車の所有者が変わったり苗字が変わったりした場合には、車検証の名義変更が必要です。
決められた期間内に名義変更の手続きを行わなければ、道路運送車両法違反により厳しい罰則を課せられることもあり、スムーズな対応が求められます。
しかし、いつまでに名義を変更しなければならないのか、どのような流れで行うのか、費用はかかるのかなど疑問を抱えている方も多いでしょう。
本記事では、車検証の名義変更が必要になるケースや変更手続きまで、詳しく解説していきます。
必要な手順を覚えておき、
車検証の名義変更について
まずは、どのような場合に車検証の名義変更が必要になるのかを解説していきます。
名義変更を行う場所や、費用と時間も紹介するため一緒に確認しておきましょう。
車検証の名義変更が必要な場合
車検証の名義変更が必要な場合は、以下のとおりです。
- ・車の譲渡があった場合
・車を相続した場合
・ローンを完済した場合
・結婚に伴い名字に変更がある場合
それぞれのケースを解説していきます。
車の譲渡があった場合
家族や友人から車を譲り受けたり、個人間で取引を行ったりするなどの経路で車を入手した際には、必ず車検証の名義変更が必要になります。
反対にあなた自身が相手に車を譲った、個人間のやり取りで車を売ったなどの場合であっても、同様に名義変更を行わなければなりません。
身内同士の場合でも、忘れずに名義変更を行いましょう。
車を相続した場合
車を相続した場合も、車検証の名義変更をしなければなりません。
たとえば、親から子へ車を相続する場合が該当します。
相続人が自分だけか、自分以外にも相続人がいるのかどうかで、名義変更の手続きが必要書類が異なります。
揃えるべき書類はチェックしておきましょう。
ローンを完済した場合
ローンを完済した場合も、車検証の名義変更が必要です。
車の購入時にローンを組んだ場合は、所有者は自分からローンを設定している信販会社やディーラーになります。
ローンを完済したとしても、自動的に所有者が自分になるわけではありません。
そのため、ローン完済後は速やかに名義変更を行いましょう。
車の所有権が自分以外にあると、車の売却もできないため注意が必要です。
結婚に伴い名字に変更がある場合
結婚に伴い名字が変更となった場合も、車検証の名義を変更する必要があります。
車の所有者が自分のままであっても、名字が異なれば今後の手続きに支障をきたす恐れがあるからです。
とくに保険に関する手続きが複雑になるリスクが生じるため、忘れずに行うことが重要です。
なお、結婚をきっかけに引っ越しをしたという場合には、住所変更も必要になるため注意しましょう。
車検証の名義変更を行う場所
車検証の名義変更を行う場所は、普通車と軽自動車で異なります。
普通自動車の場合は、その車を使用する本拠地を管轄している運輸支局か自動車検査登録事務所へ、軽自動車の場合は軽自動車検査協会で名義変更の手続きをしましょう。
いずれの場所も窓口の受付時間が平日16時となっている場合がほとんどのため、時間の確保が難しいという方は業者に代行を依頼することをおすすめします。
車検証の名義変更にかかる費用
自分で名義変更の手続きを行う場合、かかる費用は「運輸支局などに申請する際の手数料(350円)」と「住民票の写し(300円)」の2つです。
住民票の写しはマイナンバーカードの記載がないものを取得しなければならないため、もし間違えて発行してしまった場合は再取得のために料金がかかってしまうので注意が必要です。
地域によっては住民票の発行手数料が異なるため、不安な場合はお住まいの役所HPを確認しておくと安心です。
なお、マイナンバーカードを利用してコンビニで住民票の写しを交付してもらう場合は、多少費用を抑えることが可能なので活用すると良いでしょう。
さらに、名義変更と同時にナンバープレートの変更も行いたい場合は、その手数料も必要になってきます。
ナンバープレートの変更費用は種類によって異なりますが、1,400~5,000円ほどになります。
業者に代行依頼する場合は、上記に加えて代行手数料もかかります。
代行手数料は業者によって異なるため、事前に確認してもらうと良いでしょう。
車検証の名義変更にかかる時間
運輸支局で車検証の名義変更を行う場合、通常は30分~60分程度ですが、時期や混雑具合によって大きく変動します。
朝であれば比較的空いているため、スムーズに手続きを終えられるかもしれません。
一方、年度末や繁忙期になると混雑してしまい、2時間以上かかるケースもあります。
なるべく早く手続きを済ませたい方は、時間に余裕を持って運輸支局へ行くと良いでしょう。
車検証の名義変更に必要な書類
車検証の名義変更を行う際に必要な書類は、手続きをするのが業者か自分か、普通自動車か軽自動車かで異なります。
ここでは、車検証の名義変更に必要な書類をご紹介していきます。
業者に依頼する場合
ここでは、業者に依頼して車検証の名義変更を代行してもらう場合に必要な書類をご紹介します。
なお、所有者と使用車が同じ場合をご紹介します。
普通自動車
普通自動車の車検証の名義変更は、旧所有者と新所有者でそれぞれ必要な書類があります。
新所有者が必要書類は、以下のとおりです。
- ・移転登録申請書(第一号様式、実印を捺印したもの)
・車検証(有効期間内のもの)
・自動車税申告書(窓口で入手可能)
・手数料納付書(自動車検査登録印紙を貼付)
・委任状(実印の捺印が必要)
・印鑑証明書(発行から3か月以内)
・自動車保管場所証明書(約1ヶ月以内)
旧所有者が必要な書類は、以下のとおりです。
- ・譲渡証明書(実印の捺印が必要)
・印鑑証明書(発行から3か月以内)
・委任状(実印の捺印が必要)
ほかにも、管轄地域が変わる場合はナンバープレートも必要です。
軽自動車
新所有者が必要書類は、以下のとおりです。
- ・自動車検査証記入申請書(軽第1号様式)
・車検証(有効期間内のもの)
・軽自動車税申告書(窓口で入手可能)
・ナンバープレート(管轄変更にはナンバープレート代が別途必要)
・申請依頼書(捺印不要)
旧所有者が必要な書類は、以下のとおりです。
- ・申請依頼書(捺印不要)
自分で行う場合
業者に代行せずに、自分で名義変更を行う場合に必要な書類を解説していきます。
なお、所有者と使用車が同じ場合のケースを紹介します。
普通自動車
新所有者が必要書類は、以下のとおりです。
- ・移転登録申請書(自動車検査証変更記録申請書)
・車検証
・自動車税申告書
・手数料納付書
・実印
・印鑑証明書(発行から3か月以内)
・自動車保管場所証明書(約1ヶ月以内)
旧所有者が必要書類は、以下のとおりです。
- ・譲渡証明書(実印の捺印が必要)
・印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
・委任状(実印の捺印が必要)
軽自動車
新所有者が必要書類は、以下のとおりです。
- ・自動車検査証記入申請書(軽第1号様式)
・車検証(有効期間内のもの)
・軽自動車税申告書(窓口で入手可能)
旧所有者が必要書類は、以下のとおりです。
- ・申請依頼書(捺印は不要)
それぞれの事情に合わせた書類を用意しましょう。
車検証の名義変更の手続き
車検証の名義変更は運輸所局で行う場合と業者に依頼する場合で、手続きの流れが異なります。
それぞれのケースに分けて、詳しく解説していきます。
運輸支局で自分で行う場合
自分で名義変更を行う場合は運輸支局へ行く必要がありますが、どこの運輸支局でも手続きができるわけではありません。
必ず自分が住んでいる地域を管轄する運輸支局で手続きを行いましょう。
また、運輸支局は国土交通省の行政機関のため、車検や自動車ナンバーの登録といった手続きも運輸支局で行われます。
運輸支局で自分で行う場合の手続きの流れは、以下のとおりです。
- 1.必要書類を用意する
2.新たな管轄地域の運輸所局へ行く(ナンバーを変更する場合は、車の持ち込みも必要)
3.申請書点手数料納付書を窓口で入手する
4.申請書を作成する
5.手数料分の印紙を購入し、申請書に貼り付けて提出する
6.新しい車検証の交付を受ける
7.自動車税・自動車取得税を申告する
管轄地域が変わる場合には、さらに下記の工程も必要となります。
- 1.ナンバー返納窓口に古いナンバープレートを返納する
2.新しいナンバープレートを購入し、車に取り付ける
3.車検証と自動車の同一性をチェックされ、リアナンバーに捺印される
4.手続きが完了
必要な手続きを事前に確認しておきましょう。
業者に代行依頼する場合
運輸支局や軽自動車検査協会などの施設は幅があるものの、平日の朝8時頃から夕方16時頃までの営業時間であることがほとんどです。
しかし、仕事の都合によっては時間を確保できず、自分で手続きを行えないという方もいるでしょう。
そういった場合は、業者に代行依頼をするのがおすすめです。
業者に代行依頼する場合は、 以下のとおりです。
- 1.代行依頼する業者を決める
2.必要書類を用意する
3.代行依頼する業者に必要書類を提出する
なお、代行手数料は業者によって異なるため、あらかじめ確認して用意しておきましょう。
車検証の名義変更の注意点
車検証の名義変更を行ううえで、いくつか注意しなければならない点があります。
以下の注意点をチェックし、スムーズに名義変更ができるようにしておきましょう。
- ・親子間の譲渡でも名義変更が必要
・車検切れの車は名義変更できない
・名義変更を怠ると違反になる
・自賠責保険の名義変更も行う
・任意保険の名義変更も行う
それぞれの注意点を解説していきます。
親子間の譲渡でも名義変更が必要
親子間などの同居している者同士での譲渡でも名義変更が必要であり、手続き方法やかかる費用などは変わりません。
しかし、譲渡しても車の保管場所が変わらないのであれば、自動車保管場所証明書を提出する必要はありません。
また、同居中の親子であれば、自動車保険の等級も引き継ぐことが可能です。
車の名義変更をした場合には車検証の名義変更手続きだけでなく、自動車保険の記名被保険者も変更しておきましょう。
車検切れの車は名義変更できない
車検切れの車は名義変更ができないと、道路運送車両法で定められています。
名義変更をするにはまず車検を受けて、車検証を有効にしてから変更手続きを行わなければなりません。
ただし、車検切れの車は公道を走行すると違反になるため、車検を受けに行く場合は仮ナンバーを発行するなどの対応を忘れないようにしましょう。
名義変更を怠ると違反になる
名義変更を怠ると、道路運送車両法違反にあたります。
道路運送車両法には、名義変更の事由が生じた日から15日以内に手続きを行うことと定められています。
もし15日を過ぎても手続きが行われていないと、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
名義変更が必要になった際には、速やかに手続きを行いましょう。
自賠責保険の名義変更も行う
車検証の名義変更を行ったら、自賠責保険の名義変更も忘れずに行いましょう。
自賠責保険は車自体にかけられたものであっても、保険期間が残っている場合は残存期間も補償対象になります。
ただし、保険証を紛失して再発行する場合や事故が起きた場合には手続きが複雑になり、手間も時間もかかります。
また、自賠責保険は契約更新のお知らせが届かないため、保険期間が気付かぬうちに切れてしまうことも珍しくありません。
したがって、車検証の名義変更手続きの際には、自賠責保険の名義変更も一緒に行うようにすると安心です。
任意保険の名義変更も行う
必要なときに確実に補償を受けるために、任意保険の名義変更も忘れずに行いましょう。
任意保険では対人・対物・車両などの補償内容を自由に選択でき、運転者限定や年齢条件設定などの特約を追加することで、補償範囲を調整することが可能です。
名義が正しく変更されていない場合、保険に加入していても事故時に十分な補償を受けられない可能性があるため、注意が必要です。
また、名義変更の手続きでは、車検証に記載されている車両所有者やナンバープレート番号、初年度登録年月などの情報が必要になります。
まとめ
車の所有者が変わったり名字が変わったりした場合、車検証の名義変更が必要です。
名義変更は15日以内に行うことが法律で定められており、期限を過ぎると厳しい罰則が科せられる可能性があるため、速やかに手続きを進めましょう。
名義変更を自分で行うのが難しい場合は、業者に代行を依頼することも可能です。
また、車検証の名義変更を行う際には、自賠責保険や任意保険の名義変更も忘れずに行いましょう。