し当日から翌日以降に必要な手続きの流れは次の通りです。
ナンバープレートを陸運局へ持参、または郵送する
引っ越しの前であれば、直接陸運局へ持参すると手続きはスムーズに完了します。
窓口で簡単に手続きが行えるため、持参する方法がおすすめです。
しかし、時間が無くて持参できない方もいらっしゃると思います。
そのような場合は郵送で返却手続きを行うことも可能です。
返却手続きには手数料がかかる
返却する場合は、手数料が発生します。
支払い方法は大きく分けて2種類です。
陸運局にナンバーを持参する場合は、窓口で支払いを済ませます。
郵送での手続きでは、指定の銀行口座に振り込んでください。
廃車証明書の提出
廃車証明書の提出も大切な手続きになります。
この証明書は廃車手続きのときに発行されますので、廃車証明書とナンバープレートを一緒に陸運局の窓口、または郵送で返却を行ってください。
廃車時のナンバープレートに関するアンケート調査
国土交通省では、ナンバープレートに関するアンケートを実施しています。
最近では、地方版図柄入りなどの導入についてのアンケート調査などが行われています。
その背景から、廃車時に記念に欲しいと考える方が年々増加傾向にあるのです。
また、国土交通省では一時抹消登録車両の状態確認アンケートなども実施しています。
気になる方は、国土交通省のホームページなどで確認してください。
車検が切れてしまったナンバープレートには返却義務はない
車検が切れていたり、乗らなくなってしまった車のプレート返却義務はありません。道路運送車両法第20条自動車登録番号標の廃棄の項目には、廃車手続きをする場合のみ、返却が義務付けられていると記されています。
ナンバープレートを記念に保管できるのか?
最近では、ご当地ナンバーや希望ナンバーのプレートを取得している方も多くいます。
ご当地ナンバーや希望ナンバーのプレートに思い入れがあり、廃車したあとに返却せず、自分で保管したいと考えている方も多くいらっしゃいます。
原則として廃車時には返却することが定められています。
しかし、記念所蔵制度という制度を利用することで保管することが可能になるのです。
ここからは、記念に保管する方法や、手続きの流れを紹介していきます。
参考にしてください。
廃車時にナンバープレートが保管できるようになったことや、手続きの流れを紹介
今までは廃車時に返却することが義務付けられていましたが、2017年より記念に保管できるようになりました。
そのため思い入れのあるものを、自宅に持ち帰り楽しむことが可能になったのです。
しかし自宅で保管するためには、いくつかの手続きや注意点があります。
ここからは廃車時に保管するために行う方法や、手続きの流れなどを解説していきます。
持ち帰りができることも理解しておきましょう。
廃車時にナンバープレートを記念に保管する方法は?
まずはじめに理解しておきたいことは、記念所蔵制度があるという認識です。
これを知らなければ、思い入れのあるナンバーも通常通りの手続きにより、返却することになります。
記念所蔵制度は、大切な思い出や価値あるものを、専用の場所に保管するための制度です。
管轄の陸運局の窓口で、持ち帰りたいことを伝えることで、手続きもスムーズに進みます。
廃車時にナンバープレートを保管するときの流れ
廃車時にナンバープレートを持ち帰るためには以下の手続きが必要です。
- 1.窓口で、古いナンバーを持ち帰りたい旨伝える
2.破壊申込書を貰い、必要事項を記入後、書類を窓口に提出
3.ナンバープレートのネジ穴の片方を40mm以上に広げる作業を行う
(この作業にはおおよそ300円〜500円の手数料がかかります。
道具を貸出している陸運局もあるため、道具を借りて自分で穴あけを行ってください。
また、必ず事前の申請や所定用紙に一筆記入する必要がありますが、持ち帰って自分で穴あけを行うことも可能です。)
4.穴あけ作業後、手数料納付書に破壊完了印を押してもらう
上記の作業が済んでから初めて持ち帰る許可が降りるのです。
手続き方法や流れを間違えてしまうと、トラブルになることも考えられます。
手順をしっかりと把握しておきましょう。
廃車時にナンバープレートを保管したいときの注意点
自宅にナンバーを持ち帰ることが可能にはなりましたが、保管をするときにはいくつかの注意点があります。
思い出深いナンバーを保管したい方は、法的な手続きを正確に行うことが大切です。
また廃車手続きを済ませ、外す前に所轄の運輸支局へ届け出が必要になります。
保管後も法令を遵守することが大切です。
例えば、保管したナンバーが不正に使用されないようにする配慮も必要になります。
さらに、保管場所は慎重に選びましょう。
湿気や直射日光を避け、劣化や変形を防ぐために適切な環境を整えることが望ましいです。
これらの注意点を考えながら、大切に保存し、思い出に残る形で保管できるように心がけましょう。
新しい車への取付は不可
廃車後のナンバープレートは、新しい車への取付はできません。
理由としては下記の3項目に当てはまるからです。
法的な制約に違反すると大きなトラブルになるので、注意してください。
法的な制約がある
ナンバープレートは、特定の車両に対して発行されているものです。
そのため廃車登録を行ったあとは、新しい車へ取りつける行為は、法的な制約に違反する可能性があるため注意してください。
車両を特定する
ナンバープレートは、車両の特定に使用されています。
車の履歴は所有者の関連する情報と結びついているのです。
新しい車に、同じものを取り付けることは、車両識別の混乱を招く可能性があるので必ず避けましょう。
行政手続きの要件
廃車をしていない車には、自動車税が毎年請求されます。
行政側でも届け出により、税金の計算などをしています。
車両登録やプレートの交換は行政の手続きも行わなくてはなりません。
勝手に取付をすることは禁じられているため、新しい車に取り付けたい場合は、行政側にも手続きの相談をする必要があります。
手続きをする際は、適切に行う必要や書類作成なども手間がかかると覚えておきましょう。
破壊措置をしていないナンバープレートは持ち帰れない
破壊措置をしていないものは、原則持ち帰れないことになっています。
その理由として上記で述べたような、再利用防止や防犯対策などです。
破壊措置と聞くと、思い出のナンバープレートが壊されてしまうイメージを持たれることが多いですが、実際には、ねじ穴のどちらか片方を大きく開けるだけの作業になります。
廃車時の保管手続きを行えるのは所有者のみ
ナンバープレートを記念として持ち帰る手続きが行えるのは、車の所有者のみになります。
所有者名義がディーラーや販売店になっていないかを確認することも大切です。
車検証に所有者名義は記載されていますので、事前に調べておきましょう。
廃車時にナンバープレートを返却したい場合
ナンバープレートを持ち帰らず、返却したいと考えている方もいらっしゃると思います。
ここでは、廃車時に返却する方法や必要な書類などをお伝えしていきます。
参考にしてみてください。
廃車時の保管手続きを行えるのは所有者のみ
車を廃車にする場合、その手続きは車の所有者のみが行うことになっています。
所有者であることを確認するためには、車検証を確認するか、運輸支局や自動車検査機関に所有者を証明する書類の提出が必要となります。
廃車時にナンバープレートを返却するには
廃車手続きを行う際に、返却したい場合は、窓口で手続きをする時に、返却したい旨を伝える必要があります。
ナンバープレートの返却方法は、車両の使用停止が確認された後に行われる流れです。
廃車時にナンバープレートを返却する場合の必要書類
廃車と同時にナンバーを陸運局に返却する場合、いくつかの書類が必要になります。車両の登録証明書や所有者を証明する身分証明書などがあれば、スムーズに手続きは完了しますので、持参しておきましょう。
万が一のことを考えて、印鑑も持参しておくと安心です。
廃車時にナンバープレートを返却する場所
返却は、車両を登録した地域の運輸支局や自動車検査機関で行います。
手続きを行う前に、電話などで確認しておくと手続きはスムーズです。
また、一部の地域では、指定された提携業者を通じても手続きが可能な場合があります。
心配な方は、登録した地域の陸運局に問合せをしてみましょう。
廃車したナンバープレートを悪用されるリスクとその対策
廃車したものは、しっかりと保管する必要があります。
記念に取っておいたナンバーを盗まれたり、悪用されたりするリスクが高いからです。
そこでここでは、悪用されるリスクとその対策法について紹介していきます。
無許可営業や違法運転などの犯罪に使用される
廃車したナンバーが、盗難により無許可営業や違法運転に悪用されることがあります。
これを防ぐためには、返却時に、正確な手続きを踏み登録解除を確実に行うことが大切です。
盗難された場合は、警察や関連機関に通報することで不正利用を未然に防げます。
盗難車や事故車のナンバープレートと入れ替えられる
盗難車や事故車に悪用される可能性も考えられます。
対策としては、返却が確実に行われたことを確認し、証明書類を保管しておくことが必要です。
また、定期的な確認を行い、不審な活動がないかを監視することも重要です。
これらの対策を知っておくだけでも、トラブルを未然に防ぐことができます。
まとめ
廃車するには、ナンバープレートを返却する義務があります。
しかし、2019年の法改正により記念に残すことも認められるようになりました。
残すためには、プレートに直径4cm以上の穴を開けるなどの破壊措置を行う必要があります。
残す場合には盗難や紛失に注意して保管することも大切です。
ナンバープレートの悪用を防ぐためには、穴を開ける・廃棄する・管理するなどの対策を行いましょう。