「事故に遭って車をレッカーしないといけない」
「故障した車をディーラーに運んでもらいたい」
車を所有している方は、上記のように悩んでいませんか?
予想外の事故や故障でレッカーをお願いする機会が少ないと思われがちですが、実はレッカーを利用する方は比較的多いのが現状です。
そこで本記事では、レッカーをお願いするときの流れから注意点、依頼できる業者まで紹介します。
車はどういったときにレッカーするの?
車のレッカーをお願いするときは、車が自走できない状態となったときです。
自走不可といっても、さまざまなシーンが存在します。
ここでは、レッカーはどういったときに必要になるのかシーン別に紹介します。
レッカーが必要なシーンは以下のとおりです。
事故で動かない場合
交通事故などで車が大きく損傷して不動になった場合、レッカー手配が必要です。
このような自走不可となる場面は、「走れるか」「止まれるか」「曲がれるか」によって判断されます。
たとえば、自走できるからといって冷却水やブレーキオイルが漏れたり、部品が外れてほかの方たちを妨害したりするような状況だと、自走できないと判断されます。
別の事故につながる可能性もあるため、必ず自走できると判断されない場合は無理に動かすことは避けましょう。
故障やタイヤがパンクした場合
故障やタイヤのパンクも自走不可となるため、レッカーをお願いすることになります。
こちらも先ほどと同様に、自力で修理工場やカーショップへの移動が困難になると同時に、別の事故につながる可能性もあるため、無理に動かすことはやめましょう。
ただし、スペアタイヤを持っている場合は、ロードサービスなどでタイヤ交換が可能です。
走行可能でも保安上に問題が生じる場合
自走しない状態である「走れるか」「止まれるか」「曲がれるか」ができても、保安上の問題が生じた場合、レッカーが必要になります。
保安上の問題とは、ウインカーが作動しない、ドアが開かない、ハンドルが正常に動かないなどが挙げられます。
これらの問題は、道路交通法第62条の「整備不良車両の運転の禁止」の定めにより決まっていることです。
もし動かすと罰金の対象となることに加えて、別の事故に繋がる可能性もあるため、動かすことは避けておきましょう。
駐車違反車を移動させざるを得ない場合
駐車違反車の場合、強制的にレッカー移動させられます。
なぜなら、駐車違反車が道路交通安全の妨げとなるため、警察が所有者の許可なく移動できるからです。
これは、道路交通法第51条の規定により定められていることです。
そのため、駐車違反車は、自走できるできないに限らず、レッカー移動しないといけません。
仮ナンバーを取得している場合
自宅に長期間放置してあった車を動かしたいといった方も多いと思います。
しかし、このとき車検切れの車であれば、レッカーで移動させることはできません。
それは、道路運送車両法違反により車検切れの車は、公道を走れないことになっているからです。
しかし、仮ナンバーを取得している場合に限っては、レッカーで移動させられます。
ただし、最長で5日間だけとなりますので、この場合は早めにお願いするようにしましょう。
故障車・不動車を廃車・売却したい場合
故障車や動かない車を廃車、売却したい場合でも、レッカーサービスを手配できます。
しかし、廃車や売却の場合は、廃車専門業者や買取専門業者に依頼となる場合が多いです。
なぜなら、廃車したり売却したりするためのレッカー手配は対象外となっているからです。また、廃車専門業者や買取専門業者は、サービスの一部として無料で行なってくれることが多いため、そちらに依頼する方がお得となるからです。
加えて、保険会社によっても無料サービスしてくれるところもありますので、一度確認するのも良いでしょう。
故障した車をレッカーする流れを解説
実際にレッカーを手配する手順は、どのように踏めば良いのでしょうか?
ここからは、故障車をレッカーする流れを紹介します。
レッカー手配の手順は以下のとおりです。
①事故の場合は、先に人命救助や2次災害に備える
レッカーをお願いする一番多い理由は、事故したときではないでしょうか。
事故の場合は、レッカーを手配する前に、先に人命救助や2次災害に備える方が重要です。そのため、警察や消防へ連絡することが第一となります。
また、事故した車が炎上してしまったり、後続車が事故に気づかず追突してきたりするなども考えられます。
警察や消防へ連絡した後は、二次災害に備えて離れた位置で待機するようにしてください。
待機するときは、車内から貴重品を忘れず持ち出してください。
特に車の鍵や車検証は、その後必要となりますので必ず持ち出しましょう。
また、余裕がある場合は、事故した車を写真に収めておくなどしておくと、その後の交渉などに役立ちます。
②レッカー業者や保険会社に連絡する
安全な場所に待機できたら、レッカー業者や保険会社に連絡します。
このとき、車両保険のロードサービスが活用できる場合は、保険会社へ連絡します。保険会社は、自社が保有しているレッカー業者へ手配することが大半です。
そのため、先にレッカー業者へ連絡してしまうと、保険適用されなかったり、全額保証されないといったことが起こります。
なお、車両保険のほとんどがロードサービスが付いていますが、保険会社によって異なってきますので必ず確認しましょう。
③業者到着後は指示に従う
業者が到着後は指示に従ってください。
基本的にレッカー業者が到着した後は、こちらでできることは何もありません。
余計なことはせず、指示に従いましょう。
このとき、車検証や車の鍵を渡すことになりますので、忘れず渡すようにしてください。
また、ディーラーや修理工場などへの運ぶ場所も伝える必要があるため、決まっている場合は業者に伝えましょう。
決まっていない場合は、自分で調べるか保険会社に相談するのもおすすめです。
④修理や廃車などを選択し依頼する
レッカーによりディーラーや修理工場に運んだ後は、修理もしくは廃車などを選択し依頼します。
修理もしくは廃車などの依頼は、事故の状況や車両保険の内容によって異なってきますので、必ず確認や比較してから依頼するようにしましょう。
依頼できる業者は?
レッカーが可能な業者はJAFや自動車保険のロードサービス、廃車買取業者などがあります。
しかし、業者によって、内容やその後対応が異なってきますので、確認しておくのが良いでしょう。
まず、レッカーを依頼できる業者は以下の3つです。
- ・JAF
・自動車保険のロードサービス
・廃車買取業者
それぞれの特徴を解説します。
JAF
JAFは、「JAPAN AUTOMOBILE FEDERATION」の略で、正式名称は一般社団法人 日本自動車連盟です。
JAFと聞くと「レッカーといえば」と呼ばれるくらい有名なところではないでしょうか。
JAFは会員になることで、レッカーサービス(15kmまで)やバッテリー上がりの対応、パンク応急処置などが無料で受けられます。
また、非会員であっても同じようなサービスを受けられますが、すべて有料になることと、混雑時は後回しとなりますので注意しましょう。
ちなみにJAFは、代車やレンタカーの用意は行なってくれません。
そのため、レッカーされた後の移動は、自分で用意する必要があります。
自動車保険のロードサービス
自動車保険のロードサービスでもレッカーの依頼ができます。
自動車保険には、ほとんどの場合ロードサービスが付いており、保険会社経由でレッカーを手配してくれます。
ただし、保険会社によっては、オプション加入のロードサービスやプランによって回数や距離に限度があります。
気になる方は事前に確認しておくと安心です。
解体予定の車なら廃車買取業者にレッカー依頼
自宅に長期間放置してある車を解体もしくは廃車したいなら、廃車買取業者に車の搬送をお願いするのがおすすめです。
廃車買取業車は、サービスの一部としてレッカー移動を無料で行なってくれる業者も豊富にあります。
また、ほかでは値段が付けられない車でも買取できる場合もあり、廃車を依頼したい場合にお得にできることも多いです。
ただし、修理したい場合は依頼できませんので、注意してください。
修理したいなら出張整備サービスもおすすめ
車の修理をしたい場合は、出張整備サービスもおすすめです。
出張整備サービスは、自宅まで整備士が来てくれ車の修理を行なってくれるサービスです。
手間と時間をかけて、手配や持ち込みをする必要がなくなるため、「車を修理したいけど時間がない」「レッカー代を浮かせたい」といった方におすすめのサービスとなります。
修理をしたい方は、出張整備サービスに依頼するのも良いでしょう。
レッカー業者の選び方や手配する際の注意点
レッカーは、トラックなどで車を引っ張りながら移動させます。
そのため、できれば傷つかないよう運んで欲しいところですよね。
そこで、ここからはレッカー業者の選び方や注意点を紹介します。
レッカー業者の選び方
レッカー業者の選び方は、JAFか保険会社で選ぶことがほとんどです。
JAFの場合、レッカー専門の業者であるため、信頼性や安全性を疑うことなく依頼できます。
しかし、保険会社の場合、どの業者を選択するかは保険会社次第となり、私たちに選ぶ余地はありません。
つまり、保険会社を選んだ時点でレッカー業者も決まってしまうということです。
そのため、個人でお願いできる業者がいれば別ですが、私たちが選べるのはJAFか保険会社だけとなります。
どうしても劣悪なレッカー業者に当たりたくない方は、個人で依頼できるところを探しておくのが良いでしょう。
レッカー業者を手配する際の注意点
基本的にレッカーを依頼するときは、自ら手配する必要があります。
しかし、いくつかの注意点に気をつける必要があります。
レッカー車が来るまでの時間と受付時間
レッカー車が来るまでの時間は、到着までに約50分前後かかると言われています。
ただし、現場までの混み具合や距離によってはこの限りではありません。
また、ロードサービスは全国に拠点があり、拠点の数によって到着する時間が異なってきます。
ロードサービスの拠点が多い地域は比較的早く到着しますが、少ない場合は時間がかかってしまうこともあるようです。
受付時間は、基本的に24時間対応できます。
これは、交通事故や故障がいつ起こるかわからないためであり、いつでも出動できるように準備が必要であるからです。
無料のレッカーの場合は距離限度がある
レッカーサービスは、車両保険のロードサービスやJAFの会員であれば、無料で手配できます。
しかし、無料といっても距離に限度があるため注意が必要です。
たとえば、JAFの場合だと無料で運搬できる距離が15kmまでと決まっており、それ以上の距離となると1kmごとに730円(税込)かかってしまいます。
さらに、作業が必要となった場合も30分以上の作業時間となると、1時間ごとに950円がかかります。
これは、ロードサービスを利用したときにも「◯kmまで」と定めている場合がありますので、自動車保険に加入するときは必ず確認しましょう。
緊急の場合は近辺のレッカー会社に依頼
事故などにより車の移動が必要となったとき、警察から「緊急退避」が必要と言われることがあります。
緊急退避とは、事故などによりすぐに車の移動が必要と判断されたときに行なわれることです。
緊急退避が必要とされる際には、保険会社からのレッカー手配はできません。
そのため、事故現場近辺のレッカー業者へお願いすることになります。
このときの費用は基本的に実費負担となりますが、事故と関係すると保険会社が判断できれば、支払われたお金は保険会社から返却されます。
相手の車はレッカー不可
レッカーを使用したいとき、自分が乗っていた車以外を運搬することはできません。
それは、自分が自動車保険に加入していても、JAFの会員であってもできないこととなっています。
そのため、交通事故を起こした相手の車は、相手の方がレッカーをお願いする必要があることを覚えておきましょう。
車検切れしている車はレッカーできない
車検切れしている車はレッカーできません。
これは、道路運送車両法違反により、車検切れの車は公道を走れないことになっているからです。
もし、自宅に車検切れしている車があって、どうしても移動させたい場合は仮ナンバーを取得してから運搬をお願いしましょう。
もしくは、廃車する予定がある方は配車買取専門業者に依頼するのがおすすめです。
悪質なレッカー業者に注意
レッカー業者には、一部悪質な業者もいます。
たとえば、ホームページには低価格で表示されていたにもかかわらず、実際に依頼すると高額な料金を請求されトラブルに発展したといったことが起こっています。
もし、高額な料金を請求された場合は、補償されても全額カバーされないこともあるため、十分に注意しましょう。
廃車の場合はロードサービス利用不可
長期間利用していなかった車などを廃車する場合、その車をレッカーなどで運搬することは不可となっています。
基本的にレッカーは、自宅で動かなくなった車を移動させるのは対象外です。
ただし、保険会社によっては廃車する車にも対応している場合があるため、確認しておくのが良いでしょう。
もしくは、廃車専門業者に依頼することもおすすめです。
廃車専門業者なら無料で運搬してくれ、加えて動かない車でも買い取ってもらえる可能性があるため、そちらに問い合わせてみるのも良いでしょう。
レッカーする費用の相場と費用を抑える方法
ここまで、レッカーを依頼するシーンや、流れ、選び方などを紹介してきましたが、実際に依頼した場合の料金はどのくらいが相場なのでしょうか?
ここからは、レッカーする費用の相場と費用を抑える方法を紹介します。
レッカーする費用の相場
レッカーする費用は、「基本作業料」「移動距離」「時間帯」「場所」によって決まります。
基本作業料の相場はおよそ10,000〜15,000円です。移動距離、時間帯、場所の相場は、現場や時間帯が異なってくるため一概には言えませんが、およその総額は20,000〜30,000円と言われています。
つまり、現場が遠いことに加えて、時間帯が夜間などになると、総額が高くなるというわけです。
上記の料金以外にも、部品や燃料代や車の引き上げ作業など、別途作業や部品代が必要になった場合は「別途作業工賃」がプラスされます。
ただし、JAF会員や手厚い補償がある車両保険に加入している場合は、上記の値段よりも低価格で依頼できます。
以下で3つのシーンに分けた、それぞれの相場を見ていきましょう。
一般道路の場合
一般道路の場合、先ほど紹介した基本作業料10,000〜15,000円に移動距離、時間帯、場所がプラスされた料金となります。
以下に例を挙げてみます。
【基本作業料10,000円、移動距離20km、夜間帯、別途作業工賃なしの場合】 15,000円(夜間帯料金含む)+(移動距離1km730円×20km)=29,600円 ※基本作業料、移動距離料、夜間帯料金などは、およその料金となっており、依頼する業者によって異なります。 |
上記は、基本作業料に夜間帯料金がプラスされた料金となります。
高速・専用道路の場合
高速道路や専門道路の場合は、基本作業料や移動距離、時間帯に加えて「場所」が加わります。
こちらも例に挙げてみます。
【基本作業料10,000円、移動距離10km、昼間帯、別途作業工賃なし、高速道路の場合】 18,000円(場所代含む)+(移動距離1km730円×10)=25,300円 ※基本作業料、移動距離料、夜間帯料金などは、およその料金となっており、依頼する業者によって異なります。 |
高速道路の場合は、一般道路と比べて場所代として基本作業料が高くなることがわかります。
JAFに依頼した場合のレッカー費用
JAFに依頼した場合のレッカー費用についてもみていきましょう。
JAFに依頼した場合の費用は、会員なのか非会員なのかによって異なってきます。
以下に表にしてみました。
料金 | 会員 | 非会員(昼間帯) | 非会員(夜間帯) |
基本料 | 無料 | 8,380円(税込) | 10,480円(税込) |
作業料 | 5時間まで無料
工数の定めのない作業は30分以内無料 |
1時間950円 | 1時間950円 |
移動費 | 15kmまで無料
15km以降は1kmごとに730円(税込) |
1kmごとに730円(税込) | 1kmごとに730円(税込) |
そのほか作業費や燃料費など | 実費(消費税含む) | 実費(消費税含む) | 実費(消費税含む) |
上記のようにJAFは、基本料金と作業料金が別々となっています。
また、表からも分かるように、会員と非会員では、10,000円ほどの差が出てくることがわかります。
費用を抑える方法
ここまでレッカーにかかる費用を見てきましたが、できれば費用を押さえて依頼したいと誰もが思うことでしょう。
そこで、費用を抑える方法についても紹介します。
費用を抑える方法は主に以下の3つです
JAFの会員になる
先ほども紹介したように、JAFの会員になっておけば非会員よりも10,000円ほど安く依頼できます。
また、JAFの会員は、自分の車だけでなくほかの方から借りた車でも会員証さえ見せれば会員料金で依頼できます。
ただし、移動費が15kmまで無料ですが以降は料金がかかってくるため、旅行先など長距離移動となった場合は、費用がかさむことを忘れないようにしましょう。
ちなみにJAFの会員費は年間2,000円です。
急なトラブルに困りたくない方は、加入しておけば安心できます。
サービスが良い自動車保険に加入する
サービスの良い自動車保険に加入することも費用を抑えるコツです。
基本的に自動車保険には、無料で利用できるロードサービスが付いています。
保険によっては100kmまで無料や20万円まで無料といった手厚いサービスが付いているものもあります。
ただし、JAFとは異なり契約者の方しか利用できません。
また、自宅に長期間置いてある車を廃車もしくは買取したいなどには、対応できませんので注意が必要です。
評価の高い修理業者を見つけておく
普段から修理やメンテナンスを依頼している修理業者がいる場合は、そちらにお願いするのがおすすめです。
間柄にもよるかもしれませんが、場合によっては安い料金でレッカーの手配を行なってくれます。
絶対ではないかもしれませんが、費用を押さえたいなら見積もりだけでも聞いてみても良いでしょう。
まとめ
本記事では、レッカーが必要なシーンや流れ、注意点、依頼業車などを紹介してきました。
レッカーを手配する流れは以下の通りです。
- ①事故で故障した場合は、先に人命救助や二次災害に備える
②レッカー業者や保険会社に連絡する
③業者到着後は指示に従う
④修理や廃車などを選択し依頼する
また、レッカーを手配する場合、到着までの時間や無料距離制限があることや、廃車する車には利用できないことも覚えておきましょう。
レッカー費用を押さえて手配したい場合は、JAF会員になるか、サービスの良い自動車保険の加入などがおすすめです。
レッカーの手配が必要になったときは、本記事の内容を参考に安全かつお得に手配してくださいね。