車の買取に出す際には、さまざまな書類を揃える必要がありますが、その書類に含まれる「印鑑証明書」は、一体どのようなものなのでしょうか。
ここでは、「印鑑証明書」についてや、車を買取に出す際に必要な「印鑑証明書」の取得方法、注意点などをご紹介します。
印鑑証明とは
まずは印鑑証明がどのようなものなのかについて見ていきましょう。
印鑑証明は、現住所がある市区町村役場に登録した印鑑(実印)を公的に認める書類のことです。
ちなみに印鑑証明の正式名は「印鑑登録証明書」となります。
印鑑証明の役割を簡単に説明すると「書類に捺印した実印が本人のもので間違いがないということを証明するためのもの」となります。
印鑑証明は、主に重要契約や高額取引時に実印で捺印をする際に、同時に提出するのが一般的とされています。
車の売買以外にも、会社の設立時や不動産の購入、保険金の受け取りや遺産相続などの場面では実印の捺印が必要になるため、「印鑑証明書」も提出することになります。
◯実印を登録する方法
印鑑証明を取得するには、住民登録をしている市町村役場に実印を登録(以下:印鑑登録)する必要があります。
印鑑登録は、15歳以上であれば誰でもできます。
- ・登録する印鑑
- ・本人確認ができる身分証明書(免許証やパスポートなど)
- ・委任状(本人以外が申請する場合のみ)
- ・登録手数料(300円程)
これらを揃え、住民登録をしている市町村役場の窓口で申請をすると登録ができます。
印鑑登録が完了すると、カード型の「印鑑登録証」が発行されます。この「印鑑証明証」が「印鑑証明書」発行時に必要となるため、紛失しないように注意しましょう。
登録ができる印鑑
登録ができる印鑑は、1人につき1つの印鑑となります。
基本的に形に制限はありませんが、
- ・大きさが一辺8mmから25mmの正方形に収まるもの
- ・文字は住民基本台帳または外国人登録原票に記録されている氏名、名、あるいは氏と名の一部を組み合わせたもの
- ・変形しやすいものやシャチハタ印は不可
など細かい規定があります。
また、自治体によっては既製品の印鑑を認めていなかったり、極端に丈が短いものは認めていなかったりと、独自で基準を定めているところもあるため、事前にホームページなどで確認しておく必要があります。
◯印鑑証明書の発行方法や必要な料金
「印鑑証明書」の発行方法は、お住まいの市町村役場や申請する方によって異なります。
ここでは、一般的な「印鑑証明書」の発行方法や、必要な料金について、以下の3種類のパターン別にご紹介します。
- 1.本人が役所の窓口で申請する
- 2.代理人が役所の窓口で申請する
- 3.コンビニで発行する
1.本人が役所の窓口で申請する
本人が市町村役場の窓口で申請する場合は、まず以下のものを用意する必要があります。
- ・印鑑登録証
- ・身分証明書
- ・発行手数料
市町村役場の窓口にある「印鑑登録証明書交付申請書」に氏名、住所、生年月日、登録番号を記入し、「印鑑登録証」と一緒に窓口へ提出します。発行手数料は1通につき300円ほどとなります。
また、役場によっては備え付けの電子端末で発行することができるところもあります。その場合は、印鑑登録時に設定した暗証番号を入力する必要があります。
2.代理人が役所の窓口で申請する
本人に代わって代理人が申請する場合も、基本的に用意するものは同じです。
委任状は必要ありません。
- ・印鑑登録証
- ・身分証明書(代理人)
- ・発行手数料
ただし、身分証明書は窓口に訪れた代理人のものが必要となります。
発行手数料は本人の場合と同様、300円ほどとなります。
3.コンビニで発行する
市町村役場によっては、コンビニのマルチコピー機での発行に対応しているところもあります。
その場合に必要なものは、
- ・マイナンバーカード(印鑑登録設定を済ませたもの)
- ・手数料
となります。
マイナンバーカードに印鑑登録を紐付けているのであれば、申請時に本人確認書類を提出する必要はありません。
マルチコピー機の端末にマイナンバーをかざして情報を読み取らせることで、本人確認となるためです。
マルチコピー機であれば6時30分〜23時まで(年末年始、メンテナンス時を除く)の時間帯で印鑑証明書を取得できるため、役場の窓口営業時間に訪れるのが難しい方にもおすすめです。
また、コンビニでの発行手数料は250円〜300円ほどとなります。
印鑑証明書が取得できないケースとは
印鑑登録さえ済ませていれば「印鑑証明書」の取得は簡単に行うことができますが、なかには印鑑証明書が取得できないケースも存在します。
- 1.海外移住や留学などで日本の住民票を抜いている場合
- 2.所有者が亡くなっている場合
このようなケースに当てはまるのは非常に稀であるかもしれませんが、いざという時に「印鑑証明書」が発行できないと慌ててしまうかもしれません。
対応方法とセットでご紹介しておきますので、頭に入れておきましょう。
1.海外移住や留学などで日本の住民票を抜いている場合
海外移住や留学中で日本の住民票を抜いている場合、「印鑑証明書」を取得することはできません。
もしこのような場合に「印鑑証明書」が必要であれば、居住する国の大使館や領事館で署名証明を貰いましょう。
署名証明はサインや母印が領主の面前で行われたことを証明するためのもので、日本の「印鑑証明書」に変わるものとして効力を持ちます。
2.所有者が亡くなっている場合
所有者が亡くなっていると、印鑑証明書を発行することはできません。
これは役場に死亡届が出された時点で印鑑登録も抹消されるためです。
亡くなった方の車を売却する時は、亡くなっていることを証明する「戸籍謄本」や所有権を相続したことを証明する「遺産分割協議書」(買取価格が100万円以下の場合は不要)、相続人の「印鑑証明書」が必要になります。
車を売却するときに印鑑証明書はなぜ必要なの?
冒頭でもご紹介したように「印鑑証明書」は捺印した実印が本人のものだということを保証するための重要なものです。
車は不動産などの個人資産扱いであるため、登録や抹消などの手続きは国土交通省に行う必要があります。
書類には随所に署名や捺印をする欄がありますが、この捺印を本人が行ったということを証明するためのものが「印鑑証明書」の役割となります。
◯印鑑証明書は何枚必要?
基本的に車を売却する時には「印鑑証明書」が2枚必要となります。
- ・還付請求権譲渡手続き
- ・移転登録
「還付請求権譲渡手続き」は、一時抹消登録をして税金がかからないようにしたり、払い過ぎた税金や自賠責保険料の還付をしたりする手続きです。
また「移転登録」は、車の所有者の名義を変更する手続きとなります。
両手続きとも買取業者が代行してくれるため、売却時は必要書類に記入、捺印を行うだけで済みます。
下取りの場合は印鑑証明書の必要枚数が変わる
買取で車を手放すのではなく、次の車に乗り換えるための下取りをするのであれば、新しく乗る予定の車の登録用として追加で1枚必要になります。
また、新しい車を自動車ローンで購入する場合は、所有者がディーラーやローン会社となるため「印鑑証明書」が不要になることがあります。
ただし、銀行系のローンを利用する時は、本人確認書類の一環として「印鑑証明書」を求められることもあります。
そのため、ローンを利用する時は、あらかじめ販売店に確認しておくようにしましょう。
悪用される危険性はある?
買取業者に「印鑑証明書」を提出する際に「もしかして悪用されるのではないか」と心配する方もいるのではないでしょうか。
実際のところ、知らないうちに勝手に連帯保証人にされたり、ローンを組まされたりといった「印鑑証明書」の悪用によるトラブルが起こっているのも事実です。
ただし、このようなトラブルは実印と「印鑑証明書」がセットで犯人の手に渡ったケースとなります。
車の売却時はその場で「譲渡証明書」と「名義変更の委任状」に捺印し、印鑑証明書を提出する形となります。
したがって、必要書類の内容をしっかり確認してから署名や捺印をさえ行っていれば「印鑑証明書」を悪用されることはありません。
実印さえ失くさないようにしていれば、悪用される危険はほとんどないと言えるでしょう。
◯軽自動車を売却する場合は不要
軽自動車を売却する場合は「印鑑証明書」を用意する必要はありません。
なぜなら軽自動車は法律上「資産」として扱われないからです。
普通車の場合、土地などの不動産と同様に個人の資産として扱われるため、国土交通省への登記が必要になります。
そしてこの登記をスムーズに行うために「印鑑証明書」が必要になるのです。
しかし軽自動車の所有に関しては国土交通省への登記ではなく、軽自動車検査協会への届出となるのです。
軽自動車の登録や抹消の手続きには、住民票などの本拠地を確認する書類の提出が必須ですが、印鑑も認印で構わないとされているのです。
「印鑑証明書」は原則返金ができませんので、軽自動車の売却を考えている方は忘れないようにしましょう。
印鑑証明書の注意点
「印鑑証明書」を利用する際には、次のような注意点もあります。
- ・手続き上「有効期限」が設けられている
- ・現住所以外の印鑑証明書は無効
- ・実印を紛失してしまったら再登録が必要
これらの注意点を見落とすと買取ができないこともあります。1つずつ確認しておきましょう。
◯手続き上「有効期限」が設けられている
基本的に「印鑑証明書」自体に有効期限は設けられていませんが、自動車の登録手続き上では「発行から3か月以内」と有効期限が設けられています。
これは名義変更などの手続きなどを行う際に、陸運局が3か月以内のものを有効としているからです。
また、買取業者によっては事務手続きに1週間〜2週間ほど必要としているところもあるため、有効期限ぎりぎりの「印鑑証明書」では断られる場合がほとんどです。
◯現住所以外の印鑑証明書は無効
車の売却時には、現住所の「印鑑証明書」が必要となります。
引越しをした際に新住所の「印鑑証明書」を手に入れるには、新住所の役場に転入届を出してから、印鑑証明の新規登録をしなければいけません。
ただし、これではすぐに「印鑑証明書」を手に入れることができないため、車の買取に間に合わないこともあります。
その場合は、旧住所の「印鑑証明書」と新住所の住民票の写しを提出すれば、住所が変更したことを証明することができます。車を早急に買取に出さなければいけない時は、この方法をおすすめします。
◯実印を紛失してしまったら再登録が必要
実印を紛失してしまったら、なるべく早く印鑑証明の廃止申請をしましょう。もし実印が他人の手に渡れば、悪用される危険があります。
また、紛失した印鑑の「印鑑証明書」は効力を持たないため、新しい印鑑を登録し直す必要があります。
すでに「印鑑証明書」を提出してしまった後ならば、提出先に再登録の旨を伝え、新しい「印鑑証明書」を提出する必要があります。
まとめ
「印鑑証明書」は、その捺印が本人が行ったものを証明するための重要な書類です。
個人の財産として扱われる普通車は国である国土交通省が管轄しているため、登録や抹消をするには「印鑑証明書」の提出が欠かせません。
印鑑登録は15歳以上であれば在籍している都道府県で簡単に行うことができるため、車の売買を行う際に用意しておくことをおすすめします。
買取業者に車を売却する時は、基本的に2枚の「印鑑証明書」が必要ですので、600円ほどの費用がかかります。
また、車の手続きには発行から3か月以内のものとされているため、取得から時間が経過している「印鑑証明書」を使う時は注意しなければいけません。
さらに軽自動車は管轄は軽自動車協会であるため、「印鑑証明書」の必要がないことも頭に入れておきましょう。